シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2007年01月09日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 シュタイナーは、数多くの講演と書籍を世に出しているが、前回まで、太古の医術、数秘学のものを、自分なりに要約し、言葉は悪いが一種ゲリラ的手法で味付けしてきた。

 今回から、秘教そのものへの探求をはじめたい。シュタイナーのなかでは、とくに秘教そのもの、いわゆる、秘儀参入法が、最も数ある神秘学の中でシュタイナー独特のクライマックスというべきものといえる。

 では、はじめたい。

 自然とは大いなる幻想である。「汝自身を知れ」

 超感覚的な世界の認識へと導く道についてまとめると、この超感覚的な世界の認識と、今日の輝かしい成功を基に導かれた何年にもわたる忍耐強く勤勉な探求の果実である現象世界についての認識とは相補的なものであることがわかるという。なぜなら、この現象世界の真実を理解できる人とは、人類のこれまでの知識遺産に、近年になって、自然科学や歴史科学によりつけ加えられた顕著な発見を、精神世界から導かれた洞察力によって補強できる人だからだという。

 つまりは、現象(物質)世界の背後にそれを生み出す超感覚的な世界があり、その超感覚的世界を洞察力により認識できた人のみが、現象世界に現れる真実を知ることができるという。

 人類が直面する外界は至る所で精神的であると同時に物質的であるという。つまり、あらゆる物質現象の背後には、真の主人公である精神的な作用力が見出されるという。精神的なものは真空中に存在することはできない。何故なら、それは絶えず活動すると同時に何らかの事象(時と場所)にある物質的なものに活発に浸透するからだという。

 精神力が主体となり、物質を動かし、そのプロセスの産物が次の物質を形成していくのである。



 人間が住むこの世界を、一方では物理的な環境についての考察を通して、また他方では精神的なものの知覚を通して、いかにその全体性において知り得るか、ということに関してまとめたい。そして、この要約によって、超感覚的世界の認識を達成するための真の方法と偽りの方法について示し、まとめることにする。

 実際の主題に触れる前に、超感覚的世界認識から、何を期待でき、目的とは何かについて、何らかの考えを持つことができるように、その導入部分を手短にまとめる。

 第一に、何故人類は精神的な探求を手掛けなければならないのか?何故人類は思考し、感じ、実践する人間として、現象世界をあるがままに受容できるようになっていないのか?一体何故人類は精神世界についての認識を達成するように努力するのか?という疑問を深く心に留めることが、この主題に関係するものだという。

 この関連から、古来の概念、つまり、人間が思考し、憧れをもち始めた太古の時代から受け継がれ、今日でもなお世界の根底を探求するときに見出される諺に言及する。

 何千年の時を超えて、東方から響いてくるのは、人類の感覚によって知覚する「世界はマーヤ、大いなる幻想である」という諺であるという。そして、人間がその進化のプロセスを通して常に感じてきたように、世界がマーヤであるとすれば、人類が究極的な真実を見出すためには、人類は「大いなる幻想」を克服しなければならないという。

 しかし、何故、人間はこの感覚的印象の世界をマーヤとして眺めてきたのか?何故、正に人間が今日よりも精神に近いところにいた太古の時代において、科学、宗教、芸術、そして実際生活の育成のために捧げられた秘儀の中心、つまり、純粋に外界の大いなる幻想に対置して、人間の認識と活動の源泉である真実と現実への道を指し示すことをその目的とする秘儀の源泉が生じたのか?太古の聖なる秘儀の場所で秘儀参入者の弟子を訓練し、幻想から真実へと導こうとした著名な聖人たちをどのように説明すべきか?この疑問に答えられるのは、より冷静に、より客観的な角度から人間を考察するときだけだという。

 「汝自身を知れ!」とは、過去の時代からやって来る別の古い諺であるという。先の諺とこの諺の2つの、つまり「世界はマーヤである。」という東方の諺、そして「汝自身を知れ!」という古代ギリシャの諺が融合したことにより初めて、後の人類の間で、精神的な認識を目指す探求が開始されたという。そして、結局、太古の秘儀の場における真実と現実を目指す探求もまた、世界は幻想であり、人間は自己認識を達成しなければならない、というこの二重の概念の中に起源をもっていたという。

 自己認識を達成すべきという精神的な認識(世界は幻想である、汝自身を知れ)

 人間がこの問題に取り組むなら、人生を通して、思考だけでなく、意志をもって、そして人間として直接関わることが可能な現実への十分な参加を通してのみ可能だという。世界中の人間が自分に、「外界というものは、見たり聞いたりすることは可能だが、人間が、なることができないものである」、と言えるには、人間が十全なる意識や、明確な理解をもつからではなく、ただ深い感情をもったときのみに可能であるからだという。

 この感情は深いところから来るもので、「汝が汝の五官で、(外界を)感じることは可能だが、なることはできない外界とはそのようなものである」という言葉が示唆する意味をよく考えてみる必要があるという。

 植物を見ると、最初に緑の芽が春に出て、夏には花が咲き、秋に向かって熟し、実を結ぶことがわかる。植物が生長し、衰え、枯れるその一生が一年の間に繰り返される。これは一年植物だが、多年植物は、幹を構成するために、一定の物質を土壌から吸収するという。



 そしてまた、人が動物を観察するとき、人間はその儚さに気づくが、それは鉱物界についても同じであるという。雄大な山々の連なりの中で鉱物が堆積するのを観察すると、身につけた科学的な知識によって、これらもまた儚いものだと気づくという。

 そして、人類が最終的に拠り所とするのは、例えば、プトレマイオスやコペルニクスの体系のような概念、或いは古代の秘儀や最近の秘儀から借用してきた概念であり、そして、人類は、「私が星々の驚異の中に見るもの、複雑で驚くべき軌道上にある太陽や月から私に光を投げかける全ては、また儚いものである。」と結論づけるだろう。

 しかし、その儚さとは別に、自然の領域には他の属性も存在し、もし人間が自分自身を知る存在であるならば、全ての儚いもの、つまり植物、鉱物、太陽、月、そして星々と、少なくともその儚さを感じている人間が同様に構成されているものだとは仮定できないだろう。

 人間存在が儚さと同等ならば、人間は儚さのうちに周囲の幻と共に消えうるからであり、自分自身を知ることなどできないからである。

 そして、人間は、自分の中に、周囲に見たり聞いたりする全てとは異なるある性質を有する次のような結論に至るという。私は私自身の存在を理解しなければならない。何故なら、私は私という存在を、私が見たり聞いたりするいかなるものの中にも見出すことができないのだからという結論に至るという。



 そして、太古人は古代秘儀のなかで精神世界を経験したという。ここでは、精神世界への正しい道をいかにして見出すかを主題としてまとめることになる。現代人は、現象世界を探求したときに採用したプロセスと同じプロセスを辿り、感覚的な知覚方法を単純に精神世界の探求へと移行するだろうが、もし、現象世界の探求が通常、幻覚に満ちているものとすれば、現象世界を探求するための方法をそのまま精神世界にも適用するならば、幻覚の可能性は減少するどころか、益々増加することになるだろう。そして、このようなことが実際に行われ、結果として、現代人はそれだけ余計な幻覚の犠牲になるという。

 そしてまた、もし、はっきりしない期待、漠とした熱狂、魂の暗い片隅から湧き上がる説明のつかない予感や精神的なものについての夢のような幻想を心に抱くならば、精神世界は永遠に未知なものに留まるだろう。我々現代人は憶測の世界に留まり、信仰にあずかることはあっても、真の知識を持つことはありえず。もし、我々現代人が単純にこの道を採用することで満足するならば、精神的なものをよりよく知るのではなく、益々分からなくなり、こうして現代人は二重に彷徨うことになるという。

 精神世界と現象世界に対して同じ探求の道を追求するならば、現象世界が幻想であることに気づくとしても、普通の精神主義者がときとして行うような、精神世界に対して現象世界に対するのと同じ方法でアプローチしようとすれば、益々大きな幻想に陥ることになるという。

 他方、別の道に従ってアプローチすることもでき、例えば、はっきりと明瞭な線に沿うのではなく、勝手な思い込みや漠とした熱狂によって精神世界を探求する方法が挙げられるが、当然のことながら精神世界は閉じられた本のままに止まるだろう。

 はっきりしない憶測や感情的な熱狂の道をどんなに熱心に追求しても、精神世界のことは益々分からなくなるという。第一に幻想が増幅され、第二に無知が増幅されるからだという。これら二つの偽の道に対して、正しい道を見出すべきであるという。

 精神世界への探求の二つの偽りの道
 1.物質世界と同様な探求方法を用いること
 2.勝手な思い込みや漠とした熱狂による探求方法を用いること 

 ここに書いた大いなる幻想についての知識を真の自己認識に置き換えるのは、ほとんど不可能なほど困難なことであり、更に言えば、たとえ精神的なものを理解するための真正で本物の道に向けて準備しているつもりではあっても、幻想に陥っている状態では、真の自分についての漠とした感情全てを克服し、現実の明確な知覚に至るのはいかに不可能なことであるかを心に留めておく必要があるという。





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Last updated  2007年01月09日 20時50分25秒
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