おしゃれ手紙

2007.09.02
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カテゴリ: 昭和恋々

「半七」の中でもとりわけ怖い「お化け師匠」の踊りの師匠が、蚊帳の中で蛇に首を
絞め殺され死んでいる様子がいま見てきたことのように、生々しく描かれていたのである。
実際、灯りの消えた部屋では、蚊帳の中で寝ているのが誰かよくわからないものだ。
もっと言えば、そこに寝ているのが、生きている体なのか、息のない体なのか、怖いと思うとそんなことまで心配になってくる。
だから蚊帳の外から、ささやくように声をかける。
すると青い薄闇に忍んだ自分の声が、髪をおどろに乱して死んだお化け師匠の、無念の声に思われて、
風呂上りの体が凍りつく。
そういうときに限って、生ぬるい風が吹いて、軒端の南部風鈴がチリンと一声鳴る。
いまの子に「半七捕物帳」を読ませても、ちっとも怖がらない。
夏の夜の青蚊帳も、大川端の柳も、虚無僧の尺八も知らないのである。
しかし私には、そうしたものがなくなった世の中は、結構なようで、
実はそれがいちばん怖いことのように思われるのだ。
「昭和恋々」久世光彦
・・・・・


それでも中にいる蚊もいた。
血をたっぷり吸って、ヨタヨタと飛んでいたりした。
すると私たちは、容赦なくその蚊を叩き潰した。
手が蚊の血で、真っ赤になった。

自分の血を吸う蚊は、許せない。
叩き潰されても、しかたがない。
がしかし、蚊を食べる昆虫もいる。
蚊を食べる昆虫がまた鳥に食べられる。


そういう意味からいえば、蚊もまた必要な生きものだ。

今は、蚊帳などいらなくなった。
その代わりに、他の昆虫や鳥や動物も減ってしまった・・・。




すがしといねつ たるみたれども
長塚節


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★9月2日 *9月がどんなに暑くても・・・ * UP
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Last updated  2007.09.02 16:29:11
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