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2016.04.17

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第四十九段　～ネクスト１２　もう僕は我慢しないと決めたんだ～　映画『西遊記之孫悟空三打白骨精』によせて

カテゴリ： ◆映画・TV・華流・韓流・ショービズ

↓前回です♪
『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第四十八段　～ネクスト１１　俺はあいつを守りたかった～　映画『西遊記之孫悟空三打白骨精』によせて

★☆★☆
第四十九段

あの日、シアンとの三度目の任務完了直前。

数度の遷移を経て、ジョンの船は、もうすぐ土星最大の衛星

タイタンに帰還しようとしていた。

ペンタゴンと呼ばれる世界政府軍の中枢となる最大の基地と

大統領府、そして宮殿。

タイタンには大気が存在し、地球によく似た地形や気象が

地球以外では初めて、その大気圏外に宇宙ステーションが

建設された。

今もまだ当時の古い形のステーションが記念碑として、タイタンを回り続けている。

現在、下界に広がる都市は世界政府の首都であり、主要機関の全てが

その透明の樹脂で密閉された巨大な容器にみっしりと詰まっていた。

放射状に地面に張り付いたドームやカプセルの外では

窒素を好み強風に耐えるコケやツタなどの植物が育っていた。

ジョンは次第にスクリーン上で大きさを増す雲の多い

衛星を眺めていた。

ネクストのせいで、今回の旅は神経がすりへった。

シアンは一層気難しく、部下は比例してさらに気難しくなった。

シアンの参加が今後もまたあるとするなら、

ことを荒立てないで上手く断る術を今の内から

考えておかなければならないだろう。

だがなぜだろう？シアンは他の部隊での評判はすこぶる良い。

何故、自分たちとは上手くいかないのか。

何か問題があるのだろうかと、いつになくネガティブな思いに囚われた。

突然機械音がジョンを呼んだ。

『キャプテン・キューザック。ネクストが入室の許可を求めています。』

へえ。ジョンは驚いた。彼が出向くとは。

部下たちの苦情の数々が脳裏に浮かんだ。

その前にシアンが苦情を申し立てにお出ましか？

『許可する』

ジョンは言った。

シューと音を立ててドアが左右に開いた。

シアンが入ってきた。

ネクストの紺色の軍服に包まれた細い身体。

人工皮膚。コンタクトレンズに守られた琥珀色の瞳。

人間と違う色の唇を隠すための濃い口紅。

アルビノ族は美しいと言われるが、ジョンは彼等の素顔を知らない。

聞くところによると、彼等の皮膚は毛細血管が透けて見え、

独特の青いツタに似た模様が

タトゥーのように頬を飾っているらしい。

彼等の素顔を見ることができるのは、主人か、伴侶だけだ。

まれに、シアンのように人間の家族がいる者は

家族には素顔を見せる。

長い髪を後ろで緩く結わえているネクストスタイル。

ドールの輝く白髪。

変装していても総帥の息子は美貌に恵まれていた。

『ネクスト・コーネリアス』

ジョンは席を立ち、彼に近づいた。

思いつめたような暗い表情。

まあ、彼が思いつめていない時など

金輪際なかったと言って良いが、、

シアンとジョンの身分の差は複雑だ。

軍においては、ジョンが上であり、

シアンが軍を離れれば、シアンの方が圧倒的に上の立ち場だ。

船ではいつもシアンは先に丁寧な敬礼をし、

ジョンが優位であることを素直に示した。

今もきびきびしているわけではないにしても、丁寧に礼儀を尽くした。

その点においてはシアンは、あっさりしていた。

自分が総帥の息子であることをかさに着ることは一切なかった。

ネクストとして、普通以上に我が儘に振る舞ったにすぎない。

ネクストは、超能力を最大限に発揮するためと称して

少し度が過ぎると思われるくらいの要求をある程度はする連中だった。

『なにごとです？』

ジョンは丁寧に訊ね、長椅子に彼を促した。

そしてそれは突然起きた。

シアンがジョンの身体にぶつかって来た。

ジョンは仰天して、あやうく叫ぶところだった。

油断があった。

シアンにそのつもりがあったなら、ジョンを殺すことができたのだ。

そのことにジョンは肝を冷やした。

しかしシアンは、ただジョンに抱きついていた。

そうだと気がつくまでに、少し時間がかかった。

『何をなさっておられるのですか？』

ジョンは冷静を装いながら、訊ねた。

激しい動悸にシアンが気付かないことを祈った。

ジョンはホールドアップで、彼に触れないようにした。

そして、隠しカメラに向かって、両手をそっと動かし頭上で

『なんでもない。無視しろ』と合図を送った。

モニター室の連中が何を想像しているかを考えると

気分が悪くなった。

そしてもう一度訊ねた、どうなさったのですか？

シアンは応えなかった。

『こんなことするのは危険ですよ。

私は今は武器を携帯していないが

何か持っていたら、あなたは死んでいます』

それは事実だったが、

今の場合、自分が死んでいる可能性の方がずっと高かった。

シアンはまだ黙っていた。

彼はむかっ腹が立ち、少し語気を荒くした。

『いいですか、離れてください。でないと、あなたを手荒に扱うことになる』

『ジョン』シアンは、ジョンの胸に押し当てていた顔を上げた。

『ジョン。もう僕は我慢しないと決めたんだ。君を愛している』

つづく

腕にすがる1.jpg

ウィリアム・フォン、馮紹峰、フォン・シャオフォン、ペン・シャオペン　以上全部同じ人（笑）

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Last updated 2016.08.29 16:06:21

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すみれゆきの

いつのまにか母娘でやることになったブログです。娘は主に音楽関係を2017.04あたりから担当。 '17.07.22現在『アジアの音楽』『アジア以外の音楽』の両カテ以外の音楽の記事は娘です。私は映画やドラマなどを中心に気功や太極拳などの情報ファッションや猫や人間の健康に関することなどを発信してます。混乱します？そうでもない？娘は几帳面。私はイイカゲン。そんな感じの見分け方で(笑)

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