本の虫の読書ノート

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2024.04.21
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カテゴリ: 小説
直木賞作家・河崎秋子さんの「絞め殺しの樹」を読みました。

根室へ最初に入植した屯田兵であると誇りにしてきた吉岡家。
その吉岡家へもらわれてきたミサエの数奇な運命を描いている。



初めは絞め殺し…という言葉にギョッとして読んでみたいとは思いませんでした。
でも、最初に 颶風の王 (角川文庫) [ 河崎 秋子 ] を読んだんですよね。

この本も内容はショッキングな物でしたけれど、意外と良かった。
それで、「絞め殺しの樹」も読んでみたくなったのです。

根室で生まれたミサエは、父母のことは知らされず祖母に育てられました。
母はミサエを生んですぐ亡くなり、父の名前は頑として明かさなかった。

その祖母もミサエが3歳の時亡くなり、新潟の遠い親戚に引き取られました。
農家だった親戚の手伝いしながらも、10歳まで新潟で楽しく暮していました。

ある日、根室の吉岡家から「ミサエを引き取りたい」という手紙が届きました。
吉岡家はミサエの母が奉公していた家で、その母の縁で引き取りたいという。

しかし、その手紙の丁重な内容からは信じられない運命が待っていたのです。


寝起きする部屋もなく、廊下の隅で寝かされながら、強いられた家事全般。
ボロ雑巾のように扱う吉岡家、しかしミサエに暖かく接してくれる人がいた。

理不尽な扱いにただただ耐えるミサエ、手を差し伸べてくれた富山の薬売り。
その人がミサエの支えとなり、また数奇な運命を生きることになるのでした。

北海道根室に屯田兵として入植した吉岡家に翻弄される人々と一人の女性、
母としての自分を殺して生きて来たミサエとその息子の哀しい物語です。



我が家の庭で咲いているクリスマスローズ。





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Last updated  2024.04.21 07:04:57
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