あま野球日記@大学野球

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2014.01.15
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テーマ: 日本野球史(139)
カテゴリ: 近鉄バファローズ

前回の続き。



■1969年の近鉄バファローズは、 三原脩 が監督に就任して2年目を迎え、戦力は確実にUPしていた。最下位が定位置だったが前年(68年)は3位に上昇し、この69年はパ・リーグ初優勝を狙えるチームに成長していた。ライバルは当時黄金期にあった阪急ブレーブスである。

三原はキャンプ中から阪急に悪口雑言を浴びせた。
「何の特徴もないチームに優勝させてはパ・リーグの恥になります。強いのか、弱いのか、一向にわからんような阪急が優勝候補といわれるのがそも片腹痛い」。

大和球士さん曰く、
「三原はかつて大洋監督だった時、阪神と優勝を争う最中に、国鉄に痛い一敗を喫したら、『この負けですか・・・まぁ死に馬に蹴られたようなものですな』と毒舌を吐き、国鉄ナインを激怒させた三原の久しぶりの放談だった」  (『野球百年』)

2014.1.13 阪急・西本、近鉄・三原 003.JPG

(写真)近鉄・三原脩監督。



■一方の阪急・ 西本幸雄 監督も負けてはいない。2連覇の余裕からか
「そういう三原さんも、ウチをうんぬんする前に他チームにやられんようにすることです。そやないと、リーグ戦がおもろうない」と言い、さらに三原を凌ぐ過激な一言を吐いた。
「近鉄のような『成り上がりチーム』を今さら相手にしても・・・」

かくして『特徴ないチーム』と『成り上がりチーム』の戦いが始まった。この両監督の言動が選手たちの心に火を点けたのか、両チーム相譲らず、シーズン終盤まで熾烈なデットヒートを繰り広げた。

そして10月18日、”天王山”、首位近鉄と2厘差で追う阪急の4連戦が始まった。この時、近鉄は2勝すれば優勝決定だったが、阪急の猛烈な抵抗に遭い、結局3連敗を喫して優勝を逃してしまったのだ。



2014.1.13 阪急・西本、近鉄・三原 001.JPG

(写真)阪急・西本幸雄監督。



■大和球士さんは、どうしても近鉄に悔いが残る1敗があったと『野球百年』に書いている。

近鉄にその1敗をもたらしたのは、ロッテ・ 飯島秀雄 だという。

ご記憶の方も多いはず。オリンピックの短距離走で活躍した世界ランナー。100メートル10秒1の記録をもち、「足」だけでロッテオリオンズに入団した。野球にはズブな素人だったからデがビュー当時は珍走も多かったが、6月15日のロッテvs近鉄戦で、飯島は一世一代の大活躍を見せた。以下、『野球百年』より。

「飯島の快脚ぶりを見ようと、ロッテの本陣東京球場へ詰めかけたファンを十分に堪能させる日が訪れた。6月15日のロッテ対近鉄戦がそれであった。近鉄は阪急を追う優勝の対抗馬として人気上昇中であり、ロッテに飯島ありで、このシングル試合は約1万6千人の観衆を呼んだ。

スコア0-0のまま迎えた5回裏、ロッテの攻撃。
二死、篠原が中前安打、ここで濃人監督が「代走、飯島」を告げた。
背番号88の飯島が一塁に向かうと、一塁側スタンドから嵐の拍手。打者は醍醐。カウント1-0後の2球目、飯島は走った。頭から滑り込んだ。二塁ベース外側に左手で鮮やかにタッチした。「セーフ」。

またも拍手のうず。そしてカウント1-3の後、飯島は三塁に突進した。早い。やっぱり早い。スタートがそれほどいいとは思われなかったが、スピードが違う。野球選手の快脚とは一ケタ早さが違う。完全に三塁セーフ。あわてた捕手児玉の送球は高くそれて、飯島は歓声うず巻く中に、ホームベースを走り抜けた。テープが飛んだ。回はまだ5回、試合は半ばなのに、祝福のテープがホームベース近くに舞った。

1-0、ロッテが勝った。二盗、三盗、決勝点。まさに飯島はこの世の千両役者であった。

皮肉な結果が生れた。飯島の日本一の快脚にしてやられた近鉄は、大詰めの対阪急4連戦に2勝を必要としながら3連敗して初の優勝を逃した。もし、プロ球界が素人の飯島の足を封じて近鉄がこの試合に勝っていたら、最後の4連戦に1勝で優勝となり、多分近鉄はチーム結成以来の初優勝を飾っていたことであろう」




■近鉄ファンだったボクが読んでも、わざわざ6月の試合を持ち出すのは多少無理があると思うが、ひょっとして大和さんも近鉄ファンだったのかしらん?






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Last updated  2014.01.16 00:55:18
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