突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2009.04.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 いずれにせよ、ゴルギアスホローが私たちを受け入れてくれる気がないのなら、もはやここで命乞いする理由もなくなった。 城門の前で乾いて死んでも、ここで賊に斬り殺されても、同じことだ。 小さな弟たちは不憫だが、もはやなすすべはない。

 エリダヌスはがっくりとうなだれ、答えた。
「そんなものは持っていません。 弟たちを助けたいばかりに、嘘を言いました」
 いきなり、首にかかっていた紐がエリダヌスを砂の上に引き倒した。
「なめやがって! 殺してやる!」
 アードウルフが逆上して叫びながら馬から飛び降り、エリダヌスの胸に力まかせに剣を突き立てた。

 とてつもなく巨大な、重い、冷たいものが、ずぶりと胸にめりこんだ恐ろしい感触があった。

 カノープスとスピカの悲鳴に混じってアードウルフの怒鳴り声が聞こえた。
「そのチビどもも殺しちまえ!」

「カノープス、スピカ、逃げて!」
 だが、声にはならなかった。

 目の前がだんだん暗くなって、腕の力も抜けていく。
 朦朧とかすんだ目のふちに、そのとき、幻のように、金網の柵を高々と飛び越して、金色に輝く大きな馬がこちらに向かってくるのが映った。

 誰かが叫んでいるのが遠く聞こえたような気がした。
「かしら! 誰か来やがった!」
「いけねえ! リュキア兵だ! ずらかれ!」
 アードウルフが悪態をつきながら、足に巻きついたエリダヌスの腕を蹴り飛ばし、それからおおいそぎで馬の背によじ登って逃げ出した。

 横たわったエリダヌスの耳の下で、盗賊たちの馬のひづめの音が遠ざかって行った。

 どうやら神様がお慈悲の手を差し伸べてくださったらしい。
 悲痛な声で泣き叫び続けている、カノープスも、スピカも、無事だったようだ。


 体はもう、動かない。
 息がしにくくて、ひどく苦しかった。

 神様、早く私をおそばに召してください。 私はあなたのおそばで、カノープスとスピカの行く末を見守ってやりとうございます。 どうぞこの苦しみから私をお救いください。

 神の御名を唱えながら差し伸ばそうとした手を、そのとき不意に、暖かな、力強い手が、ふわりと包み込んだ。

 これは、私をお迎えに来てくださった、神さまの御手・・・?



 神さまが私をお迎えに来てくださった!
 私はこの美しい神さまに手を引かれ、天国の扉をくぐることができるのだ!

 至福の喜びが、耐え難い苦痛を包み込んで、エリダヌスは安心して目を閉じた。
 果てしのない暗闇に落ちてゆく直前、エリダヌスは神様に、私に祝福をお与えください、と祈った。
 それから、意識がぶつりと途切れた。





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最終更新日  2009.04.13 20:51:03
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