本日は我が家から徒歩数分の距離にある枚岡神社で毎年開催されている、薪能の日。
演目は、狂言「左近三郎」と能「龍田」。
写真撮影禁止とあって、開演前の状態、未だ「火入れ式」もしていない状態の写真を掲載して置きます。開演30分前ですが、もう一杯の人でした。
さて、演目の、狂言「左近三郎」のあらすじは、
猟師の左近三郎は狩に行く途中で一人の僧と出会い、これをからかってやろうと道中を共にする。禅僧と知って、酒は呑むか、魚は食べるか、妻はいるかと質問し、僧が「出家の身、そんなことする訳ない。」と否定するごとに、弓矢で脅し、無理矢理に肯定させて、からかう。そんな中で彼は僧に檀家にして欲しいと願うが、僧は殺生を生業とする猟師は檀家にはできぬと断る。猪
(しし)
を射殺すと猪
(しし)
になってしまう、という僧に、左近三郎は、それなら、僧を射殺せば僧になれるのかと僧に弓矢を向ける。そんな禅問答のようなやりとりをしながら、次第に打ち解け、仲良くなって歩いてゆく。
というもの。
殺生を禁ずるのが仏教の教えであるが、一方で輪廻転生も説くから、殺すことはその転生を助けることでもあるということにもなる。この辺りの仏教の教えの矛盾をからかったものでもあるということらしいが、まあ、狂言としては、理屈に走り過ぎて、それ程面白いものではありませんな。
能の「龍田」は、
旅の僧が龍田明神に参詣せむと龍田川の畔にやって来ると、川向こうから女が川を渡ってはいけないと声をかける。この川に散り浮く紅葉は龍田神社の神体であるから、神慮も思わず渡ると神と人との中が絶えることになると言う。僧は今はもう冬で紅葉もなく薄氷が張っているから大丈夫だろうと言う。そこで、女は「龍田川紅葉を閉ずる薄氷渡らばそれも中や絶なん」という藤原家隆の歌を引いて、渡るなと戒める。女は、最初は巫女と名乗っているが、やがて、自分が龍田姫であることを明かすと社殿の中に入ってしまう。僧が在の人から龍田明神の謂れを聞きながら、神のお告げを待っていると、龍田姫が現れ、龍田明神社のことや龍田の山川を詠んだ歌のことなどを語り、あらためてこの川を渡るべきでないと語り、神楽を舞いつつ、夜明けの風に散りまがう紅葉の中を神上がりする。
というもの。
和歌を引用しての風流問答も面白く、龍田姫の舞う神楽なども見どころですが、来月、龍田万葉ウォ-クを案内する予定の偐家持としては、とてもタイムリーな演目でした(笑)。
<東大阪市と能との関係>
三重県伊賀市の上島家に伝えられている「観世系図」によると、観阿弥の母は玉櫛荘(現、東大阪市玉串町)の出身であるそうな。その系図によると、観阿弥の母は河内玉櫛荘の橘入道正遠の娘である、となっている。
橘正遠は楠正成の父に当たるという説もあるので、この説によれば、観阿弥の母は、楠正成の姉か妹ということになり、観阿弥は正成の甥ということになりますな。まあ、こんなことから、「東大阪は能のふるさと」を合言葉に、市民ボランティアの手で、この枚岡薪能が開催されているという次第なのであります。
大槻能楽堂自主公演能 2009.06.06 コメント(6)
「松浦佐用姫」の稽古開始 2009.01.28
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