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2003年12月24日
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元外務官僚の著書「さらば外務省」を読んだ。


さて、この著書の冒頭に筆者の外務省退職のきっかけとなった文書が全文掲載されてある。これを読んで外務省の職員の中には「男泣き」した人もいるということであるが、読むかぎり、どうしてこれがそんなに素晴らしい意見なのかよくわからない。
文章の趣旨は国連決議なしのイラク攻撃はなにがなんでも阻止するとともに、一日も早い中東和平交渉の再開を訴えたものであり、こういう考えもあるであろう。ただ、結論はともかくとして、その理由として述べられている部分にどうにも納得しがたいところがあるのである。

まず、「中東地域で手を汚していない日本…こそ、もっと積極的に中東和平にイニシアチブを発揮すべきである」という部分である。こうした言い方は、天木氏のみならず、様々のメディアや評論家のものいいの中にもでてくる。確かに、中東は文化的にも地理的にも日本から遠く、歴史的なしがらみのないという意味では、日本が「手を汚していない」地域である。しかし、そうしたしがらみがないからといって、その地域でイニシアチブを発揮できるかどうかは別の問題ではないか。イスラム教徒からみると、旧約聖書をともに聖典と戴くユダヤ教徒やキリスト教徒は「教典の民」とよばれるが、無心論者や偶像崇拝教徒(仏教徒)は人間外の存在であるという。イスラム教色の強い中東世界で、日本のような、彼らから見れば人間外の存在ばかりの国家がしゃしゃりでたところで相手にされないだろうと思うがどうであろうか。
次に、「唯一の被爆国である日本、そして戦争を放棄した世界でも稀有な平和憲法を誇りとする日本こそ、世界にさきがけて平和の重要性を訴え、その実現に貢献すべきである」というくだりである。これが朝日新聞あたりの論調なら、「ああ、またいつもの…」と思うのだが、現役外交官が、大まじめでこんなことを考えていたとしたら、あまりにもナイーブすぎるのではないか。日本は唯一の被爆国であることは歴史的事実であるが、だからどうこうというのは、感傷としてはともかく、論理の世界ではあまり意味はない。被爆国だから核廃絶の先頭にたつという選択もあれば、核の恐ろしさを身をもって知っているから相互抑止力としての核兵器を保有するという選択だってあり得るのである。そしてまた平和憲法を持っているから平和に貢献すべきというのも、わかったような、わからないような言葉である。交戦権を放棄した憲法というのは世界でも確かにまれであるが、これは別の言い方をすれば、国民や国土が外国から危害を加えられても武力では守ることも報復することもしませんよという規定で、それほど国民こぞって「誇り」とするものなのだろうか。それになによりも、そんな平和憲法をもつのは日本の側の事情であって、日本が主導する平和構築に、ついていくかどうかは、またそれぞれの国の事情によるものであろう。
私はもちろん素人であるし、これについては、もしかしたら天木氏に深い考えがあるのかもしれない。ただ、そうではなく、戦後教育の中でさんざん吹き込まれてきた平和憲法礼賛そして観念的平和主義に基いているだけの意見だとしたら、こういうお考えの外交官がやめて下さってよかったと…本当にそう思う。

閑話休題
あの建国義勇軍の事件…具体的に死傷者のでていない、というより初めからでるわけもなかった犯罪にしては、朝日新聞の報道ははしゃぎすぎではないのだろうか。普通の国民で、あれについて民主主義の危機だとかなんだとか本気で怒り心頭に達している人って、はたしてどれだけいるのだろうか。だいたい被害者からして○○や▲▲だしね。そして、単に「刀剣友の会」と最近関係をもっただけの西村代議士をあそこまで名指しで非難するのにも、なにか違和感をもってしまう。この間、詐欺事件で逮捕された辻元清美についての社説がいやに好意的だっただけにね…。





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最終更新日  2003年12月25日 22時24分14秒
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