Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2005/09/03
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カテゴリ: アート&ブックス
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 版画と言えば、昔は木版画か石版画くらいしかなかった。しかし19~20世紀以降、シルクスクリーン、リトグラフ、エッチング、ドライポイントなど様々な手法での版画が生み出され、それぞれを得意とする版画家が多様な作品をつくり出してきた。かのロートレックもリトグラフで素晴らしいポスター作品を数多く残した(リトグラフは石版画の一つとも言えるが…)。Hollywood People

 版画は、手法によって枚数に違いはあるが、1点ものの油絵や日本画と違って、ある程度の枚数を生産(創作=商品化)できるのが利点だ。たくさん刷れることによって、1点もののような素晴らしい作品が、数多くの愛好家に手頃な値段で楽しめるようになった( 写真左上 =僕がタルマッジを知るきっかけとなった「ハリウッド・ピープル」というタイトルの版画)。

 1点ものの油絵なら、何百万円、何十万円する作品が、シルクスクリーンやリトグラフなら、その十分の一、百分の一の値段で買える。レベルの高い作品が大衆の手に届くことは、大変いいことに違いない。Down By The Broadwalk

 10年ほど前、僕は、大阪のある画廊で見たある米国の版画家の作品がとても気に入ってしまった。もともとその画廊へは、あのローリング・ストーンズのメンバー、ロン・ウッドの版画展(ロンは絵の腕もプロ級なんです)を見るために行ったのだが、ロンの絵より魅せられてしまったのだ(ロン、ごめんね!)。

 その版画家の名前は、 ジェームズ・タルマッジ (James Talmadge、日本では「タルマージ」と表記されることの方が多い)。オイル・パステルを巧みに使ったカラフルで、躍動感あふれる絵は、一瞬にして僕の心を捕らえてしまった。

 手頃な値段なら買いたいと思ったが、僕の記憶では、80×60cmくらい大きさの作品に、なんと50~60万円の値段が付いていて、その場で手の届くものではなかった(それでも、業者は「ローンも組めますから、お一つぜひ」としつこく迫ったが…)。

 そして、その数年後、シカゴに駐在していた大学時代の友人夫婦を訪ねる機会があった。そして、シカゴの画廊で、タルマッジの版画を見つけた。値段を聞くと、Shade of Blue僕が一番ひかれた「Down By The Broadwalk」というタイトルの版画( 写真右上 )は、額付き、日本への送料込みでも、約17万円ほどだった。

 その場では迷ったけれど、日本へ帰った後、「やっぱり、欲しい」という思いが募り、その友人を通じて、買って送ってもらった。そのタルマッジは今も僕の家のリビングの壁を飾っているが、実に楽しい気分になる素敵な絵だと、凄く気に入っている。

 ジェームズ・タルマッジは、ヒロ・ヤマガタやクリスチャン・ラッセンのように、商業主義に乗った宣伝をしないから、日本ではほとんど知られていない。1947年、カリフォルニア州生まれ。14歳で個展を開いたというから、早くからその才能は認められていたのだろう。19歳で、LAのオーケストラでオーボエを演奏したという、多才な人でもあるらしい( 写真左下 =「Jazz」をテーマにした絵も多い)。The Opening

 米国内でもブレークしたのは1980年代半ば以降らしいが、英文のサイトで調べると、世界各国の有名美術館でタルマッジの作品が買い取られているほか、俳優のチャーリー・シーンや、テニスのアンドレ・アガシ、それに化粧品会社のマックスファクターは、タルマッジの作品を数多くコレクションしているという( 写真右下 =「群像」も彼が得意とするモチーフ。色使いが素晴らしい。 タルマッジの他の作品はこちらに )。

 しかし、米国内での相場は若干下がり気味で、今では10万円前後でも買える作品もある。これに対して、日本の取り扱い業者は(昔よりは安くはなったが)相変わらずとんでもない値段を付けているが…(いまどき、なぜ米国内の3~4倍もの値段で売るのか理解に苦しむというか、あきれる)。

 タルマッジはプライベートな部分がまったく謎の人だ。僕も、写真は雑誌で見たことはあるが、プロフィールはほとんど知らない。今年58歳。最近の消息はほとんど聞かない。新作も見ない。今はどこでどうしているんだろうか。気になる版画家の1人である。


 ※絵の画像は、自ら購入した1枚(写真上から2枚目)以外は、タルマッジの公式HP( http://www.talmadgeart.com/ )、タルマッジを扱う画商「Gregory Edition」のHP( http://www.gregoryeditions.com/talmadge.htm )等から引用・転載しました。心より感謝いたします。






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うらんかんろ

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Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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