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2019年01月07日
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カテゴリ: 読んだ本
この間、「心洗われる話」について書いたが、今回はその中に収録されている「たけくらべ」と「瞼の母」について書いてみる。

筒井筒 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな 妹見ざる間に
井戸の筒に背を比べる頃からあったような幼馴染の恋というくらいの意味である。
ただ、「たけくらべ」の主人公は井筒に背を比べるような子供よりはもう少し大きく思春期の少年少女であり、内容も淡く美しい青春と恋というのとは違う。
作者の樋口一葉には遊郭にすむ女の悲哀を描いた小説が多いが、「たけくらべ」もその系譜につらなるもので、やはり中学生が読む小説とは違う。実は中学生の頃に読んだのだが、文語体の部分がよくわからず、あまり印象に残らなかったのだが、文語体が分かったとしても、小説の世界はわからなかったかもしれない。
明治期の遊郭を中心とした庶民の住む界隈が舞台なのだが、その時代の子供はどんな家に生まれるかで、ほぼ将来の生業が決まっていた。金貸しの子は金貸しに、棒ふりとよばれた人力車夫の子は車夫に、お寺の子は僧侶に、そして遊郭の子は芸妓にと。主人公美登利は、初恋を契機に、本当の恋のできない芸妓の哀しさを実感するのだが、それを思うと物語前半の気前よく小遣いをばらまき、子供らしい遊びに熱中する姿も、そうした運命から目をそらしたかったのかもしれないようであわれである。
一方「瞼の母」は典型的な剣劇ものの脚本で、いまどき、こんな芝居はやらなそうなのだが、実際の舞台でもみてみたい。登場人物の一人に素盲の金五郎というのが出てきて、物語や台詞では盲人とはとても思えず、ネットで見てみると、素盲とは丁半ばくちのいかさまの一種とあるが、そんなところで、いかさまばくちの常連くらいの意味だろう。こうしたものには注が必要である。





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最終更新日  2019年01月07日 23時07分44秒
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