愛 こ と ば・心 の 散 歩 路

愛 こ と ば・心 の 散 歩 路

2007/04/11
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         ……壁に衝突


シゲ 「そうなんですか……?

    激烈な職場だったんだ。

    ……うーん。

    しかし現実の問題として、

    毎日困ったでしょう?

    たとえ不満はなかったと

    してもですよ。実際……仕事に

    ならんでしょう?」

ゆり 「そうですよ……。やってる仕事の中身について、

    ほとんど分らなかったんでしょう?」

志時 「そりゃー、困ったさ……。タイヘンなんてもんじゃ

    なかったよ……。……仕事の経験不足だけは、どうする

    事もできない。……知識が無いんだから…………。

    ……『気合』じゃどうにもならないよ……」

シゲ 「……ですよね」

ゆり 「でも……先輩ならさ、新しい考え方でバンバン

    やりそうな気もするけどな……」

志時 「なるほど、一理あるな……。しかし実際にはそれも、

    それなりの権限か、あるいは、そういった力の後ろ盾が

    あってできるもんなんだよ……企業の中では……な」

シゲ 「新米じゃ、ダメですか………………」

志時 「仕事がら、たくさんの人を説得しなきゃならん訳だ。

    それも、すべてが目上の地位の人を……な。

    新しい事を提案するにしても、その必然性を

    説かねばならん……。

    おまけにその案はすべて、相手にとっては辛い内容

    なんだ」

シゲ 「……辛い……と、言いますと……?」

志時 「うん……、人員削減案だったからな…………。

    説得に当たっては、過去から現状に至る、正しい理解と

    分析が極めて大事なわけだ……」

ゆり 「現実の理解も無しに、色々言うな!ってな事に

    なるんだ………?……ねっ…………辛~~~い」


青い花.jpg



志時 「革命だって、なぜ過去を殺すかの理由が要る……。

    まして企業内の仕事なんて、いきなり、『無』から

    『有』を生み出すって事は少ないからな…………。

    飛躍はほとんど無い。飛躍に見える連続なんだよ……」

シゲ 「…………ホント、大変だったですねぇ」

志時 「対象の部門を説得に行ったのは良いが……、

    逆に、向こうの管理者からやり込められて、

    すごすご帰ってくる訳だ。

    ホント……悔しかったなぁ……」

シゲ 「相手は、部長クラスなんでしょう?

    ……そりゃー当たり前ですよ」

志時 「うーーん。今思い出しても屈辱の日々だったなぁ……。

    ………。でもな……この悔しさが……良かった。

    ……本当に良かったんだ……」

ゆり 「……?」

志時 「『悔しい……』という思いってのは、恐怖心を

    和らげてくれる所があるんだよ………」

シゲ 「恐怖心って、……恐れですね……。

    ……なるほど、姿勢が守りだったら、悔しいなんて

    感じないって事ですかね。

    ………ウーン。でも、志時さんの性格だったらですよ

    ……そんなにうまくいかない事って、

    断腸の思いだったでしょうね………………。

    ――――しかし、やつぱり会社もおかしいですよね。

    そんなことさせて…………」

志時 「……うん、俺に能力がなければな……。

    おかしいかもしれん……」

シゲ 「えっ……………………?」

ゆり 「?????????……………………。

    まっ、飲みながら、飲みながら………ねっ」

志時 「だって、会社は俺に全く新しい任務を与えている訳だ。

    向こうは、俺にやれる力があると思ったわけだろう?

    信じてくれたのかもしれん…………」

シゲ 「なるほど、それは、そうでしょうね……」

ゆり 「試しているわけ……?…………」

シゲ 「……!」

志時 「だから、取りあえずは、やりたいじゃないか……な。

    切り抜けさえすれば会社の見る眼は正しい。

    ……そして、志願した俺もハッピー………ってわけだ」


810黄花.jpg



シゲ 「はあ……?でも、大変な会社ですね……」

志時 「まあな……、毎日、毎日、やり込められるっていうより

    怒鳴りあげられるんだからな。……ホント。……正直、

    びびった事もあったよ……ホント……ふぅぅぅぅ……」

ゆり 「まるで喧嘩みたいですね……」

志時 「向こうさんも大変だよ。何と言ったって一国一城の主

    だからな…………。うっかりこっちのペースに乗って、

    説得されたりすると、家臣共に厳しい思いをさせたり、

    場合によっては、やり手の部下から突き上げられたり

    するんだからな。……そりゃー必死だよ向こうも……。

    今、こうやって思い出してもさぁ、最も厳しかった

    案件で、要員80人の所を45人に

    減らすってのがあった………」

シゲ 「えっ! 半分に近いじゃないですか……。

    現場の事、良く分かりもせんで、なに偉そうに

    言ってるんだ!ってな風に、やられる訳ですね……」

ゆり 「お前じゃ話にならん!上司を連れて来い!

    ……なーーんてね……」

志時 「そうそう、……でもさ、すごすご帰ると、今度は、

    自分の課長からその三倍は怒鳴られるのよ。

    子供の使いじゃないんだ!!!

    もう一度行って来い!!! って……。

    ……結果出して帰って来いってな……」

シゲ 「あーあ。……でっ、どうしたんですか?」

志時 「うーん……。これじゃいかんと思った。このままだとさ

    『あいつは、やる気はあるが能力が無い』って

    言われるのは確実だからな。

    ―――相当に考えこんだよ。

    クソーって……燃えたなぁ………………」

ゆり 「わぁー!前向きー!恐いくらい………

    ねぇねえ……なんで?」

志時 「とっとっ……。ちよっと失礼……、

    ……トイレタイムだ…。…………ふぅー」


青花.jpg


<………………………………………………………………>


赤い葉.jpg


シゲ 「ゆりィ……なんかさぁ……厳しい話やなぁ……」

ゆり 「はい、ビール…………。

    ねぇ……シゲさん、結局は猛烈社員奮戦記っていうか?

    志時センパイの昔の自慢話ってことでしょう?」

シゲ 「自慢話は言い過ぎだろう。…苦労話だよ。しかし、

    俺達に、わざわざ話してくれてる意味が何かあるんだ。

    きっと…………な。……今迄もそうだった……」

ゆり 「ふーん、意味……ねぇ。そう言えば、大体いつも

    そうだけどね……」

シゲ 「いつの世も…………。

    真は真……。

    偽は偽で……、変わることなし……」

ゆり 「えっ?シゲさん、念仏…………?」

シゲ 「勘だけど……そんな趣旨かなぁって、感じる………」

ゆり 「………………?」

シゲ 「ゆり、嫌いか? ……この種の話」

ゆり 「嫌いって事ないですよ。だからと言って飛びつく程、

    好きでもないけどね……。男の人って理屈っぽいから、

    何かと難しいしね……」

シゲ 「フフフッ……、彼氏もそうなんだな……?

    ゆり、何だったら中座してもいいぞ。

    ……後は俺ひとりで付き合うから……。

    彼氏……、待たせてるんじゃないか?」

ゆり 「いえいえ………今日は違う。それにさ、シゲさん、

    私ね、けっこう楽しいんですよ……」

シゲ 「そうか、それなら良し。……だけどお前なぁ、少しは

    考えて喋れよな……。時々、ハラハラするぞ。

    ご馳走にもなってるんだから……、なっ!」

ゆり 「へへへッ……スミマセン。でもね志時先輩なら

    良いんです。この前も、ゆりのそんなところが良い所

    だって言ってくれましたから……」

シゲ 「そうか、志時さん、ふところが深いからな。

    ……なら、良いが………。

    おっ、ご帰還だ」



薊1.jpg薊1.jpg



志時 「……スマン、スマン、待たせたな……」

ゆり 「いえいえ~……どう致しまして………」

志時 「シゲさん、ゆりチャン、固い話でスマンな……。

    どこまで話したっけ……」

シゲ 「いえいえ………。先輩、それにしても、その職場では

    全く孤立のような状態だったんですね……その時」

ゆり 「周りにゃ味方もいないし、敵ばっかりだし………」

志時 「ウン、しかし、味方がいたって……、元々何の役にも

    立たんけどな…………」


          <続>




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Last updated  2007/04/13 12:57:23 PM
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