( 承前 )
るり沼のヒキガエルさん (前頁参照)
の視線の先には、
るり色の水面が・・。
蛙は、もう千年も、るり沼の姫を待ち続けている。
たにぐくは そっとやり置け るり沼の
さやけき色の 秋の風見む (偐家持)
(注)たにぐく=谷蟆。ヒキガエルのこと。
るり沼も美しい。ビューポイントのベンチに腰掛け、しばしぞ眺めむ、はしきその影、である。
しかし、千年も座っては居られぬ。先へと進む。
やがて、ひと際深い青の、その名も青沼という美しい沼が姿を見せる。
あきらけく 水は清みか 青沼の 水面の色は 見れども飽かず
(偐家持)
対岸の灌木の葉であろうか、枝先の葉が白くなって、レース飾りのようになっている。その白が水の青に映えて、この沼の美しさを引き立ててもいるようだ。
ところが、その静寂を破るかのように、ペキポキと枯れ枝を踏みしだく音。男が二人、岸辺に進入して、何かをしている。観光客であるなら狼藉ということでもあろうが、距離があるので話の内容までは聞き取れず、何を目的にしているのかは不明である。何れにせよ、この美しい静寂の景色とは不調和で興醒めな行為であることに違いはない。
この先に、もう一つ柳沼という沼があったようだが、そこまでは行かず、引き返すこととするが、後で観光パンフレットなどの写真で見ると景観の美しい沼であったようで、見ずに引き返したのは失敗であったかもと後悔。先達はあらま欲しきことにて候。
何やら大型の草本の花の蕾。咲いてもそれと分るかどうか怪しい花音痴のヤカモチ。蕾では尚のことであるが、目立つ佇まいであったので、表敬の1枚であります。 (追記:蕾ではなく、オオウバユリの実のようです。)
毘沙門沼前、五色沼荘の前の駐車場に駐輪して置いたトレンクルまで戻り、銀輪散歩再開である。磐梯レークラインを行くか小野川湖畔を行くか迷うが、最初の交差点で右に入ると小野川湖への道であったので、それを行くことにする。
道の辺に白い可憐な花が咲いていました。ウメバチソウか。
小野川湖への道は当初はひたすら上り坂である。湖面が見え出すとやがて下り坂となって、最奥のキャンプ場へと至る。
湖岸に沿って下って行くと小野川湖畔キャンプ場に到着。キャンプ場に入って行くと、テントとタープ、ブロ友のふぁみり~キャンパーさんのそれとよく似たのがひと張り設営されていました。
水際にはイグサの群生があり、湖からの風にゆるやかに靡いていました。
イグサは万葉人が歌にしていてもおかしくはないと思うのだが、イグサの歌は見当たらない。
それでと言っては何であるが、真薦の歌で代用です(笑)。
草枕 旅にし居れば
刈薦
の 乱れて妹に 恋ひぬ日は無し
(万葉集巻12-3176)
キャンプ場を後にし、来た道を引き返す。下った道は上り、上った道は下る。銀輪散歩は常にプラマイ・ゼロなのである。
ホテルに戻って、チェックイン。シャワーで汗を流してから、夕食前の時間を散歩に出てみると、隣の敷地にある美術館の背後の山が夕映えに染まっているのでありました。
これにて、裏磐梯初日が終了。明日は桧原湖一周です。
また、お付き合い下さいませ。 ( つづく
)
PR
キーワードサーチ
カレンダー
コメント新着
New!
MoMo太郎009さん
New!
七詩さん
New!
☆もも☆どんぶらこ☆さん
New!
龍の森さん