楽天ブログの文字数制限を何とかして欲しいと思いつつ、前回は Great White ミーハー語りで記事を締めましたが、再び Voyager6434 さんから有難いコメントを頂戴しました。 洋楽にあまり興味のない方にとっては反応に困るだけの企画かもしれませんが、ご訪問ついでに少しだけ興味を持っていただけたら幸いです。
このアルバムで個人的にお勧めな曲は、サブタイトルと同名のついた On Your Knees、それから No Way あたりが耳に残るメタルとなっています。スネアドラムがふんだんに盛り込まれたへヴィーメタルならではの曲並びとなっていますが、80年代らしく、コーラスも大切にしているところが好感が持てます。
ただ、このファーストアルバムではヴォーカルの Jack Russell 自身のブルース、バラード向きのずば抜けた歌唱力がまったく活きていないのも事実です。 個人的にはこのまま Judas Priest の Rob Halford 顔負けの絶叫系メタル街道を突っ走って欲しかったのですが、前回の記事で述べたとおり、このアルバムの後はどんどん曲調が軽くなり、最終的にはポップジャズにほんの少しメタルテイストが入ったような曲ばかりになってしまいました。
そして、恐らく彼らが音楽活動の歴史から消したいと思っている過去は、1987年公開のロマンチックコメディ映画 「Maid to Order」でしょう。
劇中で Great White は、超(?)有名アーティストのバックバンド役として出演しているのですが、何せフロントを努めるのが、くたびれたメイドを演じる Merry Clayton のソウルフルなポップスナンバー It's In His Kiss (The Shoop Shoop Song) で、総メタル姿の彼らを観ている方が気恥ずかしくなってくる演出となっています。
まあ、そのようなポップ臭の漂う流れでも、結果的には Jack Russell の歌声も存分に楽しめますし、バンドとしてミドルテンポ、ブルース、ジャズをやりたいという方向性に沿ったものだったのかもしれませんので、それはそれで良かったのかもしれません。 当然、自分も含め、重低音メタル音楽ファンはどんどん離れることになりましたが。
しかし、自分たちのやりたい音楽性と、当時の時代が求めていた音楽の乖離が想像以上に大きかったのでしょう。1990年代中盤頃からは第一線で名を聞かれることは殆どなくなり、メンバーが次々に脱退したことで解散の道を辿ることになります。 その後 Jack Russell が自ら起したバンドではライブ中に火災で沢山の死者を出すなどの不幸が続きましたが、今でも細々と活動を続けているようです。
米国本土で流行っていたロックンロールをかなり意識した曲調を展開したことで、彼らがかつて Deep Purple の前座バンドだったことを知らなければ、曲を聴いている限りでは、彼らがスコットランド出身であることに全く気付かないのではないでしょうか。
本アルバムには、The Doors の L.A. Woman に対抗したかったのか、 L.A. Girls というロックロールナンバーも収録されていますし、米国人がチークダンスに使いたがりそうなベタベタのバラード I Don't Want to Go on Without You あたりも盛り込まれてますので、ますますその辺の誤解は免れなかったでしょう。
個人的なお勧めは、喋るギターイントロからシャウトで始まる Somebody to Roll、伝統的ともいえるミドルテンポのベースリフ(単に曲全体を通じてずっと同じ)から入る Waiting for The Man になります。
【Nazareth: The Fool Circle】
再び Nazareth で、1981年輸入盤です。
それにしてもカビ臭い。
こちらのアルバムは、全体に聴き易い曲が詰め込まれてはいますが、ハードロックバンドが陥りがちなポップ路線にまんまと嵌ったという印象が強いです。 一曲目の Dressed To Kill はピアノとロックンロールを組み合わせた聴き易い曲ですが、可もなく不可もなくと思っているところに、Another year の明るいイントロで椅子からずり落ちそうになり、間延びした感じのバラードが続き、そのままズルズルと最後まで聴かされるという、ハードロック、メタル好きにはかなり物足りないアルバムになっていると思います。