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2026年09月30日
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カテゴリ: 読んだ本


中学生の時に初めて読んだ日本文学が「雪国」だった。筋はよくわからなかったが、列車の窓に女性客の姿が写り、その中に外の灯りが動いていく描写など印象的な場面が心に残っていた。さて、長い時を経て読み返してみても、よくわからない。師匠の息子と駒子、そして葉子の関係は何なのだろうか。最後の火事の場面で葉子だけが逃げ遅れたのはなぜなのだろうか。「この子、気がちがうわ」と葉子を背負った駒子が叫んだのはどういう意味なのか。いろいろと想像はできるのだが、これは島村目線で私小説風に描いた小説なので、明確にする必要もないのだろう。
そして中学生の時に読んだときは、島村目線の雪国の旅館の細々とした描写が、そんな地域に旅行に行ったことなどない自分には興味深かった。あらためて読み返すと親の資産で無為徒食の生活をしている島村という男が雪国の駒子という芸者に惹かれ、ときどき彼女に会うために雪国の旅館に逗留する話だとわかる。島村には妻子がおり、たまに雑文を書く生活をしていて、その生活を崩すつもりは全くない。島村にとって駒子に会うことは、国境の長いトンネルの先にいくことであり、非日常の世界で、旅行者としての新鮮な眼で駒子の美、雪国の美を鑑賞することであった。恋愛というよりも、芸者遊びの小説で、今の倫理観のようなものを持ち込んだら、はたしてこの小説はノーベル賞を受賞しただろうか。まあ、余計なことを思わずに、島村目線で、日本的な美意識に裏付けられた雪国の描写、紅葉の描写、そして最後の火事と天の川の描写などを鑑賞するのが正しい読み方なのだろう。
それにしても、親の資産で旅館に逗留を続ける島村と、若くして売られていった駒子の境遇は対照的だ。戦前の社会は格差が大きく、資産で暮らす高等遊民がいる一方で、貧しい階層では娘の身売りもあった。そういう時代だった。





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最終更新日  2026年10月01日 07時48分06秒 コメントを書く
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