シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2011年07月12日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 クリシュナは、没落していくポストアトランティス時代の第3文化期の英雄である。伝説では、クリシュナが第3文化期の最後に登場したことを語っている。正しく理解すれば、伝説の通りとなる。クリシュナは、古い認識を殺し、曇らせる者でもある。

 クリシュナは外的に出現し、目的を達する。登場以前の、人間の周囲を取り巻いていた、サットヴァ認識のような叡智を、暗くする。

 しかし、バガヴァッド・ギーターでは、このときのクリシュナは、どのように描かれているのか?

 このときのクリシュナは、奪った叡智に対する、いわば調停として、すなわち、日常の人間性にとって失われた叡智に対して、ヨーガによって、いかに上昇していくことができるか、という指針を、1人の人間(アルジェナ)に与えた。

 以上のように、クリシュナは、世界のなかの古いサットヴァ認識を殺す存在であると同時に、ギーターの結末においては、失われた認識が、後世の人間たちに、現れてくるように、再び導いて行こうとするヨーガの主(導師)でもある。

 現代人が、外的に、日常の衣服のように身につけている知識を克服し、打ち負かし、太古の霊(精神)状態に戻るときにだけ、獲得できる古代のサットヴァ認識へと、クリシュナは再度、人類を導く。

 以上は、クリシュナの二重の行為だった。クリシュナは世界史の英雄として振る舞う一方で、古い認識の象徴である蛇の頭を打ち砕き、物質(肉)体に宿ることを、人類に強いる。物質(肉)体のなかでだけ、自我は自由で、すなわち自発的な自我が獲得できる。

 対照的に、クルシュナ以前、人間の自我を成立させていた全ては、外から放射されていた。クリシュナが世界史的な英雄として出現し、状況を一変させた。クリシュナは、人間にとって、魂への帰依や沈潜という、内的な発見のために、かつて失われた叡智を再現する存在だった。

 以前、このクリシュナは、人智学徒が、自らの魂に作用させたギーターの場面において、壮大に姿を現し、アルジュナに、自身の本質として姿を現した存在である。ただ、このときは、アルジェナの内からではなく、外から見られ、始まりも、終わりもなく、外のあらゆる空間に広がっているように見られた。



 その箇所とは、現代人には、説明不可能な箇所で、すなわち、クリシュナが、アルジュナに、アシュバッタの樹(菩提樹)、つまりイチジクの樹の、「根を上に向け、枝を下に向けている」、という性質を述べて、明らかにする箇所(第10詩の冒頭)である。

 この箇所で、更に、クリシュナはアルジュナに、「この菩提樹の葉の1枚1枚が、ヴェーダの書の頁に相当し、この菩提樹が一体となって、ヴェーダの叡智をもたらす」、と述べる。この箇所は独特である。

 では、一体、この箇所は、どのような意味をもつのか?

 「根を上に、枝を下に向け、一枚の葉が束になって、生命の大樹としてヴェーダの内容をもたらす」という示唆は?

 さて、この問いに答えるには、太古の認識へと参入し、太古の認識が、どのように作用していたかを、はっきりと理解しなくてはならない。現代人は、いわば物質的な感覚器官を通じて、伝達される今日の認識を知るだけである。

 たった今示した太古の認識は、エーテル体のなかで獲得された。人間が、まるごとエーテル体であったわけではなく、物質体のなかにあったエーテル体のなかで太古の認識が獲得された、という意味である。

 太古の認識は、エーテル体の組織化により獲得された。

 いま、その認識が、まるで目の前にあるように考察してみる。エーテル体のなかで、古代人が感じたように、蛇により認識するとき、現代人には、認識できない対象が世界に存在する。

 現代人が日常生活で、自然に振舞うとき、周囲の多くの対象を知覚するが、いま、世界を観ている現代人を考察してみる。その観察する現代人が知覚できない対象がある。

それは脳である。

 現代人は、観察する際、自分自身の脳を見ることができない。このような事態は、エーテル体のなかで観察できるようになれば、不可能でなくなる。エーテル体での観察では、日常では、見えない新たな対象が出現する。

「いま、まさに、自分のエーテル的な性質のなかにいる」 、というような感情をもった知覚なのである。

 人体の上部を見れば、全ての器官に通じる神経が、上部の脳のなかに集まっているのが霊視できる。そのイメージは次のような感情をもたらす。

「これは上部に、上へと伸びていく根を持ち、下部全ての四肢のなかに、枝を降ろしていく樹である」 、という感情をもった知覚である。

 しかし、実際、 その菩提樹は、皮膚の内側にあるような小さな存在ではなく、巨大な宇宙樹のように感じる。根は遥か遠方の空間の彼方へと伸び、枝は下へと向かう巨大な宇宙樹である。

エーテル体での認識をもつ古代人は、自分を蛇と感じ、いわば自分の神経組織を対象として見て、「神経組織は、遥か遠方の空間の彼方まで根を伸ばし、下に向かって枝を生やしている巨大な樹である」 、という感情を持つ。

 (エーテル体の感覚器、つまりチャクラを開花させると、自分の神経組織が、菩提樹のようにみえるという。御釈迦さんが菩提樹で悟りを開いたというのは、このエーテル体の感覚器、つまり太古の認識を獲得したという意味である。

 また、このエーテルの感覚器を、蛇と呼び、秘儀参入者も、蛇の象徴で表わし、古代エジプトの像には、蛇が象徴としてよく用いられているのは、このエーテルの感覚器を覚醒させたという意味でもあろう。

 エーテルの感覚器では、人間の脊柱が、蛇にみえるようである。医学の象徴でもある「アスクレピウスの杖」は、エーテルの感覚器でみた、人間の神経組織、つまり宇宙樹、菩提樹のことだろう。

 「ヒポクラテスの樹」も、この宇宙樹のこと、つまり菩提樹のことなのだろう。

 つまり、ヒポクラテスは医学を教えるときに、瞑想法を用い、自分のなかの神経組織を霊視させたのである。現代人は、外にある樹だと錯覚しているわけで、本当は、人間の内にある樹なのである! 生命の樹とは、人体の神経組織のことである!)

 以前の講義で、「人間は、ある意味、逆転した植物である。」と述べた(1)ことを思い出して欲しい。

1)シュタイナーの連続講義『神殿伝説と黄金伝説』(1905年5月29日ベルリン GA93)、『キリスト教の秘儀』(1907年2月16日ライプツィヒ GA97)その他を参照のこと。

 バガヴァッド・ギーターの上記の奇妙な箇所を理解するには、以上のような全てを考慮する必要がある。以上のように、今日のオカルティズム(秘教学的認識)の根底から、新たな方法で再起し、覚醒しなければならない、太古の叡智が現れるので、驚きを感じる。

 このとき、この生命の樹が明るみに出す叡智を体験する。その樹の、葉のなかに成長する叡智、すなわち、外から放射してくるヴェーダの叡智を体験する。

 ギーターの驚くべきイメージが、いま、目の前に現れる。そのイメージは、根を上に、枝を下に伸ばし、叡智を含んだ葉を持つ樹、そして樹に巻き付いた蛇である。このイメージを既にみたことがあるかもしれないが、蛇の巻き付いた生命の樹のイメージが、目の前に姿を現す。

 (何度もいうが、医学の象徴は、人間の神経組織のことである。そもそも、2匹の蛇が杖の周りにトグロを巻いた奇妙な図を、意味深い理由もなく、医学の象徴に選ぶのは現代感覚ではあまりにグロテスクだろう。

 また、この生命の樹には、DNAの二重螺旋構造の意味も見え隠れしているように思える。霊が二重螺旋のダンスを踊ることで、DNAから、神経組織がつくられるようにみえる。

 天照の岩戸隠れは、岩戸の前で、踊ることで、笑いが起き、天照が出てきたという神話だが、この神話も、生命の樹を表現しているのではないかと思う。

天岩戸
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E5%B2%A9%E6%88%B8 )

 以上のような太古の事物に目を向けると、全てが意味深いものとなる。エーテル体の感覚器をもつと、この根を上に、枝を下に向けた樹が、目の前に姿を現す。この樹は、天国の樹とは逆の方向を向いているように感じる。

 このイメージには、深い意味がある。というのも、天国の樹は、人間の樹とは反対の進化の方向性、すなわち、太古の叡智とは反対の、クリシュナより後の、古代ヘブライを経てキリスト教へと入っていく進化の方向性をもつからである。

 (天国の樹は、人間の樹とは、進化の方向としては、逆さまである。人間の樹は、神から人間に進化した歴史が刻んであるが、天国の樹は、人間から神に進化する未来の歴史が刻んであるからである。

 つまり、人間の樹は、神という霊から、人間という物質的な神経組織がつくられた進化図、いわば設計図で、天国の樹は、物質的な神経組織を、再び、霊的に浄化していく、つまり、3種の神器をつくっていく設計図というわけである。)

 以上のように、ギーターの、この箇所には、太古の叡智への特別な示唆も与えられている。





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Last updated  2011年07月13日 09時25分38秒
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