Accel

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April 3, 2013
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 それは、約20日前。
 というか、旅人セルヴィシュテとラトセィスを、料理屋の主マーカフが泊めた20日程前に遡る。
 まだ日が昇らなく、いつもだったらマーカフとマエーリ親子は寝ている時間だった。


「きゃああああああああ!!!!!!!」
 寒い朝。
 ルヘルンの街の一角で、少女の悲鳴が響いた!
 その悲鳴は、このあたりではちょっと有名な料理屋の二階から発せられた。
 あまりに朝早かったから、街の人はまだ起きてはなかったが、流石に、その下の部屋に寝ていた、少女の父親は、驚いた。
 驚いたが、もさーーーーっと起き上がって、面倒くさそうに、肩をコキコキ鳴らしてから、二階へと向かう・・・


「な、なにって・・・
 あ、あれ?ビアルちゃんは・・・」
「もう!信じられない!変体!スケベ!どうしてくれるの!結婚前なのに!」
「ど、どうしてくれるって、抱きしめただけじゃないの」
「きゃあ、信じられない!
 乙女にあんなことしておいて・・・あっ!
 ちょ、ちょっと、オヤジ、なによ、こいつ!」

 オヤジ、といいながら、モサツいた男の影に隠れた少女は、赤みのある金髪の、闊達そうな雰囲気である。
 一方の、オヤジ、は、ぼさーーーっとしていて、こげ茶の髪はどうやら3日洗ってないようで、着ている服はどう見ても夜着だ。


「あ、料理長!おはようございますっ!」
 シャキーーン!と爪先立ちになって、少女に叫ばれていた少年が、”料理長”に挨拶した!


 じゃ、俺、家の周りでも掃除しますよ」
「ちょ!ちょっと!
 あんた、何考えているの!
 謝りなさい!
 そ、その寝台は大体にしてあたしの寝台なの、変なのって誰の事よ!?」



 その少年は、いたく背が高かった。
 詰め寄って見上げたはいいが・・・・
 なかなかに、鍛えているようで、薄い衣服の下に、筋肉が見え隠れしている。
「え?
 き、君の寝台なの?」
 少年は、濃い黄色の瞳を驚かせた。

「り、料理長~!?」
 少年が、思わず”料理長”の方に困った目線を送った。
 料理長は、ぼさーーーーーっと言った。
「俺の娘のマエーリだ」




 呆れたことに、ビアルは寝台の下に落ちて寝ていた。
 蜂蜜色の瞳の少年、ニルロゼは、ビアルを寝台に引き上げ、毛布をかけてやった。
 それを、憎憎しげに、マエーリが見据えている。
「いや、ほんと、ごめんって。
 本当に、ビアルだと思ったんだってば」
「・・・」


 マエーリは、16歳の少女である。
 父親とは、昔から、そりが合わなかった・・・
 いつも家出を繰り返しては、父に見つかって連れ戻されていた。
 どうして、そんなに父が面白くなかったのかは、実はよくわからなかった。

 最近、ようやく、家出癖も収まり・・・
 父の料理を手伝うようなことも増えた。
 今回は、使いに行っていた。

 そして、帰ってきて、いつものように寝台に寝ようとしたら・・・
 毛布から、ニュッと手が伸びてきて、マエーリを羽交い絞めにした、というわけだ。



 事の発端は、昨日の事のようである・・・
 あの、背の高い少年ニルロゼと、美しい少女を、オヤジが勝手にあたしの部屋に、泊めたらしい。
 いちいち、思い出すと、ムカムカするマエーリであった。
 何分、これまで、男性とあのように抱きしめあったことがないというのに!
 この少年は、全く意に介していないようである!!
 その上・・・
 今、寝台に寝ている、ビアル、という少女と勘違いした、と言うのだった・・・

 まあ、そう言うのなら、仕方ないわ、と、理屈をつけて、自分を納得させようとするマエーリであった。
 なにぶん、ビアルは、恐ろしいほどに美しい少女、なのだ。
 その少女に、自分を間違えた、というなら、そんなに悪い気もしないでもないのだった・・・




 下の方では、オヤジが、あのニルロゼに、なんだか料理をやらせているらしい。
 オヤジが珍しく家にいるのを嗅ぎつけた街のやつらが、もう店に来ていた・・・・
 マエーリも、下に降りて行った。


 オヤジの事は、あまり好きではなかった。
 でも、最近、まあ仕方ないのかなと思うようになってきた。
 だって、あたしのオヤジなんだから・・・・


 マエーリは、階段を降りきらないうちに、急にあらぬ事を妄想して一人で赤くなってきた!

 あ・・あれ?
 あのニルロゼが、ビアルと間違えてあたしを抱きしめて来たってことは・・・

 あの人たちって、
 そういう関係、よね・・・?


 急に、ドキドキしてきた。

 どう見ても、自分と同年代のニルロゼ達。
 特に、あの背高のっぽは、女性を抱きしめるなど、痛くも痒くもないようだ。

 ということは・・・・


 口に両手をあて、マエーリは、こっそり上の方を見た。


 い、いやだ。

 え、えっと。

 私達くらいの年代で、もう、ねえ・・・



 鼓動が収まるまでの時間が、かなりかかったような気がした。

 ようやく、マエーリは厨房へと行った。
 オヤジが、いつものように食材を切っている・・・

 背高のっぽは、うっとりするような目つきで、オヤジの手元を見ながら、自分の手元を見ないで野菜を切っていた。


 マエーリも厨房に入ろうとすると、オヤジがそれを留めた。
「昨日寝ていないだろう。
 俺の部屋で寝ていろ」
 オヤジはぼそっと言った。
「大丈夫よ。
 ショーンさんの処で寝させてもらったの」
 マエーリは、出来上がった料理を運び始める。

 オヤジは、あまり好きではないが、ああやって、少しは自分を気にかけてくれるあたりが、少しは”オヤジらしい”んだな、というのが、最近ようやくわかってきたマエーリである。
 不器用な父なのだ・・・

 背の高い少年も、皿を客に持っていくと、客人となにかよく話をしていた。
 なかなか、客受けがいいらしい・・・

 昼間になると、客足が少なくなった。
 面白いことに、この料理屋はいつも、昼や夕方のいわゆるご飯時の時間は込まないのだ・・・
 マエーリが机を拭いていると・・・
 二階から、トン、トンと、誰かが降りてきた。

 誰かが、などと、いちいち明記しなくても、もう判りきってはいたが。
 あの、美少女に違いない。


「あ、ビアル、おはよう」
 背高のっぽが、”少女”に声をかけた。
 黒髪の少女は、黒い服をばさりと着ていた。

 その姿を見た、残りの客の一人が、驚いた声をあげた。
「ビ!
 ビアルだ!」






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Last updated  April 5, 2013 08:16:42 AM
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月夜見猫 @ 愛するケーナさまあはあと! おはようございます☆ >いつも本当にあり…
月夜見猫 @ オスン6757さん おはようございます。 >いつもありがと…
月夜見猫 @ もぷしーさん★ おはようございます。 >今まだうろうろと…
風とケーナ @ Re:「フィギアスケート選手を応援しよう!」(02/18) 月夜見猫さま、こんばんは♪ いつも本当に…
オスン6757 @ Re:「フィギアスケート選手を応援しよう!」(02/18) おはようございます。 いつもありがとう…

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