とある田舎の喫茶店

とある田舎の喫茶店

2005年10月04日
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カテゴリ: 自作小説

複雑に入り組んだ裏路地を。

The Worldが2になった際、マク・アヌは以前の4倍以上も広くなっていた。
そのとき裏路地も迷路のように作られた。

裏路地に入れば隠れるところなんていくらでもある。

焔は走りながら考えていた。
・・・・碧衣の騎士団…。
彼らが来たのか、彼らを呼ぼうとしたのか知らないが、どっちみち彼らが来たらこの少年は困ることになる。
アクセス制限をかけられてしまうかもしれない。
The Worldのことをキライだと言った彼のことならほおって置けばいいのかもしれない…だが…。

・・・ああ言っていてもこのThe Worldにいるってことは本心からThe Worldのことをきらっているわけじゃないだろうしなあ・・・。
それにあの態度…多分だれかに何があったのか聞いてほしかったのかもな・・・。

焔は自分が小さいころのことを思い出す。
あのころはイヤなことがあると決まって怒って家族にあたりちらしていた。
家族に何があったのか原因を聞いてほしかったからだ。

自分の小さいころの気持ちと少年の今の気持ちが同じなら、思っているほどこの少年は悪い子じゃないのかもしれない。
だが、アクセス制限なんてかけられたらきっともうThe Worldをプレイすることはなくなるだろう。
それこそ少年にとってThe Worldは“くだらない世界”になってしまう

そうなってしまうのはなんかイヤだ。
自分がなんとかできるのならなんとかしてあげたい。


焔はある程度奥のほう――せまく薄暗いが、上から太陽の光がところどころ光柱を作っているのでなかなか幻想的だ――まで進むと少年を下ろした。
少年を壁に背をつかせて座らせる
自分もその横に座り前方をぼぉーと見る。


しばらくして少年は口を開いた

「なんでいきなりぼくをかついで走ったんだよ?」

少年の口調からはさっきの怒りは感じられない。
おそらくいきなりかつがれた驚きが怒りを忘れさせてしまったんだろう。

焔は対等の立場で話そうと心がけて言葉を返す

「ああ、それは碧衣の騎士団が来るかもしれなかったからさ」
「…なんで碧衣の騎士団が来ると困るんだよ…」
「困るのは君の方、だろ?」

焔の言葉に少年はあせったように言う

「なっ……べ、べつにぼくは困ったりしない!」

焔はニヤッと見透かしたような笑みをつくる
「ふ~ん、ま、いいけど♪」

焔の笑みに少年はますますあせり顔を赤くして言い返す

「お、おまえ信じてないだろう!」


焔はさらにニヤついた笑みをつくる

「信じてるって♪ それよりもさあ…」

一息

「なんかあった?」

「――っ・・・・・・」
少年は無言になる。

「“くだらない世界”って言ってたよな? なんで思ったんだ? なんか理由があるんだろ?」

「・・・・・・」

焔はじっと少年の眼を見る。

しばらくの沈黙の後、少年は口を開いた。

「・・・ピーケーされたんだ」


ピーケー・・PK・・・プレイヤーキラー
プレイヤーがプレイヤーを殺す行為。
マナーとしては一番最悪な部類に入る

……なるほどね。それであの態度ってことは…。

「そういうことか……君っていつThe Worldをはじめたんだ?」

「・・・今日」

…やっぱり。

「今日The WorldをはじめていきなりPKにあったってことか…それであんなことを・・・。」

・・・ふう…たしかにそんな目にあったらイヤにもなるか…。

「イヤなこと思い出させるようだけどどんなふうにPKされたんだ?」

少年は少しためらったあと口を開いた

「この街に来ていろいろわからなかったことがあったからウロウロしてたんだ・・・そしたらいきなり『きみ初心者だよね?』って二人組に話しかけられたんだ・・・」

「どんなPCだった?」

「短髪で青と白の重剣士と、長髪を後ろでしばっている濃い緑色の剣士」

「両方とも男だった?」

「うん。それでいろいろ教えてくれるっていうからフィールドについたらいきなり態度が変わったんだ。なんかこう軽いような・・・」

「チンピラみたいな?」

「そう!それ!・・・でたくさん罵られて最後には剣士の人に斬られてGAMEOVER」

・・・どっかのPK集団のヤツか?

The Worldにはいくつかの有名なPK集団がいる。
PK集団といっても全員がプレイヤーなわけではない。
中には“AI(人工知能)″も入っている。

The Worldが1のときはAI――放浪AIと呼ばれていた――は管理者にとってはすべてが削除対象であった。
だが2が発売された際、AIはプレイヤーと同じような扱いになり、プレイヤーに危害を加える者、またはThe Worldに悪影響を与える者だけが削除対象となった。
うわさではcc社がAIの増加により対処ができなくなったからだという声もある。
AIの数としてはそれなりに多くルートタウンでは5日間いれば一度は見ることができる、という話がBBSにあったのを覚えている
もっともプレイヤーとAIを見た目で区別するのは難しく、BBSにかかれていた話もまゆつばものである。
PK集団に入っているAIなど管理者側から見ればもちろん削除対象なのだが、AIの知能は人間のそれとほとんど変わりない物も少なくなく削除を逃れているものも数多くいるらしい。

「そいつらなんか言ってなかった?自分たちは○○だ、とか・・・」

「ううんなんにも」

・・・そうか・・・だれかわからないんじゃなあ・・・それに復讐なんてしたってしかたないし

「そうか! じゃあもうPKされたことはもう忘れろ!」

「!?・・・そ、そんな忘れろったって・・・」
少年は困ったような表情で焔を見る。

「だからキッパリ忘れろ。これからはThe Worldを普通に楽しんだ方がいいよ」

「普通に楽しむなんて今さらできないよ・・・」

少年は再びうつむいてしまう


「そんなことない! ここはThe Worldだぞ? PKされたことなんて忘れられるくらいおもしろいことがここにはたくさんある!!」

「おもしろいことってどんな?」

怪訝な顔をする少年


「なんでも♪ 普通に友達と冒険するだけで十分楽しいよ」

「でもぼく・・・まだはじめたばっかで友達いないし・・・」

―――ふう・・・。

そして焔は大声で言い返した。

「・・・・・・あのなあ! ここまでいろいろ聞いといて聞き終わったらハイサヨナラとでも言うと思ってるのか!?このオレが!」

「えっ?」

「だ~か~ら! 今から一緒に行こうって言ってるんだよ♪」

焔はニッと少年に笑う


それと同時に少年の顔が驚きから笑顔に変わった

「・・・うん!!」


焔はその笑みに満足して立ち上がる

「よぅし! じゃあさっそく・・・・・・」


そう言ったとき突然そのままの姿勢で文字通り固まる焔

「ん?どうしたの?」

横で直立不動でいる焔を見上げる少年


すると焔の顔がギギギギギと少年を向く

「・・・・い・・・・」

「ひっ―――」

焔の言葉では言い表せない固まった表情に少年は思わずおびえて身を引いてしまった。

焔がやっと口を開く。

「やばいいいいぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」

少年のことをあらんかぎり開いた眼で凝視しながら大声を上げる焔

「なっ、なに!!?」

突然のことに当然驚く少年

すると焔は少年の腰に手をかけ持ち上げた

「えっ、あっ、わっ・・」

焔はわきに少年を持ったまま来た道を疾走した。

「やばいやばいやばいやばいやばいぃぃ!!」

そして二人は出会った場所、橋にたどりついた。

そこには焔の予想通りの人物が欄干に座ってあたりをキョロキョロしていた。

「かんな!」

人目を気にせず大きな声で自分の存在を知らせる焔

かんなが気づき欄干から下りる。

「かんなごめん。ちょっとわけあって遅れた!」

かんなのところに来た焔はすぐにわびをいれる


「遅い!!」

頬をふくらませるかんな

だがふと焔が持っているものがかんなの目に入る

「・・・・・ってそれなに?」

焔が脇に抱えているものを指差すかんな

「・・・・・・」

え~と・・・どこから話せばいいのやら




「「・・・・・・」」



「・・・人さらい?」
「違う!」

どう答えようか迷っている間にかんながとんでもないことを言ってきた。

いそいで少年を下ろしてやる
だが少年は地面にペタリと女の子座りするとそのままぐったりと首を落とした

「その子だいじょうぶなの?」

・・・?・・・。
ああ、揺らしながら全力疾走したから酔ってるのか・・・。

「お~い、だいじょうぶか~?」

少年はゆっくりと首をあげる

「な、なんとか・・・」

「かんな、紹介するよ、ここにいるのが・・・・・・」

「この子が?」

あ~・・・そういえばまだ名前を聞いていなかった・・・。

「えっと、そういや名前まだ聞いてなかったな・・・オレは焔(ほむら)、君は?」
そう言いながら手を差し出す

「ぼくは愉緒(ゆお)。」
手を握って起き上がる。

「愉緒、こっちがオレのパートナーの神無月(かんなづき)」

「よろしく♪ かんなって呼んでね♪」
かんなは迷わず手を差し出す

「よ、よろしく・・・。」
愉緒はおずおずと手を握る



―――こうしてオレたちは2人から3人になった。



~~あとがき~~

かなり久しぶりに更新しました。
公式hpのほうは今執筆中です。
あと一話分くらい――ここでは二話分くらい――かいたら更新しようかと思っています。
とりあえず公式のほうの感想は明日にまとめてつけようかと。

こんなものでも読んでくれる人がいればうれしいです^^
では♪





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最終更新日  2005年10月04日 23時41分15秒
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