青空と木洩れ日

青空と木洩れ日

2022.05.14
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半年以上前の話です。
人気があった老舗喫茶店が閉店しました。

昭和初期頃からの喫茶店によくあるような
広々とした店内には
曲線が優しい大きめの木製のテーブルと
座り心地の良い椅子がゆったりと配置され、
天井には小ぶりのシャンデリア、
壁には淡い色合いの絵画が掛けられていました。

メニューは昔ながらの

デザートはショーケースに並ぶケーキから選べ、
80年代初期風のアプリコット色の花柄の
揃いの食器で運ばれてきます。

アプリコット色も、すらっとした花柄も
当時、リゾートホテルや
おしゃれな海外のカフェレストランで
よく使われていた色柄です。

昔ながらの洋食屋さんの味だったのに
ここ1~2年は妙にシンプルな味になって
なんだか物足りないなあ、何か変だなあとは
感じていましたが、

ゆっくりとお茶を飲んだり、談笑が出来て
いつも変わらない、安心感のある
街のサロンみたいなお店でした。

ある時、知人とお茶を飲んでいると、
近くのテーブルのお客さんとお店の方が

話しているじゃないですか。

驚いて近所の知人達にその話をすると
皆、もう一度行きたいというので
連日通いました。

名残惜しくて最終日にも夕方行くと
メニューはほとんど売り切れ、
普段はカラフルなケーキで一杯のショーケースも
空っぽで寂しい雰囲気でした。

この時間に来ていたお客さんは
このお店がとても好きで
名残惜しい人ばかりだったと思うのですが、
なぜか年配のウエィトレスさんが
さっさと業務を終わらせたかったのか
最終日でやることが多くて疲れていたのか
とても投げやりな態度で、
それはコックさんも同じだったのか、
コーヒーも食事も
煮詰まったような状態のものだったのは
残念でした。

そういうところがあったから
長年愛されてきたお店だったけど
お客さんが入らなくなってきたのかなあとも
思いました。

お店を出てから、近所のスーパーで買い物をして
帰り道に閉店したお店の前をまた通った時、
大きなガラス張りの広い間口から
今まではケーキがずらっと並んでいた
大きなショーケースのカウンターが見えました。

空っぽのショーケースのカウンターの中に
普段は見かけない
仕立ての良い背広姿の
年配の男性が一人立ち、
カウンターに両手をついて
誰もいない店内を黙って見ていました。

オーナーさんなんだな、って思いながら
私も寂しい気持ちで通り過ぎました。


後日談

この素敵だったお店、
後日すっかりイメージが違う
今風の雰囲気のお店に変ってしまったのですが、
オーナーさんご家族を知る知人の話によると
何と、息子さんが継がれているそうです。

時々利用していますが、
知識豊富な目利きのバイヤーさんのようで
気が利いている品揃えに加え
以前の商品も少しだけですが取り扱っているので
ただなくなってしまったわけではないと
気持ちが明るくなります。





画像をクリックすると詳細が見られます。





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Last updated  2022.05.18 01:34:44
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