2009年04月09日
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カテゴリ: BALLET
Marcel Proust
À la recherche du temps perdu

私:語り手。作家。

スワン:「私」のコンブレーでの隣人。ユダヤ人で芸術を解する。上流社交界と付き合いがある。

ジルベルト:私の初恋の相手。スワンの妻オデットの娘。

アルベルチーヌ:「私」の恋人。レズビアン趣味がある。

アンドレ:アルベルチーヌの友人。

オデット:スワンの妻。元高級娼婦。「カトレア」の人。

サン・ルー(ロベール):私の友人。シャルリュスの親戚。



モレル:ヴァイオリン弾き。私の下僕の甥

ヴァントゥイユ:作曲家。娘はレズビアン。

ヴェルデュラン夫人:ブルジョアジー。サロンを開いている。

+++

プルーストの「失われた時を求めて」。
学生時代に図書館で読もうとしては、その冗長ないつ果てるとも知れぬ描写にいつの間にか寝入ってしまったことを思い出す。
したがって今回のチャレンジははなからプライドをかなぐり捨て、抄訳で挑戦した。
これは便利!
すばらしい。嘘のように読める。これだと。

語り手はプルースト自身のようである。
語り手は自分の少年時代どうであったかということやコンブレーでの生活について書き始める。

プルーストは文学や音楽を引き合いに出すのが多くて、ワーグナーの作品名はほとんど登場するし、画家や作家の名前も数限りなく登場する。
主人公の名前の付け方から、チャイコフスキーのスワンレイク、を思い起こさせるし、
カトレアのくだりでは、椿姫(デュマ・フィス)を連想させる。

最初はスワン家の方へ
である。

作者はどうもスワンに自分を投影させている?
語り手は非常に移り気であるがスワンも同様で
女のために身を焦がすがしばらくするとその傷が癒えて、すっかり憑きものが落ちてしまうのである。
そこが語り手も同様なのだ。
語り手は異様に神経質な子供である。
寝る前にママンが来てくれないと気が狂いそうになる。
そして祖母。祖母への愛情も語られている。
召使のフランソワーズが彼に強い影響を与えている。
語り手は貴族にあこがれている。
だから名家のゲルマント家にあこがれている。
夫人をストーカーのようにつけまわしたりする。
スワンの妻オデットの娘ジルベルトが初恋の相手だがその描写が子供の恋とは思えないエロテッィックな粘着系である。
今の時代ならさぞキモ!と気味悪がられるであろう。

しかし彼は美男らしい。
なぜなら男色家のシャルリュス男爵が初めて見かけた少年時代の「私」に目が釘付けになるからである。

生きている間には才能を認められなかった大作曲家、ヴァントゥイユの音楽がたびたび登場する。スワンも「語り手」もこの音楽に強くとらわれる。
ヴァントゥイユの娘はレズビアンである。

ヴェルデュラン夫人はブルジョワジーで貴族にあこがれている俗物。サロンを開いていてそこでオデットとスワンが出会う。
オデットとスワンの最初の逢引のくだりはじつにエロチックで、文学的に優れている。
しかし、オデットはしょせんは元高級娼婦で、頭の軽い軽薄な女性として描かれている。
語り手の女性への興味はすぐに失われ永続するものはまったく一つとしてない。女性の知性もまったくあると思っていない。

そしてアルベルチーヌ。
彼女は孤児で不遇な幼女時代を過ごした。
アンドレという友人とレズビアン傾向にあると語り手は猜疑心にとらわれている。
語り手は彼女の首筋の生え際に執着している。
彼の彼女への愛は非常に倒錯している。
彼が一番快感を感じるのはアルベルチーヌが寝ているのを観察する時である。
彼はさすが作家で、対象についていろいろ夢想するときが一番幸せなのである。
いざ相手と向かい合うと話さなくてはいけないので観察ができなくなるのである。
しかしいないと夢想だけで空しいから。
だから寝ているアルベルチーヌが一番好きなのだ。
川端康成ですよね。

シャルリュス男爵は貴族で、小太りで中年。眼光鋭く相手を吟味する。非常に変わった人物である。
語り手は彼を観察していて、ついに尻尾をつかんでしまった。目撃してしまったのだ。男との逢引を。
そして語り手の老僕の息子、モレル。
モレルは連隊に所属している、ヴァイオリン弾きである。
巻き毛。
シャルリュスはモレルに盲目的に恋してしまう。

サン・ルー侯爵は「まるで太陽をその身に集めたような」美しい金髪の美男である。彼にはラシェルという愛人がいた。ラシェルは彼の死後に女優になる。ロベール・ド・サン・ルーはその後ジルベルト・スワンと結婚する。娘をもうけるが、サン・ルーは戦線で戦死。サン・ルーにも秘められた世界がある。いかがわしい店に出入りしていた。そこは男が男に奉仕する場所だ。

シャルリュス男爵がその店で鞭打たせているのを語り手は目撃する。シャルリュス男爵は年をとって何もかも失う。

一方モレルは同じく従軍するが脱走し逮捕される。しかし戦線に復帰し功をあげる。
語り手の聞いた噂では、モレルは女をとっかえひっかえ、レズビアン趣味のあるアルベルチーヌにその女を払い下げていたという。彼が本当にシャリリュスの「情婦」だったかはわからない。彼はちやほやされ貢がれていたが、女好きだった。別の同性愛者の娘を妻とし、シャルリュスの後ろ盾を得ていた。

アルベルチーヌは「死んだ」という知らせを作者はもらうが、のちにそれが嘘だったことがわかる。しかしその頃には語り手はアルベルチーヌへの興味を失っている。

ヴェルデュラン夫人はゲルマント公爵夫人になった。再婚したのだ。時がたち、社交界は様変わりしていた。


******

Proust - Ballet

Choreography : Roland Petit

アルベルチーヌ:エレオノラ・アッバニャート Eleonora Abbagnato
青年時代のプルースト:エルヴェ・モロー Hervé Moreau
モレル:ステファン・ビュヨン Stéphane Bullion
シャルリュス男爵:マニュエル・ルグリ Manuel Legris
サン=ルー侯爵:マチュー・ガニオ Mathieu Ganio
ヴェルデュラン夫人:Stéphanie Romberg 

ジルベルト:マチルド・フルステー Mathilde Froustey
オデット(ジルベルトの母):?

オデット(フェール・カトレア):?
スワン(フェール・カトレア):?

女(ヴァントゥイユの小楽節):ローラ・エケ
男(ヴァントゥイユの小楽節):クリストフ・デュケンヌ?

アンドレ:?

Ballet Opéra National De Paris
Orchestra Opéra National De Paris


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最終更新日  2009年04月12日 09時05分55秒


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