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2025年03月24日
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カテゴリ: 読んだ本


 南総里見八犬伝(九)を読んだ。かつて読んだときにはこのあたりでリタイアした記憶がある。しかし、今読んでみると、軍記物語のような趣があり、これはこれで面白い。難をいえば、伏姫の冥助が都合よく出すぎることと、作戦が平家物語、太平記、三国志にでてくるようなものが多くオリジナリティがないことくらいだろうか。それでも面白いことには変わりない。
 そしてこの里見対関東管領軍との戦いは親兵衛以外の七犬士がメインであり、それぞれの個性も描き分けられている。八犬伝をもとにした映画などでも、八犬士集合後は描かれていないものが多いが、集合後のこの会戦の部分も不可欠であろう。
 親兵衛はこの会戦には途中参加でさほど活躍していないのであるが、親兵衛は終始、仁の玉をもつだけに、人を殺すことには消極的な別格の犬士で、殺戮の場にいなかったというのは作者の用心と思われる。かわりにこの会戦の場で異彩をはなつのは智の玉を持つ軍師毛野と敵中に潜入する大角であり、特に大角には、ここまでは博識の文人というイメージが強かったので、ここで一流の武将としての見せ場を作るという作者の意図を感じる。
 里見八犬伝は完結までに二十数年を要したのだが、物語自体は犬士達の運命が動き出すところから会戦までは六年の出来事で、八犬士もまだまだ若者である。若く優れた八人が安房に集結して、仁政を旨とする主君のもとで、理想の社会を作るという一種のユートピア小説といった趣もあり、この会戦がおわった後も読むのが楽しみだ。人はなぜ小説を書くのだろうか。作者によって様々なのだろうけど、最近公開された映画「八犬伝」のように、作者はこの小説の中に作者自身の理想を描きたかったのかもしれない。






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最終更新日  2025年03月24日 09時19分36秒
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