2005年09月24日
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バイエルン国立歌劇場 2005年日本公演
リヒャルト・ワーグナー作曲
「タンホイザー」全3幕
-2005年9月24日(土) 15時開演  東京文化会館-

指揮:ズービン・メータ
演出:デヴィッド・オールデン
舞台美術:ロニ・トレン
衣装:ブキ・シフ
振付 : ヴィヴィアン・ニューポート

合唱監督 : アンドレス・マスペロ

領主へルマン:マッティ・サルミネン
タンホイザーロバート・ギャンビル
ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ : サイモン・キーンリサイド
エリーザベト:アドリアンヌ・ピエチョンカ
ヴェーヌス:ワルトラウト・マイヤー
ヴァルター・フォン・フォーゲルヴァイデ::ウルリッヒ・レス
ビッテロルフ:トム・フォックス
ハインリッヒ・デア・シュライバー:ケネス・ロベルソン
ラインマル・フォン・ツヴェーター:スティーヴン・ヒュームズ
羊飼い:テルツァー少年合唱団のソリスト


人生で何番目かに贅沢で、幸せな宵でございました。
バイエルン・シュターツオーパー、すばらしい!

そして「タンホイザー」はタンホイザーのためにある作品だと思うが、残念ながらタイトルロールのギャンビルさんは声が出てなかった。かぜでもひいてるのでしょうか。
ある方は「バリトンかと思った…」
いやこれは冗談でなくほんとに低かった。彼はテナー特有の高い声ではもちろんないが、きょうはバリトンだったな~。いつもの甘い美しいかっこいい声ではなかったの~


マイヤー、ピエチェンカ、キーンリーサイドは絶好調!
すごかったです。
ピエチェンカがすごくいい声で驚いた。

キーンリーサイドはヴォルフラム役だが、これは彼には役不足(といったらワーグナーさんに怒られそうだけど。)
でもサイモンワールド全開でした~ 楽しましてもらいました。
彼だけが「ウォルフラム」そのものだった。
他の人は…の役を演じているに過ぎないが、サイモンは違う。出てきた瞬間、もうウォルフラム~
いけてなくて真面目で、高潔の士だが女性経験に疎くて、身なりを構わなくて、ださださのウォルフラム!
彼はノーメイクで演じていた。ほんとさ~これじゃエリーザベトは振り向かないわよね~という人間像を見事に演じていた。

でもお約束のジャンプ!があったんです。いやー笑うところじゃないんだけど…後述いたします。

ここからはストーリー、ネタバレアリなのでご注意を。

第1幕。
第1場、ヴェーヌスベルグ
<序曲とヴェーヌスベルグの音楽>
マエストロ・ズービン・メータが指揮棒を振ってすぐに、幕がするすると開く。荒野に立ち尽くすタンホイザー。
彼は物憂げな苦しげな表情でうろうろしている。
舞台は全体に傾斜していて、奥のほうが高くなっている。一番奥には一段高い段がある。
上手に大きな神殿の柱が1本立っていて、その台座がある。
タンホイザーはいすに座る。
序曲が演奏される間、異界の魑魅魍魎たちが次々と現れて徘徊する。怖い~ なんか激しくて笑っちゃうキャラが多かったが。
女性なんかほとんどトップレス。超美人で上半身裸でトラの毛皮を腕に巻きつけた女とか。この女はわにが歩いて上手から出てくるんだが、そのわにの口を開いて、その中に自ら入っていって食べられて快感を得ている。
そんなへんなやつばっか。
巨大な石を抱いた男(苦行僧)とか、全身青色の裸の女とか、長いくちばしの鳥の仮面をつけた3人とか、全身黄金の鎧人間とか。
そいつらの間をさまようタンホイザー。
序曲が最高潮に達すると、舞台手前の大きな白い壁が下りてくる。この壁には3つ扉がついている。これはきっと何かの象徴なのだろう。
突然その壁の前で一人取り残されるタンホイザー。彼は大きな旅行鞄を持っていて、その中にいっぱい書類が入っている。これも何かの象徴なのだろう。
音楽がヴェーヌスベルグの音楽になり、「岸辺に近付きましょう!」と海の精達が歌いだす声がすると、タンホイザーは陶然となる。
下手のドアが開いて、愛の女神ヴェーヌス(ヴィーナス)が現れる。彼女はタンホイザーを誘い、彼は彼女と共に下手のドアから消える
ヴェーヌスベルグの音楽が誰もいない舞台でしばらく奏でられる。

白い壁が上に上がる。
そこには晩餐の用意がしてある2人用のテーブルと椅子。上手の柱の台座に横たわって眠るヴェーヌス。タンホイザーはテーブルの下手で寝ている。
ヴェーヌスは身を起こす。ようやくマイヤーの第1声だ。
「ねえ何を考えているの?」
「ここを去りたいのだ。」
タンホイザーはヴィーナス賛歌を歌う。
あぁ…声が出てない~~~
「ケーニギン、ゲッティン、ラスミッヒツィーン!」
(女王よ、女神よ、僕を行かせてくれ!)
しかし女神は彼を行かせたくない。
2度目のヴィーナス賛歌はテーブルの上のものを荒々しく全部落として、その上で歌う。
ヴェーヌスはタンホイザーのおろかさを笑う。
タンホイザーはテーブルを横倒しにする。
白い壁が下りてきて、タンホイザーは一人になる。
女神がまたドアから現れて、今度はせつせつと
「どうして愛の女神がこんなにひどい仕打ちを受けなくてはいけないの?」と懇願するように美しいフレーズを歌う。いやーここは絶品でした~
タンホイザーが「マリア」と叫ぶとヴェーヌスはいなくなり、タンホイザーは倒れ、鞄を枕にして眠ってしまう。

第2場
ヴァルトブルグの谷

羊飼いの少年が歌っている。すごくうまい~
がりがりにやせた少年だが、めっちゃうまい~声量もある。
シャルマイの音が流れ、巡礼たちの歌が聞こえてくる。
羊飼いの少年はなぜか上着のぼたんをもたもたとはずし、上半身裸になって手を洗う。
巡礼たち、キタ~。巡礼の歌、キタ~。
大きな石をそれぞれが担いでいる。よろよろと歩いている。苦行をしているのだ。羊飼いの少年は「グリュック・アウフ!」と彼らを讃える。

タンホイザーは巡礼に感激し、彼らが抱えている中で、一番大きな石を無理やりいただく。(もっと重そうに持った方がいいんでない?ギャンビルさん~)
タンホイザーは舞台手前中央でその石を下ろすと、そこで頭を垂れている。(もしかして祈ってる?)そうしている間に、トレンチコートのようなものを羽織った男がすたすたと本を読みながら現れる。おっと~
Er ist es!(彼(=キーンリーサイド)だ。) 本に没頭しているのでまったくタンホイザーに気づかず、上手に腰を下ろす。
一心不乱に手に持ったノートに何事か書き付けている。左利き! 左手に持ったペンでときどきぽりぽり頭をかいている。演技細かい~さすがキーンリーサイド。

そして愉快な仲間達が登場する。ヴァルター、ビテロルフ、ハインリッヒ、ツヴェーター。それから領主のヘルマン。
ヘルマンは下手の椅子に腰を下ろす。ハインリッヒは変な毛皮をかぶっている。槍を持ってたり、縄を持ってたり、こいつらどう見ても普通じゃな~い。

ヴォルフラムの第1声。「Er ist es!(彼だ。) 」
おー待ってましたよ。
声がでか~い。キーンリーサイドはギャンビルよりぜんぜん小柄なのに、声はすごい太い。驚き。
タンホイザーは意気地がないな~もうヴェーヌスのところに帰る気になっている。「俺は遠いところに行ってたんだ~俺にかまわないでくれ~」
しかしウォルフラムは引き止める。
「領主様、彼を引き止める歌を歌っていいですか?」
彼の歌でタンホイザーは戻ってくる。仲間達は彼を羽交い絞めにする(ほんとに歓迎してんの~?)
一同喜んで、1幕了。

第2幕
序曲。
またすぐに幕が開く。白い壁。白いヴェールをかぶってたたずむ女性。エリーザベトだ。下手の扉を開けてとてもうれしそうな表情をする。

序曲が終わる。白い壁があがる。
舞台にはエリーザベトとタンホイザー、ウォルフラム。
ウォルフラムは本を読む振りをしているが、その実エリーザベトが気になって仕方がない。彼はタンホイザーを彼女に会わせるために連れてきたのだ。

エリーザベトは誰もいないと思って、歌の殿堂で喜びを歌っている。タンホイザーが「姫よ(フュルスティン!)」と声をかける。
タンホイザーとエリーザベトはあっさり寄りを戻す。
彼女の歌を聴いて、タンホイザーは後ろに本を持って立っているウォルフラムの方を振り向く。
可哀相にウォルフラムは下手に退散する。二人の愛の世界。
「これは奇跡です!(ブンダバー!!)」
愛の二重唱。

タンホイザーは彼女にヴェールをかけて、なぜか拝む(笑)でも笑ったの私だけ? タンホイザー急いで退場。
エリザーベトの叔父である領主へルマンがやってくる。
やがて賓客が歌比べを聞きにやってくる。

入場行進曲。キタ~
どんどん人が現れる。美しく着飾った夫人と、その夫達。しかし夫はけがしてるやつがいる。戦争のせいかな?
まずは女声のコーラス、そして男声。もう…すごい! ここはやはり予想していたとおりの大感動!この歌劇全体のクライマックスといってもいい。迫力。彼ら合唱団が、舞台のオケピぎりぎりまで歩いてきて大迫力で歌う。震えが来るほどすばらしいコーラスでした。
6人編成のトランペットが奥の団の上に陣取って吹き鳴らす。かっこいい!

領主が歌比べの始まりを告げる。お題は…「愛の本質だ!」なんじゃそれ。
タンホイザーはずっと上手の上手向きに置かれた椅子の上に座り、ずっとかなたを見ている、呆然と。彼は中毒患者のようなもので、ヴェーヌスの世界に魂が半分持ってかれているようだ。
領主が歌い終わり、参加するものは参加の希望の紙を係りに渡す。
その時初めて、タンホイザーは我に返ってはじかれたように立ち、紙を係りのもつ箱に入れる。ウォルフラムは例によって遠慮してビテルロルフに先に入れさせてあげる。そのせいか一番になってしまったウォルフラム。
小姓が告げる。
「始めなさい、ヴォルフラム・フォン・エシェンバハ!」
この4人の小姓は日本人の子供。
名前を呼ばれるとウォルフラムはいきなり落ち着きなく眼鏡を外してふいてまたかける。それから左手の指をパシパシパシと鳴らしたり、持ってたノートをポケットに突っ込んだり。もう演技細かい! ほんと役者みたいですよ。それも性格俳優。
エシェンバハは内省的に自分の中にある愛の形を分析して見せたような歌を歌う。
舞台中央には火が燃えていて、そのかたわらで歌う。
「わたしは泉に手を触れない…」
聴衆は喜ぶ。
しかし、タンホイザーは熱に浮かされたように反抗的な笑みを浮かべ、ウォルフラムの歌を否定する。
「私は泉に大胆に近付き、味わう…」
歌比べの判定役として、マリア様のようにヴェールを被ってテーブルの上に鎮座していたエリーザベトが喜びのあまり我を忘れてヴェールを取って立ち上がる。タンホイザーと抱擁しようとする。
しかし聴衆は怒る。
テノールのヴァルターが反論する。(ここはショルティ版ではなぜかカットされているところ。)
さらに否定するタンホイザー。
今度はビテロルフが反論する。
またさらに否定するタンホイザー。ついに、ヴィーナス賛歌を歌い、ヴェーヌスのところへ行け!と歌ってしまう。
人々は激怒し、あらゆる武士は彼に剣を抜き、殺そうとする。

Part2 に続く





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最終更新日  2005年09月25日 20時48分29秒


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