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ぴけっと

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2004/04/30
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カテゴリ: エヴァンス
■Complete Last Performance/Bill Evans Trio(1979)


今日から3日間は休めそうな、ピケです。こんにちは(挨拶)
ここんところ、探していたエヴァンスの珍しい音源をオークションでゲット出来て満足、満足♪
『VIP'S Theme』はモノラル盤も手に入った。
他にもLPでの買いなおしを数枚。
CDからLPへの買い直しなど時代に逆行してるとも思うが、でも音はいい。
CDではノイズとして消えていたブラッシュワークの発見、繊細な音、ミスタッチも(笑)

今年中には最低でもリーダー作はフルコンプリートまで行きたいのだが。

79年1月、ジョー・ラバーバラが加わってすぐのラストトリオのライブ。

当初は、ファーストセットが『Vol.2』として、セカンドセットが『Vol.1』としてビデオ発売されたので、DVD化されてもそのままの順番だ。

この日、エヴァンスはすごく不機嫌に見える。
どうやらピアノの調律が気に入らなかったらしい。
だから、最初に見ることになるセカンドセットでは、、更に不機嫌に・・・
その前週にシカゴのクラブ「ジャズ・ショーケース」で弾いたピアノと比べてのことだろうか。

1曲目『Re: Person I Knew』で、高音域を押さえるたびに不機嫌になる、エヴァンスの姿が。
その両の手は、無残にむくんでる。
この手でよく演奏できるものだ。これも薬からくる、副作用か。
ピアノに対する不満を表すかのようなタッチはあるが、ミスではない。
ジョンソンは静かに目を閉じて、一心にベースをかき鳴らす。
なぞるようにおさえるのではなく、スナップを程よく利かせているのが見える。


しっとりとした『Midnight Mood』へ。
音のことを忘れて演奏に没頭してるかのように見える。

・・・が、怒るなよ~(笑)『Peacocks』
高音域を押さえるときのイライラが伝わってくる。
ラバーバラのブラシがほとんど音として残っていないのが残念。

ジョンソンは良く考えてる。

一転してハードなナンバー『Theme From M.A.S.H.』
ラバーバラのドライブ感あふれるドラミングがいい。
ぐいぐいと推進して行く。前へと。
激しいやり取りの中で、音に集中してきている。

「本番前にサウンドチェックをして良かった」と、あたかも今からが本番で、その前の演奏がチェックだといわんばかりの痛烈な皮肉のMCを挟んで『Quiet Now』へ。
よほど音響技術者の仕事が気に入らなかったのだろう。

だからというわけでもないが、サウンドチェック的なGの連打から始まる『UP With The Lark』へ。
コントロールするのはラバーバラ。
一心不乱にソロを取るジョンソンもいい。

『In Your Own Sweet Way』へ。
インタープレイの妙。
ラバーバラからエヴァンスへの流れがいい。

『I Do It For Your Love』
美しい。
すばらしいメロディーとハーモニーの合体。
この曲がレパートリーに加わって3ヶ月あまり、まだまだ構築中だが、エヴァンスは自らのピアノの音に集中している。

洪水のような音の中からリズムが現れる『My Romance』
このトリオの未来を感じさせる。
ラバーバラの力強いソロでの推進力。
ジョンソンとエヴァンスの一体感。
この20ヵ月後に訪れる悲しい終焉は微塵も感じられない。
まだまだトリオとしての完成に向かって昇華してゆく半ばだが、その完成形のすばらしさはうかがい知ることができる。
エヴァンスがジョンソンに寄せる信頼感、ラバーバラのトリオに対する誠実さは良く出ている。

本来のファーストセットへ
『Mornin' Glory』
静かに目を閉じ、ベースを爪弾くジョンソンの姿が印象的。時には挑戦的に・・・
目でエヴァンスを確認することなく、音のみを感じてインタープレイを成立させる。
口で言うほどたやすいことではない。

3拍子と4拍子のバース、『34 Skidoo』

美しいピアノで始まる『But Beautiful』
美しいスタンダードなラブバラードだ。
よほどピアノが気に入らないのか、いらついているように見える。

『Who Can I Turn To』でのメロディとハーモニーの織り成すクライマックスはすばらしい。
『Gary's Waltz』の紹介の際に「今日のピアノは良くない」と苦言を呈する。
晩年の彼が好んで演奏したナンバーだ。

オリジナルナンバー『Turn Out The Stars』を経てアップテンポに『Someday My Prince Wil Come』へ。
ラバーバラとのフォーバースのやりとりがいい感じだ。
ラストトリオではあまり評価されることのないナンバーだが、やはりラファロ、モチアンとのあの奇跡とも言える演奏のすばらしさがあるからか。

晩年よく演奏した『Minha』はブラジル産のバラード。

最後はやはりトリオの音の調整もこめてか、『Nardis』
このナンバーは生涯で一番多く録音が残っている。
マイルスの曲らしいが、エヴァンス作との説もある。
代表曲的にいうひともいれば、彼がソロを取らないからそう(代表曲)ではないという人もいる。
ベースとドラムのソロはあるがエヴァンスのソロはない。
ジョンソンのソロがすばらしいい。

この夜のセットの配置も、中心の前にジョンソン、その左右にエヴァンスとラバーバラで、”うちの自慢のベースを見てください”的な配置になっている(笑)
以前のドラマー、エリオット・ジグムンドいわく、「たぶんビルは、マークに対してミュージシャンというよりは一人の人間として接していた。マークに対する興味は彼がすばらしい演奏者だからというだけでなく、とても若くて素直で、そしてとても、とてもビルには敬意を表していたからこそかきたてられたのだと思う。彼は音楽に対する寛大さをもたらしたが、ビルはまさしくそれを探しているときだったんだ。ビル自身心の奥深くで本当に変わりたいと考えていて、それがあのトリオに起こったことなんだ。」
このジグムンドの分析はおそらく、かなりの部分で的を得ていると思われる。
だからこそ、エヴァンスは「あのトリオを超えるかもしれない」との発言を残しているのだろう。
アップテンポな4ビートでのスリリングさ・・・
エヴァンスのリズムをかいくぐるノリを一番理解していたのがジョンソンであり、このトリオであったといえるだろう。
私も人に聞かれると、このトリオを”最高”と押す。 

1.Re: Person I Knew
2.Midnight Mood
3.Peacocks
4.Theme From M.A.S.H.
5.Quiet Now
6.UP With The Lark
7.In Your Own Sweet Way
8.I Do It For Your Love
9.My Romance
10.Mornin' Glory
11.34 Skidoo
12.But Beautiful
13.Who Can I Turn To
14.Gary's Waltz
15.Turn Out The Stars
16.Someday My Prince Wil Come
17.Minha(All Mine)
18.Nardis

エヴァンスの流れをひくピアニストは今も多く現れる。
マネージャーのヘレン・キーンいわく、「彼の最大の功績は若いミュージシャンたちに、それぞれの信ずる音楽に徹底的に忠実であろうとする、その勇気を与えたことだと思う」とのこと。
自らの信念に基づき演奏活動を行い、その信じるものを最後まで見失わずに行ってしまったエヴァンス。
その崇高な精神は音楽を通してのみで実体験のない、今の世代にまで受け継がれている。

"人の評価はその棺のふたが閉まってから定まる"

彼の両の手が音を紡ぎだすことを止めて、もう24年。
私の中では、彼の音は古く色あせてしまうことはないだろう。
相変わらず、美しいと感じるし、新しい発見もある。

彼にとってはピアノは表現の方法でしかなかったのかもしれない。
それ以上でも、以下でもなく。
何の役にも立たない、そんなセンチメンタリズムのままに・・・






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Last updated  2004/04/30 01:38:36 PM
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