シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2007年03月23日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 さて、では心霊主義のいかなる部分が、人間の構成において、主要な問題を提示するかを正確に示すことができるという。この文脈では、必然的に、幾らか抽象的にみえるが、心霊主義の本性に関する理解において、いくらかの理解が得られるという。

 さて、(人間の)頭蓋の空洞中に横たわる人間の脳は平均で1500g、或いはそれより少し重い程度の重量をもつ。この脳の重量は、かなりの重量で、もし、人間の脳がその基底部にある繊細な血管を、脳自身の重量で押しつけたなら、直ちに押し潰されてしまうだろう。

 ところが、どんなに長く生きたとしても、脳の重量がその下にある血管網を押し潰すことはなく、このことは以下の正しい説明により、すぐに理解できる。現在のような構成を持つ人間を取り上げてみれば、脊椎管は上方に伸び、脳のところで終わっている(太古人は異なっていたという)。ある部分を除いて、脊椎管は液体で満たされ、脳はこの液体中に浮かんでいる。

 ここで、アルキメデスの原理について考えてみる。これは彼が風呂に入っているときに霊感の閃きで発見したと言われているもので、彼は次のような実験をしたという。彼が風呂に浸かっているときに、片方の足を水の上に上げ、続いてもう一方の足を上げた。彼は彼の足が水の上にあるか水の中にあるかで重さが異なることに気づいた。

 そして水に浸かっているときには足の重さが失われることに気がついたという。アルキメデスのような人物にとっては、この経験が更なる発展を遂げる。彼は、物体が液体に完全に浸されているとき、見かけ上、押しのけられた水に相当する重量を失う、ということを発見した。

 水を入れたビーカーを実験台の上に置き、バネ秤から紐で吊るした物体をその水の中に下げていく。その物体は、水中では、空中にあるときよりも軽くなる。物体が液体に浸されるとき、それは押しのけられた水の重量に等しい浮力を受ける、というのが、アルキメデスの原理である。

 この原理は人間にとって大変有り難いもので、何故なら、脳は脊椎液の中に浮かんでいて、脳の見かけ上失われた重量は押しのけられた脊椎液の重量に等しいからで、こうして、我々の脳は約1500gの重量をもたずにすみ、見かけ上失った重量は押しのけられた脊椎液の重さ、つまり、約1480gなので、アルキメデスの原理に従って、その実際上の重量はたったの約20gということになるという。

 つまり、我々人間は、脳組織の中に、その実際の重量よりもはるかに軽いものをもっているというわけで、脳は実質20gしかないが、この20gを大切にすべきで、何故なら、この20gこそが、我々の「自我」を担うことが可能なものだからだという。

 さて、我々の身体全体には、液体の媒体中に浮かぶ、あらゆる種類の固体成分、例えば血球などが含まれている。それら全ては、その重量の喪失を被り、その一部分だけが残る。それらも、また「自我」を担っているという。



 我々は、脳の重い部分に位置するもの、まだ文字通りの意味で重量を有するものに対して、最も厳密な注意を払う必要があるという。何故なら、他でもなくそこに「自我」が位置しているからで、そうでなければ、アストラル体やエーテル体等々が取って代わることになるという。

 霊媒とは、彼の構成体におけるこの固体の部分、20gの重量を有する脳がもはや「自我」を包含しない人のことであるという。「自我」は放逐されても、これらの部分は、まだ重量を保持し、元素(自然霊、妖精)存在たちが直ちに入り込むことが可能になっているという。

 唯物的な思考様式は、全てのものを分析的に位置づけしようとするので、元素存在が霊媒に憑依するとき、人間の、どの部分に入るのかを知りたがる。これは機械的、数学的に考える唯物的な心の持ち主が語りたがる事柄であるという。

 ところが、生命は機械的、数学的ではなく、ダイナミックに進行するもので、だから、その霊媒が純粋に数学的、幾何学的に位置づけ可能な場所において、取り憑かれている、と言うべきではないという。

 本質的に、霊媒が取り憑かれているのは人間の構成体における、重量或いは重さをもつ部分、つまり地球に引きつけられている部分である、と言う必要があるとはいえ、アーリマン的な存在たちは、そのようなところに入っていくことが可能であるだけでなく、別のところにも入っていくことができるという。いま示した、この記述は物事の最も粗雑な面を示したに過ぎなく、もっと繊細な面についても議論する必要があるという。

 さて、眼は、外界を見る器官で、眼の中に配置された視覚神経は脳に結びつき、色を感じ取る基盤を与えているという。唯物主義者は視覚神経がどのようにして色の感覚を脳に伝え、それを解き放つかを説明しようとする。彼はそのプロセス全体を船の荷役、或いは鉄道輸送と比較し、そのような類で論じる。

 何かが視覚神経に外から「積み込まれ」、神経によって輸送され、それがどこそこの場所で下ろされて人間の本質(唯物論者は脳というが、本質は魂)の中に入っていく、と。勿論、その説明は、このように粗雑ではないが、結局はそのような説明に終始する。しかし、真相は、これとは全く異なるという。

 視覚神経の機能は色の感覚を脳へと運ぶのではなく、ある地点で、感覚を捨てる(切り離す)ことだという。色は(物質の)周辺部に存在し、視覚神経の機能とは、色の感覚が脳に近づけば近づくほど、それを絶縁し、そのため、脳には実際、色の感覚がなく、ただ弱く、微かな色だけが脳に達するという。

 そして、色の感覚だけが絶縁されるのではなく、外界との、他の種々の関係も、また絶縁されるという。聞くことや、見ることは、感覚器官に関連する脳の近傍では、視覚神経と聴覚神経により、そしてまた熱を感じ取る神経により、(物体の)周辺に位置し、存在するものを、脳に達するプロセスにおいて、弱い印象へと減退させているという。

 つまり、外部にある周囲の本質を減弱させながら、内部に取り込んでいるという。これは免疫の概念で総括されうるといえる。つまり、直接取り入れると毒となるので、薄め、弱め、その情報の本質部分だけを取り込むという。それが神経の役割といえるだろう。ホメオパシー原理が身体に成立するのもここにあるといえる。

 これは同じカードを出すトランプゲームで簡略的に説明できる。外界のカードと同じものを、内部のカードから、出し、その情報だけを受け取るのである。ハートの1が出れば、こちらもハートの1を出すことで、ハートの1という情報を獲得するという風に、神経組織がそのようなゲームを行い、カードを捨てながら、最終的にその情報を脳が獲得するという感じであろう。これは免疫が抗体をつくり、外敵に対して中和させていく戦略そのものである。



 我々が感覚を通して、夜明けの素晴らしい光景を内部に印象として取り込むとき、後脳はその微かな影、ボンヤリとした(わずか20gの)印象(イメージ)だけを捕らえるという。そのボンヤリとした影にこそ、細心の注意を払うべきであり、何故なら、「自我」が入ることができるのはその微かな部分のみに限られるからだという。

 「自我」が隔離(切り離)され、霊媒的な力が現れる瞬間、元素(自然霊、妖精)存在たちが、この微かな影、聴覚から進み出てくる、僅かな音の中に入り込むという。この存在は、外的感覚知覚を失った、「自我」がいなくなった場所に滑り込み、霊媒として取り憑くという。

 次にそれは神経網、すなわち意志の形成を司る神経へと入り込むという。その結果、霊媒は活発に反応し始めるが、それは、本来「自我」の支配下にあるべきものが、元素(自然霊、妖精)存在たちに取って代わられるからだという。

 あらゆる微かで影のような要素、脳の(アルキメデスの原理による)残存重量、色や音の感覚の名残はファントム(幽体)のように、我々を捕らえ、何故なら、実質、この20gの重さはファントム(幽体)であり、我々人間の内的存在に入ってくる色彩の微かな影は、実際にファントム(幽体)のようなものだからだという。

 元素存在たちが、このファントムの中に入り込み、霊媒が深い昏睡状態になることによって、彼(霊媒)の身体が全く受動的になり、本来「自我」によって浸透されるべき(通常は「自我」が間借りするはずの)微かでファントムのような影の中に存在する、あらゆるものが今や彼(霊媒)の中で活動するようになるという。



 というのも、元素存在が筆記を用いる領域とは、重量を有する全てのものが液体の媒体中に浮かび、軽さの感覚やその感じを与え、そのため重力に左右されない領域、通常は「自我」がペンを操る領域であるからだという。そのとき、霊媒の中で、この人間ファントムの中で、ペンの支配権を握っているのは、元素存在だという。

 催眠術の原理もここにあると思われる。

 全ての霊媒現象において別世界の侵入が見られる、という事実は否定できないという。別世界のアーリマン的な存在たちは、ちょうど霊媒によって遂行される運動の中に入り込むことができるように、以前述べた(人間が発する)放射の中にも、入り込むことができるという。人間有機体の、特に腺組織の領域には強力な液体放射が存在しているという。

 これらの元素存在たちは液体放射の中だけではなく、呼吸放射や光放射の中にも潜り込むことができるという。化学放射(黒魔術)の場合だけは、化学放射を利用する人と、その中に入ってくる存在たちとの間に意識的な交流があるという。ここから始まるのが黒魔術、以前述べたような手法で入り込んでくる、これらの存在たちとの意識的な共同作業となるという。

 霊媒や霊媒を使って実験する人たちは実際にいかなるプロセスがそこで生じているのか、気づいていないという。ところが、黒魔術師は、これらの元素存在たちを、彼自身の目的のために、人間の、特に彼自身の化学放射の中に誘い込んでいる、ということを十分に意識しているという。

 だから、黒魔術師はこれらの元素存在たちからなる無数の僕たちに絶えず取り囲まれ、彼らが秘密の化学衝動を現象世界において用いることを、彼自身の放射を通して、或いは実験室で香木を焚くことによって可能にしているという。

 こうして、我々は、ちょうどベラドンナが未知の世界に踏み込むことによって、毒を持つようになるのと同様、精神世界が、霊媒を通して、誕生から死までの間に住む世界(この世)に踏み込んでくる、ということを学ぶ。

 そして、基本的には、人間の意識、つまり十全なる自我意識が抑圧されるとき、麻酔や昏睡状態にあるとき、或いは実際に気絶しているときには、いつでもその危険が存在しているという。

 眠りによってではなく、何か別の要因によって人間の意識が抑制されるときには絶えず元素存在たちの世界に曝される危険が存在しているという。次回は、このことが人間の生活において、いかに重要な役割を果たしているかを見ていく。





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Last updated  2007年03月23日 22時11分15秒
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