シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2013年10月30日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 しかしながら、二元性を全てとする人は、間違っている。この例を挙げて明らかにしてみる。

 神智学の話題でさえ、「2という数は単なる顕現の数であり、完全性を表わす数ではない」という、この真の神秘学(オカルティズム)の原則を守っていないことがよくある。この原則を知らない人々による通俗のオカルティズムでは、よく進化は、進行か、退行として起こる、と言われているのを耳にする。

 真相を知れば、この発言が間違いであることがわかる。けれども、まず進行と退行とはどういう意味なのかを少し調べておく。

 では植物を観察してみる。植物が持てる根、葉、茎、花、実などの各器官を全て備え、完全に成長した植物を観察してみる。

 次に植物が生えてくる小さな種子を観察してみる。いまは小さな種子の粒だが、この小さな粒の中には後にそこから生長する植物全体が含まれている。その小さな粒の中に植物が閉じこめられているわけである。なぜその中に入っているのか?

 種子は植物から取られたもので、植物は生長力全てを種子の中に注ぎ込んだからである。だから神秘学(オカルティズム)においては、この進行と退行の二つの過程、つまり、1つは、種子が生長し植物へと展開する-「進行」と、もう1つは、植物が収縮し、その形態全てがいわば種子の中に潜り込む-「退行」とを区別できる。

 従って、器官を沢山持つ存在が、どの器官も見えないような小さな粒に萎縮してしまうなら、その過程は退行と呼ばれ、逆に、小さな粒から生長し、自己展開する過程は進行と呼ばれる。生命においては、この二元性が交互に展開しているが、それは顕現だけにすぎない。

 しかし、植物だけに、この二元性を追求できるのではなく、高次の生命の領域においても事情は変わらない。

 例えばアウグスティヌスから中世を経てカルヴァンに至るヨーロッパの精神生活の発展を思い浮かべ、探求してみる。この時代の精神生活に視線をあわせてみるなら、アウグスティヌスの場合ですら、ある種の神秘性が発見できる。

アウグスティヌス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%82%B0%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%8C%E3%82%B9

カルヴァン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3

 この人物の感情生活の深い神秘性を感じとることなしに、彼の著作、特に「告白」を誰も読解できないだろう。さらに時代を辿っていくと、スコトゥス・エリウゲナのような驚くべき人物が発見できる。彼はスコットランド出身の修道士だったので、スコットランドのヨハネスと呼ばれ、カール禿頭王の宮殿で生活していた。

エリウゲナ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%82%B2%E3%83%8A

 彼は不幸なことに教会で切りつけられた。伝説の語るところでは、修道士仲間たちが彼を留め針で死に至るまで拷問したという。無論、これは言葉通りには受け取れないが、彼が拷問により殺されたことは事実である。

 しかし、彼は素晴らしい書物を著した。「デ・デヴィジオーネ・ナトゥラエ("De divisione naturae")」、すなわち「自然区分論」で、この書物は途方もない深い神秘性を示している。

 ( ウイキから、「この中で彼は自然を以下の四つに区分している。
 1.創造されず、創造する自然 (神)
 2.創造され、 創造する自然 (善、真理、永遠、イデア、存在)

 4.創造されず、創造しない自然 (神と一つになる被造物の完成状態。)

 そこでエリウゲナは人間を精神世界と物質世界をつなぎ目となる存在、移行部分と考えた。その方法論は非常に理論的で三段論法を駆使したものであった。」 )

 更に、いわゆるドイツの坊さん横町(当時のライン河沿いは、「ヨーロッパの偉大なるプファッフェン(坊主)横町」と呼ばれていた。)と呼ばれる街では、この神秘的な感情が、民衆全体を魅了したが、この坊さん横町に、神秘家たちを発見できる。彼らは、精神性の頂点にあったばかりでなく、民衆でもあった。

プファッフェン通り
http://ta-ro.at.webry.info/200911/article_23.html



ニコラウス・クザーヌス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%8C%E3%82%B9

 この時代を、後の、この時代に替わる時代、つまり16世紀に始まり、現代にまで続く時代と比較してみれば、決定的な相違に気づく。その出発点には、包括的な思考により、精神生活に革新を引き起こしたコペルニクスが立っている。彼は、この思考が人類と一体化するほど注ぎ込んだので、今日、それと対立する思考をもつ人は馬鹿者とみなされる。

 それからガリレオが、ピサで教会のランプの揺れから振り子の法則を発見する。このように一歩一歩時代の経過を辿っていくと、細部にわたるまで、中世との厳しい対立が発見できる。神秘的な感情は次第に衰えていき、神との親密さも消えていく。

 知性や理性が次第に現われ出てきて、人間はますます利口に、分別をもつようになっていく。このように、全く正反対の性格を持つ2つの時代が前後して続く。人智学は、この2つの時代の説明を与える。これには、そのようになるべき必然性という神秘学(オカルト)の法則があるためである。

 アウグスティヌスからカルヴァンまでの時代は、神秘主義の進化と理知の退化という時期で、その後の理知の進化と神秘主義の退化の時代に、我々は生きている。これはどういうことなのか?

 アウグスティヌスから16世紀までは神秘的な生命の外的な展開の時代であり、神秘性が外に現われていたのと同時に、その当時、それと対立する理知も、いわば種子の萌芽として存在していた。つまり、理知的な生命の萌芽が密かに隠れていた。

 この理知的な生命は、いわば種子のように霊的な地中に隠され、16世紀以降少しずつ展開していったのである。このように理知的な生命は、当時は、いわば植物の種子の中にあるような、退行(内展)の状態だった。

 宇宙では、このような退行(内展)の状態が、予め前もって存在しなければ生じてくることはない。16世紀以来、理知が進行(外展)の状態となり、神秘的な生命は退いて退行(内展)の状態となった。そして今や、再び、この神秘的な生命が現れて来なければならない時代が到来した。人智学運動によって、その光は再び展開し、人類を進化へと導くはずである。

 このように生命の全てにおいて、進行と退行が顕現し、交互に展開している。だから、この2元性しかみない人は、外面しか見ていない。全体を見るなら、この両者の背後にある第3の存在をつけ加える必要がある。この第3の存在とは何か?

 今、貴方が外界の現象に向かって立ち、その現象を考えるとする。貴方は存在し、外界も存在し、そして貴方の中に思考が生じる。この思考は以前には存在しなかった。例えば貴方が薔薇について思考する時、この思考は貴方が薔薇と関係を結ぶ瞬間に初めて生じる。

 勿論、貴方が存在し、薔薇も存在していたが、今、貴方の中で、薔薇についての思考、薔薇の像が現われた時、いままでとは違う、何か新しい、まだ存在していなかったものが生じる。この関係は、他の生命の領域でも同様である。

 ミケランジェロの製作活動を思い浮かべてみる。ミケランジェロは、モデルを使って製作したことは実際ほとんどなかったが、彼が、モデルを使ったものと想像してみる。ミケランジェロが存在し、モデルも存在していたが、ミケランジェロが、このモデルから、魂の中に得た像は、全く新しいものとなる。

 この製作活動は、全く新たな創造行為なのである。この製作活動は、進行や退行とは何の関係もない。この創造行為は、ミケランジェロのような、受け入れる存在と、モデルのような、与える存在との交流から生まれた全く新しいものなのである。

 このような新たな創造は、常に存在と存在との交流を通して生まれる。

 以前、考察したことを思い出せば、思考がいかに創造的で、魂を高貴にでき、後には肉体の形成にも働きかけることがわかる。ある存在が一度考えたこと、つまり思考やイメージの創造は生き続け、作用を及ぼし続ける。

 (思考やイメージが神の存在の証)

 それは新たな創造であると同時に始まりであり、しかも結果をも導く。今日、貴方がよい考えを持つなら、この考えは遠い将来必ず実を結ぶ。貴方の魂が、霊界で独自の道を歩むからである。肉体は再び元素に帰り、崩壊するが、思考を生み出した肉体が崩壊しても、思考の影響が残り、思考はそのまま働き続けるからである。

 (善因善果、悪因悪果。我思う故に我あり。)





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Last updated  2013年10月31日 08時41分31秒
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