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2015.08.13
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テーマ: 読書(8214)
カテゴリ: 読書
伊藤計劃の「虐殺器官」読みました。


虐殺器官 [ 伊藤計劃 ]

うちのブログで「ハーモニー」の記事の閲覧数がすごい多いんですよ。
なんか伊藤計劃作品の映画化するそうですね!
いつのまにかコミカライズもしてるし!
このビッグウェーブに乗らなければ!(^_^;)
てなわけでミーハーにも「虐殺器官」読んでみました。

以下ネタバレ。
















虐殺器官、とは、人間を虐殺に駆り立てる言語文法のことであり、云々カンヌン。

ちょっと謎が解けてないところがあるよね?

この手のSFはジグソーパズルのピースのように、バラバラのガジェットやらモチーフやらが最後にパチっとハマるのが醍醐味でないですか。
うまくハメれない(^_^;)。

あとがきに、小松左京氏の選評の一部が載っている。

「〜虐殺行為を引き起こしている男の動機や主人公のラストの行動などにおいて説得力、テーマ性に欠けていた」

まったくであります。

「虐殺行為を引き起こしている男の動機」はともかく、主人公のラストの行動はよくわからんのです。
私の読解力の低さから読み落としてたんかとも思ったんだけど、小松左京氏もこう言うんだから、私のせいじゃないし(^_^;)。

虐殺行為を引き起こしている男=ジョン•ポールは、西側社会の平和を守るために活動してたっていう、別に動機はおかしくないぞ(倫理的にはやばすぎるけど)。
アメリカにスポンサーもいたみたいだし。

でも主人公の母関係のミステリーが残されてしまった!
読み返したんだけど、本文の中に手がかりは見つけられなかったんよー。


こんな未来の話なんだから、もっとなんとかならんのかいな。
医者はひたすら生命維持させて、あとは遺族の判断て、それ、現在といっしょやん。
あとはカウンセリングしたらいいでしょ、カウンセリングしたら何でも解決ってなんだかなー。
まあ未来の話のようでいて、現在現実のメタファーな話なんだろうけどさっ(^_^;)。


それで私が思い出したのは、萩尾望都の「訪問者」です。

「訪問者」はとてもいいマンガなので、読んでない人は読んで下さい!(少女マンガですが)


訪問者 小学館文庫 / 萩尾望都

「訪問者」の中でイエス様の伝説が話される。

昔、狩人の小屋に訪問者が現れた。
訪問者はイエス様だった。
狩人は森の生き物をたくさん殺したから、罰を与えられると思った。
そのとき、小屋には狩人の子が、赤ん坊が眠っていた。
イエス様は赤ん坊を見て、狩人に罰を与えずに帰った。

赤ん坊がおったら許されるんや!(^_^;)
いやなんというか、愛されるために、許されるために、小さい命ってのは存在するんですよ!

「訪問者」のね、主人公の男の子はね、お父さんと二人暮らしで、お父さんが悪いことしてるのにウスウス気付いてて、でも自分は小屋の中の赤ん坊だから、きっとイエス様も許してくださるだろう…的なことをぐるぐる考えてる。

でも、お父さんにとっては、違ったのよ。
残念だけど。

男の子はお母さんにそっくりで、お母さんの代わりに自分を責めていると感じていた。
存在するだけで。
ほんとに責めたことなんてないのに。
男の子はお父さんにとって、「小屋の中の赤ん坊」じゃなくて「訪問者」だった。
イエス様だった、裁く人だった。

という非常にやるせない話でやんす。


で「虐殺器官」に話を戻すと、
主人公の父親は遺書も残さず自殺してて、残された母には罪悪感があった。
そして、その男の子ども。

「虐殺器官」の主人公も母親にとって「訪問者」だったのではないか。
だからいつも見つめていたんじゃないか。
怖くて。

主人公が母親の死に罪悪感を抱くずっと前から、逆だったんだ。
罪悪感を抱いていたのは母親の方だった。


というのが私の推理です。

けっこう腑に落ちる解釈と思うんですが、どうでしょう。

でも、

ここからどうしてあのラストにつながるか、やっぱりようわからんのです(^_^;)。


主人公は罰してほしい罰してほしいとうるさいんですが(^_^;)、罰を受けたら赦されるから、ほんとは赦されたいんでしょ。
母親に赦されることで、他の罪(主人公は暗殺兵)も赦される気がするんでしょ。

暗殺兵は、仕事の前に行うカウンセリングと脳科学的処置により、良心を感じなくする。
他人を殺すのは辛い、特に少年少女を殺すのは。
一瞬の判断が求められる戦場で、罪の意識に苛まれて、少年少女だからって殺すのを躊躇ったら、こっちが殺される。

良心を感じなくする処置は、「虐殺器官」と同じではないか。

暗殺兵は、痛覚を感じなくする処置すら受ける。
(ドクターKにありましたな。あれはただの麻酔だけど、今回はもっと洗練された術式)
するとどうなるか、手足がもげて内臓が飛び出しても淡々と戦闘を続けるゾンビバトルになるのだ。
「虐殺器官」の暗喩として繋がってると思う。

あ、人工筋肉の話もここにつながるんかなー。
あれもゾンビだわなー。

かつて主人公は良心の呵責なく、体の痛みすら感じずに、たくさんの人を殺した。
そして、良心の痛みを感じながら母親を殺した。
母親に罰してほしかった、そして赦してほしかった。
しかしそれはファンタジーだった。
それは母が死んでるからじゃなく、生きてるときから、たぶんきっと。
主人公は「小屋の中の赤ん坊」ではなかった。

そもそも、初潮も来てない少女が戦争に突入され、惨殺されている世界でないですか。
「小屋の中の赤ん坊」なんてもういないんですよ!

誰も赦して(罰して)くれない。
だから、「ぼくは自分を罰することにした」。
だから、アメリカに「虐殺器官」をばら撒いた。


やっぱりわからん、つながらん。

無理やり解釈すると、

ぼくは今までアメリカのためにアメリカ以外の国の人を無惨に殺してきた。
だから贖罪として、アメリカを内戦状態にして、他の国を攻撃させないようにするよ。
アメリカ国民がいっぱい死んじゃって辛いけど、ぼくへの罰として受け入れるよ。


それ倫理プログラムにバグがあるよ(^_^;)。
罰を受けるために、屁理屈で罪を増やしてるよ。
自分が殺した人よりも、更に多くのアメリカ人が死ぬよ。
それって贖罪、ではないよなー。
もっと積極的な行動、復讐?
そういうニュアンスもないし、モヤっと。



未来のハイテク兵隊さんの話ということで、あの「攻殻機動隊」とかぶるんだけど、攻殻機動隊の人らはもっとプロっぽくて、自分が成すべきこと、人を殺すこと、も受け入れていた。
クラヴィスは、なんかあまっちょろくてな〜。
自分で乗り越えるべき感情を人任せにしてきたから…。
メンタル弱い人でも殺人兵になれるっていうハイテク、良心のアウトソーシング、ある意味「ハーモニー」ですな。



(追記)
映画観ました。感想はこちら↓
【ネタバレ】映画「虐殺器官」の感想/インサイドヘッドダークサイド



関連項目
【ネタバレ】伊藤計劃「ハーモニー」
【ネタバレ】「ハーモニー」続き





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Last updated  2017.03.04 11:01:05
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