そんなAC/DCの音楽性は、基本的にデビュー以来ほとんど変わっていない。 '80年の加入以降、現在までフロントをつとめるブライアン・ジョンソンもいいボーカリストだ。 だが、彼らの明快な魅力と迫力は、故人であるボン・スコットをボーカルに据えていた70年代の作品に、より顕著 かつては『Back In Black』や『For Those About to Rock We Salute You』などを聴きくるっていた自分だが、今聴くのはほとんどボン時代の作品だ。
'78年発表の『Powerage』(上ジャケット)は、世界規模で発売された四枚目のアルバムである。 ヴォーカルはボン・スコット。 ギターはアンガスと彼の兄であるマルコム・ヤング。 ドラムにフィル・ラッド、ベーシストは本作から加入したクリス・ウィリアムスだ。 代表作とされる次作『Highway To Hell』('79年)には劣るものの、本盤もなかなかに捨てがたい一枚となっている。
そして、凶暴なバックにのせて、ボン・スコットが本能のままにシャウトする。 「Riff Raff! I'm only in it for the laughs (ha ha ha)」と。 なんというエナジー。なんという爆発力。 そのボルテージの高さは、さわれば感電死しそうなほど。 目の前で演奏されているような生々しさもタマらん。 ヘヴィでありながら、全体を包む解放感も素晴らしい。 体中の血が頭にのぼっていくような気にさせられる、最強の5分15秒である。
このアルバムには、ほかにも「Rock & Roll Damnation」、「What's Next To The Moon」、「Kicked in the Teeth」など、ガツンとくる曲がてんこ盛り。 「理屈ぬきにカッコいいロックが聴きたいなぁ」と思うアナタはぜひどうぞ。 ライヴ盤『If You Want Blood You've Got It(ギター殺人事件)』もお忘れなく