Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

2010/09/04
XML
カテゴリ: アート&ブックス
 最近よく読んでいる作家は主に次の3人、池井戸潤(いけいど・じゅん)、佐々木譲(ささき・じょう)、今野敏(こんの・びん)。この3人のミステリー小説を入れ替わり順番に読んでいる。

 3人はいずれも今やミステリーの大家だが、池井戸潤は、主に銀行に舞台にした経済・金融小説を、佐々木譲は警察小説と歴史ミステリーを、今野敏は警察小説のほかアウトローを主人公にしたハードボイルドタッチのミステリーも得意にしている。空飛ぶタイヤ.jpg

 ということで、最近読んだ3人の作品について、ひとことコメントとともに、独断での評価を ★の数(★5つで満点) で紹介いたします(必ずしも最近の作品じゃないのも含まれていますが、ご容赦を…)。まず第1回は、先般NHKで「鉄の骨」がドラマ化されて話題となった池井戸潤から(※本の表紙画像は基本的にAmazon上のものを引用しています。Amazon.Japanに感謝します)。



「空飛ぶタイヤ」 ★5つ  ※2005年の作品。吉川英治文学賞新人賞を受けたほか、直木賞の候補作にもなった。実際に起きた大型トラックのタイヤ脱落事故(母子が死傷)をテーマにしている。大手自動車メーカーに「原因は車の整備不良」として責任をなすりつけられる運送会社の経営者が、倒産の危機を抱えながら大企業とたたかい、本当の事故原因を突き止めるまでの日々を感動的に描く。長編だが、最後までテンポがよくて飽きさせない。2009年にはWOWOWでテレビドラマ化されたが、残念ながらうらんかんろはこの時池井戸潤をあまり知らず、見逃してしまった(涙)


「果つる底なき」 ★4つ  ※謎の死を遂げた同僚のために、その死の真相を探ろうと、ただ一人銀行の闇に立ち向かう銀行員。第44回江戸川乱歩賞を受賞した感動作。果つる底なき.jpg


「仇敵」 ★4つ


「銀行総務特命」 ★4つ  ※短編集。銀行で「不祥事担当」の特命を受けている主人公。部下の女性社員とともに、巨大銀行の内部の腐敗や醜聞の“処理”にあたっていく。


「銀行狐」 ★3つ半  ※「狐」と署名された脅迫状が大手銀行取締役へ届く。さらにその銀行の情報漏えい事件も起きる。その意図は? 犯人の正体は? スリリングな展開をみせる短編集。不祥事.jpg


「不祥事」 ★4つ半  ※驚異の事務能力と行動力を持つトラブル担当の女性社員・花咲舞が、巨大銀行の組織と不条理にとたたかう痛快ミステリー。とにかく面白い。この作品、テレビドラマ化したら、きっとヒットすると思うんだけれど…。


「銀行仕置人」 ★4つ  ※自分を罠にはめた銀行の身内の不正を暴くために、ひとり立ち向かう男の復讐劇。池井戸作品にはこのパターンがしばしば見られるが、同じテーマでも読み手を飽きさせないのはさすが。


「株価暴落」 ★3つ半  ※巨大スーパーを襲った連続爆破事件。株価は暴落し、スーパーへの支援を巡って大手銀行内の意見は二分される。犯人と名指しされた男の父は、このスーパーの強引な出店で自殺に追い込まれていた。果たして、本当の犯人は?オレたちバブル入行組


「オレたちバブル入行組」 ★5つ
 (※なお本作中、調査に入った国税局の調査官が銀行が出前でとった鰻丼を食べるシーンがあるが、先般わが社に来た調査官は「お茶一杯も要らない」と言って受け付けなかった。昔は国税局の役人も“たかり体質”だったということか…)。


「シャイロックの子どもたち」 ★4つ半  ※ある銀行の支店で起こった現金紛失事件。女子行員の一人でに疑いがかかるが…。銀行という組織とそこで働くさまざまな人間の哀歓・葛藤を描いた傑作ミステリー。オレたち花のバブル組


「金融探偵」 ★3つ  ※失業中の元銀行員が、再就職活動をしている際に、金融がらみの相談を受け、銀行時代の経験を生かして次々に解決していく。全体としての盛り上がりがいまいちなのが減点理由。


「オレたち花のバブル組」 ★5つ  ※上記「バブル入行組」の続編に当たる作品だが、パワーアップして前作以上の面白さ。ホテルと電機メーカーの再建問題を軸にしながら、バブル入行組同期生5人の、その後の銀行マンとしての絶対負けられない闘いを描く(うち1人は9.11テロのニューヨークで死んだという設定なので実質4人だが…)。
 主人公の東京中央銀行営業第二部次長・半沢は、巨額損失を出した老舗のホテルの再建を押し付けられる。おまけに、陰湿な手法で有名な金融庁担当官による検査が入る。一方、同期の近藤は倒産の危機に瀕した出向先の社長らから執拗ないびりに遭い、苦しむ毎日。「貧乏くじ」を引いた半沢らの行く末はいかに?  テンポが良くて、仕掛けも面白くて、登場人物=とくに悪役の上司や検査官=の描写が上手くて、とにかく飽きさせない。


こちらもクリックして見てねー! 【人気ブログランキング】





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012/09/29 12:09:40 AM
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Profile

うらんかんろ

うらんかんろ

Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

Free Space

▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

神戸の残り香 [ 成田一徹 ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2021/5/29時点)


▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。 ▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。

Favorite Blog

「続・豚肉と大根の… はなだんなさん

東北の夫婦旅。 きんちゃん1690さん

LADY BIRD の こんな… Lady Birdさん
きのこ徒然日誌  … aracashiさん
猫じゃらしの猫まんま 武則天さん
久里風のホームページ 久里風さん
閑話休題 ~今日を… 汪(ワン)さん
BARで描く絵日記 パブデ・ピカソさん
ブログ版 南堀江法… やまうち27さん
イタリアワインと音… yoda3さん

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: