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2016年12月13日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
一生のうちに読むことのできる本は限られている。だから、読書はできるだけ「名作」として評価の確立しているものを読むようにしている。もちろん「名作」といっても感動するものもあれば、なんでこれが「名作」と思うものもあるのだが…。

国際という名にはじず、登場人物の国籍は多彩であり、主人公のドイツ青年とその従兄、ロシア夫人、主人公の考え方に影響を与えるイタリア人と東欧生まれのユダヤ人、それになぜか「大人物」とされるオランダ人の富豪、ついでにわき役ながら中国人までいる。小説のかなりの部分は、イタリア人とユダヤ人の論争なのだが、実はこの論争はさっぱりわけがわからない。これは翻訳のせいではもちろんなく、この時代のヨーロッパ人の精神世界がわかりにくいということがあるのかもしれない。この二人の論争を無意味なもののようにしてしまう「大人物」のオランダ人になると、いったいなにを考えているのか…。
こうした論争部分はちょっと読むのが苦痛であり、これで読むのをやめる人もいるのかもしれないが、それ以外の部分は非常に面白い。雪の中での遭難の危機や交霊術の実験など、それ自体が一つの中編小説のような趣もある。そしてまた、これは21世紀の今日読むからこその興味なのだが、主人公が初めてレントゲン写真をみたときの驚きやレコードではじめて音楽を聴けるようになった感動などがいきいきと描写されている。
サナトリウムといっても、贅を尽くした食事と娯楽の機会が入所者には提供されており、闘病の場というよりも、この世の喧騒を離れた別世界のようだ。登場人物の何人かは病気により、あるいは病気を背景とした自殺により、死んでゆくのだが、それでも、あまり悲惨さはなく、主人公ハンスはあっというまに、サナトリウムの生活に順応してしまう。そして7年後には再び下界に下りていくのだが、これは闘病生活の終了というよりも「ひきこもりからの脱出」のようにもみえる。具体的には、第一次大戦の勃発により志願兵として戦線に赴くのだが、このあたりの主人公の心理は全く描かれていない。
小説として面白いのだが、肝心な部分で理解できないところが多く、読後感としてはちょっと不満がのこる。
*
この国際サナトリウムを舞台にした小説に影響をうけ、高原のサナトリウムを舞台してかかれた小説が「風立ちぬ」である。続けてこれも読んだが、こちらの方はあっという間に読み終えた。男女の愛がテーマで「魔の山」よりはずっとわかりやすい。ただ、主人公は、ヒロインの闘病と並行して、それをテーマに小説を書いており、その結末はわからないようなことを語っている。それがなんとなくヒロインに対して残酷な行為のように思えるのは小生だけだろうか。





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最終更新日  2016年12月13日 20時25分03秒
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