( 承前 )
十二町潟水郷公園の続きからです。
ドウダンツツジが美しく紅葉している。
マユミの実が弾けている。
(同上・ユズリハ)
そして、目を惹いたのはユズリハ。
すっかり新しい葉に入れ代った青葉が美しく、藍黒色の実がたわわに生っているのでありました。
万葉では「ゆづるは(弓絃葉)」という名で登場するが、弓削皇子と額田王が交わした歌は有名。(万葉集巻2―111、112)
何が、と言うのでもないが、何故か木の佇まいが感じ良くて、気が付けば5枚も写真に撮っていました。
いにしへに 恋ふるわれかも ゆづる葉を
知らずや五枚 撮れども飽かず (偐家持)
十二町潟水郷公園を出て、農道を行くと、「←布勢の円山○○km」の木製標識があるのに気付く。道の隈ごとにあるそれを便りに走るうちに、仏生寺川に出る。川岸にはススキが銀色の穂を風に靡かせている。
川を渡って右に大きくカーブする道を行くと前方にこんもりとした小さな森が見えて来た。多分それが「布勢の円山」だろうと行くと、果たしてそうであった。
随分急な階段である。数えながら一気に上ると83段あった。息も少し荒くなる。更に5段上ると本殿。左側に回り道がある。これが、角川源義氏の句碑(前頁時参照)にあった女坂であるのでしょう。
家持の布勢の水海遊覧のことは前頁で触れたので繰り返さないが、それを記念する碑が神社本殿脇に建立されている。
此処、円山は当時は、布勢の水海に浮かぶ島であったようだ。詳しくは下の写真をクリックして拡大画面で説明文をお読み下さい。
本殿の裏に回ると御影社と家持歌碑がある。
明日の日の 布勢の浦みの 藤波に
けだし来鳴かず 散らしてむかも
(大伴家持 万葉集巻18-4043)
<明日の日の布勢の浦廻りで目にする藤の花には、多分ホトトギス
が来て鳴くこともなく、むなしく花を散らしてしまうのでしょう。>
(注)この歌は田辺福麻呂の次の5首(直接には5首目の歌)に答え
て詠まれた歌である。
玉くしげ いつしか明けむ 布勢の海の
浦を行きつつ 玉も拾はむ
音のみに 聞きて目に見ぬ 布勢の浦を
見ずは上らじ 年は経ぬとも
布勢の浦を 行きてし見てば ももしきの
大宮人に 語り継ぎてむ
梅の花 咲き散る園に われ行かむ
君が使を 片待ちがてら
藤波の さき行く見れば ほととぎす
鳴くべき時に 近づきにけり
福麻呂が「明日の布勢の海遊覧は楽しみですな。藤の花が咲いて、ホトトギスの声も聞くことが出来るかなあ。」と言っているのに、家持さんは「多分、ホトトギスは来ませんな。」と水を差しているとも読める。これは宴会での冗談口であったのでしょう。福麻呂と家持の親しい関係も覗わせる。
歌碑の隣には家持を祀る祠まである。
家持の 影をしたひて 来しわれぞ
見つつしのはめ 布勢の円山 (偐家持)
この後、藤波神社へと向かいますが、字数制限により、ページを改めます。( つづく )
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