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2005.08.16
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カテゴリ: 戦中・戦後
私達は旧制中学1年の2学期から横須賀市追浜の海軍航空技術廠(しょう)へ勤労動員された。学徒勤労動員というのは学生・生徒に学業を中断させ、国のために労働で貢献させるという政策。

私の配属先は総務部発電工場。
航空技術廠(しょう)全体に対する電力の安定供給と電気設備の新設・保守を行う重要な部署だった。

ここには地方、特に新潟県から徴用されてきた人たち(男女)と新潟県の学生が多かった。高等学校の学生は立派に仕事をやっていた(多分工学系だったのではないかと思う)。主に電気工事作業だった。

女性は女子挺身隊という勇ましい名前が付けられており、主に事務関係の仕事をしていたように思う。

われわれ中学生は全くの足手まといだった。それでもツルハシやスコップを使って発電機を疎開するための横穴壕を掘るのを手伝ったり、結構土工作業をやらされた。

発電工場のすぐ横に「貝山」というしっかりした岩盤の山があった。ここを掘って発電機を入れる。確か1台は入ったはずだ。

この「貝山」は割合大きな山だったと思う。我々が入る防空壕もしっかり掘られていた。
さらに驚いたのは、別の横穴防空壕から入ると、この貝山の中に縦横無尽に掘られた地下壕へと続き、とんでもない山の反対側に出られるのだ。出口(入口)は何箇所もあるようだった。



「貝山」の上には対空機関砲の陣地があり、いつも兵隊さんが訓練を受けていた。お昼休みに見に行くわけだ。

こんなことで仕事半分、遊び半分の勤労動員だった。

しかし、土工作業でつるはしやスコップの使い方はうまくなった。
どこが巧いのか。スコップで掘った土を放るとき、土が分散しないで固まって目標とするところへ飛んでいくのだ。これが巧い・下手の見分け方。

また見よう見まねで電気関係の測定器の使い方も習得し、これは後にアルバイトをしたときすごく役に立った。

またこんなこともした。
京浜急行の逗子線に「神武寺」という駅がある。このそばに鷹取山という岩山があって、戦後は岩登りのトレーニング場になったところ(太平洋戦争(大東亜戦争)前もそうだったのかもしれない)。

この鷹取山の下は、これも縦横無尽に地下工場があり、実際旋盤などが稼動をしていた。ここに新しい横穴工場を掘ったのでその電気配線工事の手伝いに行った(ただここは貝山から比べると随分水気の多い、湿度の高い地下壕だったと思う)。

どういうことをするのかというと、天井に穴を開けそこに碍子を埋め込み、配線をしていく。この碍子にはボルトがついているのだが、相手が岩に空けた穴ではどうにも固定が出来ない。

そこでボルトに鉛そうめんを巻いて、穴に碍子を固定する。

鉛そうめんとは何か。 鉛を溶かして太い茶筒状のなかに鋳る。固まったところで茶筒を壊し、円筒状の鉛を旋盤にかけ、細いそうめん状に削りだすのだ。



こういった工法も実地で勉強・実践した。

学校へはいつ戻ったかははっきり覚えていない。
2週間後の9月初旬だったかもしれない。





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Last updated  2005.08.16 08:37:51
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ポテチ@ Re[1]:横浜大空襲(08/19) Mitch29さんへ わざわざコメントありがと…
Mitch29 @ Re:残照(07/09) XONG清水 さん お久しぶりです。 お元気な…
XONG清水@ Re:残照(07/09) これから本格的な夏になるのに、夕方の色…
Mitch29 @ Re:横浜大空襲(08/19) ポテチ さんへ 戦争中の、昔の話を読んで…
ポテチ@ Re:横浜大空襲(08/19) 近隣の住人です。驚きました。 貴重なお話…

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