本の虫の読書ノート

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2023.05.15
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カテゴリ: ミステリー

作家デビュー、法医昆虫學捜査官・仕立屋探偵桐ケ谷京介シリーズがある。




主人公・奈緒は、地蔵を信仰する閉ざされた小さな集落で生まれ育った。
16歳になるまで、地蔵をみてはならないという村の掟のがあった。

奈緒はこの村から出たい一心でがむしゃらに勉強して、成績が良かった。
この村から出たい、それが奈緒の夢であり願望であった。

勉強さえできれば、東京の大学へ行くことも可能だ、彼女は一途に
そう思い、家の手伝いをしながら勉強に励んでいた。

朝早くから家業の農家を手伝い、学校に通う日々。
彼女には、心から友達と思える級友はいなかった。

ある日、東京から新しい移住者が引っ越してくることになった。
4人家族で、奈緒と同じ年の女の子がいるという。

彼女と偶然会い、お互い心に響くものがあって、二人は親しくなる。
その転校生・亜矢子は、奈緒を頼りにして村に馴染もうとする。

しかし、村人は新しい移住者に異常にまで警戒心を募らせるのだった。
亜矢子が村に馴染もうとするが、よけい村人の反発をかってしまう。

しかし、奈緒の眼からみたら、村人の方が亜矢子達をいじめている、
と思えて仕方なかった。ますますこの村から出たいと思うのだった。



寝たきりの曾祖母、祖父母、両親、そして兄という家族構成の中で、
長男の兄は勤めに出ていて、家業の農家は少しも手伝っていない。

余所から嫁に来た奈緒の母は、何年経ってもよそ者としてしか扱われず、
寝たきりになった曾祖母の面倒は祖母が看て当たり前の暮らし。



なぜ農家に嫁の来てがないのか、という問題もこの作品で問うているが、
昔からのしきたりにがんじがらめに従った人々の哀しいミステリーです。

ミステリーとしては、少し尻切れトンボのような思いを抱いた。

でも、内容的には古い因習と向き合い、そこから抜け出そうとする
奈緒のメソメソしない逞しさがあり、読みごたえがありました。





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Last updated  2023.05.15 05:32:29
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