2005年06月19日
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ベルリン国立バレエ 2005年日本公演
「ラ・バヤデール」
2005年6月19日 上野・東京文化会館

ニキヤ:ディアナ・ヴィシニョーワ
ソロル:ウラジーミル・マラーホフ
ガムザッティ:ベアトリス・クノップ

皆さん、これが本物のマラーホフさまです。
今まで見た彼は何だったんだ?
というぐらい、すごかった。


「今まで見たマラーホフの中でベスト。」

特に「影の王国」。
ものすごいオーラを感じました。
「影の王国」だけが特に、特筆すべき出来でした。
すごすぎる!

彼のソロルは、今までのソロル像、野性味溢れる戦士、ではまったくない。だから1幕ではあまりのソロルイメージとかけ離れているため、ふーん、という感じだったが、だんだん進むうちに、引き込まれていった。
3幕(影の王国)では完璧にこちらまで黄泉の世界にぐいぐい引き込まれていった。
いつものお茶目な、コミカルな演技はまったく影を潜めていた。

「ジゼル」のアルブレヒトのように、恋人の死で完全にショックを受けて、精神が打ち砕かれていっているソロルで、彼自身の心の動揺が伝わってきた。

彼のソロルは、優美で、ポール・ド・ブラが、美しいこと。すべてのムーヴメントが優雅でしなやかで、人間とは思えないスロウな動き。

よそのバレエ団に「客演」でない生のマラーホフは初めてだったので、あまりの違いに驚いた。客演はしょせんお客さんなので、究極の厳しさを出せないのでしょうか。気も使うだろうし。自分のカンパニーだと、責任が重いので、表情まで違って見えた。


兵士が行進している。
ソロルが現れる。
ソロルは、派手な衣裳! 
下手にはける。
托鉢僧たちの踊り。

マグダヴィア(アルトゥール・リル)のすごいジュテ。高い!
苦行僧たちが火の回りで踊り狂う。すごい迫力でジャンプしながら回る。ダイナミック!
大僧正が、バヤデールを呼んで来いと命じる。
ヴェールを被ったニキヤが現れる。
ニキヤのスロウなソロ。
大僧正はニキヤに迫るが、ニキヤは拒否する。

マグダヴィアが手を叩くとソロルが現れる。
誰もいなくなると、ニキヤが水瓶を担いで現れる。
水がめの踊り。
ソロルが現れ、抱擁する二人。
ソロルはひざまずいてすごい背中のしなりを見せる。
二人のパドドゥはどこをきりとってもポスターになるくらい、美しくポーズを決める。
ニキヤが舞台奥から正面のソロルに飛び込んで、ソロルは両手で頭上にニキヤをリフトする。美しい。
ソロルの最初のグラン・ジュテ。空中にただようかのようなあのマラーホフのジュテ、すごい。
すごい優雅な空気の精のようなジュテなのだ。ほかの誰よりも巫女らしかったのがマラーホフ。

ソロルは火の神の前で、ニキヤとの結婚を誓う。真っ白いヴェールをニキヤに与える。これがのちのちの伏線。二人は抱擁するが、マグダヴィアが「神の前です」と二人を引き離す。そうこうするうち、人の気配で二人は去っていく。ニキヤはヴェールを落としてしまった。

怒りに燃える大僧正がヴェールをひろって投げ捨てる。1幕了。

第2幕 第1場 宮殿の庭園
兵士たち、王様、王様の娘、ガムザッティが登場する。
ソロルが呼ばれてやってくる。
いきなり娘と結婚しろと告げられ、激しく動揺し、友人を見やるがどうしようもない。
ここで普通はお祝いのために呼ばれたバヤデール(ニキヤ)が別の男と踊るのだが、カットされていた。
女性のヴァリエーションもカット。
だいぶカットされてすっきりしてるのだが、それでもやっぱり「バヤデール」は長かった!
ソロルとガムザッテイは舞台の下手で踊りを見ていた。

戦士たちの踊り、
娘たち(バヤデール)の踊り、
戦士たちは娘たちが踊るのを喜んでみている。娘たちは退場する。

いきなり大僧正がやってきて人払いを頼んで、秘密を打ち明ける。
怒ったダグマンタ(領主)は舞姫を殺そうと言う。ソロルを罰して欲しかった大僧正は困ってしまうが取り付くしまもない。
その様子を聞いていたガムザッティとソロル。
ガムザッティはニキヤを呼びにやらせ、ニキヤがやってくる。
顔をぐいっとあげて見るなり、ばっと目を離すガムザッティ。このガムザッティは悪役をまっとうしてました。さすがです。
「あら、きれいな子じゃない、まずいわね。」
「ほら美しい宮殿でしょ…」いきなりソロルの肖像画の前でニキヤを突き飛ばす。
女の大喧嘩の始まり。
ディアナのニキヤは、美しく誇り高い。動揺、というより、完全に怒っていた(逆ギレ)
ナイフを振りかざし、押しとどめられる。
「あの女を殺してやるわ!」で第1場了。


第2幕 第2場 宮殿の広間
婚約を祝う祝典。
ラジャは輿に乗ってやってきた、と思ったら、ラジャのいすに棒を差し込んで、8人がかりで運んできたのだった。
大僧正は歩いて登場。
ソロルとガムザッティは2人で登場。象に乗ってはこなかった。

お祝いの群舞。
女たち。
腕に鳥はつけてなかった。
以上でわかるように、マラーホフは過剰な演出、装飾的なものは排している。
男たちも入って踊る。

壷の踊り。

4人の女性が踊る。

2人の女性が踊る。
いよいよニキヤとガムザッティのパドドゥ。

4人の女性と2人の男性のパドシス+ニキヤとガムザッティの2人。

時々、ニキヤを思い出して浮かない顔のソロルを自分に引き戻そうとしながら踊るガムザッティ。パリオペのプラテルだと同情しちゃうが、クノップは完全に悪役ぽかった。

ソロルのソロ、あの有名な旋律で優雅なすばらしいジュテのマネージュを見せる。
すごい優雅なのに、ダイナミックで高いジュテ。
最後のザンレール2回で少し斜めったが強引に2回とも回りきった。大拍手。いや~とにかく優雅で美しい!

ガムザッティのソロ。拍手。

ガムザッティのイタリアンフェッテ!
そのあとピルエットしながら舞台奥からまっすぐ前に進み出てくる。
すばらしい。大拍手。

さいごの方に男2人がガムザッティをリフトするところは、ちょっとがくがくだった。

いよいよニキヤの乱入。柔らかい! これぞニキヤ!という巫女らしい踊り。体が柔らかく。悲壮感が漂っている。
お待ちかねの花かごの踊り、これ、激しく踊りだす部分の音楽があの有名なものじゃなかったのです。ちょっとがっかりですが、確かにあの音楽はこのシーンに合わない、と私も思っていたので、まあこれもありかと。

まさにニキヤとソロルがアイコンタクトして喜び合った瞬間、ニキヤは毒蛇に噛み付かれる。ニキヤは怒って、ガムザッティに詰め寄る。ガムザッティは「まあ、心外だわ!」
苦しむニキヤに近付く大僧正。人払いをし、「俺とつきあってくれたら毒消しをやるぞ。」
ニキヤは薬を手に取り、生きる望みを持ってソロルの方を見やる。しかし、ソロルはガムザッティと共にとっくに退場していた。ひどい!
ニキヤは希望を失い薬を落とすと舞台中央で倒れる。ニキヤ死亡。抱きとめてくれるソロルは舞台上にさえいなかった!
悲しい。

第2幕 第2場了。
休憩。

第3幕、
ソロルの部屋。下手にベッド。
マグダヴェーヤが阿片を準備している。
ろうそくの踊り。これがけっこうファニーな振付で笑えるのだが、誰も笑ってなかった。
男たちの輪の中からニキヤの幻影が登場するが、すぐにいなくなる。動揺するソロル。
ソロルはみんな出てってくれ、と皆を追い出す。

ここのソロルのソロ! すばらしかった!

実は第1幕のカーテンコールに主役の3人は出てこなかった。壷の踊りの3人と、赤い服の4人の女性とかは出てきたのだが。実はちょっと心配していたがぜんぜん。

すごかった~ スロウ。超スロウで優雅。
悲しみと苦しみ。このへんから私もだんだん平常心で、楽しんで見ていられなくなってきた。

ベッドに倒れ伏し、泣いているのだろうソロル。
薄い幕がそろそろと上がり、ベッドは下手に高速ではけていく。

そこはヒマラヤの峰。
山から32人の精霊が降りてくる。アラベスク・パンシェ、
そして群舞。
3人のパドトロワの精霊の登場。

精霊がいなくなる。ソロルがやってくる。
ここのソロルのダイナミックなマネージュのソロがまたすごかった…
ひゃ~という感じ。
スピード、情念、
がくっと下手の地面に膝を付いたとき、山の上、上手の舞台上方に現れる、ニキヤ。
ニキヤは上手から走って登場し、ソロルの背中でアラベスク。
ここ、間があったけどこんなもんだろうか。
2人のパドドゥは筆舌に尽くしがたい。ここはすごくスロウに踊る。

ニキヤが下手に退場する。魅入られたように後をついていくソロル。ここ、イレールがすごく反ってますよね~ マラーホフのそりはもっとすごかった。だいたい最初(第1幕)から反りまくり。ここはすごく上体を反らしながら歩いていくのだが、袖に入る瞬間。膝を落としながら、もうもっとすごくのけぞっていた。すげ~。

精霊たちのダンスが始まる。
3人の精霊のソロ。

ニキヤとソロルのパドドウ。

精霊たちの真ん中にソロルが現れた時、どうしようもなく感動した。すごいオーラを感じた。完全に舞台に飲み込まれていく自分がいた。マラーホフとヴィシニョーワのコンビが、舞台に化学変化を起こし、神々しいようなものすごい緊張感に包まれている。

ニキヤがずらっと並んだ精霊の前をソロルといっしょに移動しながら、ポワントでアラスゴンドからアラベスク、ピルエット。これを繰り返していく。

ニキヤとソロルがヴェールを持ってやってきた。
ヴェールのダンスあるんだ。
ニキヤがヴェールを持って、アラベスクで3回転、ピルエット。足を変えて同じことの繰り返し。すばらしい。

ソロルのフェッテ。回転、ここだったかな?

ソロルとニキヤのジュテ・アントルラセ。

ニキヤが超高速で踊りだす。
ここはヴィシニョーワ!という感じのキレのあるダンス。
すごい。
最後に舞台中央でひざまずくソロルと寄り添うニキヤ、決まった!
大、大、大拍手!

ソロルは倒れている。ベッドが超々高速でインしてくる。
どうしたんだと助け起こす友人。
ガムザッティとラジャが婚礼の日を告げに来る。
ソロルは取り乱し、ガムザッティを指差す。
ソロルは退場し、舞台で仁王立ちのガムザッティ。
3幕了。





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最終更新日  2005年06月20日 23時49分24秒


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