あま野球日記@大学野球

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2014.01.14
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テーマ: 日本野球史(139)
カテゴリ: 日本野球史

前回の続き。



■1969年(昭和44年)10月26日、日本シリーズが開幕した。このカードは阪急-巨人。阪急の西本幸雄監督は開幕前、「今年は三度目の正直、是が非でも巨人を倒したい」と語っていた。しかし、その意気込みが裏目に出たか、阪急が1勝2敗で迎えた第4戦にとんでもない事件が起きた。日本シリ―ズ史上初の退場事件である。

4回裏、巨人の攻撃中だった。無死一・三塁の場面で長嶋茂雄がフルカウントから空振り三振すると、その時、走者の土井と王がダブルスチールを敢行した。

この時の模様は、大和球士さんが著した『野球百年』(時事通信社)に詳しい。

「捕手岡村-二塁手山口-捕手岡村の転送球は正確に行われ、岡村は左足でホームベースをブロックしながら、土井にタッチした。岡田主審の判定は、

-セーフ

しかし、スタンドからは、土井が岡村の体当たり的タッチでライン外に跳ね飛ばされたように見えた。アウトと信じ込んだらしい岡村は、セーフの判定をした岡田にとびかかり、左手でアゴへ一発。

-退場!

その瞬間、監督西本が岡村の身体を抱きかかえたところをみると、西本も随分早くダッグアウトをとび出したようであった。怒髪天をつく勢いで抗議する西本、セーフの判定について説明する岡田、退場命令にもかかわらず何度も岡田につっかかる岡村。スタンドは怒号のるつぼと化し、ただただ騒然となるばかりであった。



■しかし、もちろん判定が覆ることはなかった。そして岡村浩二が退場したため、捕手は中沢伸二が起用されるも、阪急のリズムは狂い始め、この回だけで6点を失い第4戦を落とす。さらに先回りして言うと、阪急は次の第5戦に一矢報いるも第6戦に敗れ、結局、念願の日本一になることはできなかった。

試合後、 岡田功 主審はこのように語った。
「土井の足が、ブロックした岡村の間にはいったのをこの眼で見ました。私は自信をもって判定しました。岡村が私の身体をついたので退場を命じましたが、彼はその後、二発も私のアゴをなぐりました」。



(10月30日、第4戦、後楽園球場)
阪急 011 101 000 =4
巨人 00 0  6 02 1 0 X =9
(版)●宮本幸-大石-戸田
(巨) 高橋一-渡辺秀-城之内-金田―○堀内


■巷では、退場を言い渡された岡村に同情し、岡田主審を批判する声が高まった。 きっとその夜の酒場では、岡田の判定を酒の肴に「あれはアウトだろ~」と無責任な会話があちこちに溢れていただろう。

しかし翌朝、新聞を読んだ人は皆一気に目が覚めたに違いない。各スポーツ新聞が問題のクロスプレイの写真を掲載していた。それは、土井の左足が岡村にタッチされて跳ね飛ばされる前にホームベースに触れていた瞬間を捉えていたのだ。

岡田主審の判定が正しかったことが証明されたのである。

残念ながら、ボクはこのプレーをリアルタイムで見ていない。後になってアニメ『巨人の星』(だったか?)を見て知った。そのアニメに登場した岡田さんの、なんと格好よかったことか。自宅で新聞を見、「私は正しかった」とか言って、人知れず涙を流していたんだ・・・。

  • 2012.1.13 1969年日本シリーズ第4戦 土井生還 001.JPG

(写真)岡田主審の判定が正しかったことが証明された写真。走者は巨人・土井正三、捕手は阪急・岡村浩二。~『激動の昭和スポーツ史 プロ野球(下)』 (ベースボール・マガジン社)~



■実は第4戦のトラブルには続きがあった。

8回裏、退場した岡村に代わった中沢に代打が出されため、岡田幸喜が3人目の捕手として守備に就いた。そして、打者末次利光と堀内恒夫の時に計3回、サイン違いと称して投球をわざと捕球しない主審への嫌がらせをやったのだ。

このシーンは後になって、何度もテレビで放送された。西本監督の指示だったとは思わないが、ならば岡田の単独行動だったか・・・?

巨人・川上監督は、11月3日付読売新聞掲載の手記で岡田のプレーに触れていた。
「岡村浩君の行為はわからないではない。しかし、あとで阪急がとった行為を私は責めたい。捕手が故意にボールを後逸して審判に当てつけるあの行為を見て、私は阪急にチャンピオン・フラッグを渡すことはできないと気負った」
と述べた。



■あ、そうそう。この第4戦にはもうひとつ逸話があった。
「8-4と巨人がリードした7回表、この回からマウンドに上がった金田(正一)が、無死、石井に中前安打され、続くウィンディに右越え二塁打されると、一塁側ダッグアウトから川上監督が出てきて、『交代投手堀内』と主審に告げた。この時、マウンドにあった金田は、スコア―ボールド(スコアボード)右側、巨人メムバー(メンバー)、9番打者投手金田のランを遠望しながら、自分の名札に正対して、
『・・・金田はこれで投手をやめます』
と、心の中で宣言した。一代男金田の寂しい引退宣言であった」。
(『野球百年』)






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Last updated  2014.01.14 22:59:37
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