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2011.01.08
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 そのとき、突然あたりがふわりと明るくなり、琴の弦をかき鳴らすような透き通った美しい声が、朗々と響き渡った。
 「・・・もういいのよ、アデュレリア。 鍵をお放しなさい。 紫水晶の鍵は、そのお方に渡していいの」

 はっと顔を上げると、レグルスの正面、長い年月を経て無残に朽ち破れ、壁にぶら下がった肖像画のあたりに、白くまばゆい光が出現していた。
 驚いて、振り上げた剣を下ろす間にも、その光はしだいに人の形をとり、鮮明な輪郭を現して、ついには、華やかな祭礼の衣装をまとった美しいジャムルビーの姿に変わっていく。

 ――― それはまぎれもなく、あの悪夢の中で見た肖像画の、王妃だった。
 言添えれば、あの肖像よりもはるかに美しい。
 清浄な白い光の中に、今やはっきりと浮かび上がったその顔は、凛として気高くも、楚々として可憐。 そして、凄みをおびた冷酷な美しさと、無邪気な幼子のような愛らしさ、あるいは叡智の光と無明の闇、相反する二つの表情を併せ持った、神秘的な美貌だ。

 近づいてきた王妃が、レグルスの足もとにひざまずいて、転がった頭蓋骨を拾い上げ、ひし、と胸に抱きしめた。
 「ああ! やっと見つけた!・・・かわいいアデュレリア、わたくしの愛する妹!」


 「輝ける若きリュキアの王さま、どうか、アデュレリアがあなたさまにしたひどい仕打ちをお許しくださいませ」

 深々と頭を下げた王妃が、胸に抱いた頭骨を愛しげに見下ろしながら静かに話し始める。

 「・・・アデュレリアとわたくしは、幼きころより一緒に育ち、本当の姉妹のように、いえ、それ以上に、心を許し合い、身を寄せ合って生きてまいりました。 手をつないで神殿の庭で遊び、机を並べてともに学び、あるときは二人美しく着飾って神に奉納する歌舞を舞い、ときには、一人の美しい殿方に恋をして、切ない心を一晩中語り明かしたこともございました。 こわごわ手を握り合って、ご病気の方や飢えた方、罪を犯した方たちの所へご奉仕にもまいりました。 嬉しい時はともに喜び合い、悲しいときは手を取り合って泣き、互いを慰め、励まし、心のよりどころとして生きていたのでございます。 血はつながっていなくても、アデュレリアはわたくしの、たった一人の、大切な妹、わたくしの分身でした。 わたくしが嫁ぐ時も、アデュレリアは心の中でひそかにわたくしと同じ花嫁衣裳を着て、自身の幸せは捨て去り、その生涯をわたくし一人に捧げる誓いを立ててくれました。 価値観も習慣もまったく異なるバルドーラ族の社会にいきなり飛び込んだわたくしが、他の何人ものお妃さまやお側女の方々の、冷笑、差別、嫌がらせ、謂れのない非難を受け、あるいは宮廷から差し向けられた意地の悪い侍女たちの排斥、干渉、詮索、告げ口など、語り尽くせぬつらいしうちを受けながらも、どうにか耐えてこられたのは、アデュレリアがいつも隣にいて、わたくしを励ましてくれたからです」 

 はらはらと落とした王妃の涙が、アデュレリアの頭骨に、鎮魂の花吹雪のように降りかかる。

 愛する王妃の腕に抱かれて、アデュレリアの表情が、次第に安らいでいくように、レグルスには、たしかに見えた。





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最終更新日  2011.01.08 19:28:50
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隠された真実  
千菊丸2151  さん
王妃様が美しいながらも残忍だったのは、嫁ぎ先での酷い仕打ちによるものだったんですね。
実の妹のようなアデュレリアとともに居たからこそ、その心が安らいだんですね・・やっと2人とも成仏しそうですね。 (2011.01.08 19:57:43)

アデュレリア、良かった...!  
風とケーナ  さん
アデュレリアが王妃さまに至上の想いを寄せていたように、
王妃さまもまた、アデュレリアのことを、
こんなにもかけがえのない存在と思っていたのですね。

血縁をも超える二人の深い絆に、胸がいっぱいです。
なんか、ちょっと涙ぐんでしまいました…。

アデュレリア――本当に良かったね.:*・☆

(2011.01.08 21:25:09)

千菊丸さま、ありがとうございます!  
そうなのですよー
この王妃さま、
神殿の頂点に位置する巫女さまになるはずだったのに
王さまに見初められて入内することになり、
宮廷では意地悪な女たちにさんざんいじめられたうえ、
愛する王さまにもあまりかえりみられなくなって、
ついには王国の崩壊まで目の当たりにすることになった、
という悲劇の王妃さまなんですー。

ここで成仏させてあげようと思います。

(2011.01.09 00:09:43)

ケーナさま、ありがとうございます!  
う、うう
涙ぐんでいただけるなんて、
ふろぷしー、望外の喜びです!!

ありがとうございます!
王妃とアデュレリアも、きっと喜んでいると思います。

私もやっと安心できました。
かあいい女の子が登場して、ちょっとレグルスをからかっちゃう、
だけのつもりだったのに、
アデュレリアってば、私まで
こんな闇世界に引きずり込んでくれちゃって

このところ、マジ生きた心地がしませんでしたよ。

ああ、良かった!

(2011.01.09 00:17:15)

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