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下記のサイトさまで委託販売させて頂いています。委託先magnet-councilショップ名 akanesora で販売しています。↓こちらは少し小さめのトートバッグです。グリーン無地のコットン生地にビーズを縫い付けています。他にも沢山のショップさん達が素敵な商品を出品されていますよ
2025.11.27

ミニポーチ2点セット・販売中下記のサイトさまにてハンドメイドを販売して頂いています。ハンドメイド雑貨 委託販売のお店 magnet council私のショップ名akanesora-他にも色々なハンドメイドの作品が販売されています。
2025.11.22

ハンドメイド・ミニミニポーチミニミニポーチ・縦14cm 横10cm ふた7cm小さいポーチはとても可愛らしいですよ。カードが入るサイズにしています。ポーチは↓こちらのサイトで委託販売して頂いていますショップ先magnet-council他にも色々なショップさまのハンドメイド作品が記載されています。私のショップ名 akanesora
2025.11.21

委託先ショップ委託販売をお願いしていますサイト・・magnet council私のショップ名 akanesoraミニポーチ2点セット・・販売中 1.500円可愛いポーチを作ってみました。お買い求めは上記のサイトで・・
2025.11.20

ハンドメイド・販売magnet council↑ハンドメイドのお品を委託販売して頂いてるショップさまです。記載した写真は別のサイトで販売していたお品でSOLD OUTになっています。可愛いミニバッグです。お子様向けに作りました。
2025.11.19

昨日のトートバッグと同じ生地で可愛い小さいサイズのリボンを生地に縫い付けてみました。こちらは[SOLD OUT]になっています。下記サイトにて委託販売をお願いしています。ハンドメイド・委託先akanesora
2025.11.16

ハンドメイド・トートバッググリーン無地生地にビーズを付けています。少し小ぶりなトートバッグ下記のサイトにて販売しています。magnetハンドメイド委託先私のショップ名は「akanesora」です。ハンドメイドの商品を上記のサイト様にて委託販売をお願いしています。写真から撮って記載していただけますので、出品もとても楽です。セール価格にしている商品もあります。他に色々なショップさまが登録されています。見ているだけでも楽しいですよ。大手のハンドメイドショップの場合、登録しても埋もれてしまいますが、こちらのサイトは程よい数ですのでゆっくり見て頂けます。一度足をお運びくださいませ
2025.11.15

久しぶりにハンドメイドをUPしました。ミニポーチ色々ちょっとした小物を入れるのに丁度いいサイズです。縦10cmx横13cm ふたの部分5cm
2025.11.14
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今日も素敵なオルゴールを見つけてきました。素敵な曲が入っていましたよ。【アンチモニー蝶々BOXオルゴール】星に願いを パッヘルベルのカノン 国内メーカー製量産18Nメカ使用 宝石箱 スワロフスキー アンチモニー からくり 小物入れ プレゼント 6017.000円【クーポン配布中】クリスマス ジュエリーボックス 子供 オルゴール アクセサリー プリンセス 女の子 3歳 4歳 プレゼント おもちゃ 知育玩具 ピンク お姫様 宝箱 メロディー 音楽 誕生日 女の子 ギフト DJECO ジェコ デライテットパレス5.700円暮らしの雑貨 TYLER SHOPミニ木製オルゴール 18 Note Wind Up Music box 木製音楽ボックス 金メッキのムーブメント搭載 クルミ2.600円【神戸オルゴール 18N 木製フォトフレーム(ストッパー無し)】606.900円素敵なオルゴールが見つかるといいですね
2025.11.13
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時には時間を忘れてみませんか優しい音色が素敵なオルゴールを見つけてみました。オルゴール 曲が選べる 音色が良い プレゼント 音色の良い手作りオルゴール アクリルクリアBOX(脚付き)18N(標準)タイプ 約4000曲から選べる オルゴール プレゼント 好きな曲 ハンドメイド オルゴール ラッピング無料 4.510円【神戸オルゴール 18N 国産木製宝石箱(ストッパー付き)】プレゼント 好きな曲 名入れ607.050円【ジブリ映画曲 23弁オルゴール】 オルゴール プレゼント ギフト お返し 記念日 贈り物 誕生日 母の日 父の日 ホワイトデー 8.140円【神戸オルゴール 18N 木製フォトフレーム(ストッパー無し)】60 6.920円【ピアノ型宝石箱オルゴール】国内メーカー製量産18Nメカ使用 60 7.050円私も時々思うことがあります。何もかも嫌になり家事すべてしたくない気持ちになります。歳を重ねて行っても同じですねそんなときにオルゴールを聴いて気持ちを落ちつかせています。
2025.11.01
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ほんとに久々にブログを書いています。夏以降体調を壊し気が滅入っていました。やっと気持ちを持ち直しブログをやる気になりました。しばらくは以前記載していましたアフィリエイトを再度していきます。おしゃれ 蝶柄 スカーフ シニア エプロン 介護 女性 ストール型 お食事スカーフ お食事エプロン に見えない 汚れ防止 エプロン 食事用エプロン フットマーク 補助 花柄 介護用品 食事用エプロン シニア 総柄 介護 食べこぼし 使い方色々 多目的 介護用品 洗濯可7分袖Tシャツ レディース 春夏用 コットン 綿 ピンク/パープル/グリーン M ミセスファッション シニアファッション 60代 70代 80代 90代 祖母 おばあちゃん ご老人 お年寄り 服 洋服 誕生日 プレゼント ギフト 通販 ネットショップメンズ 長袖 シャツ 紳士服 衣料品 普段着 衣料 衣類 衣服 服 洋服 シニアファッション通販 プレゼント お父さん 男性用 ネットショップ【楽ギフ_包装】【楽ギフ_メッセ】【楽ギフ_メッセ入力】【洋服の青山】着るホカロン 中綿ベスト メンズ 秋冬用 レッド系 赤 撥水加工 ダブルポケット カイロ 紳士服 アウター ビジネス カジュアル ビジカジ 50代 シニア 秋 冬 シンプル かっこいい おしゃれ エーウェア婦人服 ミセス ハイミセス シニア ファッション 祖母 おばあちゃん 高齢者 レディースファッション 女性 通販 店 ネット通販 ネットショップ プレゼント 衣料 衣類 服 洋服 デザインニット レディース 春秋冬用 長袖 ベージュ/ブルーグレー M/L
2025.10.31

久しぶりに日記を書きます。新たにネットショップ(iichi)にてハンドメイド・トートバッグなどを販売始めました。宜しかったら下記ショップをご観覧頂ければ幸いです。ハンドメイドショップ・iichi春らしいトートバッグ 3.500円 ショップ
2025.05.07

iichi・・イイチハンドメイドショップ・・iichiにてトートバック・ポーチなどを販売
2025.04.23

shiro造園置物でポストです。使用する事は出来ますが、あまり実用的ではないようです。置物として使って頂ければ幸いです。詳細は↑のリンク先shiro造園をご覧下さい。お
2024.12.07

手水鉢(ちょうずばち)庭の置物に使うようです。詳細は下記のHPをご覧下さい造園HP
2024.11.18

春日灯篭で6尺です。写真にはありませんが、これに竿(支柱)が付いています。台座に竿を乗せ灯篭を乗せます。全長170cmほどになります。HPはこちらからお入り下さいshirozoen
2024.11.10

今回からブログの内容を変更しました。主人の仕事用のHPをUPしまします。https://shirozoen.base.shop城造園造園業を長くしていましたので、庭園造りなどで仕入れした灯篭・手水鉢、石の置物など在庫をUPしました。和風庭園、または洋風庭園に合います。興味がある方はHPを見て頂ければ幸いです。問い合わせなどはHPにて受け付けています。こちらでのコメントはお受けできません。ご了承下さい↓御影石のテーブル・椅子セット
2024.11.07

フリマ・・ラクマフリマサイト・・ラクマにて販売中ハンドメイド・・小さめサイズ 夏物トートバッグをお値段を下げて販売しています。夏らしい柔らかい生地でお作りしています。 1.900円→1.400円他にもお値段を下げたお品があります。日用品・文庫本他お立ち寄り下さいませお時
2024.09.01

ラクマ・フリマサイト久しぶりの日記です。フリマサイト・ラクマにてハンドメイド・トートバックを載せています。
2024.08.25
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いつもアフィリエイトをご覧頂きありがとうございます。久しぶりに夏用です。【LINE追加で5%OFF+P5倍】帽子 キッズ 日よけ 男の子 女の子 小学生 夏 保育園 幼稚園 UVカット ハット サンハット UPF50 紫外線防止PLUSiiNE楽天市場店【最大20%OFFクーポン配布★5/27 1:59まで】スリッパ Nジュエルフラワー ( ルームシューズ 夏用 室内 洗える おしゃれ かわいい 来客用徳安マットマート[P5倍 5/26 20時~] ラグ マット 冷感ラグ 135x185cm 夏用 夏ラグ クールラグ 敷きパッド 厚手 低反発 ひんやり 接触冷感 涼しい カーペットモダンデコタオルケット 【お得な2枚組】 シングル 北欧ツリー柄 140×190cm 夏掛け 肌掛け 涼感 吸水 通気性 速乾 薄手 洗える パイルケット ブランケット寝具の専門店 リヴェール敷きパッド シングル 冷感 置くだけ ひんやり ゴムなし 敷パッド 夏用 冷感敷きパッド 冷感敷パッド 接触冷感 敷パット 敷きパット眠夢ナビ【5%offクーポン★5000円以上で5/26 0:00-5/27 1:59】 い草 シーツ シングル 寝ござ 国産 ねござ 日本製 熊本県八代産 「 リルマ 」 約 88×180cm イ草屋さん コタツ屋さんニューエラ バッグ NEW ERA BAG メンズ レディース スリングボディバッグ リュック Sling Body Bag 黒 ベージュ ブランド おしゃれ かっこいい 人気 ONSPOTZ
2024.05.26
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今日も夏用を見つけてみました。【ポイント5倍 5/16迄】 ラグマット 夏用 天然 竹製 カーペット 涼しい 竹カーペット 竹ラグ 竹マット ラグ マット インテリア・雑貨のカリスマ【スリッパ 洗える】5本指 指ゴロー 4足セット レディース2足/メンズ2足 足つぼマッサージ リフレ マイクロファイバー 夏用 スリッパのChausse<ショセ>接触冷感 Q-max0.42 敷きパッド 敷パッド シングル COYOLI コヨリ ひんやり おしゃれ 100×205cm 洗える 夏用 ベッドパッド 冷感マットリコメン堂生活館キッチンマット BLUEPOP BLOCK 50×150cm インド綿100% 北欧 ラグマット チェック柄 玄関マット シェニール かわいい カフェ風 スリーエスニックUVカット ブリムバケットハット ブラック PRECIOUS UV コジット | 帽子 紫外線 カット 通気性 紫外線対策 日よけ帽子 ひんやり効果奏屋 楽天市場店モダール100 ストール 春夏 ペイズリー ショール 大判ストール 夏用ストール 夏 春 春物 UV uvカット 紫外線 モダール レディースストール・帽子のJPコンセプト送料無料 防災スリッパ 防活スリッパ【スリッパ ルームシューズ バブーシュ レディース メンズ おしゃれ オフィス 夏用 レザー ablana(マザーズ・生活雑貨)鼻緒 スリッパ 室内『SDS サニーサニー M』約22.5-24cm ※ブラック在庫限り [ 洗える ハナオ トング おしゃれ 黒 白 夏用 Lamoderato生活雑貨とマットの店い草 ラグ 3畳 花ござ カーペット 「 DXニューピア 」 団地間3畳 (約170×255cm) 3色展開 い草 ラグ 夏 ラグ 夏用 い草ラグ 市松柄 市松 格子カーペット・寝具専門 快適生活館【ポイント5倍 5/16迄】 ラグマット 夏用 天然 竹製 カーペット 涼しい 竹カーペット 竹ラグ 竹マット ラグ マット 滑り止め インテリア・雑貨のカリスマごゆっくりショップをお回り下さいませ
2024.05.10
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今からの季節に欲しい商品を選んでみました。CLUB NO1Z Tシャツ 半袖 メンズ レディース 春夏用 黒 大きいサイズ ビッグシルエット クラブノイズ ルーン文字 生命の樹 十字架 クロス ロゴ 本格派大人のB系 XL 零 ZERO【GW限定500円クーポン配布中!】【3足セット】Ag+(銀イオン)イヤなニオイのしない 5本指ソックス レギュラー丈 Mサイズ / Lサイズ徳安マットマートラッシュガード ユニセックス(メンズ・レディース) Tシャツ 半袖 水着 水陸両用 大きいサイズ 体型カバー UVカット 日焼け防止 紫外線対策 夏用 外遊びの専門店CamCom(カムカム)室内履き レディース スリッパ 夏用 室内 メンズ 洗える バブーシュ バブーシュスリッパ 通気性 キャンバス地STYLE STORE version.R【メール便 可X2】【AVIREX】ワッフル ブランドロゴ プリント ニット帽 サマーニット帽子ビーニーワッチキャップ アビレックス アヴィレックス 【夏用/メンズ/レディース】◇【S/S】【A/W】PEACE.CLOTHING【公式】ラグ 夏用 カーペット 厚手 リバーシブル 北欧 ラグマット 夏 おしゃれ 節電 省エネ 冬 2畳 カーペット リバーシブル 足音 遮音 撥水 高反発 アイリスオーヤマ公式 楽天市場店【LINE登録で500円OFF】夏用 ラグ 洗える ラグマット 2畳 夏用ラグ 185×185 ORG-J1818 涼感ラグ 正方形 ジャガード ジャガードラグ カーペット Simple Style 楽天市場店SALE 2980→2280 ロング枕 接触冷感 Q-max 0.4 冷感 抱き枕 送料無料 ひんやり 枕 接触冷感抱き枕 120×35cm しわが付きにくい ロングピロー ナイロン ブルー 冷感 冷たい 夏用 after nooneいかがでしょうか?また次回も夏用を探してみます。商品の下にショップをリンクしています。他のお品を色々見つけられますよ。
2024.05.06
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ダウンケット 羽毛布団 夏用 羽毛肌掛け布団 ダウン85% 薄い 羽毛布団 夏 ダウンケット 夏用 夏布団 肌掛け布団 uuwa!ビーナスセレクトマラソン★最大5,000円クーポン 肌掛け布団 シングル 西川 麻 肌掛け ふとん 東京西川 西川産業 洗える 肌布団 麻100% リネン ラミー ウォッシャブル シャンブレー 夏用 西川寝具 シングルサイズふとんタウン 西川など寝具専門店進化を極めた究極の 快適 ガーゼパジャマ“ノビーゼ UNO”ストレッチ 2重 ガーゼ パジャマ メンズ 夏 半袖 前開き パジャマ 父の日 プレゼント ギフト 実用的 に/男性用 大きいサイズ もパジャマ屋羽毛肌掛け布団 ダウンケット ダブル 190×210cm ウォッシャブル 国産 春用 夏用 秋用 ホワイトダウン85% 0.35kg入り 洗える ダウンケット 羽毛肌掛けふとん 羽毛布団 羽毛ふとん 日本製 京都金桝眠りのひろば【ふとんの江崎】[楽天1位!シリーズ累計25万枚] 冷感 敷きパッド シングル セミダブル ダブル 洗える 接触冷感 「 レノ 」 冷感敷きパッド 敷きパッド 冷感パッド 冷感マット 夏用アイズインテリアショップ涼感 座席シート シートクッション 椅子クッション 椅子シート 座布団 椅子用 ひも付き オフィス クッション クッションシート クッションマット マット シート 夏 夏用 cute space畳みラグ 夏用 ラグ 2畳 2.5畳 3畳 185×240 い草 マット いぐさ 夏ラグ ラグマット イグサラグ ウレタン カーペット 夏 井草 サマーラグ 滑り止め付 い草カーペット 冷 ひんやりインテリアのゲキカグこれからの季節にお使い頂けますね
2024.04.24
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今日も夏物を記載します。【2500円以上で7%OFF+P2倍】布団除湿シート 天日干しで繰り返し使える! 90×180cm 吸湿/脱臭/防カビ/防ダニ 吸湿センサー★セールプラザ【2500円以上で7%OFF+P2倍】結露対策に!保温・保冷 コンビニコーヒーがカップごと入るタンブラー 450mL 真空二重構造 レギュラーサイズ ★セールプラザ全機種対応 手帳型 スマホケース カバー iPhone14 iPhone13 iPhone12 pro max iPhone12 mini iPhone se 第2世代 iPhone11 Pro iPhone8 7 se2 xperia 5 1 10 Galaxy a41 a20 S20 AQUOS ★スマホケースのRAVISH ラビッシュ【2500円以上で7%OFF+P2倍】送料無料 !( メール便 ) クール 涼感タオル【3枚セット】濡らしてヒンヤリMAX! くり返し使える ★セールプラザ【2500円以上で7%OFF+P2倍】防水スマホケース 防水規格IPX8 画面操作可能 ストラップ付き 最大6.5インチ ★セールプラザ【2500円以上で7%OFF+P2倍】貼るだけ網戸 どこでも簡易あみ戸ネット 取り付け簡単 150cm×200cm カットOK 面ファスナーテープ式 ★セールプラザ【2500円以上で7%OFF+P2倍】冷却プレート付き 首掛け扇風機 コールドネックファン USB充電式 夏物特集 アウトドア特集【 ポータブルファン 首掛けファン ★セールプラザ【2500円以上で7%OFF+P2倍】超音波式 虫対策デジタル時計 デジタルウォッチ 薬剤不使用 モード3段階 夏物特集【 蚊対策 ブレスレット 腕時計 メンズ 男女兼用★セールプラザ【送料無料(代引不可)】アディダス NMH60 ZG クールグローブ ホワイト/シルバーメタリック(HT6804) メンズ ゴルフグローブ 右利き左手用 夏用 夏物 吸汗速乾・抗菌効果ドライ adidas★フルショット楽天市場店夏に必要な物を見つけてみました。
2024.04.17
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ここしばらく暖かい日が続いています。もう夏物が欲しくなってきましたね。【ママとお揃い】いちご・小花2wayドレス 2wayドレス ワッフル 春夏 春物 夏物 女の子 女児 50 60 70 新生児 ベビー服 ベビー 子供服 キッズ 薄手 半袖 出産祝い MILKISS【ママとお揃い】【メール便可】いちご・小花カバーオール カバーオール ロンパース ワッフル 春夏 春物 夏物 秋物 秋 60 70 女の子 ベビー 新生児 部屋着【メール便可】プレイウェア 遊び着 撥水加工 春夏 春物 夏物 男の子 女の子 レインウェア ボーイズ ガールズ ユニセックス 薄手 キッズ こども 子供服 半袖 ドット ストライプ ボーダー シンプル MILKISS【メール便可】綿100% コットン 襟付きプリンセス風ロンパース 天竺 2022春夏新作 春夏 春物 夏物 90 100 110 120 130 女の子 女児 薄手 ベビー 子供服 綿100% コットン 衿付き セレモニードレス 2wayドレス ツーウェイオール Wガーゼ ガーゼ 春夏 春物 夏物 春 夏 50 60 70 男の子 女の子 男児 女児【メール便可】綿100% コットン パジャマ ルームウェア Wガーゼ ガーゼ 2022春夏新作 春物 夏物 春 夏 90 100 110 120 130 140 キッズ 子供服 【本日20時から10%OFF!】結露対策に!保温・保冷 コンビニコーヒーがカップごと入るタンブラー 450mL 真空二重構造 レギュラーサイズ 夏物特集【 ステンレス製【本日20時から10%OFF!】保冷 ワンタッチボトル 500ml 水筒 ステンレス真空二重構造 ロック付き 直飲み 夏物特集【 保冷ボトル 保温 ステンレスボトル 片手 ワンタッチ 軽量 ダイレクトボトル 通勤 通学 メンズ レディース 新着!】 ◎ ◇ ボトルONセールプラザ今回はベビーちゃん用を選んでみました。ショップの方にはまだまだ沢山ありますよゆっくり見に行って下さいませ
2024.04.14
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今日も春らしい小物他を紹介します。超お得 送料無料 新型 チョーカーネックレス クロス 十字架ペンダント メンエグ&お兄系 ブラック 黒 ホワイトアクセONE本革 本物ブランド名刺入れ ルチアーノ・バレンチノ メンズ レディース ブラウン 茶 本皮小物 ブランド雑貨 プレゼント ギフト アクセONE\なごみや市☆春セール/ 和柄 小物入れ ポーチ 通年用 日本製 [五色帆布堂] 和の花2.6寸口金ポーチ (全4種) がま口 京都 和雑貨 ブランド 着物なごみやLACOSTE/ラコステ クラシックフィットポロシャツ 杢(メランジ)カラー L1264A 日本製[メンズ 半袖 ポロシャツ 杢糸 霜降り (CCA)(E8G)(EL6) ワニ ポロ シャJACKPOTクーポン利用で【10%オフ】+P2レディース toleur トーラ トーレ 11337 リュックサック シンプル ウォッシュナイロン 軽量 ミニレザーポーチ バックパック グローブ 【大人かわいい】ストール 【ゆうメール便送料無料】 ストール レディース 大判ストール 大判 ストール かわいい 春夏 春物 柔らかい 薄手 ( ふんわりボリュームストール )【クーポン対象外】◆NIKE(ナイキ) VICTORI ONE SLIDE CN9675◆サンダル メンズ スポーツサンダル シャワーサンダル おしゃれ 靴 全18種 懐中時計 かわいい ネックレス チェーン スケルトン シルバー cr アンティーク ペンダント クォーツ レディース ファッション アクセONE 女性用 アクセONEいかがでしたか
2024.04.01
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新生活に必要だなと思える品物を見つけました。楽しいものがありましたよ。【新生活応援セット】 家電セット 一人暮らし 新生活家電 4点セット 新品 (106L冷蔵庫 6kg洗濯機 電子レンジ 3合炊き炊飯器) 1人暮らし 単身赴任 新生活 【ふるさと納税】掃除機 コードレス 自走式 充電式サイクロンスティッククリーナー SCD-183P-W ホワイト アイリスオーヤマ 【 生活家電 自走式 パワーヘッド 簡単 2WAY タイガー魔法瓶IHジャー炊飯器炊きたて3合スチールブラックJPF-G055KLTIGERタイガー魔法瓶炊飯器炊飯ジャーJPFG055コンパクト人気家電 新生活応援LED シーリングライト おしゃれ ホタルクス 14畳 虫が入りにくい 日本製 節電 節約 電気代 明るい 簡単取付 送料無料 調光 調色 リモコン付 常夜灯 5段階調光 5段階調色 常夜灯3段階 工事不要 新生活応援 HLDC14268HotaluX ダイレクト新生活応援 一人暮らし42点セット RCP 送料無料 新成人 引っ越し 1人暮らし 鍋 フライパン 皿 福袋 単身赴任 トイレ バス お皿 お玉 ターナー スプーン 引っ越し フォーク 箸 ランドリーJOYアイランドベルト メンズ レザー 本革 30mm幅 中一 日本製【ネコポス不可】【サイズカット可能】【新生活応援】【RCP】直販ベルト専門店NOMURA【あす楽対応】ビジネスシューズ メンズ 革靴 幅広 ロングノーズ 防滑 メダリオン レースアップ 外羽根 レザー キングサイズ 紳士靴 靴 メンズシューズ 黒 ブラック 茶 ブラウン 【あす楽対応】【送料無料】ビジネスシューズ メンズ 紳士靴 革靴 走れる 歩ける ビジネス コンフォート ウォーキング オフィス ローファー 軽量 幅広 屈曲 3E EEE 靴 メンズシューズ【★】/2024新作 春 新生活応援【メール便/送料無料】 Versa Gripps(バーサグリップ) / CLASSIC Pink Sサイズ (約15-18cm) パワーグリップ トレーニングアクセサリー 【国内正規品】新生活応援【メール便/送料無料】いかがでしたかまた、次回も新生活応援を紹介します。
2024.03.31
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春用の小物・新作を見つけてみました。ウキウキしますね【即日出荷】セール30%OFF Converse コンバース キッズCVスター サンダルTB PINK/WHITE 21春夏 37301060 バッグ・シューズ child 子供サイズ 19cm 20cmHeartySelect 楽天市場店【即日出荷】CELFORD セルフォード 'フラップ付きラタンハンドバッグ'' 22春夏.HeartySelect 楽天市場店【即日出荷】(期間限定11%OFF) YAHKI ヤーキ SOFT W FACE Large)-14 24春夏 YH-608 ハンド・ショルダーバッグ 【新作】HeartySelect 楽天市場店【即日出荷】(期間限定11%OFF) snidel スナイデル NEWERAコラボHAT 24春夏 SWGH241637 帽子 【snidel】【新作】ニューエラ コラボ HeartySelect 楽天市場店【即日出荷】(期間限定11%OFF) merry jenny メリージェニー frillぽこぽこトートBag 24春夏 HeartySelect 楽天市場店【予約】(期間限定11%OFF) FURFUR ファーファー ハートショルダーバッグ 24春夏 HeartySelect 楽天市場店【即日出荷】(期間限定11%OFF) snidel スナイデル NEWERAコラボベレー帽 24春夏 HeartySelect 楽天市場店【予約】TODAYFUL トゥデイフル Laceup Mesh Sandals ★ 24春夏予約 12411013 サンダル レースアップメッシュサンダル 入荷予定 : HeartySelect 楽天市場店
2024.03.27
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しばらくお休みしていましたが、また再開しました。宜しくおねがいします。今日は春らしい物を探してみました。気になられるお品があれぱいいのですが・・ボタンフリルラインのハイネックブラウス レディース ファッション トップス イエロー 長袖 ぽわん袖 フリル 春 秋 ワンポイント ボタン ハイネック 30代 40代 50代 60代 ワイエムワールド インテリアチュニック レディース チュニックシャツ シャツ 刺繍 刺繍シャツ 花刺繍 花柄 半袖 5分袖 ネイビー 夏服 春服 秋服 ミセス ミセスファッション 大人可愛い 30代 40代 50代 60代 sawa a la mode サワアラモード着痩せの魔法日本製変形ボーダーニット レディース セーター ミディアム ボートネック ピンク グリーン 緑 オフホワイト オレンジ 長袖 秋 秋服 冬 冬服 30代 40代 50代 60代 サワアラモード 浅草アートブラシ オールシーズンブラシ クリーナー付 洋服ブラシ 毛玉取り 2WAY カシミヤ 厳選された猪毛使用 衣類を傷めない 花粉除去 ほこり落とし ふとん じゅうたん ラグ クッション【B000042】くらしの美術館
2024.03.25
皆様明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。
2024.01.04
温かい人生 最終章 美佐子の体調も年内から3日まで何事なく過ぎて行った。時々痛みはあるらしくその度に痛み止めの薬を飲みだましてきた。 その年の正月の用意は芳江が千代を手伝わせながら用意してくれた。美佐子も調子がよければキッチンへ立ち野菜を切ったりしていたが、包丁を持つ手に力が入らなくなっていくのか、硬い根野菜などは切ろうとしなかった。31日には雅也も出てきて6人で正月を迎える事が出来た。 毎年元旦だけは康夫も千代も顔を出していたが後はすぐ帰り友達との遊びで出かけていた。 だが、その年は流石に出かける事もなく康夫も年末から帰ってきてずっと家にいて美佐子と一緒に過ごしていた。二人とも今年の正月は家族全員が揃うのが最期だと言う事がわかっているので大切にしたかったのだろう。 元旦の午後、穏やかな日で寒くもなく気持ちがいい日だったので、孝雄は美佐子と二人で近くの神社に参りに行った。神社には少し階段があったが休み、休みで行き、無事にお参りが出来た。 風邪でもひいては大変なので参拝の後は急いで家に帰るというあわただしさだったが・・ 孝雄は一度芳江にあの山田昇と書かれた人物について聞きたいとおもっていたのたが、なかなか芳江と二人になる機会がなくてそのままになっていた。 そんな正月の3日にたまたま正也と二人で外出する用事が出来たので孝雄は今がチャンスだと思いと孝雄へ 「おとうさん。お話したい事がありますので少し付き合っていただけますか」と言って正也を喫茶店へと案内した。 二人共コーヒーを注文してしばらく無言でいたが正也の方から口をきってくれた。 「孝雄君、話ってなんだい」 「はあ」 孝雄は少し躊躇したが、先日の手紙の内容を頭で整理しながら「山田昇」のことを訪ねてみた。 正也は黙って聞いていたが孝雄が話終えると残っているコーヒーを飲み干し孝雄を見ながらその当時の事を話して聞かせた。 そして「そうか、美佐子は昇君へ手紙を書いていたのか、出そうと思っての事だろうか?」 「さあ、どうでしょうか」 「あれは美佐子が23歳の時の事だ」 正也は当時の事を思いだしながらありのままに孝雄へ話をしていった。そして最後にこう言った。 「孝雄君、美佐子が昇君に会いたいのなら会わせてくれないか、親の身勝手かもしれないが、私も芳江もあの縁談を反対した事を美佐子に対して心苦しい思いをしていたのだよ」 「私達は間違った事はしていないと思っていたが、もう少し美佐子の事も考えてやるべきだった。だが、そのあと君と結婚すると言ってきた時は私たちはとても喜んだんだよ」 「孝雄君には感謝してもしきれないと思っているよ。ほんとに美佐子と結婚してくれてありがとう」 と正也は軽く頭を下げた。 しばらくして孝雄は「よくわかりました。今話を聞いたばかりなのでまだ私の気持ちは決まりませんが、数日考えさせて下さい」と言った。 そのあとも美佐子は特別な事もなく過ごして行った。お天気がいい時は洋服に着替え庭に出て花を眺めていたりしていた。秋に植えた花の苗がこの寒さの中、頑張って育っている様子を見ているのは美佐子に元気を与えてくれるようだ。 そうだ、ちょうどあの時秋植えの花の植え替えをしている時に倒れたのだった。 その時隣の柴田夫人が垣根越しに美佐子へ声をかけてきた。 「こんにちわ、退院されているのを知っていましたけど、なかなかお会いする機会がなくて」 といいながら美佐子を観察するような目で見るのだった。 「私が留守をしていますので何かとお世話おかけしているのでしょうね。すみません」と美佐子は社交辞令のつもりで柴田夫人に返事をし、これ以上は話したくないとでも言うような素振りで家の中へ入ろうとした。 その時また後ろから声がして 「奥さん、食事入りますか」と聞いてきた。 その声を奥にいた芳江がききつけ美佐子を家の中へ入れ、代わりに自分が柴田夫人に話かけた。 「奥様にもいろいろお世話おかけしているようで、おかげ様で美佐子も食欲は出てきていますので、ではしつれいします」 とピシャと言い戸を閉めてしまった。 なんと失礼な奥さんだろうと思ったが美佐子に感ずかれてはと思い笑顔を作り部屋へ入った。 孝雄は先日の事がまだ頭にありどうしたものか迷っていた。 不思議な事に美佐子を怒るの気持ちはなく、それよりも昇に会わせなかったら自分が一生悔いが残るのではないかと思うのであった。 ちょうどその頃会社から東京への出張の話が来た。 美佐子が病気になってから幾度となく出張の話はあったがね」孝雄は簡単に美佐子の病気の話をして他の人に行ってもらうようにしていた。 だが、今回は孝雄に考えるところがあり、東京へ上京する事にした。 家に帰り明後日から出張の事を話芳江と子供たちに話をした。 東京へ立つ朝、孝雄は横で寝ている美佐子を見ながら「美佐子、山田昇という人と会ってくるよ。それまで今のままで頑張って待っているのだよ」と心の中で伝えた。 東京へ着いたその日は一日仕事で飛び回っていたので昇を探す事は出来ず次の日の午後から時間が取れた。 昇の住所は家を経つ数日前に美佐子の友達山下清子に連絡を取り聞き出していた。清子も美佐子の病気の事は知らなかったので、電話で簡単に美佐子の病状を伝え、昇に会う理由を話した。 清子は美佐子の事を聞き驚いていたが、孝雄が昇を美佐子に会わせたいと言うとうれしくなり「それだったらどんなにしても山田君の住所を探してみます」と言ってくれた。清子は約束を守ってくれ次の日には昇の住所と仕事先を教えてくれた。 次の日の午後孝雄はホテルを出る前に昇の家へ電話を入れてみた。しかしもう昇の家族はみな出かけた後なのか誰も出ないので、昇の仕事先に電話を入れる事にした。清子が教えてくれた住所は東京都武蔵野市になっており、仕事先と言っても昇はそこの店の経営をしているとの事だった。そちらの店も自宅から10分ほどのところにあるようだ。 電話に出たのは中年の女性だった。孝雄はもしかしたら奥さんではないかと心配をしながら昇を呼んでもらうように頼みそのまま待っていた。やがて思っていたより若々しい昇の声が聞こえた。孝雄は美佐子の主人だと名乗り突然の電話をわびた。 電話の先の昇は驚き慌てている様子が手に取るように分かった。 孝雄が「会って少し話をしたいのですが」というと昇は「では夕方6時に武蔵野駅の近くに風車というカフェレストランがありますのでそちらで」と言いこう付け加えた。「私はメガネをかけておりテーブルの上に新聞を乗せておきます」と言った。 孝雄は午後から夕方まで映画でも見て時間を潰す事にした。ほんとは昇と会ったたらどんな話をしようかと思案していたのだが、結局まとまらずに映画でも見て時間を潰す事にした。 約束の6時を少し過ぎたころに風車へ行き中を見回したら窓際の席に新聞がおいてあるテーブルを見つけた。座っている人を見たらメガネをかけ半分白髪頭の中年男性が座っていた。孝雄はそちらに行き 「失礼ですが、山田さんですか」と聞いた。 「はい、山田です。お電話いただいて」 「斎藤です。突然お電話して申し訳ありませんでした」 「いいえ」 とお互いに挨拶をして孝雄はコーヒーを注文した。昇はかなり前から来ていたのか冷えたコーヒーがあった。 孝雄は「さっそくですが」と言って要件を切り出した。 美佐子の病気の事、美佐子が昇宛の手紙を見て昇の存在を知った事、美佐子の父親から美佐子と昇の当時の出来事を聞いた事などをかいつまんで話していった。 孝雄が話終わるまでじっと聞いていた昇だが、途中で涙を流した姿を見た孝雄は一瞬話を止めてしまった。 しばらくして重い口を開いた。 「そうですか、よくわかりました。斎藤さんには大変ご迷惑をおかけして」 少し間を置いて 「あの、私が美佐子さんにお会いしてもいいのですか」 孝雄の様子をうかがうような素振りをした。 「はい、私の事は気にしないで美佐子に会ってやって下さい。私は今、できるだけ美佐子の願いをかなえてやりたいと思っているのです。でなかったら私が一生悔いが残りそうで」続けて 「今頃やまださんにこんな話を持ってきてこちらこそご迷惑をおかけしている事と思います。それに奥様の事もあるでしょうし」 「いいえ、妻の事はいいのです。私が適当に話をしますから」 「では、いつ頃美佐子に会ってもらえますか? 美佐子にはあまり時間が・・」 そういう孝雄もまた涙ぐむのであった。 山田はしばらく考えて「来週の火曜日にそちらへ伺います。それでいいでしょ うか」と聞いた 「分かりました。では来週の火曜日にお待ちしています」 孝雄は挨拶をして風車を後にした。 昇は孝雄を見送った後もまだ椅子に座ったまま方針したようになっていた。 美佐子との思いでが次々に思いだされ、あの美佐子と永遠の別れが来るのかと思うと胸がつまる思いがした。 昇の人生の中で美佐子は常に昇の心の中にあった。妻の(貴子)は親戚の紹介で昇の家庭の事情も分かってくれて結婚した。今まで貴子に不満があったわけでもないが、美佐子の事は昇の中では別の事だった。 美佐子の父親がある日突然に昇が仕事へ出ている時に祖母に会いにきたらしい。昇は仕事から帰ってきて祖母から話を聞き愕然とした。多分美佐子とは結婚はむりもだろうと薄々感じてはいたが、美佐子を諦める事など考えてもいなかった。 だが、正也が家まで来て、まして祖母に頭まで下げて美佐子との付き合いを止めるように頼んで行った事を聞いた時には流石に昇はもう美佐子とは会えないなと思せわしい った。自分が身を引いた方が美佐子の為とその時は思ったのだった。 正也が来た数日後昇は祖母を説得してこの地を離れる事を話した。祖母を置いて昇ひとりだけでも家を出る事も考えたが、やはり年老いた祖母を一人置いていく事は昇には出来なかった。 東京へ妻と子供を連れて出たのは昇が35歳の時だった。 その時は祖母も亡くなっていたのでせわしい東京へ連れていかなくていいのが何よりも昇が踏ん切りをつけやすかった。 美佐子と付き合っていた時もずっと生け花を続けていたが、美佐子と離れたのと同時に生け花もやめてしまった。もともと花が好きで子供の頃から花をよくいじっていたが祖母からいつも「男の子のくせになぜ花ばかりいじっているの」と言われていたものだった。 学生時代は流石に友達の目があり花を扱う事は諦めていたが、高校を卒業し仕事をし出して3年程してからまた花を扱いだした。美佐子が来ていた生け花教室には昇はその2年前から通っていた。 ここで美佐子と別れるまで生け花の免許も取り今の仕事を辞めて本格的に花を扱う仕事につこうとしていた矢先に美佐子から逃げる形となってしまった。 美佐子の前から姿をけした昇は今度は車の営業をしながら人生を諦めた生活を送っていた。しばらくは酒と賭け事で気を紛らわせていたが、元々生真面目な性格なのでこの荒れた生活も長くは続かず、それから親戚の紹介で今の妻(貴子)と結婚した。しばらくして知人から東京で花屋をしている知り合いが店長を探している。生け花の免許を持っている者がいいらしいが、昇君行ってみる気はないか・・と東京の花屋を紹介してくれた。 昇はやっと好きな仕事に巡り合えたと思い貴子と子供を連れおもいきって東京へ出たのであった。 美佐子の様子も昔の生け花教室の仲間から話はそれとなく聞いていたし、今は幸せな生活を送っているとの事だったので安心し、心機一転のつもりで東京へ出る決心をした。 東京へ出て5年程店長を務めた後それから自分の花屋を開店して、妻の貴子と共にやってきたのであった。 美佐子の事は一日たりとも忘れた事はなく常に昇の頭にあった。もちろん妻の貴子には内緒にしていた。 今回も孝雄が電話入れた時、出たのは貴子だった。貴子は電話の話を聞くともなくなしに聞いていたらどうも昔の事に関しての事のようだ。電話の相手と夕方から会うらしく気が重い様子で出かけて行く昇を不審に思いながらも貴子は見送った。 夜遅く帰ってきた昇は出かける時よりもいっそう暗い顔をしていた。 貴子は何か聞きたいと思いながらなぜか昇の様子を見ていたら聞けない雰囲気があった。昇もまた貴子に説明するつもりもなくただ黙って考え事をしていた。 昇は今孝雄から美佐子の状態を聞き今すぐにでも美佐子の所へ飛んで行って美佐子を抱きしめたい思いだった。美佐子が会われでどうしようもなかった。 次の週の火曜日の朝、昇は福岡へ行ってくるとだけ告げて家を出た。貴子も何も聞かず「気をつけて」と言うだけであった。 始発の飛行機で行けば昼過ぎには美佐子の家へ着くはずだった。 孝雄は2泊して自宅へ帰った。東京にいる時も美佐子の病状が急変するのでない心配ばかりしていた孝雄の心配をよそに帰ってみたら美佐子は前と同じような生活をしており何もとりたてて変わったところはなく孝雄は安堵するのであった。 ただ、時折襲ってくる腰の痛みがだんだん強くなってはいたが。 孝雄は「せめて火曜日までは何事も起きませんようにと祈る思いであった。 孝雄は正也に電話で昇と会って来た事を報告してから「来週には山田さんがこちらへ美佐子に会いに来ますから」と言った。 正也は「孝雄君、君にはすまないとおもっている。だが、美佐子は昇君と再会できるのは本望だと思うよ。ほんとにありがとう」と言った。夜美佐子がネタのを確かめ芳江の寝室へ行き昇の事を報告し「来週の火曜日に来ますのでよろしくおねがいします」と言った。芳江は孝雄に頭を下げ「孝雄さん、ほんとにありがとう」と言って涙を流した。 運命の火曜日がやってきた。 美佐子が家へ帰ってきてそろそろ一月が経とうとしていた。 新年になり初めての雪がチラチラ舞い落ちるのを美佐子は窓越しに飽きずに眺めていた。この家は孝雄と結婚して一年目で建てた家だった。その後孝雄の両親が相次いで亡くなり少しばかりの遺産が孝雄に入ったのでそれで家のローンを払いお終わりその後一度リフォームをした。 その時に美佐子がガーディニングをしたいとの事で狭いが庭を造り毎年四季折々の花を咲かせていた。今も秋に植えたパンジーに薄く雪が積もっていた。 孝雄は芳江にもう一度頼み普通通りに出勤して行った。孝雄の心が平常心であったかと言ったら嘘になる。 孝雄のほんとの気持ちは美佐子と昇が会う側に自分も居たかったのだが、それは美佐子も昇も耐えられるものではないだろう。 美佐子にはこの事は話はせずに美佐子の知り合いが来ると言っておいた。 その日の美佐子も気分がいいらしく洋服に着替えていた。その頃の美佐子は病気を隠したいのかできる限り華やかなものを着るようにしていた。ささやかな女性心理なのだろうか。 美佐子は 朝、孝雄から知り合いが来るよとだけ言って出勤して行ったが誰が来るのか全然検討がつかないでたいた。名前だけでも教えてくれたらいいのにと思いながら、芳江に聞いてみたが「知らないわよ」と言うだけであった。 美佐子がまだ窓の外に目をやっている時、垣根の向こう側に誰か人影が通っていくのが見えた。その人影の隙間から大きな花束が見えた。 やがて玄関のチャイムが鳴った。芳江が「は~い」と言いながら玄関へと行く足音が聞こえてきた。 挨拶をしているのか密やかな声が聞こえてくると美佐子は立ち上がり鏡の前で身じまいを点検しながら芳江が呼びに来るのを待っていた。 昇は玄関へ入るなり芳江に向かって「ご無沙汰しています」と頭を下げた。 芳江も挨拶を返しながら昇を応接間に案内した。 昇は大きな花束を芳江にわたし「家で扱っている花ですけど」と言い添えた。 花束は芳江の顔をすっぽりかくしてしまうほどの大きさがあり芳江は 「ありがとうございます。素敵な花ですね」と言いながら花を見たら真っ赤な冬牡丹が数本入っており目を引いた。その横に初雪草の淡い緑に白が混ざった花があった。それは冬牡丹を一層引き立てているようだ。そのほかにもアレンジよく色の配分を考えた花束はそれは見事なものだった。 芳江は花束を一旦横へ置き椅子を勧めお茶を出しながら 「おばあさまはお元気ですか? 祖母は15年前に亡くなりました。病気で」 「そうだったのですか。あの時はおばあ様にもご迷惑おかけしましたね。で、今は 東京にいらっしゃるの」 「はい、祖母が亡くなってしばらくして東京へ出ました。こちらもお父様お変わりなく」 と言いながら美佐子の事を聞いていいのかどうか躊躇していたが、思い切って聞く事にした。 「あの、美佐子さんは今日私が来る事をご存じですか」 「いいえ、知り合いが来るとだけ言っています。先に美佐子へ伝えたらきっと孝雄さんに遠慮して会いたくても会わないと言うかもしれませんしね」 一呼吸して芳江は 「じゃあ美佐子を呼んできますから。美佐子の事は孝雄さんから聞かれていますか」「はい、聞いています」 「では、そのおつもりでよろしくおねがいしますね。私は裏にいますので」 と言いながら大きな花束を抱えてミサがいる居間へ入った。 昇はいよいよ美佐子と会えると思うと胸の高鳴りが酷くなった。25年ぶりに会う 美佐子は病にかかっており後わずかな命という。なんて言葉をかけていいのか」 居間のドアがゆっくり開き女の人が入ってきた。顔色は黄土色で頬がこけ、洋服に隠された袖口からやせ細った腕が見えていた。 昇は一瞬これがあのかわいいふっくらしていた美佐子かと目を疑ってしまうほど今の美佐子は昔の面影はなかった。 美佐子の方はまさか昇が目の前にいるとは夢にも思わずただ幻を見ているように昇を見つめているだけだった。 昇の方から声をかけた 「美佐子さん、久しぶりだね」 元気かい・・とはとても聞ける事は出来ずこういう言葉をかけた。 昇が声をかけてもなお、美佐子は言葉を失ったかのようにただ黙って昇を見つめているだけだった。 「気分はどうなの、大丈夫かい」 「ええ・・」 やっと一言声を出した後美佐子はみるみる涙が溢れてきて顔を覆いながらソファに崩れ落ちた。涙がとめどめもなく流れやがて嗚咽をしながら泣くのだった。 昇はそんな美佐子を黙ったままそっとハンカチを渡し優しく見守っていた。美佐子の肩が薄く感じ病が酷い事を物語っていた。 どれくらい時間が経ったのか、今の二人には完全に時間が止まっていたのかもしれない。 美佐子がやっと泣くのをやめ改めて昇の顔を見つめた。 25年間お互いに一度も忘れる事がなかった相手を今目の前にしてただ見つめあうだけの二人だった。 若い二人にとっては耐え難い苦痛にあい昇はその中から身を引いてしまった。 それがよかったのかどうかはまた二人ともわからない事だった。 時間を惜しむように美佐子から話をきりだした。 「私、痩せたでしょぅ」昇はなんて言っていいか戸惑いながら 「少しね、でも泣き顔はあの時のままだよ」と言って白い歯を出して笑った顔は若いころの昇そのままだった。 「僕も白髪が多くなってね、すっかり歳取ったよ」 「そういえば昇さん、昔から若白髪があったものね」 やっと二人は昔の美佐子と昇に戻りお互いを見て笑い会うのだった。 しばらく昔話をしていたが美佐子は急に姿勢をただして 「一度昇さんにきちんと謝りたかったのよ。お父さんがした許して下さい」 と言って頭を下げた。 「いいよ、もうそんな昔の事は。あの時代の親だったらみんな同じ事していたと思うよ」 「そう言っていただいて嬉しいわ。なんだかやっと長年胸につかえていたものが取れたような感じよ。でも、結局私達は結ばれない運命だったのね」 「でも、今はこうやってご主人のお陰でこうて君と会えたんだし」 「やっぱり主人があなたに会いに行ったのね。先日東京に出張で東京へ行くというときなんだか変だったのよ」 「でも、どうやってあなたの居所を知ったのかしら」 「それは山下清子さんに聞かれたらしいよ」 「そうだったの。あなたの事は何故知ったのかしら」 「さあ、そこまでは聞いていないよ」 昇は美佐子が手紙に書いていたのを見た事を孝雄から聞いて知っていたが、美佐子に話すつもりはなかった。 「今も東京なの」 「そうだよ。花屋をやっているよ」 「まあ、お花屋さんを、昔からお花が好きだったものね。私は全然よ」 と言いながら美佐子は何気なく腰を片手で摩っていた。痛みが出てきたようだ。だが、美佐子は昇に悟られないように顔はにこやかな笑顔を作っていた。 昇が言った。 「今日は花を持ってきたので後でお母さんに活けてもらってよ」 「ええ、ありがとう、先ほど見事な花束を見せてもらったわ。ところで今日の事は奥様はご存じなの」と美佐子は改めて昇の妻の事が気になりだした。 「いや、言ってないよ」 「そう、心配されないかしらね」 少し間を置いて美佐子は言った。 「私ね、もうあまり長くないと思うのよ」 「えっ、何言ってるんだ」 「ううん、主人も子供たちもみんな私に隠しているのよ。でもそれでいいと思っているの。今まで私は幸せだったし、主人には感謝しているのよ。ねえ、昇さん。私がいなくなったら私のお墓へ会いにきてね。約束よ」 と言いながら美佐子は小さい子供がするように左手の小指を昇の顔の前へ出した。 昇は一瞬ビクっとしたが自然に小指を出しからませるのだった。 その時、からませた指がちぎれるかと思うような痛さが昇に走ったかと思ったら、美佐子が指を絡ませたまま身体を折り腰を痛がる姿があった。 昇はびっくりして慌てて芳江を大声で呼んだ。芳江が走ってきてすばやく痛み止めの薬を美佐子の口へ入れ、腰をさすっていた。 普通だったら自然に痛みが遠のいていくのだが、今日の痛みは違うようだった。 芳江はいつもの痛みと違うのを察し急いで救急車を呼んでいた。 芳江が「昇さん、ごめんなさいね。取り敢えず病院へ行ってみます。後から電話入れますのでここで待っていていただけますか」 と言いながら身体はいつ出てもいいように用意をしていた。 昇は芳江が用意している間、美佐子の身体をさすっていた。洋服の上からでもはっきり分かるくらいに美佐子の身体は細くなっていた。 美佐子は意識を失ったようでぐったりして病院へ運ばれて行った。 昇は一人取り残され見慣れない家でどうしようもなくただソファに座り連絡あるのを待っていた。 2時間もそうしていただろうか、芳江からやっと電話があり美佐子の様子を知らせてくれた。 美佐子は診察された後、急に手術となった。手術と言っても胆嚢にたまったものを官を入れ取り除くというものらしかった。 手術じたいは短時間で済みしばくICUに入って様子を見ると言う事らしかった。 芳江は「今、孝雄さんに連絡がつき今から病院へ来ると言う事なので、それから急いで家へ帰りますので、山田さん、もうしばらくお待ちいただけますか」と言った。 「はい、わかりました。では斎藤さんにお会いしてから私は帰りますので」 「よろしくお願いします」と言って芳江の電話は切れた。 孝雄は芳江からの電話で急いで病院へと急いだ。 昇と会っただろうか、話をしただろうか、美佐子はどんな顔をして昇を見たのだろうか、など色々な事が重い浮かんだ。 病院へ着き、芳江から状態を聞き、とりあえず美佐子の担当医から簡単な話を聞いた。美佐子はまた入院する事になった。 二人は家へ急いで帰った。 昇は何しようもなく所在なげにソファに座っていた。 「遅くなってすみません」 孝雄が声をかけながら入っていくと昇から 「あっ、美佐子さん、いいえあの奥さんはいかがですか」 と慌てて名前を言い換えて孝雄に聞いた。 孝雄は美佐子の様子を話していった。一通り話が済むと昇は別の事を話しだした。 「斎藤さん、今回は奥さんに会わせて頂いてありがとうございました。正直奥さんと再会した時びっくりしました。あまりにも昔の面影と違っていて、でも今会わせて頂いてほんとによかったと思います」 「そうでしょうね。でも美佐子も山田さんと再会できてうれしかったと思いますよ。ほんとはもっと元気な時に会えたらよかったのでしょうけど」 と言いながらそれは決してなかった事だと信じていた。 美佐子がガンに侵されていたからこそまた、命が後わずかとなったからこそ昇と会うのを許したといえるのかもしれないからだ。 「私はこれで東京へ帰ります」 「よかったらこちらで一泊して明日美佐子にもう一度会っていかれませんか」 と孝雄が言った言葉を昇はしばらく考えていたが 「いいえ、これ以上は」と先の言葉をにごした。 昇は明日また会う事は美佐子は決して望んでいないだろうと察したのだった。これ以上弱った姿を昇には見せたくないはずだ。 孝雄ももうそれ以上は進めなかった。孝雄の気持ちは今まで美佐子と何を話していたのかを知りたいのだったが。 だが、昇も何見言わないし孝雄も聞く事も出来なかった。 昇は後ろ髪を引かれる思いで挨拶をして帰っていった。 美佐子にとっても昇にとってもまた、孝雄にとっても長い一日が過ぎようとしていた。 次の日には美佐子はナースセンターの横の個室に入れられた。 美佐子は一人ベッドに横になりながら昨日の事を思い出していた。 25年ぶりの昇との再会は思ってもいない事だった。いや、今一度会いたい思いはあったがまさか実現するとは予想もしなかった。 孝雄は私が昇宛に書いていた手紙をよんだのだろう、それで私が昇に会いたがっていたのを知り東京へ・・やはり私にはもう時間がないのだ。 そこまで考えて美佐子は思わず目をとじ違うと言うように首を振っていた。 やがて孝雄が面会に来て美佐子に声をかけた。 「美佐子、大丈夫か」と言いながら美佐子の顔を見たら黄疸が酷くなってきておりまた一層痩せていた。美佐子は孝雄を見て 「あなた、昨日は山田さんと会わせてくれてありがとう。すごく嬉しかったのよ」とか細い声で言った。続けて 「貴方、私の手紙を見たのね」 と言いながら孝雄を軽く睨んだ。 「ああ、ひょんな事でね、見ちゃったよ」 孝雄はおどけたような言い方をしてその場をはぐらかした。 美佐子はもうそれ以上何も言わないで目をつぶっていた。 美佐子はそれから一月の間強烈な痛みに耐えながらその年の桜を見る事なく旅立って行った。医師の診断より数か月早い旅立ちだった。 孝雄の思いやり、康夫、千代のやさしさ、芳江と正也の愛情、それから昇の想い出をいっぱい詰めて・・ 終わり ★拙い小説を読んでいただき ありがとうございました。 膵臓ガンの事は私の姉の闘病を思いだし その時の事を参考にしました。 著作権はkazu495にあります。 無断使用は硬く禁止します
2023.12.25
温かい人生 NO8 いつの間にか季節は秋が過ぎ寒い冬に入り木枯らしが冷たく感じるようになってきたある日の午後、孝雄が美佐子を見舞っての帰りナースステーションの前を通り過ぎようとした時、看護師から呼び止められ医師が話があるからと言って孝雄をいつもの説明部屋へ連れて行った。 部屋へはいると今日はすでに医師が来ており孝雄へ椅子を進めた。 孝雄が椅子に座ると 「斎藤さん、お疲れはありませんか」 といつものように労いの言葉をかけてくれた。 「奥さんの体調も今のところ安定していますので、しばらく家へ帰られますか」 と聞いてきた。 「えっ、退院していいのですか」 孝雄は信じられないと言うように医師の顔を見た。 「退院とは違うのですよ。まっ、奥さんには退院と言った方がいいでしょうけどね。病院にいてもこれ以上の治療は出来ないし」続けて医師が 「これからしばらくは家でゆっくりした生活を楽しまれた方がいいと思いますよ。奥さんも家へ帰りたがっていますからね」 「はあ、それで美佐子は家でどんなふうに過ごしたらいいのですか」 孝雄から見たら末期ガンの美佐子を連れて帰ってどうやって看病したらいいのか皆目わからなかった。不安だけがあった。 医師は丁寧に自宅での看病について話してくれた。 今の美佐子の状態はまだ一人でトイレも食事も普通にするし、お風呂も一人で入る事が出来る。気分がいい時は病院の庭を散歩をしたりもしていた。 そのころには点滴も一日中はしていなくて一時間ほどであった。 孝雄達はそんな美佐子を見て命があと半年ほどしかないとかはとても思えないのであった。 それほどその時の美佐子は状態が安定しており気分もいいようだった。 それでも痛みだけは時々襲ってきては美佐子を苦しめたが、その度に薬で止めているらしい。 「家では今までのように普通の生活をされていいのですよ。ただあまり身体に負担がかかる事はいけませんけど、普通に起きて普通に食事をして、でもいつ容体が急変するか分かりませんので、何方か身内の方が側にいてくれると安心ですけどね。後は一週に一度病院へ連れてきて下さい。車で20分と言われましたよね」 「はい」 「だったらまだ大丈夫ですよ。かえって外に出て気分が晴れるかもしれませんし。暖かい日は散歩されてもいいですよ。それから奥さんが何かしたいと思われる事があったら今させて下さい」 「これが最後のチャンスと思いますから、また病院が正月休みに入りますけど何か変化があったら救急車を呼んですぐ来て下さい。連絡がいくようにしておきますから」と言ってくれた それから数日様子を見て医師から美佐子に家へ帰る事を話をする段取りとなった。孝雄はその日康夫と千代に家へ帰ってくるように言って美佐子が一時退院する事になった経緯を話した。 千代は大喜びをし「お母さんの布団を干さなくちゃ」と言っていた。 康夫も千代みたいに大喜びはしないが、うれしい事には変わりなかった。 孝雄ももちろんうれしく、4か月振りで美佐子がこの家へ帰ってくるのかと思うと、涙が出た。 日中は3人とも全員出かけて留守になるから芳江にきてもらう事を頼んだ。芳江はもちろん來ると言ってくれて「いつ出てきたらいいの」と、もう出て來る日の事を聞いてきた。それは隣の柴田夫人と町内の好奇な目に美佐子をさらさせるのかと思ったらやりきれない気持ちになった。 それを芳江に相談したら 「そう、そんな事があったの。でも恐れる事はないわよ。知らん振りをしていなさい。昼は私がいるのだから、私の目の前で何か言う事はないでしょう」 とあっさり言われてしまった。ーーーー「それより美佐子が家にいる間にしたい事をさせて下さいな」 そんな風に言ってくれた芳江に孝雄はありがたくて思わず受話器を持ったまま頭を下げていた。 12月も半ば過ぎようとしているある日に美佐子は一時退院する事となり、孝雄と康夫で迎えに行った。帰る用意は前日に千代が行き済ませてくれていたので孝雄達は看護師から薬の注意だけを聞いて帰ればよかった。 芳江は雅也と一緒に昨日から出てきており家事を色々手伝ってくれていた。 美佐子は久しぶりに洋服に着替えコートを手に孝雄にが来るのを待っていた。顔は治療のおかげか黄疸も前のような黄土色は少し引いているようにも思えた。 ただ、着替えた洋服がブカブカになっていたのが美佐子を悲しくさせてはいたが、やはり家に帰れるのはよほどうれしいのか、隣のベッドの患者から 「斎藤さん、今日は朝からソワソワしていますね」とからかわれていた。 孝雄と康夫が来て担当の医師と看護師たちに挨拶をして病院をあとにした。 約4か月振りで懐かしい家へ帰ってきた美佐子は家の中をあちらの部屋、こちらの部屋とみて回った。 ここには美佐子の23年間の結婚生活が確かにあった。 しばらくソファーに座ってみんなと話していたが少し疲れたのか「横になるね」と言って千代が先に布団を敷いてくれていた部屋へ入っていった。 ゆう方近くまで寝ていただろうか、千代が夕食の用意が出来た事を知らせに部屋へ入ったら美佐子は腰を抑えながら痛み止めの薬を探しているところだった。 「お母さん」千代は一言声をかけてすぐ痛み止めの薬を美佐子へ渡し水をコップについでやった。 痛みが強いのか美佐子は顔をしかめて千代から受け取った薬を水で流し込んだ。 千代はそんな母の姿を見て胸がつままるおもいがした。 一時間ほどしたら痛みが遠のいたのか居間へ出て来て食事をとった。 その日の夕食は美佐子の事を考えて芳江が作ったものである。 「わあ、久しぶりにお母さんの料理を食べるね」 と言いながら箸をつけたが、半分も食べたころには箸を置いた。 「今日は少し疲れたから食欲があまりないのよ」と言い訳のような事を言ってみんなを安心させようしていたのだった。 その日から美佐子の家での生活が始まった。 雅也は自分がいても何も約に立たないと思ったのか3日ほどでかえって行った。 康夫も普通に仕事をして千代も大学へ行くようにした。 普段通りにしていた方が美佐子は安心するだろうと思っての事だ。 それでも千代は美佐子の事が気になり時間を取っては頻繁に家に帰って来ていた。 家には芳江と美佐子だけが残った。 美佐子は食事が終わると掃除を始めた。芳江がそんな美佐子を見て慌てて声をかけた。「掃除だったらお母さんがするからいいのよ」と。 だが美佐子は聞こえない振りをして続けて掃除をしていった。芳江は美佐子の好きなようにさせようと思いそれ以上は口を出さない事にした。それでも美佐子が掃除するのは居間だけが限界のようで 「お母さん、後はお願いできる?」と頼んだ。動いていたのだが身体がいう事をきかないのだろう、すぐ疲れが出るようだ。 芳江が掃除が終わり美佐子の部屋を覗いたら美佐子は机に向かって何か書いている様子だった。 夕方近く芳江が買い物から帰ってきた時、美佐子は居間で身体を折り腰をさすっていた。芳江がかえってきたのも気がつかない程に痛みがあるようだった。 芳江は慌てて薬を取りに行き美佐子に飲ませた。美佐子は無言で薬を受け取り急いで薬を飲みそのままソファーに横になった。 芳江は黙って美佐子の横に膝をつき腰をゆっくりさすってやったが、涙が溢れてきてどうしようもなかった。 「なぜ、美佐子がこんな目に合わなくてはいけないのか」 美佐子がかわいそうで不憫でたまらなかった。 ふと美佐子の顔を見たらかすかに見える目から涙を流しているのが見えた。声を出すのを我慢しているのかやがて肩先が震えてくるのだった。芳江はまたもや切なくなってくる気持ちをどうしようもなかった。 一週間過ぎて病院へ行く日が来たがその日は運悪く孝雄には午前中 どうしても手が離せない仕事があったので、芳江に付き添って行ってもらう事にした。行きはタクシーで行ってもらい帰りは孝雄が午後から早引きをして病院へ迎えに行く事にした。 世間ではやがてやってくる正月の用意がそろそろ始まっている時であった。 孝雄はその日午前中の仕事が早めに終わったので一度家に帰り車を出して迎えに行く事にした。 家に着き時計を見るとまた迎えには少し余裕があり一休みしていた。 お茶を飲んでいたらふと明日会社へ持っていく書類を寝室へ置いたままにしていたのを思い出し部屋へ入った。 美佐子の布団は芳江の心遣いかきれいに整えてあった。書類を机の上から取ろうとした時、何か式布団の下からチラっと見えるものが あった。 孝雄は何気なく手に取ったらそれは便箋だった。孝雄は興味半分で美佐子が書いたであろう手紙を読んでみた。 それは孝雄が聞いた事もない「山田昇」という人への手紙だった。 =====山田昇様 ご無沙汰しています。美佐子です。突然こんなお手紙出す事をお許し下さい。 あれからもう何年経つ事でしょう、かれこれ25年は経つのではないでしょうか。 突然あなたが私の元から去って行った時、私の気持ちはどんなものかお分かりでしょうか? 絶望の淵へ落されたようでした。 いいえ、こんな事書いてすみません。あなたを責めているのではありません。 私は後日、何故あなたが私の元を去ったか理由を知り、ただ昇さんに申し訳ないと思うばかりでした。 父が昇さんとおばあさまを追い詰めてしまったのですね。ごめんなさい。 でも、父のした事は娘可愛さのゆえと思います。世間の常識に従ったまでの事だったのでしょう 今になれば両親がした事も分かる気がします。でも、それ以上にあなたが私を事を思うが故、私の元を去ったと言う事も人から聞き知りました。ほんとに私の事を思ってくださったのですね。私はその事を聞いた時、嬉しさで涙が止まりませんでした。 その後、貴方が東京へ出て行き奥様とお子様とお幸せに暮らしていらっしゃる事も風の便りで知りました。 昇さん、私は今・・いいえ、何も言わない方がいいのでしょう ただ、今一度昇さんに会いたいと思うのは罪な事なのでしょうか あの若いころの私達、貴方の自転車の後ろに乗り毎日夜の道をかえっていましたね。懐かしい思い出です。 昇さん、あれから ========================= 手紙はまだ途中なのかそこで切れていた。 ペンを持つ手にも時々力が入らなくなるのか文字が薄くなったりしていた。それとも書きながら涙を流していたのか・・ しばらくぼんやりしていた孝雄はふと我に返り美佐子を迎えに迎えに行く事を思い出し、慌てて手紙を元にもどし車を走らせた。 だが、孝雄の頭は先ほど盗み読みした手紙の事が頭から離れる事はなかった。 「山田昇」の存在も孝雄を戸惑わせたが、それよりも美佐子自身が自分の病気を知っている様子が手紙から読みとれるのにも啞然とした。 続く★著作権はkazu495にあります。無断使用は硬くお断りします。
2023.12.21
温かい人生 NO7 「私も一度アパートへ帰って着替えを取ってこなくちゃ」 二人とも大変だけどなんとかやっていってくれよ 孝雄は軽く二人に頭を下げた。 次の日孝雄は出勤する時間を見計らって美佐子の病室へ寄った。 美佐子には今日は会社へ行く前に寄ると言っていたので顔を出さないと心配するかもしれないと思ってのことだった。 また、芳江達が出てくることを伝えてもおきたいからであった。 美佐子の部屋は3人部屋だった。一番手前のベッドに美佐子は寝ていた。 「おはようございます」と他の二人に挨拶して 「美佐子、どうだ」 と言いながら美佐子の顔を覗いたとき、孝雄は驚いてしまった。 昨日まではそんなに感じなかったのが今日の美佐子の顔色は黄みがかった色でどす黒い感じがした。目も黄色っぽく瞼は腫れていた。 これが隣の柴田さんが言っていた黄疸なのか・・ 孝雄は美佐子に何もないように「気分はどうだい」と聞いていた。 今日からなんだか色々検査があるらしいのよ。今は全然どうもないのにね。何の検査かしら」と言うのに 「この際だから全部検査してもらったがいいじゃないか」と言いながら孝雄は「やはり知らせない方がいいのだ」と改めて思った。 「お母さんたちが佐賀から出てくるらしいよ」 「えっ、なぜ。あなた私が入院している事を知らせたの」 「いや、違うよ。昨夜お母さんから電話があって今日から出てくるつもりにしていたらしいよ。何だか親戚に用事があるとかで、3日程泊まらせてくれって事だったらしいよ。まさか、美佐子は旅行ですとも言えないし」 孝雄は苦しい言い訳をしながらも美佐子は信じたらしく 「そうだったの、じゃあ病院へも来るのかしらね」 「そうだな、用が早く終わられたら来られるのではないか」 しばらく美佐子と雑談をしていたら先ほどの看護師が検査のため、美佐子を呼びに来た。 「じゃあな、また来るよ」と言って看護師に向かい「よろしくお願いします」 と言って部屋を出た。 孝雄が家へ帰りついたときは11時だった。途中で本屋へ寄り少し立ち読みしていたのだ。本はガンについて詳しく書かれている本を買おうかどうしようか迷っているときだった。 その孝雄の様子を少し離れたところから見ている人がいた。隣の柴田夫人だった。 孝雄もまさかここで柴田夫人に会うとは思いもしなかった。 この本やは家から車で15分はかかるところにあるのであまり知り合いはいないと思って本を探していたのであった。 「こんにちわ」と柴田夫人が声をかけてきた。 孝雄は慌てて持っていた本を後ろに隠し 「ああ、どうも」となんとも奇妙な返事をしていた。 「何をお探しですか」と聞かれ 「いいえ、別に。じゃあ急いでいますので失礼します」 孝雄は柴田夫人の返事も聞かずに本を隠したままレジへ急ぎ支払いを済ませて駐車場へと急いだ。 後ろから柴田夫人が追いかけてきているのではないかと心配になり車に乗り込むとき、後ろを振り向いたが、柴田夫人の姿はなかった。 孝雄は少し安心をして、ゆっくりエンジンをかけて家へと帰った。 家へ帰りついたときはすでに正也夫婦が来ており孝雄の帰りを待っていた。 千代が家にいたのでお茶とお菓子を出してもてなしていたが、まだ美佐子の話はしていないようだった。 孝雄は居間に入り際に膝を折り 「お父さん、お母さん、こんにちわ。すみません、留守にしていて」 挨拶をしながら千代を振り返り小声で話はしたのかと聞き、千代が「まだよ」と言うと孝雄は一気に正也達に美佐子の病状を話していった。 昨日、医師から離されたことをそのまま伝え、ホッとして千代が入れてくれたお茶を飲もうとしたらすすり泣く声が聞こえてきた。 芳江の泣き声だった。正也もしばらく沈黙が続き腕組みをして目を閉じていた。 やっと一泣きした芳江がすこし落ち着いたのか洗面所へと行った。 泣いて化粧が崩れたのを気にしたのだろう。63歳になってもおしゃれな芳江だった。 しばらく沈黙を続けていた正也が口を開いた。 「孝雄君、これから迷惑かけるな。でもなんで美佐子はもっと早く病院へ行かなかったのか」 芳江が戻ってきて相槌を打っていた。 「そうですよね、でも私も先月美佐子が来た時に少し瘦せたなとは思っていたのですよ。あの時にもっと美佐子に聞いていればよかったと今自分で後悔しているんですよ」 「いいえ、美佐子の病気に気がつかなかったのは私達家族の責任です。私はいつも一緒にいたのに気がついてやれなくて」 そう言って下を向いてしまった。 「そういったら私だってお母さんが痩せたのを気がついたのに何も言わなかったから」千代はそう言いながら泣き出してしまった。 「いや、もう今更何を言っても始まらない。それに孝雄君の話を聞いていたら検査の結果で手術ができるかもしれないとのことなので、今はそれを待っていよう」 「そうですね、きっと手術はできますよ」 芳江も正也が言った言葉に少し安心したかのように頷いた。 孝雄は美佐子の話が落ち着いたのを見計らって違う事を聞いた。 「今日はお父さんたちは美佐子の所へはどうされますか?美佐子には用事があって出て来られていると言っておきましたが」 「そうだな、芳江どうする?」 芳江はしばらく考え込んでいたが 「今日はよしましょう。ほんとはすぐにでも美佐子の顔を見てきたいけど、今美佐子の顔を見たら私は泣かない自信はありませんよ。それに美佐子には病気の事は内緒にしているって事ですから」 「うむ、そうだな。じゃあ今日はここでゆっくりしとくか、それでいいかな、孝雄君」 「はい、わかりました。千代が午後から行くのでお父さんたちは用事が長引くようなので今日は病院へは行かれないと言わせておきます。千代、いいな、話を合わせておいてくれよ」「はい、わかりました」 家で美佐子話をしている時、美佐子は苦しい検査をしていた。 検査の結果が出たと言う事で病院から連絡があり孝雄が午後仕事を休み病院へと出かけた。 待合室で待っていると看護師が呼びに来ていつもの部屋へ案内した。 しばらく待っていると医師が現れ カルテ他色々テーブルへ並べ改めて孝雄に 「斎藤さん、お疲れではないですか」 といつものように孝雄の身体を気をつかってくれた。 一呼吸おいて 「ところで奥さんには告知はどうすることにしましたか」 と聞いたので孝雄は家族で話あったことを医師に話をして了解を得た。 「分かりました。では奥さんには話さないと言う事でやっていきましょう。これからはご家族の献身的な看病が患者様の気持ちをかなり柔らかくしてくれると思いますので、大変とは思いますが、お願いします」 「はい、ありがとうございます」 一呼吸おいて医師が続けた。 「検査の結果ですが、申し訳ありませんがやはり奥様は手術は無理という事になりました。」 孝雄はやっぱりという感じで軽く頷き、肝心なことを聞かなくてはと思っていたら医師の方から察知したように淡々とした言い方で話があった。 「奥さんは一年と思って下さい」 とうとうはっきり美佐子の命の期限を言われてしまった。 孝雄は頭を垂れて考え事をしているかのように無言になった。 医師はこういう家族の態度には慣れているのだろう、またも孝雄の気持ちが落ち着くのを待ってまた話始めた。 「それから今後の治療ですけど・・」 医師の話は続いていたが、孝雄は一年とそのことだけが頭をグルグル回っていた。 どうやって駐車場まで来たのかわからない程、孝雄の頭は混乱していた。 最初病院へ行った時も医師から今のことは言われていたのだが、その時はまだ手術もできると思っていたので一年といわれても嘘のような気がしていた。 だが、実際に今はっきりともう一度念を押されたように言われるとかなり堪えるものがあった。 その日はとても美佐子の顔を見ることが出来なくてそのまま家へ帰った。 家に帰りつき車を駐車場へ入れようとした時、隣の柴田夫人が近所の主婦3人程と話しているのが見えた。 孝雄は車を降りて会釈だけして家へ入ろうとしたが、何か後ろから見つめられているような強い視線を感じた。後ろを振り向きたいのを抑えて玄関へと入っていった。 その柴田夫人は先ほどから近所の主婦たちと話し込んでいた。 話の内容はもちろん先日の美佐子の救急車騒ぎのことだった。もちろん本人が救急車同乗して付いていったのでこんなにリアルな話はない。またつい先日も孝雄が本屋でガンの本を読んでいたのも話題に出た。 他人のことになると何かしら興味を持つ柴田夫人だったので、近所の主婦たちも興味半分、面白半分で話を聞いていた。 「だからもしかしたら斎藤さんの奥さんはガンではないかと思うのよ」ヒソヒソといかにも秘密をうちあけている感じだ。 「ご主人もガンの本を読んでたり、そういえば奥さんは運び込まれる前もすごく顔色が悪かったのよね。私は黄疸が出ていたのではないかと思ったもの」 と見たことを一々話して聞かせていた。このことが原因で町内全部に美佐子はガンだと知れ渡っていた。 孝雄達がこの噂を耳にするのにそう時間はかからなかった。 救急車に同情したのだからある程度は分かって話しているのかもしれないが、孝雄を見ればヒソヒソされるのはあまりいい感じではない。 千代なんか若い女の子だから余計腹を立てて孝雄達に文句を言っていた。 「なんでこんなうわさをされなくちゃいけないのよ。人の不幸を喜んで、お母さんがかわいそう」とプリプリして怒っていた。 孝雄と康夫は男だからかそこまではおもわなかったが、それでもしばらくは近所の人と顔を合わせたくなかった。孝雄もまさかあの本屋で読んでいたものまで知っているとは思いもしなかった。 これから先、また柴田夫人と顔を合わせるのかと思ったら憂鬱になった。 美佐子が入院して早いもので2か月が過ぎた。美佐子は毎日点滴と薬の治療が続いており点滴する腕ももう両手とも血管が出ず今までの点滴で赤黒く腫れていた。 両方の腕に出来なくなったら今度は手の甲にかろうじて血管を見つけそこに刺されていた。 これがかなり痛いらしく針が一度では入らず何度も刺され、やがてここも赤黒くなっていくのであった。 孝雄達は美佐子の病室へ行くたびは切ない思いをするばかりだった。 孝雄は美佐子がいつ病気の事、また目立った治療をしていない事を不審に思いその事をいつ聞かれるかと思い美佐子の所へ行く度にハラハラしていた。 だが、不思議と美佐子は一言も病気の事は口にせず 「今日インターンで来ていた男の子、カッコよかったのよ」などと言って康夫や千代を笑わせていたらしい。 それでも孝雄には甘えが出るのかこの頃になると美佐子も不安になる気持ちを抑えきれずに孝雄の顔を見ると ねえ、いつになったら家に帰れるのかしらね」などと聞くようになった。次回へ続く★著作権はkazu495にあります★無断使用は硬くお断わりします
2023.12.14
温かい人生 NO6病院へ着いたときはまだ予約まで時間があったので、喫茶店へ行きしばらく休んで行くことにした。直接美佐子に会ったら3人共なんて言って美佐子に話かけていいのか戸惑ってしまうので、美佐子に会う前に少し時間を取って気持ちを静めてから行こうと思っていてのことだったがこれも予定していたことだった。 2時少し前にICUの病室へ行き、入り口のインターンホンを押し「斎藤です」というと中から看護師の返事があり、ドアが開いた。 昨日と同じように身支度をして中へゆっくり入っていった。 美佐子のベッドは入り口から5番目にあったので自然と他の患者たちの前を通って行くことになる。 だが、一人ひとりカーテンが閉めてあり中は見えないようになっていた。 美佐子は昨日のあの重々しい様子とは違い酸素マスクも外され体と機械に繋がられていた管も外れてすっきりしていた。 「美佐子」 孝雄が小さい声で呼ぶと美佐子は今まで寝ていたのか寝ぼけたような顔でうっすらと目を開けた。 「お母さん」 康夫と千代が声をかけると美佐子は眠りから完全に覚めたようにニッコリ笑った。 「あなた、康夫、千代。心配かけたね」 美佐子の声は思っていたより案外しっかりした声が出たので、康夫は少し安心した。 「気分はどうだい」 「うん、今はそんなに悪くないのよ。でも、私どうしたのかしらね」 美佐子はもちろん自分の病気を知らないのでなぜこんなICUに入っているのかが、わからないのであった」 「でも、今日は一般病棟に変わるようなことを聞いたよ」 「そうなの」 美佐子と子供たちが話している間に孝雄は看護師に担当の医師に話を聞けるかどうか尋ねた。 看護師がすぐ連絡を取ってくれたら都合よくその時間に医師がいるということなので 「いいですよ」と言ってくれた。 また、医師から指示があったらしく看護師は「もうしばらくしたら奥様を病室の方へお連れしますので」と言ってくれた。 孝雄は子供たちに目配せをして外へ出るように小声で伝えた。 美佐子には「もう少ししたらここを出るらしいので、先に病室の方へ行っとくよ」 と言ってICUをあとにした。 看護師が3人を案内して担当がいる部屋へ行った。 医師はまだ来ていないらしく殺風景な部屋は寒々としていた。 しばらく待っていると医師が入ってきて椅子に座り、昨日と同じようにレントゲンの写真を広げたり、カルテを見たりしていてやっと話を始めた。 「斎藤さん、お疲れになられたでしょう」 といたわりの言葉をかけてくれたのに孝雄は思わずポロっと涙が出てしまった。 「お父さん」 と、隣でそんな孝雄の様子を見ていた康夫が小声で呼び肘で孝雄をつついた。 少し待って医師が話を続けた。 「今日はご家族皆さんが揃っておられるので、もう一度改めて斎藤さんの説明をしますね」 と言いながら昨日孝雄に話をしたことと同じことを話していった。 「斎藤さんは膵臓ガンです。明日から検査をしていき手術ができる状態がどうか調べます。ただ昨日の診察では他の医師達の意見も手術は無理だろうと言う事でした。」 一呼吸置き、医師はつづけた。 「でも、もう一度検査をして手術ができる状態なら私はしたいと思っています。 手術が上手くいけば斎藤さんの命はもう少し期待できると思いますから。私たちもきる限りのことはしたいと思っています」 孝雄たちは一言も言葉が出てこずただ顔で頷いているだけであった 「奥さんは・・」 度は孝雄に向かって話しだした。 「前から腰が痛いとか言っていませんでしたか?それから食欲は?顔色が悪いとか思いませんでしたか」 矢継ぎ早に聞かれ孝雄はもう一度ゆっくり最近の美佐子の様子を思いだしていた。 そういえばかなり前の夕食のときに孝雄がテーブルにビールが出ていないので美佐子に「おい、ビール」と言ったときに美佐子が 「はい」と言いながら椅子から立ち上がろうとしたときに「痛い」と腰をさすっていた。そういえば食事も全部は食べていなかったように思う。 そのあとも朝起きるときに「痛い」と言って腰をさすっていたようだ。 「あの時に少しでも美佐子の様子に気がついていてやれば・・」 孝雄は今、後悔する思いを胸の中にしまってその時のことを医師に話した。 「そうですか、かなり前から腰は痛かったはずですよ。もう少し早めに診察を受けていれば・・」 孝雄は自分が責められているような感じで下を向いてしまった。 医師はそんな孝雄の様子を見て少し気の毒になったのか 「斎藤さん、別にご主人を責めてはいませんよ。それよりも今の奥さんの状態を見てこれから先、奥さんとどう向き合っていくかを考えていただきたいのです」 それから続けて 「奥さんには告知しますか」と聞かれた。 3人は思わず顔を見合わせ戸惑った様子を見せた。まだそこまでは誰も考えてはいないのだった。 孝雄が黙っているので、康夫は見かねて 「このことはまだ私達で話し合っていませんので、今後どうするかゆっくり考えてみます」と言った。 「そうですね、そうして下さい。そして話が決まったらお知らせ下さい。私達の対応もそれによって変わりますので」 それから医師は昨日運びこまれた時の状態から昨夜までの様子を簡単に説明をして部屋を出て行った。 3人は部屋を出た後、とりあえず待合室へ行きそこでしばらく座って気持ちを静めていた。 皆どっと疲れが出てすぐに美佐子に会える状態ではなかった。 どのくらい時間が経ったか「斎藤さん」と先ほどの看護師から声をかけられた。 「奥さんを病室の方へ移しました。5階の503号室ですのでどうぞ」 「はい。ありがとうございます」孝雄が返事をして3人共のろのろと歩きながら美佐子の着替えなどを持ちエレベーターへと足を運んだ。 途中で康夫が歩みを止め言った。 「告知のことは夜にゆっくり話しあおう。今はお母さんに安心して病気と向き合ってもらいたいので、僕たちは悲しい顔してお母さんの前にいたらいけないよ。お父さん、大丈夫かい」「ああ」 孝雄は生返事をして少し感心した顔で康夫を見た。 「千代も笑ってなくちゃいけないよ」 と今度は千代に向かって言えば、千代はムスっとした顔で 「分かってる」とだけ言った。 まだ18歳の千代には22歳の康夫のように切り替えることが難しいのであった。それでも病室に入り美佐子のベッドまで行った時は笑顔で 「おかあさん」と声をかけていた。 美佐子は点滴だけは離れていないが、他の器具は取り外されているので楽な感じでベッドに横たわっていた。 今は痛み止めが効いているのか腰の痛みはないようだ。 千代が荷物の整理しているのを見ながら 「みんな会社と学校「を休ませたのね、ごめんね」と言うので康夫が 「時には仕事を休むのもいいさ、みさこなんて勉強しなくていいからうれしいらしいよ」と言えば 「お兄ちゃん」と千代は康夫をたたく真似をした。 そんな話をしていたらもう夕方になり他の患者の食事が運ばれてきた。 美佐子は明日からの検査があるので食事はないようだ。 ここの食事は朝食が8:00 昼食が11:30分 夕食が18:00となっていた。 美佐子の様子を見ていたら少し疲れているようなので3人は帰ることにした。 面会時間は午後1:00~夜20:00までとなっている。 ただし身内だけは朝のでも回診がないときは病室へ入ることはできるようになっていた。 孝雄は「明日会社へ行く前に一度寄るからな」と言いながら康夫達より一足先に部屋を出た。 「お母さん、ゆっくり休んでね」 「お母さん、ちゃんと寝ないとダメだよ」 康夫と千代も代わる代わる美佐子に声をかけて孝雄に続いて部屋を出た。 康夫達が廊下へ出ると孝雄の姿が見えないのでアチコチと探し駐車場まで来たところで孝雄が声を出して泣いている姿があった。 千代はもちろん康夫も孝雄の泣く姿など今まで一度も見たことなかったので、驚きしばらくは声をかけることも出来なかった。 やがて千代も今まで泣くのを我慢していたのが一気に出たのかこちらも声を出して泣きだしていた。 しばらくして孝雄が少し照れくさそうな顔をして「帰ろうか」と言って車に乗り出した。 帰りもやはり3人は無言のまま家路に急いだ。 その日の夜孝雄達親子は美佐子に告知するかどうかで話し合った。 それぞれ考えはあったが結果として美佐子は案外気が弱いところがあるので知らせないで、かくしておこうという事になった。 もし知ったら悲観して自殺の恐れもあるように思え心配だった。 千代がまた言った。 「お父さん、やはり佐賀のおばあちゃんにの所へは知らせた方がいいんじゃないの」と孝雄を見て言うのを横から康夫も 「そうだよ、心配かけるかもしれないけどおばあちゃん達には隠しておけないよ」と言うので孝雄もやっと決心して 「じゃあ、電話してみようかね、びっくりされるだろうね」 と言いながらゆっくり受話器を取りしばらくそのまま受話器を見つめていたが、やがて思い切って番号を押した。 「もしもし、あっ、孝雄ですが、ご無沙汰しています」 受話器の向こうで芳江が挨拶したり近況を話したりしているのだろうか中々孝雄の口から美佐子のことが言えず「はあ」「そうですか」などと相槌を打っていた。 その時芳江の方から美佐子のことを聞いてきたらしく孝雄がしどろもどろにな口調で話しをしだした。 「あの、美佐子は昨日から病院に入院しているのですよ」 芳江がどうしてと聞いているのだろう、孝雄は続けて 「美佐子がガンらしいのです」 芳江の驚く姿が横で聞いていた千代にも分かるようだ。 主人の雅也を読んでいるらしく大声がよく聞こえた。 雅也に代わり孝雄は簡単に美佐子の様子を説明したが、向こうから電話ではよくわからないので、明日出てくると言ったらしく 「はい、わかりました。では明日家で待っていますので、あっそれからすみませんけど先に美佐子の所へ行くのは止めて頂けますか」と言ったら「わかっとる」とでも言われたらしく「はあ、すみません」と小声で言って冷や汗をかいた顔で受話器を下ろした。 「おばあちゃん達が明日出て来られるから」 「お父さんは会社は行かなくていいの」 と千代が聞けば 「ああ、明日一日休みを取るよ。千代しばらくおばあちゃん達が泊まるから布団を出していてくれないか」 「分かったわ、私も明日は講義が少ないので学校は休むからいいよ。お兄さんは会社行っていいよ」 康夫だけ出勤することにした。 「明日一度マンションへ帰ってから会社へ行くよ」 次回へ続く★著作権はkazu449にあります。無断使用禁止!!
2023.12.06
ご報告小説の続きをUPしたいと思っていましたが、パソコンの調子が悪くなりリカバリしたら後が手を焼いています。笑続きはもうしばらくお待ち下さい
2023.11.24
ICUの前まで来たら先程の看護師が待っていて、「集中治療室へ入る説明をします」と言った。まずここへはいつも入る事は出来ないで予約をして入るとの事だった。それから靴をスリッパに履き替え白の割烹着のような上着を着て、ビニールのヘアキャップを付けて手を消毒してそれからやっと患者の元へ行った。3人は看護師の言うままに従いながら美佐子の枕元へ行った。「お母さん」千代の驚いたような声が聞こえた。千代だけではない孝雄も靖男も美佐子の姿を見たら言葉が出てこなかった。美佐子は酸素マスクをつけられ右手は点滴をされており動かないようにだろうか固定されていた。左手の指先には脈拍が分かるように挟まれていた。その他にもいくつもの管が身体に付いていた。ベッドの横には尿が入る袋が付いていた。意識がまだないのか声をかけても目をあけようともしない。「治療する時に麻酔を軽くしていますので、今はまだ眠られているのですよ」と看護師の説明は続いた。「今日の面会はこれくらいにして下さい。先程、先生の説明もあったと思いますけど、多分2日程でICUは出られると思いますよ。それから色々な検査が始まりますから」「ご家族の方は心配でしょうけど、今日はもうお帰り下さい。こちらにいてももう面会は出来ませんし・・何か急変した場合は連絡を入れますので」 看護師に促されて3人はICUの部屋を出て行った。皆、沈黙したままであった。それから入院の手続き、その他入院に必要なものなどを買い物したりと忙しくしていた。すべてが終わった時はもう外は薄暗くなり夕方はとうに過ぎ、夜になる頃に家へ帰ってきた。途中で夕食を買ってきたが、3人とも食欲がなく弁当はそのままの状態でテーブルに乗ったままになっていた。孝雄は2人を呼び美佐子の病気の説明をした。説明と言っても孝雄自身が医師の説明を上の空で聞いていたので、靖男と千代に話した事は簡単な事だけだったが・・「お母さんは膵臓ガンだそうだ」「えっ・・」「今から精密検査をするらしいからまた詳しい説明はその時にするらしい」「で、お母さんは治るのよね」千代が聞くのに孝雄は「まだ、何も聞いていないので分からないよ」とだけ言った。ほんとは先程医者からの説明で「ガンの進み具合が早いので手術も出来ない状態かもしれないし、命も持って後一年だろう」と聞いてはいたが、孝雄自身が今は美佐子の病気を受け入れる事が出来ないので医者が言った事もまだ半信半疑だったのであった。孝雄は気を取り直して千代と靖男に「とにかくこれからはお母さんの病気と付き合っていくしかないのだし、お母さんに心配をかけないようにしていってくれ、病気にさわるといけないからね」それから3人でこれからの事を話し合い病院へ行く順番、世話はどうするか、家事はどうするかなどを話し合った。 ICUに入れられていた美佐子が気がついたのは孝雄たちが帰って2時間もしてからの事だった。家で倒れた時には意識を失っていたおりそのま意識が戻る前に治療をする為に軽い睡眠剤を打たれたので今気がつくまで、ずっと寝ていた事になる。美佐子はうっすらと目をあけてみたが白い天井だけが目に入るだけだった。口元に違和感を感じそっとみたら何か口と鼻を隠されているのが見えた。それが酸素マスクだと気がつくまでそう時間はかからなかった。右手を挙げようとしたが、美佐子の意思とは反対にびくともしなかった。右手に繋がっている管を辿っていけば゛点滴の容器から一滴ずつポタ・ポタと落ちているのが見えた。手を無意識に動かしてはいけないだろうからか固定されている感じがした。身体にも他に色々と付けられており、美佐子は意識が少し戻ってきたのとは関係なく逆に身体は身動きできない状態であった。美佐子が目を覚ましたのにきがついた看護師が「具合はどうですか?腰は痛くないですか」と聞いてきた。美佐子はマスクをされているので返事が出来ず頭だけをうごかしただけであった。それから看護師から今までの美佐子の状況を説明され、家族全員が来てくれた事を知り安心したのかまた眠くなってきてうつらうつらとしてきた。 美佐子が2度目に目を覚ました時は朝になっており看護師達の数が多くなり入れ替わり立ち代わりして忙しく動いていた。美佐子の担当の医師が入ってきて美佐子を診察して、看護師に何か言っているのがかすかに聴こえてきた。「落ち着いているようなので酸素マスクを外すように」と言っているようだ。それから美佐子に向って「もうしばらくこちらにいて下さいね。午後には一般病棟に入れますから。何処か痛いところはないですか」と聞いてきた。美佐子は返事出来ないのになと思いながら昨夜の看護師にしたのと同じように頭だけを動かした。看護師から酸素マスクを外された時は顔が自由になりうっとおしいものが取れた感じだった。まだ右手は固定されており点滴が終わりがないように常にポツポツと落ちていた。 次の日3人はそれぞれ休みを取りもう一度病院へ行く事にしていた。昨夜は3人共寝る事が出来ず母・美佐子の事をそれぞれ考えていた。今日もお天気はよく行楽へでも出かけるのには丁度いい空を恨めしそうに見上げながら千代は朝食の用意をしていた。昨夜は皆食欲がなくて買ってきた弁当が包みを解かれもせずにそのまま食卓に載っていた。千代は簡単な朝食を作りながら、いつもは美佐子がこのキッチンに立っておりまな板の音がコトコトと鳴っていたのだとしみじみ思うのであった。孝雄と靖男が寝不足の腫れぼったい顔をしてキッチンに顔を出した。千代は首だけ後ろへ向けて孝雄に声をかけた。「お父さん、佐賀のおばあちゃんの所にお母さんの事知らせなくていいの」佐賀には美佐子の両親がまだ健在で二人だけで住んでいた。父親の正也が70歳、母親の芳江が67歳になっていた。孝雄の家から車で30分の所にある。孝雄の両親は結婚して5年ほどの間に相ついで失くしており、今は兄の明家族が実家を次いでいた。「そうだな、知らせなくてはいけないだろうが・・まだ先生からよく説明を聞いていないからな、今日行ったらまた説明があると思うからそれからでもいいんじゃないか」「そうだよね」靖男が口を挟みその話はそのままになった。孝雄は昨日ほんとは説明を聞いていたのだが、まだ美佐子が手遅れのガンで命が一年しかもたないだろうとはどうしても信じられず、医師の言葉をそのまま受け入れる事が出来ないのであった。だから今日また説明を聞いたら違う事を言われるような気がしていたので昨日の話を千代達に話す事はしなかった。 孝雄たちは簡単な食事を済ませていたら玄関のチャイムが鳴り「柴田ですけど」と声がした。隣の柴田が来たようである昨日あれだけ柴田夫人にはお世話になったので後から挨拶に行こうと思ってのた矢先の事である。孝雄は鍵をあけ「おはようございます。昨日は大変お世話をおかけしてありがとうございました。」と声をかけ、続けて「後ほどこちらから挨拶に伺おうと思っていのですが・・」と柴田夫人が何か言われる前に挨拶をした。柴田夫人は愛想笑いをしながら「いいえ、それはいいんですよ。で、奥さんの様子はいかがですか」と聞いてきた。孝雄は今柴田夫人に美佐子の病気を話すつもりはなく「まだ今から検査があるそうです。疲れのようですね、ついでだからゆっくり検査させようと思っています」と言った。「そうですか、ご心配ですね、そういえば奥さんは前から少し顔色が悪いような気がしていたのですけれどね。それも黄疸が出ているような感じが・・」と言って少し言い過ぎたと思ったのか慌てて「ごめんなさい、変な事言って。でも検査してもらったら安心ですものね。ではお大事に」と言い残して帰って行った。柴田夫人は悪い人ではないのだが、他人の事を詮索するのが好きなタイプだ。そういう人なので美佐子も柴田夫婦にはあまりいい感情を持っていなかった。それにしても今柴田夫人が言った「黄疸」という言葉が孝雄の脳裏から離れず、ずっと考え込んでいた。居間に戻っても考え事をしている孝雄を見て靖男が「お父さん、どうしたの」と声をかけた。「いや、今となりの柴田さんが言っていたけど、お母さんはそんなに顔色悪かったかな」流石に黄疸が出ていたかという事を聞く出来なかった。「そうね、普通が色黒なのでそう感じなかったかな。でもこのところ少し痩せてきたかなとは思っていたのよ。孝雄は千代でさえ美佐子の身体の変化にそれとなく記がついていたのに、夫の自分が何も気がついてなかったという事に少しショックを感じていた。その日は午後2時にICUの面会を予約していたので孝雄たちはお昼少し過ぎた頃に家を出た。車で20分のところに美佐子が入っている病院はあった。靖男の運転で病院へ向かったが、誰も何も話さず沈黙したまま病院へと行った。次回へ続く★著作権はkazu495にあります。無断転写は硬くお断りします。
2023.11.15
正也も芳江も新しい彼を連れてきて結婚したいと言い出した時二人は正直ほっとしたものがあった。強引に昇と引き離した後の美佐子を見ているのが辛いものがあった。それからしばらくして美佐子と孝雄の結婚式があり、美佐子は今までの家から一時間ほどかかる県外へ孝雄と新居を見つけ住みだした。やがて美佐子夫婦に長男・靖男が出来て4年後に娘千代が産まれた。それからの美佐子は子供達を育てる事に夢中になり学校の役員をしたりと忙しい日々を送っていた。昇の事を思いださない事はないが、子供達の世話に追われ平穏な生活が続いていた。孝雄も子供達の教育も熱心だし家庭の事もマメに動き良き父親をしていた。孝雄を愛しているか言えばよく分からない美佐子だが、孝雄に対して取り立てて不満はなく一応妻と主婦の務めは果たし、無事に月日を過ごしていった。結婚して10年ほど経ったある日の午後に思いもかけない人物から電話があった。「もしもし、美佐子」電話の声は生け花教室で仲良くしていた山下清子であった。「清子、久しぶりね」おもいがけない友達の電話に美佐子はなつかしさでいっぱいになり、お互いの近況などを話した。清子の電話の中で昇の名前が出てきて美佐子はドキッとした。「山田君ね、5年前に結婚して今東京にいるらしいよ」美佐子はドキドキする胸を押さえて聞き逃さないように受話器をしっかり当てた。清子の話では美佐子と別れる為に仕事も家も変わり離れた土地におばあさんと一緒に出て行ったらしく、そこで今度は車の営業マンとして働き親戚の紹介で今の奥さんと結婚したらしい。しばらくしておばあさんが亡くなったのを境に奥さんと子供と一家で東京へと出ていったとの事だった。美佐子は何故自分から離れて行ったのかを知りたくていつ言い出そうかと迷っている時に、清子の方から話してきた。「美佐子のお父さんが山田君のおばあさんに直接会って娘との付き合いを辞めてほしいと話をしに行ったらしいね」と言った。やはりそうだったのか、父親が・・清子の話はまだ続いた。「山田君は美佐子を本当に愛していたので、自分が身を引いた方が美佐子の為と思っておばあさんと共に姿を消したらしいよ」美佐子は清子の話を聞きながら「今ではそれでよかったのだ。昇も理解ある人と結婚できたのだから」と自分自身に言い聞かせていた。今まで昇の様子が分からずに心にひっかかっていたが、清子の話を聞いてから今の美佐子には安心するものがあった。昇の話を聞いてほんとはすくにでも昇に会いに行きたい気持ちが沸いてきたが、昇もまだ結婚して5年というから今会って昇の家庭を壊す事になっては申し訳ない気持ちと、美佐子の家庭に対する愛情も十分あったので、美佐子自身の家庭を壊す勇気もなかったのも事実であった★美佐子の病気 秋植えの花に植え替えをしていた美佐子は何度も腰を叩いていた。この腰の痛みは半年ほど前からありこの頃では頻繁に痛みがあるので、美佐子もそろそろ病院へ行ってみようかなと思っているところだった。美佐子は腰の痛みを簡単に考えており、歳をとったので骨も弱くなり痛くなってきたのだろうくらいにしか思ってなかった。だが、病魔は密かに美佐子の身体をむしばんでいったのであった。美佐子47歳の時である。花の植え替えが終わり水をやりながら春には色とりどりの花を咲かせてくれる姿を思い描いていた時、玄関のチャイムがなった。「宅配です」との声で美佐子は玄関に小走りで行き宅配を受け取りに行った。かなり大きな包みを宅配業者が重そうに抱えていたのを玄関の中へ入れてもらい判を押した。判を押しながら送り主をチラチラと覗いていたがよく見えず、業者が帰ったのを見計らいまたゆっくり送り主を確かめた。送り主は「中村健三」とあり、美佐子はこの名前に心当たりがなく不審に思い宛先を見たら「柴田洋平」とあった。「あら、お隣のだわ、間違えたんだ」仕方ないのでお隣に持っていこうと思い荷物を抱えようとしたその時、腰に鋭い痛みを感じ美佐子はその場から動けなくなってしまった。「まずい、ぎっくり腰かしら」美佐子はそんな事を思っていたが、腰の痛みはぎっくり腰の痛さとは違うようだ。生汗をかきながらなんとかはって電話で救急車をよんだ美佐子はそのまま意識を失ってしまった。平日だったので皆出かけており美佐子1人のむ時の出来事だった。隣の家の柴田夫婦が丁度買い物から帰り家の中に入ったばかりの時に救急車のサイレンを聞き近くで止まったので慌てて外へ出てきた。隣の家だと思い玄関に行きドアを開けたらそこに美佐子が意識を失い倒れていた。玄関の鍵は開いていたが、側に宅配の荷物があったのを柴田夫婦は気がつかなかった。救急車が到着して応急処置をしながら美佐子を病院へ運ぼうとした時に慶子に「お隣の方ですか」と聞き慶子が「そうですけど」と返事をすると「一緒に乗って付いて来て頂けますか」と言われたので慶子はその旨を洋平に伝えて美佐子と共に救急車へ乗り込んだ。美佐子の顔色は真っ青で呼吸困難でも起こしているのか酸素マスクを当てられた状態で病院へと行った。病院へ着くなり看護師たちが慌てて美佐子を処置室へと連れて行った。慶子は取り敢えず孝雄に連絡を取らなければと思い、以前美佐子から聞いていた孝雄の仕事先を思い出し電話帳をめくった。孝雄の仕事先は案外簡単に見つかり無事孝雄に連絡が取れた。一時間もしない内に孝雄が慌てた様子で病院へかけつけてきた。「奥さん、ご迷惑をおかけしました」「良かった、案外早く来られましたね」「はい、で美佐子は」「まだ今診察されているのではないですか」それから慶子は今までの様子を簡単に話してきかせた。「ご主人が見えられたのでもう安心ですね。私はこれで帰りますね」「ほんとうにありがとうございました。」柴田を見送った孝雄は今度は康夫と千代に連絡を取った。うまい具合に康夫は会社へおり、千代も短大にまだ残っていたようで連絡を取る事が出来た。それぞれにすぐかけつけるからと言って電話を切った。それからまたしばらく経って医者が出てきて処置が済んだ事をしらせた。「斎藤さん、奥さんは少しやっかいな病気のようですよ。今は処置が終わり集中治療室に入ってもらっています。詳しい説明は後でしますので」それだけ言って医者は去って行った。孝雄はまだ美佐子に面会できない事を不審に思いながらも医者の言う通りにまた30分程待たされてやっと看護師が迎えに来た。医者が待つ部屋にはいると孝雄に椅子を進め、改めて医師は自己紹介をしてから美佐子の今の状況を説明していった。「斎藤さん、では説明します。奥さんの病名は膵臓ガンです。明日からさらに詳しい検査をしていきますが、かなり悪く進行しているようです。」「え、すい臓がんですか」「はい、今まで腰が痛いとか、食欲がないとか言われてなかったですか」そう医者に聞かれ孝雄は今までの美佐子の様子を思い出そうとするが、頭が混乱しているのか何一つ思いだせないのであった。「はあ・・」医者はレントゲンで撮った写真を見せながら説明をしているが孝雄の頭には入ってこない。まだ医者の説明は続いていたが孝雄は上の空で聞いていた。説明が終わりまた待合室へ戻り1人ぼんやりしていたらそこに孝雄と千代が駆けつけてきた。「お父さん、お母さんは」孝雄は我に返りぼんやりした顔で2人を見上げた。「ああ、やっと来たね」「急いで来たけど、道が渋滞していたから」孝雄は「うん、うん」と頷くだけだった。「お母さんとは会えないの」と千代が聞くのに孝雄はそういえばまだ美佐子の顔を見ていないのに気がついた。「そうだね、お母さんの病気の事は家へ帰ってゆっくり話すから。今お母さんは集中治療室に入っているので勝手に入って行く事は出来ないのだよ」「じゃあ、僕がどうしたらお母さんに会えるのか聞いてくるよ、千代はここにお父さんといなさい」靖男がテキパキと行動するのを孝雄は頼もしい感じで見ていた。やがて靖男が戻って来て「今から会えるらしいよ」というので3人でICUの部屋へと急いでいった。次回へ続く★著作権はkazu495にあります。無断使用はお断りします。★
2023.11.06
そんなある日、美佐子は芳江に「今日は仕事の帰りに中学の時の友達と数人と会ってくる」と嘘を言って昇と連絡を取って会う事にした。芳江も正也も町日暗い顔をして仕事から帰って来る美佐子が少し不憫に思い、たまには気分を変えるのもいいだろうと許してくれた。昇の父親の事を聞いてからすでに3カ月は経っており、その間に昇からの連絡は仕事先にもなかった。やっとの思いで昇と連絡が取れ、久しぶりにいつも会っていた喫茶店で待ち合わせの約束が出来た。美佐子ははやる気持ちを押さえながら約束の喫茶店に入り、店内を見渡した。昇は店の隅の方で小さくなって座っている姿はいつものハツラツと感じは消えてしまっていた。そんな様子の昇を見て美佐子は昇がとても可哀そうに思えた。昇と美佐子は久しぶりに会い、この3カ月の間会えなかったのをとの戻すかのようにお互い無言のまま見つめ合っていたが、しばらくして昇が口を開いた。「美佐子、おやじの事では嘘をついていて悪かった。美佐子からの連絡がなくなったのでオヤジの事がばれて反対されたのだなと分かっていたよ」美佐子は昇の話を聞きながら申し訳なさそうに下を向いた。昇の話は続いた。「僕からはどうしても連絡入れる事が出来なくて・・でも僕は美佐子と別れたくない」「うん、私も昇さんと別れる事なんで考えてないのよ。ただ、両親の監視が厳しくなったので自由に出て来られないの」「僕たちどうなるのかな」情けない昇の言葉を聞いていたら美佐子は反対に強くなり「大丈夫よ。私が両親を必ず説得するから」と美佐子はそう言って昇を慰めた。だが、そうは言っても美佐子に両親を説得する力が゛ないのを昇も薄々感じてはいたのだった。昇と会う為にはどんな嘘でも平気で両親に嘘をつく美佐子はそんな自分自身に驚いていた。色々な嘘をつきながら昇との逢瀬を重ねていた美佐子だったが、親に気がつかれるのも時間の問題で、それからしばらくしてまた正也から呼ばれ居間に座らせられた。「美佐子、まだ昇君と会っているのか」美佐子は黙ったまま下を向いたきり一言も話さなかった。。あきれた正也は再び美佐子にこう言った。「美佐子、また昇君と会うというのなら仕事も辞めて清子叔母さんの所へ行かせるよ」清子叔母は正也の妹で鹿児島にすんでいた。正也は半分脅かしのような言い方をして美佐子を睨みつけた。美佐子は仕事も辞めさせられて叔母の所へ行くようになれば永久に昇と会えなくなってしまうと思い慌てて正也に言った。「お父さん、仕事は辞めさせないで。もう絶対昇さんとは会わないので・・仕事まで辞めてしまったら私は何をしたらいいの」美佐子の必死の説得に正也も折れ「美佐子、御願いだから私達の言う事を聞いておくれ」と最後には美佐子に頼む形となってその場はおさまったかのように見えた。それからしばらくは美佐子も大人しくしてからまた密かに昇と会う。こんな関係を一年も続けていただろうか。2人の間でも結婚の話は出て来なくなってきたある日の事であった。いつものように両親に嘘をついて明日は昇と会おうと思い昇の会社へ電話を入れた。だが、電話の先に昇はもういなかつた。会社でも何故昇が急に辞めたのか分からないと言うばかりで要領得ない。美佐子は思いきって一度行った事のある昇の家を訪ねて行った。だがそこにも昇とおばあさん2人していなく家は引っ越しをした後だった。もう何処も探す事も出来ずに美佐子は肩を落とすばかりであった。その日を境に美佐子は何をするにも意欲が出ず元気がない日を送っていた。昇が何故仕事を辞め家を引っ越しまでしたのか後になって美佐子は知る事となった。昇が美佐子の前から姿を消した後、どうしようもなく寂しくなり虚しくなっていた時に孝雄と知り合い、またそれまでの事務の仕事もどうでもよくなり今の生活から一心で孝雄のプロポースを受けたのであった。もちろん孝雄にはこの事は内緒にしており美佐子も一生口に出すか事はしないと硬く心に誓っていた。それから一年程孝雄と付き合い正也と芳江に紹介する運びとなった。
2023.10.29
NO2 美佐子独身の時 美佐子も25歳で孝雄と知り合うまでに恋愛がなかったとは言えない。かなり深刻な大恋愛をしていたのだが、結婚まではいかず泣き泣き別れてしまっていた。その彼は美佐子が20歳の時に知り合った。成人式を迎えた美佐子は事務の仕事をしながら生け花の稽古に通っていた。その教室にはその頃には珍しく男性の生徒が入っていた。周りは女の子ばかりなのにその中に混ざっている男の子はかなり目立ち皆の注目を浴びていた。名前を「山田昇」と言い、23歳で背も高く中々スマートな青年だった。髪は多く若白髪が数本混ざっているのが特徴でいつもサラっと横に流しているヘアスタイルをしていた。美佐子が入った時にはすでに昇はおり、美佐子は何故ここに男の子がいるのか不思議に思っていた。美佐子が教室へ行きだして半年も経った頃には友達も出来、よく6人ほどのグループで遊びに行くようになっていた。そのグループの中に昇も入っていた。そんなある日、教室の帰りに喫茶店へ入りコーヒーを飲みながら話をしていた時に誰からともなく言い出した事が次の日曜日にサイクリングへ行こうというものだった。皆反対する人もなく話はすぐ決まり、場所と時間を決めた。 次の日曜日に待ち合わせ場所の駅に着いた時にはもう全員集まっており、その中に昇もいた。昇は美佐子を見つけると笑いかけてきた。その日は秋も深まり少し肌寒さがあった。昇はチェックのシャツに濃紺のジャンバーを羽織り爽やかな感じで自転車の横に立っていた。やがて6人のグループはそれぞれの自転車に乗り出発をした。自然に美佐子の横に昇るが並び走って行く事となった。それまでも昇と話はしていたが、グループの中の1人という関係しかなかったのだが、こんな形で昇と二人で話すのは美佐子にとってはとても勇気のいる事だった。その日をきっかけに二人はグループから離れて付き合うようになっていった。昇と付き合うようになってから美佐子は自分の家の事などを色々話をしていたが、何故か昇は自分の家の事を話すのをためらっていた。美佐子が聞くとそれとなくそれとなく話をそらす感じがするのだった。その時の美佐子はもう昇しかか目に入らない時だったので、昇が家の事を話さないのをそんなに深く考えもしていなかった。 2人の関係は生け花教室の誰もが知る事となり皆2人を応援してくれていた。その頃の昇の仕事はある食品メーカーで営業をしていた。昇は自転車で通っていたので帰りはいつも昇の自転車の後ろに美佐子が乗り、話しをしながら帰って行くのが2人にとって楽しみな事だった。そんな付き合いを2年もした頃から2人に間には結婚の事が話題に出るようになってきていた。やがて美佐子が23歳の誕生日がこようとしていた時である。美佐子は母親(芳江)にそれとなく昇の話をして父親(正也)に話しをしてくれるように頼んでいた。芳江は夫正也に美佐子から聞いた話をした。正也は一度会ってみようという事になり、美佐子は早速昇に話しをして家へ来る段取りを付けた。当日昇はかなり緊張した顔で正也と芳江に挨拶をしてくれた。その時は芳江も正也も昇の性格を好ましく思い、結婚もいいだろうと了解してくれた。美佐子は嬉しくなり今度は昇の家へ連れて行ってくれと頼み、昇も承諾して家へ行く事となった。ある日美佐子は手土産を持ちいそいそと昇の家へ行った。玄関に出てきたのは70歳くらいのおばあさんだけだった。その後美佐子は昇から家の事情を聞く事となった。昇が小学生の時に両親が離婚をして昇は父親と祖母と暮らす事となったが、父親は仕事と称して家を留守がちにして実質的には祖母から育ててもらったようだ。父親はどうしたのかと聞いたらその時もやはり仕事で遠方に行っており、家にはいないとの事だった。美佐子は話を聞いてそれだけだったらたいした事でもないように思え、「これからは2人でおばあさんを見ていこうね」といじらしい事を言って昇を喜ばせた。それからしばらく経ったある日、美佐子が生け花の教室から帰ってきたら両親から「話がある」と言われた。居間に座り両親の顔を見たらなんとも複雑な困惑している顔が美佐子を不安にさせた。「話って何」と美佐子は不安を消すように明るい声を出して聞いた。しばらく両親は沈黙をしていたが、思いきったように正也が重い口を開いた。「美佐子、あの昇君とは結婚は出来ないよ」「えっ、何故」美佐子は意味が分からず不安だけが大きくなってきた。正也はゆっくりと口を開いた。「身元調査をしてみたよ。昇君の父親は横領罪で有罪になり今服役しているそうだ」一気に話した正也は苦悩に苦しんでいるようだった。美佐子は正也の言葉を理解する事が出来ずにぼんやりしていた。続けて正也は続けた。「昇君は立派な青年だと思う。だが、民事事件でも犯罪者には変わりない。そんな父親がいるのに一緒になる事は無理だ。二度と昇君と会ってはいけない」話しは続いた。「教室も辞めなさい。仕事も辞めさせたいが家にずっといるのも気が重くなるだろうから仕事はしてもよい。ただし勤務が終わったら真っ直ぐ家へ帰ってくるように」と正也は少しすごみを持った言い方をして美佐子を見た。美佐子は横領罪がどんなものかは知っていたが、殺人を犯した訳でもないのにどうして正也があんなに反対するのかが分からなかった。 美佐子は1人部屋へ入り今正也が言った言葉を思い返していた。これからどうしたらいいのだろうか・・また23年しか生きていない美佐子にとって事の重大さを理解するのには無理があった。それからは両親の監視が厳しくなり美佐子は昇と会う事が出来なくなっていった。仕事が終われば家へ真っ直ぐかえり家事の手伝いなどをして過ごしていたが、美佐子の頭はいつも昇の事を思い、なんとかしてもう一度昇と会って話したいとの思いがどんどん膨らんで行った。続く
2023.10.23
温かい人生NO1 美佐子ついこの前までは風も生暖かくとても不愉快な感じがしていたのだが、今日の風は爽やかで肌をすり抜けて行く感じはサラっとしていた。やがて季節は秋に入ろうとしていたある日、美佐子は1人庭でガーディニングに励んでいた。暑い夏の間可愛い花をたえまなく咲き続け、楽しませてくれたペチュニアを思いきり引き抜き、土を新しくする為に土を耕していった。これから秋植えの花に植え替えようとしていたのであった。「精が出ますね」突然声をかけられ美佐子は思わず声が聞こえる方に顔を向けた。そこには隣の柴田夫婦がニコニコしながら美佐子の姿を見ていた。「あら、お揃いでお出かけですか」美佐子も返事を返し手袋を外しながら無意識に腰をトントンと叩いていた。ここのところやけけに腰が痛いのが気にはなっていた。「ええ、ちょっと買い物へ行くんですよ」柴田夫婦は仲良く声を揃えて返事を返した。主人の柴田は洋平は薄いブルーのブレザーを品よく着ており、襟元にはこれもまた薄いブルーに小さい水玉がついたスカーフを巻いていた。襟元からちらっと見える程度にしているのが名かな憎いお洒落な感じを出していた。夫人の慶子は洋平と合わせたようにブルー地に細いボーダーのワンピースにオフホワイトのジャケットを羽織っていた。柴田が確か去年退職したと聞いていたので、今は時間があり昼間はよく2人揃って外出していた。慶子は洋平より5歳下と前に聞いた事があったのを美佐子は思いだしながら柴田夫婦を見送っていた。 「じゃあ行ってきます」と弾んだ慶子の声と折り返しに「お気をつけて」と声を掛けながら美佐子は密かに「もう秋になるというのに夏のような恰好をして」と声に出さずに悪態をついた。それというのも美佐子はこの柴田夫婦が日頃から何かと目障りな存在だったのである。 美佐子は高校を卒業した後、事務の仕事をしていた美佐子は取引先の孝雄に見初められてあまり深くかんがえる事なく一緒になった。美佐子25歳、孝雄28歳であった。愛しているのかどうかさえあやふやな状態で一緒になった美佐子であった。孝雄はとりたてて不細工な訳でもなく平凡な顔つきをしていた。中肉中背で特徴と言えば少し吊り上がりの目をしており、きつい人のように見えたが、笑うと柔らかい口元が人のよさを感じるようであった。付き合いだしてからの孝雄は少し短期な所があるが特に悪い訳でもなく、仕事から帰ってきたら風呂へ入り、ビールを飲みながらテレビを見るのが楽しみという典型的な昭和の男であった。 続く
2023.10.19

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2023.09.28
あの頃 歌詞 kazu 作曲 shige ➀ある日 紫のバラが届きました添えられたカ-ドに あなたの名前あの日の事を 思い出すなぜ・・・今頃に私の心の中 戸惑うだけよ懐かしさだけ 走り抜けます②そうよ あのバラは私が好きなのよ優しくて可愛く 気高い花よ覚えてたのね うれしいわでも・・・どうしてよやり直すのはむりよ 私とあなた思いでだけを 残して過ぎる ③ワイン 傾けてひとり飲んでいますバラを抱えてくる あなたの笑顔忘れはしない 忘れないねえ・・・そうでしょう昔には戻れない 泣くのはいやよ私の心 閉じたままです著作権はkazu495にあります。無断使用禁止します。
2023.09.19
{その後}聡子が真理子に襲われてからやがて一ヶ月が経とうとしていた。聡子は特別怪我もしなかったが精神的にかなり参ってしまっていた。真理子は警察の取り調べを受け事件を起こした動機は聡子に対する嫉妬からと言ったらしい昇も警察から呼ばれ事情を聞かれたらしいがすべて真理子一人でした事というのが分かり家へ帰ってきていた。一ヶ月経ってやっと二人はお互いに話し合いをする気持ちになった。だが家で話すのは事件を思い出すかもしれないとの昇の考えで二人で小旅行をする事を聡子に提案し、熊本の黒川温泉に行く事にした。季節は真夏になろうとしていて毎日暑い日が続いていたある日二人は車で出かけた何年ぶりの二人だけの旅行だろう・・・子供達が小さい時は忙しい仕事の合間をぬって昇は家族旅行に連れて行ってくれたものだ。黒川温泉も昔のままで風情がある温泉街である。温泉に入り夕食をゆっくり取りながら二人でボツボツ話していった。以前にもこんな光景があったな~と聡子は思い出しながらもその事は口に出さなかった。昇は真理子とはあの事件以来きれいに別れており毎日早くに家に帰ってくるようになっていた。「聡子、俺達もう一度やり直しできるかな?」「そうね・・・」「俺は意気地がなかったんだろうね、真理子が疎ましくなったのは真理子と付き合いはじめてそんなにならない内だったんだよ。 だが真理子があんな性格だったから中々手を切る事が出来なくて」昇はまたビ-ルを飲みながら続けた「君にはほんとに申し訳ないことしたと思ってるよ。警察から電話があった時はもう身体が震えてしまって・・ でも、怪我がたいした事なかったのでほんとよかったよ」聡子はしばらく昇の話を黙って聞いていたがやがて自分の方から違う事を聞いてみた。「あなたは私の事知ってたのでしょ?」「ああ・・知ってた・・でも、俺がその前から真理子と付き合ってたからね。お前を問い詰める事なんて出来なかったよ もちろん気にはなってたけど。それに俺は全然家庭をかえりみない亭主だったしな」「そうね、私も寂しかったのかもしれないわ・・私は貴方に知られるのが恐かったのよ。あなたにきちんと謝ってなかったわね・・ごめんなさい」聡子はやわらかく微笑み昇を見つめていた。「俺の方こそ君に謝ってないね・・悪かったよ でもこれだけは言っておきたいのだけど・・」「なあに」「俺は一度でも君と別れようとは思った事はないよ」「私もよ」二人はビ-ルをお互いに注ぎ合いながらゆっくり食事をしていった。窓の外からかすかに聞こえる川のせせらぎが二人を包み、優しく奏でるのであった。お互いにもうわだかまりはなくもう一度これから先の人生を二人して過ごして行こうと思うのであった。終わり下手な小説を長々と読んで下ってありがとうございました。「聡子」は私の等身大ではありません。かなり想像して書いてみました。夫婦とは何だろう?・・・時々私も考え込んでしまうときがあります。でも、普通は時間が解決してくれてまた元の生活をしているようです私の人生もやがて折り返しに入るのでしょう。いえ、もう入ってるかもしれませんけど。笑これから先、まだまだ長いのでしょうね。自分が後悔しない生き方は
2023.09.11
{真理子の執念} 聡子はその後も昇とはあれ以来の関係でそのままの状態が続いていた春も過ぎて初夏になりそろそろ花の入れ替えをしなければいけない時期になっていた。そんなある日、聡子は庭に出て花をいじっていた。昇はもちろんいつものように会社へ出かけている。聡子の庭は通りに面しているので人の通りはよく分かるのであった。そんな中遠くの方から一人の女が聡子の家を盗み見している姿があった。まだ聡子は気がついてない様子で暢気に花の手入れをしていた。その後買い物へ出かけた時に近所の主婦から思いがけない事を聞かされた。「つい先ほど内田さんの家をず~と見てた女の人がいたわよ」私が「何か内田さんに用ですか」って聞いたら「いいえ別に・・」と言って去っていったとの事だった。聡子は不審に思いながら家に帰りカ-テンの隙間から外を伺っていたら、主婦が言ってたようにしばらくすると一人の女が近づいてきて通りを挟んだ向こう側から聡子の家を見ている姿があった。聡子はハッとして思わずカ-テンを閉めてしまった。またそっと覗いてみると女は身動きもせずにじっとこちらを見ているだけであった。聡子はその女に見覚えがあるような気がしていた。(そうだ、あの女に違いない)それはいつか聡子が康弘と食事をしていた時に近くにいた女に違いなかった。今は帽子を目深にかぶっているので顔は分からないが、あの特徴のある雰囲気はあの女に絶対間違いないと思った。聡子は気味悪くて女が入ってきたらどうしようか、昇に電話した方がいいのだろうか・・など色々考えていた。その時玄関のチャイムがなり、聡子は腰が抜けたかと思ったほどびっくりしてしまった外を覗いたら女の姿は見えず車だけが通り過ぎていった。聡子は恐る恐るインタ-ホンに写ってる姿を見てみたらやはりそこには今まで通りの向こうに身を潜めるようして我が家を見つめていたあの女が立っていたのである。前見た時も黒い洋服を着ていたが、今日もこの初夏を迎えて暖かくなってきたというのにやはり黒の洋服を着ていた。インタ-ホンごしに聡子は「どちら様ですか」と聞いた。女は「堺真理子と言います、奥様に昇さんの事でお話があるのですけど・・」その声はイチオクタ-ブ上がってるような少し高い声で昇の名前を言った。聡子はほんとは話などしたくもなかったが近所の手前、これ以上夫の名前を呼ばれたくなくて仕方なくドアを開けた。真理子は悪びれる風もなく堂々と玄関へ入り、聡子の目の前に立った。聡子は内心ドキドキしていたが相手に威圧感を持たせたら最後だと思い自分の方から強い口調で「主人の事だそうですけど、何ですか」と聞いてみた。真理子は「玄関先で話す事でもないので上に上がってもいいですか」まるっきり平気な顔でヒ-ルの靴を脱ぐとさっさと居間の方へ上がっていった。聡子が後ろから付いていく形になり聡子は益々不愉快な思いになるのだった。ソファに座った真理子は長い足を組みタバコを取り出して「灰皿貸してもらえませんか」と聞いた。聡子の家では昇は前からタバコは吸わず聡子も吸わないので灰皿は棚の奥にしまってあった。それを取り出し真理子を横から見てたら図太そうにしている割に真理子のタバコを持つ手が少し震えてるのを見逃しはしなかった。聡子はそれで少し落ち着き真理子が言い出すまで何も言わないでおこうとわざと黙っていた。しばらくそのままお互いに沈黙した状態が続いていた。真理子は少しいらついてきたらしくタバコを次から次と吸っていた。やがて真理子が話しはじめた「奥さん、ご主人と別れてください」突然、突拍子もない言葉を真理子は聡子になげかけた聡子はすぐには言葉が出てこず、たたぼんやりと真理子が吐くタバコの煙を追っていた。「昇さんと別れてよ」「別れてくれと言われても・・主人は何て言ってるんですか」「別れると言ってますよ」「そんな事嘘です。私は何も聞いてませんから」「私にはそう言いましたよ」「とにかく主人と話し合ってみますので今日はもうお帰り下さい」聡子は真理子と話していると胸がムカムカしてきて今にも吐きそうになるのだった。今は真理子の顔も見たくなくて一刻も早くこの家から出ていってほしかったのだ聡子がそう言いながら玄関を開けようと居間を出たところで真理子が突然に襲いかかってきた手には果物ナイフが光っており聡子めがけて今にもナイフが飛んできそうな気がした。聡子は咄嗟の判断で身体をよじり玄関を慌てて出て行った。何が何か分からずに聡子は隣の家へ逃げ込んでいった。隣の主婦が慌てて出てきてとりあえず聡子を部屋へ入れてそれから警察へ連絡を入れてくれた。聡子は裸足のままで出てきてガタガタ震えており歯がカチカチ鳴っていた。聡子の右腕の薄いブラウスが少し破れうっすらと赤く滲んできていた。真理子が襲いかかってきた時に腕を少し怪我したようだ。警察が来て玄関のところでまだナイフを片手に持ちぼんやりと立っていた真理子を連れていった。家の周りは警察騒ぎで野次馬が沢山集まり、警官が野次馬の整理をしていた。警察から連絡がいったのか、昇が慌てた様子で家へ帰ってきたのは隣の主婦に軽い怪我の手当てをしてもらい、警察に事件の経緯を聞かれているところだった。「聡子・・・・」昇は真っ青な顔で聡子の名前を呼んでいた。次回 完結編 続く
2023.09.08
{聡子の変化} 聡子の方は康弘とレストランで食事をしていた時に女と会って以来何故か胸に引っかかるものがあり、これ以上康弘と付き合うのは危険のような感じがしていた。聡子は昇に不満はあるが離婚までは考えてなかったからである。康弘に連絡を入れる回数が徐々に少なくなりやがて会わなくなっていった。康弘の方から聡子の家へ電話をかけるという事は絶対なかったし聡子の気持ちをよく理解してくれていたので聡子は安心していた。だがそう思ってたのは聡子の方だけで、康弘はただの気まぐれで聡子と会ってただけかもしれなかった。聡子は康弘とは会わなくなり元の昇の帰りをただ待つだけの生活に戻っていたが昇の方はまだ続いていたのである。無言電話もまだかかってきていたし、昇も前よりは少なくなったが夜も相変わらず遅い。聡子は無言電話はあの女ではないかと漠然と思っていた。昇には康弘の事に気がつかれたのか気がつかれてないのか昇の態度を見てても聡子にはよく分からなかった。だが、あの女が昇と関係があるとしたら昇は聡子が他の男と会ってたのを女から聞いてた事になる。それでも昇は聡子に問いただすという事はしなかった。聡子も昇の方にもあの女と何か関係があるなとは薄々分かっていたがそれを問い詰める勇気もなくそのままになっていた。聡子の前に康弘が現れてなければ聡子はきっと昇を問い詰めた事だろう それから数年が経ちその後の生活もマンネリ化してしまい、二人の子供も家を出て行き聡子の心はすっぽりと穴があいたようになった。今からずっとこの先昇との生活を続けていくのであれば今のこの生活を大切に考えてやっていかなければ・・昇にもまた自分の元に戻ってきてもらいたいと密かに聡子は思っていた。そんな矢先に昇からの食事の誘いであった。だが今昇が言った「別れようと思わなかったのか」は聡子にとり改めてどうだったのだろうと考えこむのであった。あの時は離婚する気もなく昇に知られるのが怖くて康弘との付き合いをやめたのだから・・聡子は逆に昇に聞いてみた「あなたはどうなの?」「えっ、何が?」「私と別れようと思ったの」「さあ・・・」昇は言葉を濁し聡子にビ-ルを注いでやった。その態度を見て聡子は昇に女の影があるのを確信させられた思いがした。表面上何でもないようにしててもまだ心にわだかまりがあれば二人の生活は上手くいかないように思えるのであった。二人は気まずい雰囲気のまま電車に揺られ自宅に帰りついた。お互いに別々に違う事を考えていて電車の中でも無言のままだった。昇と会うまでの聡子は久しぶりの昇とのデ-トに照れくさくもあったが嬉しくもあった。また気にいった洋服を買って喜んでもいた。これが今ではみんな白々しいものにうつっていく。その夜、聡子がお風呂から上がりかけていた時居間の電話が鳴っていた。昇が出たようで聡子は聞く気はなかったが脱衣所から出ようとしていた時だったので昇の曇ったような声が聞こえてきた。「もしもし・・内田ですが」「・・・」「もしもし・・」昇の声が急に押し殺したようになりボソボソ話しだした。「どうして電話なんかかけてくるんだ」「前の無言電話も君なのか」「今帰ってきたばかりだから出ていかれないよ」「何故って言われても・・・」「頼むから電話しないでくれ」そう言う声がしたかと思ったらガチャンと受話器を置く音がした。昇のイライラした感じが手にとるように分かるのだった。聡子は何故かすぐ昇の前に出ていかれず脱衣所でそのまましばらく時間を過ごしていた。聡子が居間へ出ていくと昇は椅子に掛けまたビ-ルを飲んでいた。しかめた顔をしていて眉間にシワが出ているのを見て昇がすごく老けたように感じるのだった。聡子は昇に声をかけるのもためらわれそのまま寝室へ入っていった。今日買った洋服をクロ-ゼットにかけながらこの洋服はいつ着るのだろうと思い沈み込む聡子であった。真理子の執拗な嫌がらせは昇が家いると分かってて電話をかけてくるまでになっていた。さすがにまだ聡子本人にはかけてこないがいつ聡子に話をするのか分からない状態であった。それでさえ、前に聡子に顔を見られているのだし・・・昇は今はほんとうに真理子の事を疎ましく思いはじめていた。聡子と別れてからまで真理子と一緒になるつもりなどはなかったのである。ただ、聡子が誰かと付き合ってたという事が心に引っかかり聡子から逆に「私と別れようとおもわなかったの?」と、聞かれた時にすぐさま「思わないよ」とは言えなかったのであった。たが、聡子も今では大人しく家にいるようだし、今の状態ではたぶん男とは別れているのだろう昇の考えでは何年か付き合ってはいたが何も関係はなかったのだと思えるのだった。ただ、その事を聡子に今さら確かめるのもためらわれるし、また逆に真理子の事を問いただされても昇には今はまだ返答のしようがないのであった。それで昇なりに思い悩み聡子を食事に誘い少しでもお互いに分かり合えばいいのだが・・そんな思いでの食事であったのに結局お互い気まずくなりこんな結果になってしまった。おまけに真理子から電話攻撃までされるようになり昇はつくづく憂鬱になるのであった。次回続く
2023.09.07
{騙しあい}その頃の昇は仕事盛りの40代で益々家庭をかえりみない生活をしていた。また仕事の事でもトラブルがあり頭を悩ませていた時期でもあった。聡子は昇がそんなに大変な仕事をしているとも知らずに、家庭をかえりみない昇にあきれながらも聡子自身も康弘と会っていたので昇に強い事も言わなくなっていた。その前は昇にかなり不満があり色々言っていたのが、言わなくなった事に対して昇は少し訝しく思っていた。聡子は自分の様子が変だと昇がうすうす感ずいている事など知る由もなくそれよりも上手く昇を騙していたつもりであった。昇もまた仕事のストレスでお酒を飲んで憂さをはらす日々であった。その時行きつけの居酒屋でたまたま隣同士になった35歳の未亡人(堺真理子)と知り合いになり付き合うようになっていた。真理子は妻の聡子と容姿が全然違い、髪はショ-トで背も高くおそらく165cmはあるようだ。洋服の好みも聡子はとちらかといったらシックで上品な感じが好きなようだが、真理子は反対に黒が多くどちらかといったらボ-イッシュな雰囲気を持っていた。真理子の主人は2年前に病死しており今は一人で保険の勧誘をしながら生活していた。子供がいなかったのが唯一残念だと言っていた。昇自身は軽い気持ちで深い関係になったが、女の真理子はそうではなかったようだ。無言電話が時々あるような事を聡子から聞いた時、昇は実はハッとしたものだった。もしかしたらその無言電話の相手は真理子かもしれないと思ったからである。そんな聡子と昇の騙しあいの生活が2年も続いた頃だった聡子は相変わらず康弘と月2回ほど会ってたわいない話をして別れるそんな事を繰り返していたある日康弘と夕食をしていた時、なんとなく誰かに見られているような気がしてふと顔を上げ周りを見渡した。斜め前の席に座っている髪がショ-トで黒の洋服をきている女と目があった。女は一人で食事をしているらしく前には誰も座っていなかった。女は聡子と目が合うと軽く会釈をした。聡子は思い当たるふしはなくそれでも会釈を返していた。康弘が「知り合いなの?」と聞いてきた。「知らないわ」「あの女の人は前に食事していた時も近くにいたよ」「え、ほんとうなの?」「この前はここと違っていたからね・・今日もここで会うなんて変だね」「誰かしら?」そう言いながらもう一度女がいた席を見たらもうすでに女の姿はなく、テ-ブルは片付けられていた。聡子は気味悪くなりしきりに誰だったかを考えていた昇の帰りは相変わらず遅くいつも飲んで帰ってくるようだった聡子は康弘と会う時はいつも夕方から9時頃までと決めていて昇が帰ってくる時間には必ず家にいるようにしていた。やはり昇に後ろめたさがあるのだろうか?・・聡子は一人そんな事を考えていたその日も昇は12時頃帰り、いつものように風呂へすぐ入りに行った。いつの頃からか聡子は昇に着替えを持って行くのをやめていた。食事も家ではしないし自分ともあまり話しをしない・・昇は何のために家に帰ってきているのか・・自分達夫婦はなんだろうと改めて思うのであった。たまたまその時聡子は思いつきで着替えを持って行き昇が脱いだ背広を部屋へ片付けにいった。何気なくポケットに手を入れてみたら何か手の平に当たりそのまま出してみた。中からは口紅のケ-スが出てきたのであった。聡子はケ-スを見ながら何故かこの前レストランで見た女の姿を思い出していた。前の聡子であったなら昇を問い詰めていただろうが、今の聡子には昇を問い詰める気力もなかった。そのままケ-スをポケットに入れ昇には知らん振りをしていた。昇の方は口紅ケ-スがポケットに入ってたのを次に背広を着た時に気がついた。自分は入れてはいないので真理子が意図的に入れたのは間違いなかった。だがこのケ-スの事を聡子は知ってたのだろうか?・・昇はこの背広をいつ着ていったか考えていた。確か3日前だっと思う。あの日は珍しく聡子が背広を片付けていたような・・・だとしたら聡子はとっくにこのケ-スの事は知っていたのだろうか?そこまで考えて聡子が知ってて知らない振りをしたというのであれば聡子自身にも何かあり、自分にわざと問いたださないのだろう・・そんな風に考えていた。ついこの前も真理子から「奥さんはこの前男の人と会ってたわよ」と意味ありげに言われたばかりだった。何故真理子がそれを知っているか不思議に思い聞いてみたがあやふやな言い方しかしなかった。その頃になると真理子の言動も少し度が過ぎてきており昇は真理子の存在がかなり重荷になりはじめていた。もうそろそろ別れる潮時かもしれないなと思い少しずつ距離をおくようにしていった。だが真理子は昇の気持ちを見透かしたかのように先手、先手を打ってくるのであった。これは男の身勝手な考え方で別れを考えるのだが、真理子からしたら理屈ではなく本能的に行動を起こしていただけであった。(これはやっかいな事になるかな)昇は少しうんざりした様子で真理子を見つめていた次回 続く
2023.09.06
{再会}娘の香は中学入試でF市内の私立中を受験して合格し、自宅から一時間かけて高校を卒業するまで通学していた。その香の入学式の時、偶然に思いもかけない人に会ったのだった。式が終わり香を待っている時、花壇のバラがあまりにも綺麗に咲いていたので見て回っていた時であった。誰かの視線を感じるなと思いなにげなく前を見たら一人の男が聡子の方へ近づいてきていた。聡子がその男を確かめるのに時間はかからなかった。「あっ、康弘さん」その昔幾度となく口に出した名前が滑らかに出てきた。「聡子、久しぶり」高田康弘は聡子が19歳の時に初めて交際した男だったのだまだ19歳だった聡子は世間をよく知らず自分の前に現れた3歳上の康弘に夢中になってしまったそれから22歳までの3年間聡子は康弘と付き合いを続けていた。その間には喧嘩して途中3ヶ月はお互いに連絡もせずという事もあった。だが、いつのまにかまた戻りずるずると3年が経っていた。もちろんその間には結婚の話も出たし聡子自身康弘と結婚するものと思っていた。だが聡子の両親に猛反対され聡子はそれ以上両親を説得する術もなく聡子の方から別れを告げたのであった。あれからもう15年が経っている事になる。聡子は娘の香が出てきやしないかと気にしながら康弘との久しぶりの、まして意外な場所での再会に驚いていた。「お嬢さんがこちらの学校へ・・奥様とご一緒なんでしょ?」「うん・・今教室の方で娘といるんじゃないかな・・・そちらはご主人は?」「主人は仕事人間なので娘の入学なんかには出てこないわ」聡子は数日前、昇と軽い口喧嘩したのを思いだしていたほんとは康弘夫婦みたいに両親そろって出席してやりたかったのだ。何度となく昇に言ってみたが昇には全然その気がなくて結局聡子一人で付き添ってきたのだった。「今幸せなんだろう?」聡子の口調が少しきつかったのか康弘はそんな聞き方をした「ええ・・・まあ」歯切れの悪い言い方をした聡子が気になったのか康弘は手帳を取り出しながら「携帯を書いておくから今度電話してよ。一度ゆっくり話したいな」そう言って手帳に番号を書いたのを聡子に渡し「じゃあ」と言いながらその場を離れて行った。聡子は挨拶も出来ずに康弘を見送っていた。校舎の方から香が出てきており聡子に軽く手を振ってる姿が見えると聡子はメモを慌ててバックの中に忍ばせた。15年ぶりに見る康弘は頭も少し白髪が出ておりあんなにスリムだったのが横に貫禄が出てきている。メガネは昔からかけており優しい目元はあの時のままだった。それから2週間ほどたった午後、聡子は何する気もなく椅子に座りボンヤリしていたその時、電話のベルが鳴っているのに気がつき慌てて受話器を取った。「もしもし内田ですけど・・」「・・・・・」受話器の向こうは無言でシンとしている。この手の無言電話は半年ほど前から月に2,3回あっている。昇にも話はしていたが昇は「悪戯電話だろう」くらいに言って相手にもしていないようだった。だがこの日の電話は無言の中に何か得体のしれないものがあるように聡子は感じられ相手が切らないので、聡子も意地になったように受話器を握りしめていた。無言の中からかすかに犬の鳴き声が聞こえているようだしばらくそのままにしていたが聡子はなんだか馬鹿らしくなり聡子の方から電話を切った。なんだか後味の悪い電話だった。これが昇に関係している電話とはその時の聡子は思ってもいなかった。そんなある日香が朝6時に起き一時間かけて通学するようになって2ヶ月もたった頃聡子はバックの中に入れていた康弘のメモを取り出した。今まで忘れていた訳ではなく、もちろん気になってはいたが電話するタイミングもなくそのままになっていた。季節は梅雨に入り、毎日ジトジトした日が続いていた。聡子は時計を見て今の時間会社は昼休みに入ってるのを確認し思い切って携帯の番号を押した。「高田です」受話器から懐かしい声が返ってきた「あっ、聡子ですけど・・・」「ああ~聡子さん、電話かかってくるのをずっと待ってたんだよ よかったら今日の夕方出てこれる?昔よく行ってた喫茶店まだあるかな?・・そこで7時に待ってるよ。」康弘はそれだけ言ったら聡子の返事も聞かずにさっさと電話を切ってしまった聡子は受話器を眺めながらこの強引さは昔と全然変わってないないなと一人呟き苦笑するのだった。その日の7時、約束の喫茶店に聡子は出かけた。この喫茶店は昔康弘と待ち合わせに使っていたところだった。15年の歳月が過ぎその喫茶店は外装を替え新しくはなっていたが、中は昔のままだった。康弘はもう来ており手前の分かりやすい場所に座っていた今日の康弘は会社の帰りという事もあり紺系の背広を着ている、ネクタイはベ-ジュ系で赤のストライブがよく効いている。お洒落は昔からで今もそれは変わってないようだ。聡子の方は外が雨という事もありプレ-ンなグレ-のワンピ-スを着ていた。色は地味だがデザインが洒落ておりセンスのあるものを着ていた。首周りは少し広めにあいており、そこに同系の絹のスカ-フが巻かれており聡子の顔を柔らかくしていた。聡子はその日をさかいに月に1,2度の割で康弘と会うようになった。ただプラトニックなもので聡子にとって結婚してから始めて外からの刺激を受けたかのように新鮮で弾むような気持ちで康弘と時々会い、色々な世間話をしているだけで満足しているのであった。康弘は必ずもそうではないようだが聡子の気持ちとしては一度関係を持ってしまえば昔にまた戻ってしまうのではないかという不安があった。また、これは聡子なりに唯一昇を裏切っていないという強みを持っていたかったのもあるかもしれない。運よくというか香と康弘の娘とはクラスが違い康弘の妻と顔を合わせるという事は殆どなかった。これも聡子にとって康弘と会うのに好都合だったようである。丁度聡子が昇の目を盗んで康弘と会っていたのと同時期康弘の身辺にも聡子には言えない内緒事を持っていた無言電話はその後も度々かかってきていたが聡子は気にする風もなくやり過ごしていた。昇との関係も特別問題はないと聡子は思っていたのだが。次回へ続く
2023.09.04
(戸惑い)昇が予約を入れてるという和食の店は大通りから路地に少し入った所にあった入り口に「小料理屋 花谷」という看板が目に入った。暖簾は藍染めで渋くその中に花谷の文字が浮かび上がっている。中に入っていくといっせいに「いらっしゃいませ」と威勢のいい声が聞こえてきた聡子はさりげなく周りを見渡してみた。右手にカウンタ-があり左手にテ-ブル、奥の方が個室になっているようだ。テ-ブルにはそれぞれ小石原焼きの一輪挿しがあり生き生きした赤い小さなバラが一本さりげなく挿してあった。小石原焼きの渋さと赤々としたバラはなんともいい雰囲気を出し、こちらの女将のセンスのよさを出していた。女将に案内されながらも昇はかって知ったるなんとやらでサッサと自分から部屋へ上がっていた聡子も上がり席につくと改めて女将が挨拶にきた「いらっしゃいませ・・奥様もよくおいで下さいました。内田さんにはいつもご贔屓にして頂いてるんですよ」客商売を長年しているだけあって客扱いも慣れたものであった聡子も軽く頭を下げながら「主人がいつもお世話になっています」型どおりの挨拶を返した。まもなくビ-ルが運ばれ仲居が昇と聡子にそれぞれ注いで下がっていった聡子は先ほどの昇の態度の変化を怪しみながらも今はこの料理屋の雰囲気に気をよくしていたお互いに軽くグラスを合わせた。昇は一杯目をグ-と一気に飲んでしまいおいしそうに目を細めていた。聡子はビンを傾け「あなた、ビ-ル注ぐわ」と言いながら昇のグラスに並々と注ぎながらもう先ほどの事は忘れようと思っていた。ふと手元を見ると箸おきが凄くしゃれており、聡子は思わず手にとってみたそれは一輪挿しと同じ小石原焼きでできており、少し細長くて四隅がピンと跳ねたようになっていた。これは四隅が壊れないように洗うのに気を使うだろうな~と変な事を感心するのだった。取り留めのない話をしながら料理を食べビ-ルを二人で3本ほど飲んだ頃になると昇も少し酔ってきたのか饒舌になっていった。聡子も頬をほんのりと染め目に少し赤みが出てなんとなく色っぽくなってるようだ。そんな聡子を昇は眩しそうに眺めながら話は続いていた。聡子は横に置いてるス-ツの袋を思いだし昇の顔をそっと覗き込むと昇は機嫌よくビ-ルを飲んでるようだ今なら話しても大丈夫かなと思い話し掛けようとしたその時、昇の方が先に聡子に話し掛けてきた「聡子、俺達結婚して何年になるのかな?」聡子は昇に先に話出されたのでまた洋服の事を話すきっかけがなく言葉を引っ込めてしまった聡子は形よく並べられたお刺身を食べようとしていたのをやめ「今年の6月15日で21年になるわよ・・早いわね~」聡子は暢気そうに聞こえるように応えてお刺身を食べはじめた。続けて昇が「21年か、長いな~・・・幸雄が大学を卒業するまで後2年か」「そうですね、香は短大なので来年は卒業しますからね」聡子はお刺身を食べるのをやめ、今しがた仲居が運んできた揚げたての天ぷらを見つめていた。天ぷらが大好物な聡子は上品に盛り付けられた天ぷらに食欲をそそられ魚のキスを取り上げ口へ運んだ。「聡子は今の生活をどう思うか?」「今の生活ですか・・・そうね、子供達も離れて手はもういらないし、それに家を建てた時は生活も苦しかったから私も編物をして頑張っていたけど・・・今は何もせずに家にいるだけだから・・・・今の私は暇なのかもしれないわね」「暇かぁ~~」昇は何か物がつまったような歯切れの悪い言い方をした確かに今の聡子の生活はただ康弘の帰りを待っているだけのように感じる「何故ですか?」聡子は別に疑う事もせずに料理を食べるのに気をとられていた「俺と別れようと思った事はないのかい?」突然の昇の言葉に聡子は一瞬食べていた箸を止め、昇を見つめた。昇は何を言いたいのだろうか・・聡子は昇の気持ちが分からないまま黙っていた。聡子には昇に知られたくない内緒にしている事があったのだった多分昇には知られてないだろうとタカをくくってたところもあった。あれは娘の香の私立中の入学式の時の出来事だった。あまりにも偶然の出来事にそれからの聡子の生活は昇に秘密を持つ事となった次回続く
2023.09.01
15年程前に書いた小説です。背景などその当時の事ですので ご了承下さい。すれ違い(プロローグ)内田聡子(45歳)は夫昇(52歳)との2人の生活を送っていた。昔から専業主婦として過ごしており息子幸雄、大学3年生、娘香織、大学2年生の2人はそれぞれ家を出ている。年子だったので、育てて行くのが精いっぱいで自分の仕事など出来るはずがなかった。 (ある日) もうすぐ春がやってこようとしているある日、内田聡子はショ-ウィンドウを覗きながら街を歩いていた。ブティックは何処も競って春の洋服を並べている。今年はブル-が流行ると誰かデザイナ-が言ってたようだその証拠のようにガラス越しに見える洋服は淡いブル-から濃淡のブル-、黒とブル-を半々に取り入れたようなものが一着、一着主張しているように並んでいる。聡子は思いつくまま一軒のブテッイクに足を運んだ。そのお店は入り口からは想像もつかないくらい奥は広々していて、華やかさが漂っている。店員が3人ほどいて「いらっしゃいませ」と元気のいい声を出していた。聡子は声がしたのでそちらを見つめ心ひそかに「付いて回らないで」と目にものを言うように再び見つめた。定員は聡子の言わんとした事が分かったとでもいうように、何気ない素振りを見せている。聡子は少し微笑みを返し、ゆっくり店内を見て回った。ふと目の前の洋服に目を奪われ、じっくりと眺めた。それは淡いブル-を基調にした水玉模様のス-ツだった。聡子自身は水玉模様があまり好きでない方なので今まではあまり買った事がなかった。今日はどうした事がそのブル-の水玉模様から目が離せなくなり、吸い付くように見つめスカ-トを確かめたり裏を確かめたりしていた。何気ない素振りをしていた店員も聡子の様子でこれは買うなと察知したのか、顔に満面の笑顔を見せながら側に寄ってきた。「いかがですか?お客様にとてもよくお似合いと思いますよ」誰のお客にでも言う言葉なのだろう、淀みなくスラスラとなめらかに口から言葉を出しながら続けてまた話した。「どうぞ、ご試着してみませんか?着られたらまた感じが違いますよ」そう言いながらも手は素早く洋服を取り、聡子に手渡している。聡子は返事をする間もなく試着室へと連れていかれた。こんな時の店員のすばやい身のこなしにはただ感心するばかりだ試着室に入り今着ている洋服を脱いでいった。今日はなんとく心が浮かれこれでもお気に入りを着てきたのだ。それでもこのカラシ色のス-ツはもう3年も前に買ったものなのだった。今新品のブル-のス-ツを前に、着て来た洋服は薄汚れた感じがして聡子は試着する前からもう買うつもりになっていた。ブル-の水玉模様のス-ツは聡子がオ-ダ-したのかと思うばかりに聡子にぴったりだった。聡子は身長が155cm程の小柄で横もそんなに肥えてはいなかった。顔も小さく、これは聡子が自分の顔で唯一自慢できるところなのだ。目も大きく、くっきりとした二重瞼でいつも泣いたのかと間違えるくらいに瞳が潤んでいた。鼻もそれなりなのだが、聡子自身はこの少し小鼻が横に出た感じが気にいってはいない。口は少し厚みがあり中々肉感的な感じを与える。この春を過ぎたら45歳を迎えようとしていた。今の歳になってからの聡子は自分自身に段々自信がなくなっているところだったのだ。それが今、ブル-のス-ツを着た聡子は自分でも見間違えるくらいに燐とした感じを与えるのだ。上着は短めなので背が低い聡子にはよく似合っていた。「お着替え済まれましたか?」外から店員の声が聞こえてきた「はい・・いいですよ」聡子はもう一度鏡の前の自分をみながら一人頷いていた。「まあ、よくお似合いで・・奥様にぴったりですよ」店に他の客がいないのかもう一人の店員も寄ってきて「お顔立ちがよろしいので淡いブル-がとても奥様のお顔を引き立ててますね」歯の浮くような言葉とは分かってても誉められて嬉しくない女はいない聡子もその前に自分でもよく似合うと思ってたので素直に店員の言葉を聞いていた。ほんとは水玉が今日は気に入り買ったのでそれを誉めて欲しかったのだが・・聡子はカ-ドで支払いを済ませ嬉々としてそのブティックを後にしたふと思いついたように時計を見ると夫の内田昇との約束の時間がせまっていた少し早めに約束の喫茶店に着いて夫を待ってようと思ってたのが、思いもよらず洋服を買っていたので遅くなってしまった。昨夜何を思ったのか、昇がボソボソと「明日会社帰りに食事に行こうか」と、言い出したのだった。上の幸雄は今年から3年生で大学の近くにアパ-トを借りバイトでやりくりしながら生活していた。下は2年生になろうとしており、大学の寮に入っている香もアパ-トを借り一人住まいをしたがっていたが、こればかりは昇がどうしても許さず寮だったら家を出てもいいという事になった。香は仕方なくだが家を出られる喜びから案外素直に昇の言うとおりにしていた。いつもは昇との二人だけの食事もあまり会話がなく済ませ、食後も昇は自分の部屋に入り込みパソコンをいじっていた。聡子も食事の後片付けを済ませたら他にする事もなく、テレビを見ながら趣味の編物をするくらいだったそんな生活に少し憂鬱さを感じてきていた聡子には昇の食事の誘いは嬉しいものだった。昇の心の変化までは気がついてない聡子だった 次回へ続く
2023.08.30
ある日穏やかな昼下がりカ-テンの隙間からは柔らかな日差しが差し込んでいる私は籐イスに座り静かに本を読んでいるBGMが遠くからかすかに聴こえ 私の耳に入り込む「あっ、あれは昔聴いた事があるような・・・」「確か・・コンドルは飛んでる・・じゃなかったかしら?」いつの頃の曲だったか「青春の想いでの曲・・・ふふふ」遥か遠くを見るように 私の頭の中は昔に戻っていく海辺をドライブしている私と貴方「そう・・・いつもこの曲がかかってたわ」貴方と一緒に過ごした幸せな日々窓から入る海風が少し強くて私は頬にかかる髪を押さえてた砂浜で波と戯れている私波の悪戯に逃げる私を追いかけてる貴方「映画のシ-ンのようだね」笑って言った貴方の言葉が今でもはっきりと思い出せるやがて日は落ち夜空にはダイヤの輝きよりも光ってた星が私達を照らす言葉はいらないただ二人で夜空の星を眺めていたふと我に返り足元を見れば愛犬のレオンが膝にじゃれついていた私は本を横に置き レオンを抱き上げる嬉しさいっぱいのレオンに愛おしさが沸いてくるしばらくするとレオンは大人しくなり私の膝の上ににチョコンと座っている私はゆっくり本を取り上げ 続きを読み始めたかすかに聴こえてたBGMも今は違う曲になっていた
2023.08.26
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