CHOSEN FEW / YOU MEAN EVERYTHING TO ME (POLYDOR 2058 661)'75
ついに2006年1月にこの曲も山下達郎SSBにてオンエアされました。私も大好きな完璧甘茶ソウル。このお皿は甘茶ソウルファンには有名&人気でレア高値盤としても知られています。流石の達郎さんも持ってなかったとのことでしたね。全体的にとても大仰で華麗な雰囲気のこの曲はかなりメジャーな音作りで甘茶ソウルを初めて聴かれるような方にも非常に分かりやすいはず。ちょっと大味な味付けで飽きやすいかも知れないけどやっぱりいいよなあ。聴きなれた曲ながらラジオから流れてきたときは正直シビレましたよ。それにしてもBLACK IVORYもやっていたとは知りませんでした。BLACK IVORY / BLACK IVORY '76(BUDDAH 5658)のB面3曲目収録で出来はCHOSEN FEWの勝ちとのことでした。
「ミラクル・ワーカー / YOUNG AND FOOLISH (日本ポリドール DPQ 6031)」の日本盤ライナーに次のような記述があります。(ネットで拾ったものなのでよく見えないんですが)「ジャマイカ出身の4人組黒人グループで、すでに7年のキャリアを誇っています。エロール・ブラウン、バニー・ブラウン、パスティ・ブラウン、フランクリン・スペンスの4人はフロリダやニューヨークで活躍した後イギリスへ渡り、ポリドール・ロンドンと契約し、2枚のシングルを発表しています。そして現在は新アルバムのレコーディング中とのことです。」また、「愛はすべてをこえて(You Mean Everything To Me) / Yes It Won't Be Long (日本ポリドール DP 4013)」にもほぼ同様の記述があります。
The Chosen Few (reggae group)
のWikipediaを見ますと、上記メンバーの名前が明記されてますので、ポリドールのライナーに勘違いが無ければ同一グループで間違いないようですね。アルバムとしては下記の三枚が出ているようです。
Hit After Hit (1973) Trojan Everybody Plays The Fool (1975) Trojan Night and Day aka The Chosen Few In Miami (1976) Trojan
「YOU TUBE」に「CHOSEN FEW / YOU MEAN EVERYTHING TO ME」の スタジオ・ライブの動画
(4分15秒の所から)がアップされています。シングルが発売されたのと同じ75年のもののようで、Cliff Richardによる「It's Cliff & Friends」という番組での模様のようです。冒頭で「CHOSEN FEW FROM JAMAICA」と紹介されていますので、やはりTROJANとPOLYDORのCHOSEN FEWは同一グループという事で間違いないようですね。内容は レコード版
と比べていまいち緊迫感に欠けるけど、この曲の持つ魅力が十分伝わる良い内容だと思います。
日本編集盤の「SWEET THING LP(VIVID VS-1025)'81」にも「JUST ENOUGH TO KEEP ME HANGIN' ON」と曲名を変えて収録。このLPは甘茶ソウル百科事典MOONY'S SELLECT 075で取り上げられているし、U.S.BDG #104でも少し触れられている。然しながらこの傑作甘茶曲についてはどちらも一切コメントなし(ていうか無視?)です。更にこの曲が無性に好きという甘茶ファンにも出会った記憶がない。なんでやねん?個人的にこの曲は、「WALK AWAY FROM LOVE」、「SOMETIMES WHEN WE TOUCH」と並んでカバーバージョンの多い世界三大黄金旋律曲の一つだと思っているのですが、こんな状況では無条件に「みんな大好き!YOU KEEP ME HANGING ON」と断言出来ないではないですか。この曲が三度の飯より好きという方、いらっしゃいませんか?
このオヴェイションズの傑作カバーのオリジナルは、1964年のRay Sanders & Irene Bell。作詞作曲はBuddy Mize/Ira Allen。「It's true you have me twisted round your finger」と歌いだす曲です。ソウルファンにはJoe Simon 版が御馴染みですね。(VANILLA FUDGE版やSUPREMES版とは違いますのでお間違いなく。)この曲には多くのカバー曲が存在しますが、その中でも素晴らしい出来なのが、レゲエ/ラヴァーズロックもので、「JUNIOR SOUL / YOU KEEP ME HANGING ON 12"(ROHIT 531)'87?」。OVATIONS版に負けず劣らずの素晴らしい内容で近々レビュー予定です。他にもある20曲ほどのカバーを 「甘茶ソウル百科事典の世界(3)」
のページで一覧にしてありますので、ご参照下さい。
SPECIAL DELIVERY / OH LET ME KNOW IT (PT.1) (SHIELD 6307)'77
テリーハフがいなくなってからのSPECIAL DELIVERYだけど、なんかムードあんまり変わんないですね。この曲はテリハフの持つ痛々しさが薄まったなかにもどこかヒリヒリした感覚のある、そういう意味ではSPECIAL DELIVERYらしい作品と言えるだろう。大仰に盛り上がる絶唱タイプの曲だけどメロディは黄金律と呼ぶに相応しい大甘な出来。B面のパート2はバリトン?が大活躍し、DEEP好きの方にとっては「OH LET ME KNOW IT」と言えばパート2!というぐらいの人がいるぐらいのグレイトな内容。
SOUL GENERATION / SAILING LP(EBONY SOUND 2000)'72
私の大好きなグループ「ソウル世代」のアルバム「Beyond Body & Soul」収録曲。そもそも○○世代なんて大仰で青臭い名前をグループ名にしちゃうとこが恥ずかしすぎますが、更にこの曲のタイトルが「航海」ですから中二病過ぎます。だけど、そここそがイイんですよねー。ナルシスティックに陶酔し自己完結した独特の空間にこそ美味な味わいが有るというものです。少し物悲しげなメロディを経て、テンションの高いサビメロはこれでどうだ!と言わんばかりの感動の大押し売り大会。ファルセットの完全にイッちゃってる悶絶っぷりは、声質自体が官能的な色気を放出しまくりで実に魅力的です。
終盤にラララー、ラララー、ララ、ラランラーと歌う所もとっても可愛らしくチャーミング。暗めで物悲しいトーンの曲は個人的にはあまり好きではないのだけど、この曲はいいですねえ。全体に漂う切実さはリアリティがあり、マイナーならではの緊迫感、うらぶれた雰囲気も味わい深いものがあります。尚、女性シンガーによる「ANN BYERS / SHOULD I FOLLOW MY HEART OR MY MIND (VIRTUE 12376)'76」というカバーが有ります。
TROY / AND TOMORROW MEANS ANOTHER DAY WE'RE APART (COLUMBIA 4-45748)'72
この曲は多くのソウルファンにはどう位置づけられているのだろう?甘茶ソウル?ディープソウル?ヴォーカルだけ聴けば絶唱タイプでスウィートというよりはディープ風。ただし制作はフィリー、アレンジはBOBBY MARTINなので、サウンドは甘茶ソウル仕立て。然しながらこれだけの名曲にもかかわらず甘茶ソウル百科事典には未掲載。コンピで言うと「SOUL FROM THE VAULT RARE SWEET DYNAMITE VOL.1 SILVER BLUE COLLECTIONS」に収録。スウィートとタイトルでは言ってても一応シルバーブルー・コレクションの一環なのでディープソウルだよという言い訳も通用するか。「MASKMAN PRESENTS THE CITY OF BROTHERLY LOVE 2」のマスクマン氏のライナーでは、「フィリーのバラード」、「デルズのマーヴィン・ジュニア」なんて表現されている。「THE LOST SOUL GEMS」で鈴木啓志氏は「スウィートなバラード」と。(ここではTROYの正体は66年にMUSICORからシングルを二枚出しているJEFF B.TROYだと推測されている。因みにそれを受けて収録された「THE SPIRIT OF PHILADELPHIA 3」では、単に正体不明と書かれているだけ。)
絶唱系甘茶ソウルの傑作として知られる「AND TOMORROW MEANS ANOTHER DAY WE'RE APART (COLUMBIA 4-45748)'72」の歌手TROYは正体不明の人物ということで長らくソウルファンの謎だった訳ですが、この度彼の正体が判明しました。TROYは1980年に「Into the Night」というヒットを出したBenny Mardonesという白人歌手で、事情により変名で活動していたようです。いわゆるブルーアイドソウルだったってことになりますね。
AUGUST / IF HE MAKES IT GOOD (I CAN MAKE IT BETTER) (14KT. GOLD 501)'78
「SOUL FROM THE VAULT RARE SWEET DYNAMITE VOL.7」に収録されていた絶唱系甘茶ソウル。ロスのマイナー・レーベルから一枚だけ出しているだけで正体不明のようです。このアーチスト名だけではグループなのか個人なのかさえも分からないですが、時折ファルセットも交えるしコーラスもしっかり入ってるからやはりグループなのかな。バックのサウンドもしっかり作りこまれているし、ヴォーカルも相当な力量。こりゃあどっかの有名グループやTROYのようなシンガーが変名でやってるんじゃないですかねえ。
DAVID RUFFIN / BREAK MY HEART LP(WARNER BROTHERS 3306)'79
テンプテーションズの初代リード・ヴォーカリスト、デヴィッド・ラフィンの1979年のソロアルバム「So Soon We Change」収録曲。クセの強いファルセット甘茶ではなく、所謂ソウル・バラードという感じで、特にメロディの出来の良さが際立つ作品。同じく彼の代表曲「Walk Away From Love」のようにポピュラリティも兼ね揃えたソウル史に残る名曲中の名曲だと思うけど、A面扱いでシングルカットされなかったこともあり、出来栄えの割に注目度や評判はいまいち低いようです。(山下達郎SSBでは3度オンエアされているのが救い)
ELUSIONS / I'D LIKE TO SAY I LOVE YOU (EPIC 50402)'77
U.S.BLACK DISK GUIDE #673で高沢仁氏によって「究極の7インチ」として紹介されている曲。曲は起伏に富みながらも甘ーい品のあるメロディで、まずはその素晴らしさに感動できる。更にライモン・ウィルスンの表情豊かで過剰な泣きの唱法が絶品で両者の相性も抜群。ストリングスを中心とした気品あるサウンドも完成度が高く、まさに高沢氏の言う通り、ソウルファンの期待する究極の形がここにはありますネ。
RUDDY THOMAS / REFLECTIONS '83 LP(MOBILISER MUSIC MMLP 34)
RUDDY THOMASはジャマイカのレゲエ・ファルセットシンガーで、甘めの良曲を沢山残しているので甘茶ソウルファンにも強力オススメだ。この曲はおそらくBarry Biggs & Ruddy Thomas名義で出ている「Reflections Of My Life」と同一のもの。そちらはどうか知らないがこのLP「Very Best Of Ruddy Thomas」収録曲は5分32秒ある。(ご存知の方教えて!Barry Biggsのベスト盤に入ってるものは短かったです。オムニバス等に入ってるものも短いようです。このLP収録のものか12インチ盤を聴きましょう。)ダブが無いのにこの長さなのでたっぷり甘い世界が堪能できる。もともとはイギリスのMarmaladeというグループのヒット曲だが原曲はかなりノベーっと平坦な内容。
「THE RARE NEW JERSEY'S A COLLECTION OF EXCEPTIONAL GROUPS」にも収録されていて、そのライナーによるとこの少年グループはドイツ出身だそうです。この曲のソウルカバーはAL GREEN,TEDDY PENDERGRASSなどありますが、この切実感、緊迫度の高いSPOONBREAD版カバーとは比較にならない。
TERRY HUFF&SPECIAL DELIVERY / WHERE THERE'S A WILL LP(MAINSTREAM 420)'76