2014.12.25
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みなさま、楽しいクリスマスをお過ごしでしょうか?

 私のなかでクリスマス定番ソングというと、オズモンド・ブラザーズ(またはザ・オズモンズ)のウインター・ワンダーランドです。
 ハナタレの頃に親が買ってくれたクリスマスアルバムの収録曲ですが、毎年そればっかり聴いてました。
 楽天での取扱いはないようなので、とっくに廃盤になったかもしれないですね。

 そして、クリスマスにはケーキがつきもの。
いちごショートケーキが苦手という件 は当ブログでもチラっとお話ししたことがありますが、昨晩はショートケーキの押し付け合いでケンカになりかけましたね。
 後々考えたらおバカな話ですが、甘いものを口にすると気持ち悪くなってくるので、見てお腹一杯になればそれで満足でございます。



 前回は心がほんわかあたたまる映画でしたが、こちらの『横道世之介』[2013年]は鑑賞中ずっとニヤニヤしてしまう映画になります。




わかりやすいあらすじ


 駅のホームに転落した酔っ払いを助けようとした韓国人留学生と日本人カメラマン。
 残念ながら三人とも列車にはねられ死亡。
 このカメラマンの生前にフォーカスを当て、彼のミョーに笑える青春時代の足あとを回想形式でご紹介。
 とても 160分では見足りない横道世之介エピソードの数々。

みどころ


1. 空気読めないモップ頭の田舎者

 大学進学のために、長崎の港町から上京してきたモップ頭の青年。
 新宿駅前の広場でもらった試供品のガムを噛みながら、ウキウキ鼻歌歌っちゃう素朴さで、出会った人たちの心にズカズカと入り込んでいきます。

 距離感はまるでゼロ。
 一回話したらもう友達みたいな感覚でいるので、最初はみんなドン引きですが、あまり悩まずに行動するモップ頭に乗せられて、彼にすっかり心を許すようになっていきます。

 誰しも人に言えない悩みを抱えていたりするものですが、モップ頭の距離感のなさが功を奏し、クヨクヨ悩む方がアホらしく思えてくるほどです。

 「金を貸してくれないか」と頼まれたら、「うん、いいよ」と即答。


 裏表のない人間関係はそう簡単に築けるものではありませんから、あれから時を経ても皆の心の宝物になっています。

2. 輪をかけて空気読めないお嬢様

 定番のごあいさつが「ごきげんよう」のお嬢様。
 お抱え運転手つきで、家にはトラの剥製があったり、女中がいたりするベタな設定。

 世間知らずながら、モップ頭の裏表のなさを一瞬で見抜き、所得格差おかまいなしにモーレツなアプローチを展開。


 まさに日本の男性が思い描くような、理想的な女性像ともいえましょう。

3. サンバサークル

 大学のサンバサークルの強烈な勧誘に乗せられて、合宿やパレードにも参加。
 練習風景でとてもサンバとは思えない動きを見せながら友達とくだらない話をしたり、パレードでは日射病で倒れ、その情けない姿を撮られたビデオを何度も友達に見せてウザがられるところは爆笑ものです。

どうでもいいトリビア


1. 実はちょっとした問題作

 2001年に発生した新大久保駅人身事故は、記憶に新しい方も多いと思います。
 ストーリーで語られる状況から判断して、この事故がモチーフになっていることは間違いありません。

 酔っ払いを助けようとして命を落とした韓国人留学生イ・スヒョン(李秀賢)さんのニュースは、韓国でも大々的に報じられました。
 泣きながらインタビューに答えていたご両親の姿がとても痛ましかった記憶があります。

 参考: 李秀賢さん追悼サイト [韓国語]

 冷静に考えると、当事者は誰一人助かっていないのですから、人身事故のひとつとして片づけられて終わる話でしたが、この韓国人留学生がやたらとメディアに取り上げられたことに違和感をおぼえた方も多いことでしょう。

 当時語りになりますが、2002年のFIFAワールドカップで日本と韓国がモメていた時期に重なります。
 当初、日本では『日韓ワールドカップ』という表現をしていましたが、韓国内では、共同開催なのになぜ日本が先にくるんだと文句を言っていましたね。
 「韓日」にするか、それが無理なら「韓日・日韓」にしろという要求まで出てくる始末で……。
 国際的なイベントで日本が絡む場合、日本人なら「日本」を先に付けたがるのは当たり前の感覚だと思っていたので、これはちょっとしたカルチャーショックでした。

 そんな中、このような痛ましい事故が起こり、ホームに転落した日本人を助けるために自己犠牲をはらった韓国人をメディアが美談として語ることで、ワールドカップを前に険悪なムードに陥っていた日韓関係の改善をはかろうとしたとも取れるわけです。

 いっぽう、同じく事故に巻き込まれたカメラマンの関根史郎さんは、イ・スヒョンさんのニュースの影にひっそりと隠れ、次第に人々の記憶から忘れ去られていきました。
 このシチュエーションとして関根さんがモデルになっています。
 『横道世之介』として彼の人間性をそのまま再現したとは思えないのですが、小説執筆・映画製作にあたり、遺族に対する配慮がどれだけ払われたのかは気になるところです。

 親心として、他人のために死んだ息子を周りが褒めたたえようが、哀悼の意を伝えようが、虚しいばかりでしょう。
 親より先に死んだ我が子は戻ってきませんし、彼の勇気ある行動も、結局人助けにはならなかったのですから。

2. バブリーな 80年代後半

 この映画で何といっても驚くのが 80年代後半の東京の街中の再現性の高さです。
 出だしの新宿駅入口のたたずまいを見た瞬間、懐かしさがこみ上げます。
 たとえば、当時私も足しげく通っていた「カメラのさくらや」が当時の姿で映っているだけでなく(今はヨドバシカメラ)、可愛いと大人気だった斉藤由貴の巨大ポスター看板。
 しかも、当時彼女が CM イメージガールをしていた富士フイルムカセットテープ AXIA の宣伝でございますよ。
 「キスミント」というガムも発売されたばかりで、私も試供品をもらいました(歳がバレるな……)^^。


 また、AXIA は彼女の 1985年のアルバム名としてご存じの方も多いでしょう。



 私は全くファンではありませんでしたが、ラジオ CM でも大々的に宣伝していましたのでなんか忘れないですね。

 それから電車のシルバーシート。オープニング間もないシーンですが、イヤでも目に入ってきます。
 当時はシルバーシートが導入されたばかりで、青いステッカーが窓に貼られてあるだけという、微妙なアピール具合でしたが、それも忠実に再現されています。


 また、今では秋葉系と言われる、チェックシャツをズボンにインするファッションが普通に受け入れられていたり、前髪を上に向かってカールさせる髪型とか、ワンピース+ストッキング+ショートソックスの組み合わせなども、当時流行りのファッションをみごとに再現しています。

 沖田修一監督が 1977年生まれということで、映画の時代設定の頃はまだ小学生だったことを考えてみても、相当なリサーチを重ねたことは想像に難くありません。



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最終更新日  2019.08.15 11:01:42


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