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2017.12.18
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カテゴリ: 探訪 [再録]
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2015年2月15日(日)に、滋賀県教育委員会文化財保護課企画の連続講座「近江の城郭 城と街道」の第4回「三雲城と東海道」を受講しました。 2014年の「天井川の里」の続きに、 このときのまとめを再録しご紹介します 。  (再録理由は付記にて)

冒頭のJR草津線三雲駅に集合し、午前中は「湖南市三雲まちづくりセンター」で講義を受講し、昼食休憩後、現地見学に向かうという日程でした。

三雲駅を出て講義会場のセンターまで、しばらく東海道(きずな街道)を歩きます。

途中で道沿いに設置されているのがこのマップです。
今回の講座も、三雲駅から甲西駅まで東海道を歩きました 。東海道のこの区間の探訪は昨日連続で再録しています。そこで、できるだけ重複を避けて、 三雲城址と夏見城遺跡の探訪に焦点を絞りたいと思います。 (併読いただけると、三雲・甲西間の東海道について広がりを持ってご理解いただけると思います。)

上掲マップから切り出したこの部分が中心となります。
地図は南北を逆転して作図されていますので、斜め右下方向が、実際の北方向です
左端の赤丸がJR三雲駅、駅前から東海道に出て、左折し西方向に進みます。

まずは、 「湖南市三雲まちづくりセンター」 (地図の青色の丸) に。ここが連続講座の会場です。
 「織田信長の近江進攻と六角氏」というテーマで、滋賀県教育員会事務局文化財保護課・松下浩講師による講義です。史料をベースに、「1.信長と近江進攻、2.六角氏と近江の国人、3.三雲氏と六角氏・織田氏、4.講が地域の歴史的特質」について聴講しました。 (資料1)

午後は湖南市教育員会生涯学習課の氏丸隆弘講師の解説による現地見学です。こちらを中心に整理を兼ねたご紹介です。

まずは、 大沙川隧道 まで東海道を西に進みます。ここは明治17年3月に建設されました。 天井川に建設された現役最古の石造物トンネル です。トンネルの内壁に「明治十七年四月築造」と陰刻された石がはめ込まれています。地元では隧道を「マンポ」と呼んでいたそうです。 (資料2)

今回は、 この隧道を通り抜けた後、この大沙川の堤防に上がります

「弘法杉」 です。
「弘法大師がここで昼食をとり、使った杉箸を堤にさした。後に成長して大杉になったと伝えられている」 (資料2) のです。

          ここから堤の上をしばらく上流側に向かいます。



山道の途中には「さわがに滝」という標識(左)があり、

その先ではこんな奇岩も目にします。


ここが「三雲城址」への登り口です。 駒札の右隣りに、 「三雲城址・八丈岩コース」の簡単なコース図解説明板 が立っています。ここは標高314m、比高140mになります。 「三雲城」は別名「吉永城」です 。地図ではマゼンタ色の丸の位置です。

「三雲城は、長享2年(1488)、足利義尚率いる幕府軍の攻撃を受けた観音城六角高頼が三雲典膳実乃に命じて築かせた」 (資料2) のです。足利義尚が近江に出陣した「鈎の陣」と称される戦の時です。

「三雲氏は武蔵七党児玉党から分かれた浅見氏を祖とし、南北朝頃甲賀に進出して六角氏に仕え三雲に居住して三雲氏を称するようになった。そして子の行定の代には下甲賀・野洲郡・栗東郡を支配し甲賀六家と称される有力国人に成長し、三雲城は行定の代に整備拡張された」 (資料2) そうです。
元亀争乱で六角氏が没した後、 三雲成持は織田信雄・蒲生蒲生氏郷に仕え、その子孫は徳川幕府の旗本として仕え、幕末まで家名を存続したといいます。 (資料3)

永禄6年(1563)の「観音寺騒動」、永禄11年(1568)の織田信長上洛の折の戦においては、 六角義賢(承禎)・義治父子は、この三雲城に避難し、隠れ城として利用 したのです。 三雲城は信長軍の佐久間信盛の攻撃により元亀元年(1570)に落城しました。


この画像の分岐点で、左の階段山道を登ると8分で三雲城址、右の階段山道を登ると八丈岩まで5分、八丈岩から三雲城址には5分という位置関係なのです。この現地見学では、  登り口 → 三雲城址 → 八丈岩 → 登り口 という順路で見学しました

登り始めると小ぶりな石の積まれた石垣が見えますが、これは砂防目的で最近といってもかなり前でしょうが・・・作られたものとか。それをてっきり城址の石垣と思う人もいるそうです。私もそう思いかけた一人・・・・質問して、誤解せずに済みました(笑)。


そして、ごつごつした岩が見え始めます。

枡形虎口を入り、振り返ったところ

枡形虎口の穴太積み石垣上からの虎口全体の眺め
ここの石垣の岩にははっきりと矢穴が残る岩がいくつも見られます。
階段を上ると、

                        古井戸の標識が出ています。
  古井戸のある場所。鉄柱で囲われています。 

古井戸は穴太積みののづら積みです。大きさ直径1.9m、深さ63.2mだとか。標識にも記載されています。 (資料2)

古井戸の近くに集まった受講メンバーで、ここが「二の郭」です。

この二の郭にある説明板
二の郭の「土塁」
この土塁の上からも主郭に登れます。

 (資料2)


「城の規模は東西約300m南北200mで、城縄張りは頂部に構築された主郭を中心に北東側下に二の郭、南側尾根に南出丸を配した連格式縄張りで、さらに、東側中腹にも郭が構築されている」 (資料2)
 主 郭 40m×15m 細長い郭。物見場所として使用
 二の郭 50m×70mほどの広さ。土塁は西側の尾根を削り残したと推定。実質的主郭
 枡形虎口 城の北東部。23m×12m
 主郭へ登る曲折した階段道

主郭からの眺望

                       主郭の入口付近から見た土塁の一端


主郭で見た大岩

主郭から一旦、二の郭に下ります。

                        二の郭の土塁の上面の眺め
 土塁・馬の背を経由して「八丈岩」に進みます。
途中で見た大岩


八丈岩背後の巨岩群

さらに近づくと、 「佐々木六角家家紋」の標識 が立っています。

その標識の少し、 上方の岩肌に、家紋「四つ目結」が刻まれています 。大きさは20cm角ほどです。

「八丈岩」は城址内の一角(北東尾根筋)にあります。

                               八丈岩の下部の部分


                   この巨岩を反時計まわりに回り込んで撮った景色



回り込む手前に、 「白竜が祀られている社」 があります。
これが祀られるようになったのはそれほど古くはないとのこと。ただし、いつ頃からかは不詳。


三雲城址の近くに 「吉永生活環境保全林 林野庁・滋賀県」の木標と案内図 があり、その傍に、 「湖南市青少年自然道場」の銘板 がはめ込まれた標識もまります。


東海道に戻り、 「甲賀組第一部法然上人二十五霊場 第二十一番」の木札 が山門に掛けられた 「吉祥山西往寺」 (浄土宗)を通り過ぎた先で、山並みを見ると、

八丈岩がポッカリと飛び出ているのが遠望できます。



この後、夏見では街道をそれて、 「夏見城遺跡」 (地図:空色の丸)に立ち寄りました。
中には入れません。竹藪と樹林の奥あたりが、 「甲賀五十三家の一つ夏見氏の居館跡とされる城館遺跡」 (資料1) だとか。現在も土塁の一部が残っているそうです。

東海道に戻る途中、小学校の傍に建てられている 「夏見城址」の石標 を目にしました。

この後は、JR甲西駅まで東海道を西進します。その箇所は上記の拙ブログ記事でご紹介しております。

ご一読ありがとうございます。

参照資料
1) 「第4回 三雲城と東海道」(連続講座「近江の城郭 城と街道」)
   当日配付の講義資料  滋賀県教育委員会文化財保護課作成
2) 「三雲城と八丈岩」 みちくさコンパス実行委員会発行  当日の配付資料
3) ​ 三雲氏 ​ :「戦国大名探究」


【 付記 】 
「遊心六中記」と題しブログを開設していた「eo blog」が2017.3.31で終了しました。
ある日、ある場所を探訪したときの記録です。私の記憶の引き出しを維持したいという目的でこちらに適宜再録を続けています。
再録を兼ねた探訪記等のご紹介です。再読して適宜修正加筆、再編集も加えています。
少しはお役に立つかも・・・・・。他の記録もご一読いただけるとうれしいです。

補遺
三雲定持 ​  :ウィキペディア
三雲成持 ​  :ウィキペディア
鈎の陣 ​  :「元元老院議員私設資料展示館」
観音寺騒動 ​  :ウィキペディア
観音寺城の戦い ​  :ウィキペディア
青少年自然道場 ​  :「湖南市」
湖南市青少年自然道場 ​ pdfファイル
夏見城遺跡出土の毛抜きについて ​  記者発表資料  滋賀県文化財保護協会

  ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)
​​​​​​​​​​​​​ ​探訪 [再録] 滋賀・湖東 天井川の里:三雲~甲西 -1 横田渡常夜灯・天保義民碑 へ
探訪 [再録] 滋賀・湖東 天井川の里:三雲~甲西 -2 大沙川隧道・弘法杉・由良谷川隧道ほか へ





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Last updated  2017.12.18 16:56:37
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