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2019年04月04日
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第 四百二十三 回 目

    サンプル・ストーリー の 六

          『 快傑 自来也 』

 時代:江戸時代

 主な人物:自来也 ― 義賊で忍者の主人公、綱手姫 ― 自来也の恋人でナメクジの精として

妖術を駆使して自来也を助ける、大蛇丸 ― 蛇の妖術の名手で様々な事件で自来也を苦しめる

    パイロットのエピソード 「 お江戸の八百八町を救え 」


プロローグ ―― 江戸の町で大火が発生し、その急速な復興の為に各地から建築資材を始めと

して生活に必要なお米を中心とした食料品など、生活必需品が日本の各地から大量に輸送される



襲われて略奪される事件が、発生していた。

 当時、山深い秘境にあって忍術の修行を完成させ、免許皆伝の域に達した自来也は、師の仙人か

ら罪もない庶民達の救済に立ち上がるように命じられ、直ちに俗界に推参する事となった。


  海上

 積荷を満載して江戸へと向かう大船団がある。その主船の中で船長が主だった部下を集めて

檄を飛ばしている。

 船長「今更わしが改めて言うまでもない事ではないが、陸上では盗賊による乱暴狼藉が多発して

幕府はもとより罪もない江戸の庶民が、住む家も無く、米は言うまでもなく毎日口にする食糧

にも事欠く重大事が、今日に到るも続いている。事は緊急を要する、もう江戸まで目と鼻の先に

迫っている。しかし呉々も油断しないように」

 一同「畏まりました」



と止んでしまった。同時に、辺り一面に黒い霧が立ち罩め、昼間だと言うのに夜の闇の中に船団の

すべてが包み込まれるという、一大変事が発生していた。


 そして驚いた事には、何処から出現したのか小舟に分乗した海賊と思しき一団が、獲物に群がり

寄る蟻の群れの如くに黒い霧のヴェールに絡めとられた様な、大船の集団に襲い掛かろうとしてい

る様子が見て取れる。




何度も起こって、海賊共の小舟を粉みじんに撃破してしまった。

 すると、大音声が周囲に轟き渡っていた。

 声「ええい、小癪な。この上は空の上で尋常に勝負に及べ」

 答えた別の声「もとより望む所だ」

   雲の上

 凶悪な大蛇丸と正義の味方・自来也とが鎖鎌と正宗の銘刀とを武器に対峙している。二人の周り

には不気味な密雲が渦を巻き、強風が盛んに恐ろしい唸り声を発し続けている。

 二人の息詰まる死闘が展開する ― 。


  大蛇丸の紹介。大蛇丸も自来也と同様に人里離れた秘密の場所で、血の滲むような忍者として

の修行を積んでいる。素質的には或いは自来也よりも一枚上手であるかもしれない。二人は忍者の

世界に在っても傑出した逸材であることに、変わりはなかった。ただ、その志には雲泥の開きが見

られた。為に一方は邪悪な悪の道へと突き進み、片方は弱者の味方、力弱き人々の協力者として

勇名を馳せる結果となったのだ。

   海の中

 空中での激闘は勝負がつかず、どちらからともなく空の上から、瞬時に海中へと身を移してい

た。大蛇丸は巨大な大王烏賊に、そして自来也はグロテスク極まりない大蛸に変身している。互い

に墨を相手に激しく吹きかけては、相手の勢力を弱らせようと図ったり、長い手足を使って相手を

絡め捕ろうと試みたり、死闘はここでも延々と続く ― 。


  綱手姫の紹介 と 三すくみの哲学

 ここで再びこの勧善懲悪をテーマとしたシリーズの、三人目の主要な登場人物の紹介を致しま

す。綱手は実は正体は人間ではありません。ナメクジの妖精なのです。自来也は師匠であるガマ

仙人の愛弟子ですからガマの精神を受け継いでいます。そしてナメクジはそのガマの大好物とされ

ています。シェークスピアのロメオとジュリエットではありませんが、謂わば敵対関係にある両生

物界を代表する男女が、不思議な縁の糸で結ばれて、周囲の大反対を押し切って結婚するに至った

のでした。

 大蛇のトーテムを標榜する大蛇丸、ガマの自来也、そしてナメクジの綱手姫の三角関係は、実に

人間世界の勢力関係の縮図でありますので、この主要な三人が織りなすドラマは深遠な「三すくみ

の哲学」、つまり蛇はカエルに強く、カエルはナメクジに勝り、ナメクジは蛇を溶かしてしまう、

とされている、の原理に立脚するものなのですね。即ち、この世には真の勝者などは存在しない

とする教えを、理屈抜きで面白いストーリーの中に巧まずして内包している、そんな深みのある

娯楽作品なのですよ、実際。じゃんけんのグー、チョキ、パーを想い出してください。

 そして今後のシリーズとしての縦糸としてある因果関係を前以って説明すると、綱手の美しさ

に一目で魅了され横恋慕した大蛇丸が、それでなくとも恨みに思う自来也を倒して、綱手を自分の

物にしようと執念を燃やし、自来也の行くところ悉くに敵対し、邪魔しようと敵意を露わにするの

でした。自来也、危うし!


  再び、三度場所を変え、姿を変えて相まみえる自来也と恐ろしい大蛇丸。

  地上の大平原

 大蛇丸が率いる軍勢と、自来也が指揮をとる大軍が対峙して、壮絶な戦いが今まさに始まろうと

している。スケールとしては天下分け目の関ケ原と言われた合戦よりも、遥かに人数も馬や様々の

数の武器が装備され、目もくらむ様な地獄図が間違いなく展開される様相である。

 戦闘の火ぶたが切って落とされた。この凄惨を極めた合戦は優に一か月を越え、まさに地獄図

そのもの。そして、総大将同士の一騎打ちで雌雄を決する時が来た、遂に来た。

 そして、自来也のトーテムがガマだと察知した大蛇丸は、接近戦の鍔競り合の際に、毒蛇の猛毒

を自来也に吹き付けたのだ。

 落馬した自来也を馬上から見下ろし、とどめを刺そうと手にした槍を構えた大蛇丸の手に、透明

な無数の綱がどこからともなく伸びて来て、大蛇丸は忽ち身動きが出来なくなってしまう。妖艶な

ナメクジの王女・綱手姫の登場である。

 大蛇丸は尻尾を巻いて退散する。その時である…


  元の海上

 一瞬にして黒い霧は晴れ、大船団は何事も無かったように順風満帆で、予定の航路を辿る。


  江戸城の中

 大老を中心とした重臣たちが参集して、会議が開かれている。

 大老「この度の大災害の復興に際しては、貴殿方の献身的な尽力によって、最大の貢献が出来た

事を将軍家におかれても非常にお喜びであり、感謝もされて居られる。拙者に致してもこれで少し

は枕を高くして、寝られようと言うもの。しかし、災害は忘れた頃にやって来ると俗に申すが、

考えるまでもなく何時なんどきに斯様な不幸な事態が、再び襲って来るやも知れず、安閑となどは

して居られぬのが、現実で御座ろう。呉れぐれも油断なきよう、治に居て乱を忘れずの心構えを

大切に致したき物」

 重役「拙者も、全く同感で御座る。常住坐臥、戦乱にあるが如き心掛けを持ちたき物と存ずる」

 別の重役「ところで、巷での単なる噂話しか過ぎませんが、町の辻々に掲げられた高札によりま

すと、自来也と申す盗賊共を束ね居る巨悪が、各地の野党などを引連れて乱暴狼藉の限りを尽くし

たとか。大蛇丸と名乗る義人が征伐に乗り出したが、すんでの所で賊を取り逃してしまったとか

拙者聞き及んで居ります」

 大老「拙者も同様の噂を耳に致している。同じ時代に善と悪とが併存して、世の中の事はなかな

か一筋縄では行かぬようである。天下の御政道に万々抜かりなきよう、方々抜かりの無きように

御留意めされよ」

  一同、「心得ました」と返事をしている。


  筑波山の麓にある庵

 自来也と綱手姫の夫婦が住む隠れ家である。綱手の懸命の看病が功を奏して、一時は一命も危ぶ

まれた自来也であるが既に危機を脱している。

 旅烏のカア公ことひょうきん者の金太が久方振りに、夫婦の庵に顔を出している。

 自来也「相変わらずお前さんは口数が多いね」

 綱手「金太さんからお喋りを取ってしまったら、何も残らないじゃありませんか」

 金太「おひい様、それは余りの仰り様でござんすよ。これでも町へ顔を出せば若い娘達から、

様子のいいお兄さんとか何とか云われて、大変な持てようなんですからね」

 綱手「これは失礼を致しました。妾、ちっとも存知上げませんでしたわ」

 金太「これまた、随分な仰り様。おひい様がそれ程の美人で無かったら、笑って済ませるなどし

ないところなのですが…。ああ、そうそう、ついうっかり忘れるところでしたが、お江戸では自来

也さんは相当の悪の大物で、幕府のお偉方もこれからは目を光らせて取り締まりに乗り出すとか、

専らの噂でした。あっしは腹の腸(わた)が煮えくり返るほど腹が立って、腹が立って、仕方が

ないのですよ」

 自来也「世の中とはそうしたものさ。大方、大蛇丸が私に負けた腹いせに、手下たちに命じて、

そんな根も葉もない嘘を広めているのであろう」

 綱手「家の人は世の為、他人の為に役立つことさえ出来れば、それで十分だと本心から考えてい

る根っからの善人ですからね。そこにまた妾は、ぞっこん惚れ込んでいるわけなのです」

 金太「これは、これは、毎度御馳走さまで御座います。ここらが退散の潮時でござんしょう。

どうも、御邪魔様でござんした」とおどけた動作で席を立った。

 夫婦は顔を見合わせて朗らかに笑っている。

 霊峰筑波は今日も霞の中に秀麗な姿を際立たせているし、霞ケ浦は静かに早春の日差しを受けて

光り輝いている。

                        《  パイロット 完  》





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最終更新日  2019年04月06日 09時18分58秒
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