シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2014年01月30日
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カテゴリ: 軟弱日本を斬る!
 前回の続き。

 ☆  ☆  ☆

 カリオストロの弟子たちが失敗したというようなことを述べているのではない。全体として、彼らはアストラル体を理解するには至った。カリオストロは、アストラル体の見方を教えることに非常に長けていた。破局に襲われるずっと前に、彼はリヨンの学堂以外にも、パリ、ベルギー、ペテルスブルク他のヨーロッパの二、三箇所に学堂を設けることに成功した。

 後年、それらの学堂出身者のうち少なくとも何人かは、高位メーソンの18、19、20位まで達した人びとに、基本的な認識を与えることができた。ともかくカリオストロ伯爵は、ローマの牢獄で生涯を終える前に、ヨーロッパのオカルト・メーソンに重要な影響を及ぼした。

 世間は、カリオストロに対して、本当は何一つ判断を下すべきではなかった。カリオスト
ロについて話すのは、一般的に言って、アフリカのホッテントットが高架鉄道について話すようなもので、カリオストロの一見非道徳的な行為が、世界の出来事とどのように関連しているのかを、ほとんどの人々には洞察ができなかった。そのことを以前にも述べたことがある。

 フランス革命はオカルティストたちの秘密の会合から生じ、その流れを遡ると、奥義に達した人たちの学堂にまで至るだろう、と以前述べたことがある。

 メーベル・コリンンズの小説『フリッタ』を理解するのは困難であろう。彼女は、ある奥義に達した人が、秘密の場所で世界のチェス盤を前に、どのように駒を動かし、大陸のいわばカルマを、小さな単純な地図の上でどのように決めたのかをグロテスクな形で描いた。

 しかしその描き方をそのまま真実であると言うわけにはいかない。『フリッタ』で述べられていることは歪められた模像であり、実際はもっと壮大な形で事が運ばれている。



 しかしルイ16世の大臣が、サン・ジェルマン伯爵に敵対していたので、彼は王に近づけなかった。彼は女王に、どんな大きな危険が待ち受けているか、非常に厳しい口調で、かつ詳細に述べた。しかし残念ながら、彼の警告は重視されなかった。

 彼はその時、「風を蒔く者は、つむじ風を刈り取る」と言った。これは真実を踏まえた偉大な言葉である。更に、この言葉を自分は既に数千年前に口にし、キリストは、この言葉を繰り返して言った、と語った。この言葉は第三者には理解できない。

 サン・ジェルマン伯爵は正しかった。実際にあった、二、三の事柄だけを付け加える。サン・ジェルマン伯爵について書かれた本を読めば、彼は1784年に、最高位に昇進したドイツのフリーメーソン員の一人ヘッセンの領主の宮廷で亡くなったことがわかる。彼はサン・ジェルマン伯爵が死ぬまで面倒を見ていた。

 しかしダデマール伯爵夫人は回想録の中で、1784年より大分年月が経ってから彼が現われ、ずっと後まで合わせて6回も彼に会ったと述べている。実際、彼は1790年、ウィーンで数人の薔薇十字会員の前に現われ、そこで語ったことも真実だった。彼は、自分が85年間東洋に引きこもり、そして85年後に再びヨーロッパで活動する、と言った。

 85年後の1875年は神智学協会が設立された年にあたる。こうした事柄は全て、ある形で関係し合っている。

 ヘッセンの領主が設立した学堂でも、賢者の石と五芒星形の認識という二つの事柄が重要だった。彼によって当時設立されたフリーメーソンは若干勢力が弱まりながら、今も存続している。今述べたフリーメーソン全体は、エジプト儀礼のメーソンの、メンフィス・ミスライム儀礼のメーソンと呼ばれている。

 この儀礼を成立させたのはミスライム王で、彼は東方のアッシリアから移ってきて、エジプトを征服した後で、エジプトの秘儀に参入した。このことはなお古代アトランティスに由来する秘密である。そのときから伝統はずっと続き、新しいフリーメーソンは、当時エジプトで設立された団体の継続にすぎない。(P108-P112)

新しい形式の帝王術

 フリーメーソンには太古の象徴の、いわゆるT(タウ)文字がある。

   T

 このT(タウ)文字は、フリーメーソンの中では大きな意味を持っている。それは上部を取り去った十字架に他ならない。この十字架には、鉱物界が省かれている。人間が既に鉱物界を手を入れているからである。



 メーソンについての前回の講義を聴いたなら、ヒラム・アビフについてのフリーメーソンの伝説のことを憶えているだろう。彼は、ある決定的瞬間に、T文字を表してみせた。シバの女王は、もう一度神殿建設に従事する労働者たちを呼び集めるように望んだ。

 ソロモンの呼びかけでは、社会共同体のなかで共同に作業する人びとは現われなかった。ヒラム・アビフが掲げたT文字によって、あらゆる方面から人びとが現われた。このT文字は、全くの新しい力を象徴している。その力は、新しい自由な自然力を呼び起こす。

 前回の講義の終わりに述べたことを、再度取り上げる。生命なき自然に通暁する結果が何なのかを述べた。空想を豊かにしなくても、1つの例から、なぜそれが重要なのか、を理解できるだろう。

 無線電信は遠方の発信所から受信所に働く。人が欲する時に機械を動かし、遠距離に作動するように、意思を通じさせることができる。

 この無線電信の場合の作用と似た力が、未来の人間には電信機なしでも自由に使えるようになる。また、その力で、破壊者の居場所が発見されずに、遠方に大きな破滅を引き起こすことも可能になる。もしこの進歩が最高点にまで達したら、遂に進歩が逆転する段階まで来るだろう。



 T文字により表わされているものは意識力である。それは、無私の愛の力によってのみ動かされる。その力で機械を動かすこともできるが、利己的な人間がその力を使用したら、機械が止まってしまう。

 モーターを設計したキリーを知っているなら、そのモーターは、彼が傍にいる時だけ動いたことを知っているだろう。彼は人びとを騙したのではなく、彼は自分の中に、このT文字で表わされる意識力をもっていた。その力は魂から生じるが、機械をも動かすことができる。

John Ernst Worrell Keely
http://en.wikipedia.org/wiki/John_Ernst_Worrell_Keely

 道徳のみからなる意識力こそが、未来の理念である。それは、文化自らが逆転できないときに、文化に植え付けられるべき最重要な力なのである。機械と道徳は、互いに浸透し合わなければならない。なぜなら道徳でない機械は無意味だからである。

 現代人は、機械と道徳のこの境界線のぎりぎりの所に立っている。水や水蒸気だけではなく、未来においては霊力や霊による道徳が機械を動かすだろう。この霊力は、T文字によって象徴化され、すでに詩などのなかの、聖杯の姿により暗示されてきた。

 自然が任意で人間に与えたものをただ利用するだけでなく、人間が自然を形成し、改造して、生命なきものの建築師になったのと同じように、やがては生命あるものの建築師にもなるだろう。(神殿伝説と黄金伝説 P294-P295)

近代の民主主義思想とフリーメーソン

 すでに述べたように、近代のフリーメーソンはイギリスにおいて、もちろんそれまでの伝統をふまえた上で、18世紀初頭にはじめて設立された。以来、大英帝国内ではなく、イギリス王国内でのフリーメーソンは、非常に尊敬すべき形で存続してきた。けれども、他の多くの地域でのフリーメーソンは、主として、またもっぱら、政治的な利害打算の中だけで動いている。

 そのような政治的な利害打算をもっとも顕著にあらわしているのは、フランスの大東社〔グラントリアン〕だが、フランス以外の大東社にもこのことは多少当てはまる。

 イギリス人は次のように言うかもしれない。「他国では、オカルト的な背景をもつフリーメーソン結社が政治的な傾向をもつからといって、我々に何の関わりがあるのか」。

 しかし様々な事実を相互に関連づけてみると、パリにおける最初の大東社ロッジは、フランス人ではなく、イギリス人の手によって創設され、イギリス人がフランス人をそこへ加入させたことがわかる。それは1725年のことだった。

 1729年には、この大東社の承認の下に、最初のロッジの一つが同じくパリに創られました。次いで、同じくイギリス人の手で、1729年ジブラルタルに、1728年マドリッドに、1736年リスボンに、1735年フィレンツェに、1731年モスクワに、1726年ストックホルムに、1735年ジュネーブに、1739年ローザンヌに、1737年ハンブルクに創られた。

 こう述べていくと、きりがなくなる。いま述べたいことは、たとえイギリス王国のとは違った性格をもっているとしても、イギリス人による同じネットワークの一環として、これらのロッジが創られ、特定のオカルト的=政治的な意識のための外交的な道具にされている、ということである。

 もしもこの政治的意識の深い根拠を問うなら、近世史をもう少し広く展望する必要がある。この意識は17世紀以来-既に16世紀から-準備され、民主化運動となって普及してきた。ある国ではよりはやく、別の国ではよりゆっくりと、少数(王族など)の手から権力が取り上げられ、大衆の手に委ねられるようになった。

 いまこの話を、政治的な立場から述べているのではない。だから、民主主義を擁護するつもりで語っているのでもない。ただ事実だけを取り上げるなら、この民主化の意識は、近世史を通じて、加速度的に、テンポを速めて普及していった。

 しかし、その際に、それとは異なるもう1つの意識の流れも、一緒に形成された。複数の意識の流れが現われているときに、その中の一つだけを取り上げて考察すると、判断を誤ってしまう。

 1つの流れが世界中に広がっていく際、常にまた別の、もう一方に意識の流れが生じ、はじめの意識の流れを補完する。歴史の上に緑の意識の流れと赤の意識の流れとが並んで存在するとき、人びとは通常、その一方の意識の流れだけを見るように、暗示にかけられる。

 鶏の口ばしが進む方向に沿って餌を地面をまけば、その鶏は餌をまいた線に沿って歩く。そのように人びとは、特に大学の歴史研究者は、一方側に寄り添って歩き、歴史の進行全体を洞察する余裕を失っている。

 民主化の流れの背後に、様々な結社の、特にフリーメーソン結社の、オカルト的な力を利用しようとする流れが見え隠れしている。オカルト的な力を利用しようとする動機は、決して精神主義であるとは言えないのにも関わらず、一見精神主義の振りをしている貴族主義が、フランス革命で大きな役割を演じ、あの民主主義と、手に手をとって発展してきた。

ロッジの貴族主義(階級主義)が密かに出現した。

 現代人に相応しく、社会に参加し、社会の仕組みに通じたいと思うのなら、民主主義の進歩に必ず持ち出される決まり文句に目を眩まされてはならない。ロッジの儀礼や、その洗脳力とによって、支配力を少数のものにしておこうとする働きに、眼をしっかりと向ける必要がある。

 ☆  ☆  ☆

 現代人は、少数のものによる多数の支配を打ち砕き、各々のモラルの意識により、互いの違いや様々な価値観を共有していく新しい平和の認識を確立していく必要が求められている。

 全体の組織のなかでの個人というような血縁を基にした古い自己意識から脱皮し、自らのなかに既にある個性を道徳(創造)的に高めていくことで、新しい自己意識を獲得すべき時代に遭遇している。





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Last updated  2014年02月03日 10時26分42秒
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