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精神科医療の現場では、
発達障害患者の受診が増加の一途をたどっている。
児童精神科医のみならず一般精神科医にとっても、
発達障害患者の診療は今後ますます重要となるであろう。
しかし、残念ながら一般精神科医には
発達障害患者の診療を忌避する人が少なくない。
その一因として,発達障害の教科書の大部分が,
児童思春期の患者を対象としていることが挙げられる。
一般精神科医が発達障害の成人患者の診療で困ったとき、
すぐに役立つ教科書がほとんどないのである。
本書は,評者の前の職場、熊本大学病院神経精神科において
発達障害患者の診療に長年従事してきた、
豊富な臨床経験を有する著者によって執筆された。
現場感覚が反映された内容と、明快でわかりやすい記述、
見やすいレイアウトが魅力的な好著である。
特に第3〜5章では、児童思春期から高齢者まで、
年代別に発達障害の特徴を解説している。
ここが類書にはない,本書の最大の特徴である。
また、発達障害患者の診察は長時間を要することが多く、
一般精神科医を発達障害患者の診療から遠ざける一因となっている。
しかし、著者は短時間での適切な診療を実現していた。
なぜそのようなことが可能なのか評者は不思議に思っていたが、
第2章を読むと著者の診療のコツの一端を理解することができた。
本書は,児童思春期の患者をベースに記載してあるが、
成人患者にも十分に応用可能な内容であり、
一般精神科医にとっても、
臨床現場で困ったときに
すぐ役立つマニュアルとなるであろう。
評者にとって非常に勉強になったのは、
第6章「WISCの読み取り方」である。
精神科医にとってこれほどわかりやすく、
明快で,臨床現場ですぐに役立つ
知能検査の解説はほかにはないと思われる。
本書は著者の熱意が凝縮され、
現場感覚が存分に反映された一冊である。
ノウハウ型専門書として、
精神科医のみならず
発達障害に関係するすべての職種の方々にとって、
臨床現場ですぐに役立つ内容となっている。
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