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2005年11月12日
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鳥インフルエンザ ブタ介さず人型変異 米で確認、危機感募る

 毒性の強い鳥インフルエンザウイルス「H5N1」に対し、厚生労働省が、これまでにない危機感を強めている。ウイルス学者らが「人型への変化が始まり、いつ新型インフルエンザが出現してもおかしくない」と指摘しているからだ。わずかな変異だけで鳥型から人型に変わったスペインかぜの存在が、この指摘の根拠。厚労省は抗ウイルス薬の大量備蓄を決め、世界各国も、すでに対策に乗り出した
 これまで、新型インフルエンザは、既存の人インフルエンザウイルスと鳥インフルエンザウイルスとが、ブタの体内で混ざり合って誕生すると考えられてきた。ブタは両方のウイルスに感染する。一九五七年のアジアかぜ(H2N2)と一九六八年の香港かぜ(H3N2)は、ブタの体内で発生したことが確認されている。人の体内でもブタと同じことが起こる。
 ところが、一九一八年に大流行して二千万人から五千万人が死亡したスペインかぜは違った。CDC(米国疾病対策センター)と米軍病理学研究所が、アラスカの永久凍土に埋葬された感染者の肺からこのスペインかぜウイルスの遺伝子を回収し、ウイルスを再生して解読を進めた結果、最近になってスペインかぜは、遺伝子の一部が置き換わっただけで鳥型から人型に変わったことが分かった。
 しかも、感染する際の人の細胞のレセプター(受容体)に対する認識は鳥型のままで、人型には変化していなかった。鳥インフルエンザは、簡単には人に感染しないとの通説を覆した。
 専門的な話になるが、RNAウイルスのインフルエンザウイルスの変異には、「抗原連続変異」と「抗原不連続変異」がある。ブタの細胞内で人型ウイルスの八本の遺伝子と鳥型ウイルスの八本の遺伝子が交雑して再集合し、八本の遺伝子を持つ新型が生まれる。これが抗原不連続変異だ。これに対し、遺伝子内の四つの核酸(グアニン、ウリジン、シトシン、アデニン)の配列が一部分で置き換わるのが、突然変異とも呼ばれる抗原連続変異で、インフルエンザウイルスは頻繁にこの変異を繰り返している。
 スペインかぜのウイルスはこの抗原連続変異だけで、鳥型から人型に変異した。ウイルスの増殖に不可欠なポリメラーゼと呼ばれるアミノ酸配列が、鳥型と十個違うだけだった。新型インフルエンザの出現には、必ずしも抗原不連続変異は必要ないことになる。
 スペインかぜのもとになった鳥インフルエンザウイルスH1N1は、鳥に対して弱毒だったが、鳥インフルエンザH5N1ウイルスは鳥に強毒で、ニワトリは鶏冠(とさか)や足に皮下出血を起こして死ぬ。人型に変異した場合、人にも強毒の可能性は高い。
 感染症の専門家らは「H5N1ウイルスも、同様の変異が認められ、どこまで変異しているかは分からないが、すでに人型への変化が起きている。だから欧米も危機感を抱いている」と指摘する。

     ◇
 《インフルエンザの流行》 既存のインフルエンザでも流行すると、高齢者が肺炎で亡くなり、幼児が脳症で命を落とす。それが人類に免疫(抵抗力)のない新型インフルエンザだと、厚労省によれば、国内だけでも2500万人以上が医者にかかり、17万人近くが死ぬ。鳥インフルエンザウイルス「H5N1」は、1997年に香港で18人が感染してうち6人が死亡。2003年にも香港で2人が感染してうち1人が死んだ。その後、タイ、ベトナム、カンボジア、インドネシアで計189人が感染し、うち64人が亡くなっている。ただし、この数字は氷山の一角に過ぎない。
(産経新聞) - 11月12日3時0分更新





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最終更新日  2005年11月12日 07時06分06秒


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