草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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草加の爺(じじ)

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2022年03月01日
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玉藻よし 讃岐の國は 國柄(くにから)か 見れども飽かぬ 神柄(かむから)か ここだ貴(た

ふと)き 天地(あめつち) 日月とともに 満(た)りゆかむ 神の御面(みおも)と 繼(つ)ぎ

て來(く)る 中の水門(みなと)ゆ 船浮けて わが漕ぎ來れば 時つ風 雲居に吹くに 沖見れ

ばとゐ波立ち 邉(へ)見れば 白波さわく 鯨魚(いさな)取り 海を恐(かしこ)み 行く船の 

梶(かぢ)引き折りて をちこちの 島は多けど 名くはし 狹岑(さみね)の島の 荒磯(ありそ

そ)面(も)に いほりて見れば 波の音(と)の 繁き濱べを 敷栲(しきたへ)の 枕になして 

荒床(あらとこ)に 自伏(ころふ)す君が 家知らば 行きても告げむ 妻知らば 來(き)も問

はましを 玉鉾(たまほこ)の 道だに知らず おぼぼしく 待ちか戀ふらむ 愛(は)しき妻らは

(― 四国の讃岐の国は、国柄が見ても見飽きないのか、それとも神柄が非常に貴いせいなの



が船を浮かべて漕いで来ると、定まった時に吹く時つ波が大空に吹いて、沖を見るとざわざわと

恐ろしくどよむトヰ波が立ち、岸を見れば白波が立ち騒いでいる。海が恐ろしいので梶を引き撓

めて、行く島は多いけれども、有名なあの名前もよい狹岑の島の荒々しい磯に廬を結んで見る

と、波の音が頻りにする浜辺を枕にして、荒床に自ら伏している屍がある。家が分かるなら、行

っても知らせましょう。妻が知っていたならば、来ても問うだろうに。ここに来る道すらも知ら

ずに、不安な気持で待ち、恋い慕っていることだろう、貴方の愛しい妻は)


 妻もあらば 採(つ)みてたげまし 佐美(さみ)の山 野の上(へ)のうはぎ 過ぎにけらずや

(― もし妻でも傍に居たならば、摘んで食べたであろうに、佐美の山の野の嫁菜も、食べる時

が過ぎてしまったではないか…)


 沖つ波 來よる荒磯(ありそ)を 敷栲の 枕と枕(ま)きて 寝(な)せる君かも(― 一体、

何とした事であろうかなあ、沖から荒々しく打ち寄せる海岸の波を枕にして、寝ている貴方の姿




 鴨山の 岩根し枕(ま)ける われをかも 知らにと妹が 待ちつつあらむ(― この鴨山の岩

根を枕にして死のうとしている私を知らないで、新妻はさぞかし私を恋い慕って待っている事で

あろう)


 今日(けふ)今日と わが待つ君は 石川の 貝に交りて ありといはずやも(― 今日は来ら

れるか、今日こそは来られるであろうと、私が待っている夫は、石川の貝に混じっていると言う




 直(ただ)の逢ひは 逢ひかつましじ 石川に 雲立ち渡れ 見つつ偲(しの)はむ(― 愛する

夫は直接にお会いすることは出来ない相談ですから、せめても、石川に雲が一面に立ち渡ってく

れないだろうかなあ。そうしたら、それを見て亡き夫を偲びましょうから)


 荒波に 寄り来る玉を 枕に置き われここにありと 誰(たれ)か告げなむ(― 荒い波に打

ち寄せられて来る玉を枕辺に置いて、自分がここにいると、誰が家の者に知らせてくれるであろ

うか。その様な者は一人もいないのだ)


 天離(あまざか)る 夷(ひな)の荒野に 君を置きて 思ひつつあれば 生(い)けるともなし

(― 都を遠く離れた辺鄙な田舎の、荒野にあなたを一人置いて、恋い慕って居ますので、生き

ている実感も持てずに居りまする)


 妹が名は 千代に流れむ 姫松の 小松が末(うれ)に 蘿(こけ)むすまでに(― おとめの名

は千年の後までも伝わっていくであろう。乙女に相応しい名の姫島の、小松の梢にコケが蒸す、

その世までも)


 難波潟(なにはがた) 潮干なありそね 沈みにし妹が光儀(すがた)を 見まく苦しも(― こ

の難波の海浜には潮干というものがなくてほしい。沈んでしまったあの乙女の姿を見るのが苦し

いから)


 梓弓 手に取り持ちて 大夫(ますらを)の 得物矢手(さつやた)ばさみ 立ち向ふ 高圓(た

かまと)山に 春野焼く 野火(のび)と見るまで もゆる火を いかにと問へば 玉ほこの 道來

る人の 泣く涙 こさめに降りて 白栲の 衣(ころも)ひづちて 立ち留(とま)り われに語ら

く 何しかも もとな唁(とぶら)ふ 聞けば 哭(ね)のみし泣かゆ 語れば 心そ痛き 天皇

(すめろき)の 神の御子(みこ)の いでましの 手火(たび)の光そ ここだ照りたる(― 高

円山に、春の野を焼く野火であろうと見るほどに、沢山燃えている火を、「あれはどういう火

か」と訊ねると、道を歩いて来た人は、泣き悲しむ涙が雨のように落ちて、着物を泥に汚して、

立ち止まって自分に話して言うには、「どうしてお前はよしなくも、そんな事を訊ねるのか。そ

れを聞くと、声を上げて泣かれ、話をすれば胸が痛む。あれこそは、天皇のお子様の御葬列の

人々の手に持つ松明・たいまつ の光なのだ、あのように沢山に照っているのは)


 高圓(たかまと)の 野邊の 秋萩 いたづらに 咲きか散るらむ 見る人無しに(― 高円の

野辺の秋萩は、虚しく咲いては散っていることであろうか。御覧遊ばす皇子様も、もはやいらっ

しゃらないで)


 三笠山 野邊行く道は こきだくも 繁(しじ)に荒れたるか 久(ひさ)にあらなくに(― 三

笠山の裾野を通る道は、大変に草が繁く荒れたことであるよ。皇子様がお隠れ遊ばしてから、久

しいことでもないのに)


 高圓の 野邊の秋萩 な散りそね 君が形見に 見つつ偲はむ(― 高円の野辺の秋萩の花

よ、どうか散らないでいておくれ。お亡くなり遊ばした皇子様の形見として、眺めつつ御偲び申

し上げようから)


 三笠山 野邊ゆ行く 道こきだくも 荒れにけるかも 久にあらなくに(― 三笠山の裾野を

通る道は大層荒れてしまったことだ。皇子様がお隠れ遊ばしてから間もないと言うのに)





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最終更新日  2022年03月01日 21時08分29秒
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