相川彰一の Keep Walking ~歩き続けよう~

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カテゴリ: 小説
毎週土曜日に連載している小説の続きです◎

===

 その後も“彼女”とのメールのやりとりは続いた。メル友という言葉は、自分と“彼女”のような関係を指すんだろうと思いながら、ボクは返ってくる“彼女”からのメールに返事をしていた。

===========

 「でも・・・」
 自然にそんな言葉が出た。ちょっとした間を置いて、「でも、どうしたんですか?」と青木が訊いてきたが、ボクは次の一言が出るまでしばらくかかった。
 「単なるメル友関係じゃ満足できなくなっていった」
ボクはそう言うと、またしばらく黙り込んだ。

 ===========

 前田の中で“彼女”への想いは日に日に強くなっていた。会いたい衝動に何度もかられ、ながらも、でも同時に、”彼女”に対する想いの扉に何度もカギをかけようとした。なぜ、そこまでする不必要があったか自分でも分からなかった。しかし、うまくいかなかった。むしろ、押さえようとする扉の向こうには、巨大な水圧を感じた。

 こんなことじゃ、いつまでも会えない。
 じゃあ会って“彼女”に何を伝えようか?
 単に迷惑になるだけじゃないか? 
 彼女の気持ちを大事にすることが先決じゃないか?
 じゃあ自分の気持ちはどうすればいいんだ?

 そんな葛藤を感じていたある日、携帯の電話が鳴った。見たことない番号だった。不安を感じながらも電話を取った。
 「もしもし、前田さん?」耳覚えのある甲高い声だった。阿部さんだった。ボクがあることから企業の財務諸表の読み方に興味を持つようになり、その勉強の過程で知り合った友達だった。
 「携帯の番号を変えたから電話したの。私たちお互いにボーダーフォンだったから、電話番号しか知らないじゃない。それで電話したの。調子はどうなんですか?」
その明るい調子の声とは裏腹に、ボクは「ぼちぼちです」と答えた。その後、簡単に互いの近況を話した。その過程の中で、ボクは一方的な想いを寄せる女性がいて、どう振る舞っていけばいいのか迷っていることを話した。
 「そっかぁ。前田さんもそんなこと考えるんだ。懐かしいな、そんな時代って」

 そうボクが言うと、阿部さんは電話の向こうで笑い出しながら「何言ってんの。中三にもなる娘がいるおばさんよ、私。しかもバツイチのオマケまで付いてるの。もう青春なんて終わったわよ」と言った。「『バツイチ』をそんなに明るく言う女性の人もそういないお思いますけど」と冗談ぽく言うと、「そんなことないわ、結構バツイチを経験した女の人って男の人が思うよりもタフなのよ」と笑いながら言った。
 その後、話がお互いの恋愛観になり、自然と結婚観の話に移った。
 「それで、前田君はその“彼女”と結婚したいと思ってるの?」
 「できるなら、そこまで望んでいます。『運命』って言葉があるなら、“彼女”とのために使いたいですね」
 「相変わらず文学的ですね。私の一方的な話になってしまうんだけど、いいかしから?前田さんの参考になればと思ってるの」

 「いいですよ。お願いします。」

続く





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Last updated  2006年07月22日 06時22分25秒
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