2014.10.16
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カテゴリ: 元気が出る話
 10年くらい前の話になりますが、 海外で Web サービスをやっていた頃に Google AdSense というクリック報酬型アフィリエイトサービスを試験的に導入していた時期があります。

 当時はまだ AdSense が物珍しい印象があったのか、ページの下にさりげなく広告タグを置いておくとちょこちょこクリックが発生して、忘れたころに何故かオーストラリアから小切手で報酬が送られてきていましたね。

 ↓振り出し忘れた昔の Google 小切手。主要情報をボカしたらボケボケになってしまいましたが、これでご容赦ください。

Googleの小切手


 しかし、今では利用者が増えすぎたのと、訪問者の目が広告の存在に慣れてしまい、アクセス数が膨大なサイトやブログでもないかぎり、導入のメリットはあまりないかもしれません。

 今回は、その当時の Google AdSense にまつわる私の経験をお話しします。
 利害関係が絡むとちょっとしたことで人間関係が簡単に壊れるという話としては参考にしていただけるのではないかと思います。

おことわり:
 以降は個人的な話題となります。人によっては気分を害する内容が含まれている可能性もありますので、その点をご了承のうえお進みください。




 その頃、私には 100人近くのチャット仲間がおり、その 8割がネットのみの付き合いでした。
 プログラマや情報システム系の学生が多かったですね。


 仕事関係の話や、興味の対象などについても結構オープンに語っていたわけですが、気心が知れていくうちに、一緒に何かやりたいという人が現れてくるわけですよ。
 その流れで、仲間の外国人の Web サイトづくりのお手伝いをすることになりました。
 ここでは彼をスエ男と呼ぶことにします。

 スエ男は言いました。

「これからは広告ビジネスが加速する。だから俺もやる。」

 ドメイン名をいくつか買っておいて、希望者に高く売るというビジネス(今もあるが)の成功例や、ページのあちこちに小さい広告バナーをモザイクのように置いて訪問者に踏ませるという、私から言わせればどうしようもなくセコい方法で収益を上げたというモデル話を聞かされました。

 鼻に指を突っ込みながら「ハァ、それで私にどうしろと?」と言いたい気分だったのですが、スエ男曰く、 Google Adsense をやりたいので手伝ってほしいと。

 1 ページに配置できる広告の個数は決まってますから、置き方を工夫するしかありません。
 広告の文字の色をページの文字色と同化させて、訪問者の目が一番先に行くところに置いておいて様子を見たらどうか、と提案すると、それだけじゃ即効性は望めないと言いだしました。

「めたるのコンタクトに掛け合って、訪問してくれるように頼んでよ」

 前述のとおり、コンタクトが 100人程度いれば、チャットウィンドウに URL でも載せれば訪問くらいはしてくれる可能性はありました。

(どうでもいい、という表現に悪意はありませんが、いくら話をもちかけられても興味がわかなければ、どうでもいいと思ってしまうのは誰でも同じことでしょう。)

 正直、そのサイトを他人にすすめる気にはなれません。
 スエ男は続けます。

「でさあ、アクセスしたら広告をクリックしてくれって言ってほしいんだよね」

 さて、ここでサービスご利用の方ならお気づきだと思いますが、規約上広告サービスは恣意的なクリックは禁止となっています(ちなみに楽天アフィリエイトも同様です)。

 サイトのダメだしにも、変な時間にメールをよこしてきてもハイハイ応じていましたが、このときばかりは間髪置かずに断りましたよ。

「それ、Google の規約にダメって書いてあるよ。AdWords というところが広告主からお金を集めて、クリックに応じて報酬を AdSense ユーザーに払ってるんだから、ダメなのは想像できるでしょ?」

 AdSense ユーザにしてみれば、クリックが報酬に直結するため、クリックに比例して報酬が上がるオイシイしくみです。
 AdWords(広告主)にしてみれば、架空クリック費用ばかりが請求されて、もともと売ろうとしているものが全然売れないビジネスモデルは広告主にとっては損害にしかなりません。
 だから広告費を払ってくれる広告主を守るために、クリックを誘導することは禁じられているのです。

 というような、したくもない説教を友達相手に垂れることになったわけですよ。
 彼はそれでも聞き入れず、やってほしいと言い張りました。
 だから、私はサイトができたことは伝えてもいいが、クリックの話はゼッテーしないと断りました。

「はー、これだから日本人は融通が利かなくて困るよ」

 なんて悪態まで吐いていましたが、そのすぐ後に、彼は某ソーシャルサービスで自分のサイトがオープンしたことを告知し、訪問したらクリックしてね、というフレーズを入れてしまったのです。
 彼のフォロワーの中にも友達のよしみでクリックしていた人もいましたね。


 あーあ、やっちゃったよ、と思った私の悪い予感は見事的中。
 ほどなくして、スエ男の AdSense アカウントは剥奪されてしまいました。
 こうなってしまったら、アカウントの復旧はまず無理です。

 しかも、住所、氏名、年齢諸々を含む個人情報も Google に提出済みですので、他のアカウントを作って再スタートなんてことも許されません。
 欲望に目がくらんだ違反の代償はとても大きいものになってしまいました。

 スエ男は共通の友人経由で私に Google への嘆願書の下書きをしてほしいと言ってきました。
 しかし、今までの経緯から恣意的なクリックを誘導しようとした事実は曲げようもありません。
 規約にしっかり書かれていることですから、後で知らなかったでは済まされる話でもありません。
 ソーシャルサービスにも、彼自身のサイトにもバッチリ証拠が残っているわけですから、周りがどうしようともう無理でしょう。

 行為に問題があったことを重々理解し、反省もしている。だから、どうかアカウントの再有効化を検討してもらえないだろうか、という旨の文章をそれはそれは蕁麻疹が出るほど丁寧に書いて、煮るなり焼くなり好きにしてくれと共通の友人に送るのが、彼に対する私の精一杯の誠意でしたね。


 それから数日して、やっぱりダメだったとスエ男が言ってきたわけですが、彼は二度と AdSense アカウントを持てないことに強い憤りを感じていました。
 そしてその矛先は私に向けられました。


「どーしてあのとき、違反したら大変なことになるって教えてくれなかったんだ。俺の苦労が水の泡じゃねえか!」




 このときばかりは私もキレましたね(音声チャットで)。
 スエ男はチキショウと怒鳴ると会話をガチャ切りし、コンタクト(フォロー)を外し、ソーシャルサービスからも私をブロックしました。

 そして、その後は裏で私の悪口を言いまくっていたそうです(共通の友人談)。
 共通の友人は私がスエ男のためを思ってずっと忠告していたことを説明しようか、と持ちかけてきましたが、「勝手に言わせておけ」と突っぱねたところ、びっくりするほどやりたい放題だったようです。


 まあ、この一件でスエ男と繋がりのある私のコンタクトも 10 人くらい減りました。
 そこで私がしゃしゃり出て行って、彼の言い分と事実がかなり食い違っていることを説明することもできたかもしれませんが、すでにつぶれている彼の面目をさらにつぶしにかかっても泥沼化するのは目に見えていました。


 間違っていることをやりたくないと正面から断ったら、裏で悪口を言いまくる奴って友達以前の問題ですな。
 その数年後、何があったのかは知りませんが、あのときは言い過ぎたと彼からの謝罪の言葉がありましたが、社交辞令まる出しのお返事を差し上げて終わりです。


 今回の話題は暴露ネタなので、人のことを言っている時点で私も同罪なのだという自覚はもちろんありますが、いくら友達でもダメなことはダメだという強さも必要ですし、それで嫌われたらそこまでの友達関係だったのだと割り切る良い教訓になりましたね。


 そういったようなことが煩わしくなってしまい、あの一件を境に私のプライベートなネット活動はほぼ匿名になりました。
 10年ひと昔とは言いますが、若かったなあ……。

 どこの国の人間であれ、人遣いが荒い人と付き合うときは要注意です。
 利害関係が絡んでくると、ちょっとしたことでギクシャクしてしまうのは避けようがありませんから。



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最終更新日  2014.10.23 11:25:20


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