シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2011年04月23日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 ここで、人間の魂に対応する気分を考察することで、月紀という、この宇宙進化の段階で達成された精神の発展に関して考察できる。

 「憧れ」が行き詰まり、もはや、いかなる種類の変化も経験できなくなったときの状態が、いかに苦痛に満ちたものであるかを知らない人など皆無である。

 それは、耐え難い状態、「退屈」と呼ぶべき状態に陥る。

 通常生活では、「退屈」という表現を、表層的な意味だけに用いるが、「退屈」には、様々な段階がある。偉大で高貴な本性の中にも、外界の中では満たされないような「憧れ」として、高貴な本性自身が表現する「憧れ」が生きるが、「退屈」の中には、そのような高貴な本性にも影響を及ぼすようなレベルの「退屈」も存在する。

 この高貴な「憧れ」を満足させる方法として、「変化」以上に良いものがあるだろうか?

 それは、この「憧れ」を感じる存在たちが、新しい存在たちとの関係を絶えず求め続けていることからもわかる。「憧れ」の耐え難い苦しみは、新しい存在の集団との絶えず変化する関係により、しばしば克服される。

 以上のように、「地球」が、「月」という進化状態を通過する間、「退屈」という一種の荒廃状態に陥ったが、運動霊の到来により、「憧れ」に埋没した存在たちの生命の中に、変化や運動、すなわち、新しい存在たちや状況との絶えまない更新関係がもたらされる場面が霊視できる。

 ある場所から別の場所への空間中での移動という物質的な「運動」は、これまで述べてきた広義の「運動」のうちの1つの側面に過ぎない。別種の「運動」を経験するのは、例えば、朝、目覚めたとき、夢という魂の中にある思考内容を、自分のなかだけに留めず、誰か他の人に話すときの気分などである。

 以上のように、人間は、多様性や変化、いわば、人間が経験する中の精神的な運動を通し、「憧れ」の中にある一面性を克服する。外的な空間中に存在する「運動」は、変化に付随する特定の能力の1つに過ぎない。



 しかし、運動霊が来て、その惑星を、太陽の周りを周回するように導き、位置に変化をもたらす。位置の変化は、変化の一種に過ぎない。運動霊が宇宙における位置の変化を生じさせるとき、「運動」という一般的な現象の中の特別な形態が生じる。

 運動霊が、運動や変化を、宇宙に導入したことで、また別の存在が到来した。

 進化する全宇宙の多様性の中に、運動霊、人格霊、叡智霊、意志霊等々の形で、霊視してきた事実は、空気や気体の精神的な基礎を形成するように放射される叡智の方向に沿って、「徳」が流れることで、物質という形態もまた与えられ、存在する、というものだった。

 「憧れ」へと変容した意志と共に運動する精神的な存在(運動霊)の中に、人間が、「像(イメージ)」として知る別の存在を霊視できる。この存在は、人間にはいまだ思考の本性だとは知られていない。この存在は、夢を見るときに持つ像(イメージ)により視覚化できる。

 流動的で移り変わる夢の像(イメージ)の中に、「憧れ」として生きる意志が、運動霊によって、他の存在に関係づけられることで、別の像(イメージ)を生じさせる。ある存在が別の存在の前に立たされるとき、前者が後者に完全に帰依(依存)することは不可能だが、それは、前者の存在の中に自身の自我が生きているからである。

 しかし、その問題の前者は、まるで夢の像(イメージ)のような別の移り変わる像(イメージ)を受け取ることができる。

 以上のように、魂のなかに、像(イメージ)の潮流(対流)とも呼べるような現象が生じる。言い換えれば、この月紀という進化期の間に、像(イメージ)の意識(形象意識)が生じた。

 (形象意識とは、霊視能力のことでもある。現代人は、この潜在意識の上に、顕在意識があるために、顕在意識の方が明るいので、覚醒時、潜在意識はいわば眠っているが、訓練して、眠っているときの夢をみる意識を、開発すれば、霊視できるようになる。)

 そして、人間は、現在の地上的な自我意識なしに、この月紀という進化期を通過したことから、人間は、今日、自我を通して達成すべき意識を欠いている自分を想像しなければならない。

 (覚醒意識を保ったまま、潜在意識にも到達できるようになるべきである。簡単にいえば、相手の心を読み解けるようにならないといけない。)

 当時、人間は、統合的な宇宙の中に存在し、織り込まれていたが、一方で、「憧れ」の経験に比較できるような苦悩が生きていた。



 魂の表現としての苦しみや痛みが、人間の本性の中や、人間の進化に結びついた他の存在たち(魔物たち)の本性の中に入り込んで来たのは、「月」紀の進化期だった。

 他の存在に結びつかなければ、空虚となった内的な自我が、「憧れ」に苛まれる内的な自我となり、運動霊の到来以降、治癒的な慰めに満たされることになったが、それは運動霊の活動を通して、他の存在たち(魔物たち)の本性の中に注ぎ込まれた像(イメージ)を意識する形でなされた。

 もし、上記の出来事が生じなかったら、人類以外の「月」紀の存在たちは、「月」の本性ともいえるが、その魂の中に「憧れ」以外は何も存在しない空虚な存在となっただろう。けれども、像(イメージ)という慰めが、孤独と空虚の中に滴り落ち、多様性で満たし、追放と非難から、その精神的存在たちを解放した。

 以上のような事実を真剣に受け止めるなら、地球が「月」紀の進化状態にあったときに発達した魂の奥底に横たわる気分と、「地球」紀の進化状態下に魂のなかに層を成し、現代人の意識の奥深くに横たわる気分の両方を把握できる。

 上記の2つの気分は、あまりにも魂の奥深くに横たわっているために、海底を循環している海水が、海面に波を生じさせるのと同じように、気づかれることなく活動を始め、意識の中へと現れて来る。通常の自我意識の表層下に、表面へと押し寄せる可能性をもつ魂の奥底に根ざした気分(対流)がある。



 この魂の無意識的な領域の宇宙的な発生を一度理解したなら、魂の奥底から生じ、感じとられる魂の気分とは、「月」紀の進化期に導入されたが、「地球」紀になって初めて、人間に浸透した気分を克服するものであることがわかる。「月」紀と「地球」紀との相互作用を把握すれば、「月」紀から「地球」紀へと精神的にもたらされた気分とは何かを説明できるようになる。

 これまで述べてきたように、荒廃を緩和するためには、像(イメージ)が絶えず浮かび上がる必要があった、という点を覚えておくべきである。この点に留意すれば非常に重要で意義深い概念に至るだろう。

 「憧れ」の渇望と空虚の苦しみの中の魂は、 次から次へと生じる一連の像(イメージ)によって満足させられ、苦悩から生じる「憧れ」を、調和の中に保つという概念に到達するだろう。

 幾つかの像(イメージ)が生じ、しばらく留まった後、魂の奥底で再び「憧れ」が目覚めると、運動霊が新しい像(イメージ)を生起させる。すると、新鮮な像(イメージ)がまたしばらく存在するようになるが、結局は更に別の像(イメージ)への「憧れ」が新しく生じてくる。

 この隠れた魂の領域の側面について、重要なことは、絶えず新しい像(イメージ)により、「憧れ」が満たされても、この際限なく続く繰り返しの流れに終わりはない、という事実である。

 この際限のない過程に介入できる唯一の方法とは、際限なく続く像(イメージ)の流れの中に、像(イメージ)以外の何かが参入することで、その何かとは、現実として、「憧れ」を「購える」ものである。

 言い換えれば、「地球」が惑星として体現した進化状態では、運動霊の活動から導かれる像(イメージ)が「憧れ」を満たすが、そのような状態は、「救済」の段階と呼ばれる状態により代償されなければならない。

 実際、これから見ていくが、過去の「地球」の体現である「月」紀が、「憧れの惑星」と呼ばれるのと同様に、この「憧れ」は無限に続き、決して終わらない経過を通してのみ満たされるが、この流れには「贖い」が必要なので、「地球」紀は「贖いの惑星」と呼べるだろう。

 人間が人生を通して、地上的な意識の中で生きるとき、この意識は、ゴルゴダの秘儀による「贖い」の行為を、人間の魂の前にもたらす。

 「憧れ」に対する「贖い」を絶えず生じさせる気分が、魂の奥底から生じてくる。それはまるで、魂の表面には通常の意識の波があり、その下の、「隠れた魂の領域」という海底には、「憧れ」の形を取って、魂の海底岩盤が生きているかのようである。

 供儀を遂行しようと飽くことなく熱望しているかのような「憧れ」を満たしてくれる宇宙的な存在は、ただ無限に続く像(イメージ)の繰り返しによる慰めではなく、最終的に満足させてくれる存在である。

 地上に生きる人間として、上記の魂の気分を実際に感じ取ることができる。この気分は人間が経験できる最良のものである。実際、地上に生きる人間の中で、今日、「憧れ」を感じる人たちが、特に、近代において、人智学的な運動に参加している。





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Last updated  2011年04月23日 14時42分53秒
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