シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2008年03月07日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 さてここで、この「献身」がもたらす効果に関して考察する必要がある。我々人間が、思考をもって、「驚き」から「敬虔」へ、そして真実との叡智に満ちた調和の中で、自身を感じることへと進んだ後、最後に「献身」の態度へと至ったとき、何を達成するのか?

 それは次のようなことである。

「我々人間が、この世界に生きて、植物の素晴らしい緑を観察し、その変化する花の色を称賛するとき、或いは空の青さや金色に輝く星を(それらを評価するのではなく、それら自身が、自らを何者であるかを明らかにさせながら)、ジッと眺めるとき、その時、もし、本当に、この『献身』を学ぶことに成功していたなら、感覚世界のあらゆるものが、我々人間にとって変容を遂げ、我々人間の魂生活から取ってきた言葉以外の言葉では、言い表せないような真実が、その感覚世界の中に現れる。」

 下図1の線a-bつまり曲線Aが、我々の視界に広がる感覚の世界を示すとする。この図の下方に立って、c方向、つまり、観測者の眼前にベールのように広がる、その感覚世界Aを見る。線a-bは、観測者の耳に働きかける音、目に働きかける色や形、その他感覚器官に働きかける、匂いや味、硬さや柔らかさ等々の、要するに、感覚世界全体の境域のつもりである。 

fig1.jpg

 通常の生活において、人間は感覚世界の中に立ち、判断能力をその感覚世界に適用する。全ての科学はこのようにして生じたのではないだろうか?

 人間は感覚の世界に関して、様々な方法を用いて、その支配法則を探求するが、今まで述べてきた全てから分かるように、そのような(科学の感覚による)手続きは、人間を真実の世界へと導くことはない。

 何故なら、(人間が行う)判断は、真実の導き手では全くなく、人間が真実の世界へと沈潜できるのは、ただ「驚異」や「敬虔」他の道を辿りながら、自らの思考を教育する事によってしかできないからである。その時、感覚世界は変化し、全く新しいものになる。そして、感覚世界の真の性格に関して、何らかの知識を得るべきなら、この事を発見することが重要になる。

 今、この感情、この「献身」の態度を、かなり高度に発達させた人間が、瑞々しく輝く緑の牧草地を見渡すのを想像する。一瞥しただけでは、その人間はどんな個々の植物の色も見分けることはできない。全体が新鮮な緑の様相を呈するだけである。



 それは静かにゆったりと流れる水に譬えられるだろう。このような光景が、その人の魂の前に魔法のように必然的に出現するのを感じる。そして、それは、あらゆる味、あらゆる匂い、そしてあらゆる感覚の知覚についても同様に出現するのである。

 それらは不可避的に、その人の魂の中に、内(精神)的な運動や活動の感情を呼び起こす。どんな色も、どんな音もその人に語りかけ、あらゆるものが何かを語りかける。そして、それは、その人が内(精神)的な運動や活動(判断や意見ではなく、運動、それも活動し生きた運動)をもって、出現するものに応えざるを得ないように、感じるような形で語りかける。

 要するに、そのような人に対して、感覚世界が、いわば、その仮面を脱ぎ捨て、意志という言葉でしか言い表せないようなもので、自分自身を明らかにするときがやってくる。感覚世界の事物全ては意志、力強い意志の流れなのである。特に、この事に注目すべきである。

 多少なりとも、高い「献身」の段階に到達した人は、感覚世界の至る処に、支配する意志を見い出す。この「献身」の性格を、たとえ僅かでも自分の中に発達させた人が、例えば向こうから突然、吃驚するような色の奇抜な容姿で、誰かが来るのを見たとき、苦痛を感じるのは、このような意志を感じることからくる。

 その人は外から近づいてくるものに対して、内(精神)的運動や活動を経験しないわけにはいかない。その人はあらゆるものに内在する意志に敏感であると同時に、この意志を通して、全世界と1つに結ばれているのを感じる。

 このようにして、感覚の世界は、いわば無限の多様性を持つ意志の海になる。そして、もし、この事象が、意志をもたなければ、単に周囲に広がっているもの(物質世界)としか感じない感覚世界が、実はある一定の厚み、或いは深さを持っているということを意味している。

 我々人間は、事物の表面の奥にあるものを見聞きし始める。そして、そこで見聞きするのは意志、それも流れる意志である。

 ここで、ショーペンハウアーの読者の、興味のために述べると、彼はこの支配する意志を、ある一面的な方法、つまり音の世界に関して言い当てた。彼は音楽を、意志の多様な働き(運動)として記述した。しかし本当は、献身を学んだ人にとっては、感覚の世界のあらゆるものが、支配する意志なのである。

 〔真空のエネルギーや負のエネルギー正体は、神々の支配する意志なのである〕

 さて、感覚の世界のあらゆる処に、この支配する意志を感知することを学んだ人は、更に先に進むことができる。その人は、もしそのような事を学んでいなければ近づくことができない感覚の世界の背後に隠された秘密へと沈潜する(貫き至る)ことができる。





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Last updated  2008年03月07日 19時42分48秒
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