Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2006/01/14
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カテゴリ: アート&ブックス
 「灯ともしころ、街の片隅にある1軒のバーの扉の前に立つ。この扉の向こうには一体どんな世界があるのだろう――バーの魅力にとりつかれ、いつの頃からか切り絵でその世界を描くようになった…」。本の裏表紙にはそう記されている。To The Bar

 出来たてホヤホヤの新しい文庫本は、実は、僕が長年の間、復刊を待ちこがれてきた「To The Bar 日本のBAR74選」(朝日新聞出版刊:朝日文庫。定価540円= 写真左  (C)朝日新聞出版 )。

 切り絵作家の成田一徹氏が、全国津々浦々のBARを巡り歩いて、彼の愛するBARを、切り絵と洒脱な文で描いた素敵な「大人の絵本」であり、最良のBARガイドブックでもある。

 モノクロームでBARの情景を見事に切り取った成田氏の画が、僕は大好き。バーテンダーにも彼の切り絵のファンは多く、自分の店が描かれた切り絵を店内に飾っているBARも、全国あちこちに結構ある。知らない街のBARでたまたま彼の切り絵に出合うと、「おっ、このマスターもファンなんだね」と僕までが嬉しくなる。

 彼が著したこれまでの本は、僕はほとんど欠かさず、手元に置いている。個展で気に入って購入した作品も何点かあるし、ブログでBARに触れた日記でも、酒場の絵本ご存じのように時々、彼の切り絵を「クレジット付き」で紹介させてもらっている(お気づきかもしれないが、「ピアニストの手」を描いた僕のプロフィール欄の切り絵も、彼の作品である)。

 本格的にBAR巡りを始めて、もう四半世紀にもなるが、きっかけとなったのが、成田氏がまだ神戸のサラリーマン時代の1983年、同僚と一緒に自費出版した「酒場の絵本」( 写真右 )という本だった。

一徹の酒場だより

 その後、成田氏は「切り絵を生業(なりわい)として」生きるべく脱サラして、上京。しばらくして1993年に東京、横浜、京阪神に取材のフィールドを広げたガイドブック「一徹の酒場だより」( 写真左 )を著した。しかし、バブル景気崩壊のあおりで出版社が倒産。この「酒場だより」は幻の1冊となった(僕は今もたまに古本屋で見つけたら、必ず買ってしまう)。

 そして98年に成田氏が再び著したのが、今回出版された「To The Bar」の旧版である。旧版は単行本のスタイルで出版された。しかし、運の悪いことに出版不況のせいなのかどうか知らないが、その出版社も倒産。旧「To The Bar」も絶版となってしまった。

 僕は、味わい深い切り絵とBARの貴重な情報が詰まった素晴らしい「To The Bar」を、酒場の絵本から:Bar ルルどこかの出版社が復刊してくれないかなぁと、ずっと、ずーっと心待ちにしてきた。

 だから、今回の復刊の喜びは、言葉ではちょっと言い表せないくらいだ(嬉しいことに、紹介されてる店も旧版より10店多い!)( 写真右 =83年刊の「酒場の絵本」から「Bar ルル」。今はなき神戸の名BARだった。ちなみに復刊された「To The Bar」の表紙もこの「Bar ルル」)。

  成田氏の切り絵の素晴らしさは、まるで、そのBARを自分が訪れたかのような錯覚に陥らせてくれるところ。シャープだけれど、どこか温かい彼の画を眺めていると、かたわらで飲むウイスキーもますます旨くなる。それくらい彼の切り絵は、見る人の心をつかみ、包み込んでくれる。

 BAR好きのみなさんには、ぜひこの「To The Bar」を一冊携えて、BAR巡りに挑んでほしい。重そうなBARの扉も、この本があれば抵抗なく開けられるだろう。そして、この本がバーテンダーと打ち解けるきっかけになることは間違いない。

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Last updated  2012/09/29 12:19:30 AM コメント(26) | コメントを書く


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うらんかんろ

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Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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