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2011.01.09
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アデュレリアの頭骨を優しくなでながら、王妃の顔に、慙愧の表情が浮かぶ。
 「けれど、王さまがゴルギアスに弑し奉られ、わたくしたちのもとにもゴルギアスの魔手が迫ってまいりましたとき、アデュレリアは、わたくしや皇子さま、皇女さまがたを逃がすため、犠牲となって、一人ゴルギアスに捕らえられてしまいました。 そのおかげでわたくしたちはいったん城から逃げ出すことができましたが、アデュレリアは、ああ、無残にも、顔を、二目と見られぬように焼き潰され、手足の自由を奪われ、自ら死ぬこともならず、以来ずっとゴルギアスの奴隷となっていたのです。 それを知ったとき、わたくしはどんなに自分自身を恨んだことでしょう。 何とかしてアデュレリアを助けたいと身もだえいたしました。 けれどわたくしにはもはや何の力もなく、ついには捕えられて塔に幽閉され、自ら死を選ぶことしかできなかったのです。 命捨てても心安らぐことは決してなく、わたくしたちを逃がしたために、死ぬことすら選べなかったアデュレリアの苦しみを思うたび、胸も張り裂けるようでした。 かわいそうに、アデュレリアは、死してなお、このような恐ろしい、ゴルギアスの闇の中で一人、わたくしを思い、わたくしの預けた鍵を守っていてくれたのですね」

 アデュレリアの遺骨を抱きしめ、むせび泣いていた王妃が、やがて涙をぬぐって、足もとに落ちていた紫水晶の鍵を拾い上げた。
 「・・・輝ける若きリュキア王さま、この鍵は、あなたさまのものでございます。 どうぞ、お受け取りになって」

 「王妃殿、私は・・・」
 リュキア王ではありません、と言おうとしたレグルスをさえぎって、立ち上がった王妃が、うやうやしく鍵を差し出す。

 「いいえ、あなたさまは、わたくしの愛したリュキア王さまのお生まれ変わり。 そのことをあなたさまが忘れておいでなのは、わたくしが生前あまりに多くの罪を重ねたせいなのです。 神さまがあなたさまに、前世の悪しき王妃のことは忘れ去り、今生にては心正しき妻を娶り、新しき世を作れと仰せになったからです。 どうぞ、この鍵を用いてゴルギアスの呪いを打ち砕き、新しい王妃さまと、新しい国をおつくりくださいませ。 君主の剣を手に入れ、わたくしの宝石箱の慈悲の涙を取り付ける際には、夢幻の香炉にて目覚めの香を焚き、宝玉の穢れを祓い清めることを、かまえてお忘れなきよう」

 謎のような言葉を添えて、王妃の頬が、晴れやかなばら色に輝いた。


 アデュレリアの遺骨をしっかりと抱いたまま、王妃の全身が白く清浄な光に包まれて、きらきら輝きながら、光の粒に溶け込むように消えていく。

 「輝ける若きリュキアの王、レグルスさま、ありがとうございました。 これでわたくしたち姉妹、心残りなく神さまの御許に旅立つことがかないます」

 荘厳な光の中に、王妃の姿がすっかり溶け込んだ、そのせつな、幼子の笑い声が二つ、明るく響きわたって、ジャムルビーの少女が二人、手に手を取って光の彼方へと走り去っていく後姿が、一瞬だけ、見えた。

 昇天 ―――

 神々しい光が徐々に薄れて、もとの暗闇がもどってきたとき、アンタレスが顔を上げ、不思議そうに目をしばたたいてあたりを見回した。
 「・・・あれ? 今、何があった? 俺、寝てたか? ミイラは? 鍵は?」





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最終更新日  2011.01.09 20:25:09
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涙、涙・・  
千菊丸2151  さん
アデュレリアと王妃様、やっと成仏しましたね。
彼女達は辛い目に遭ってばかりいたけれど、最期には純真無垢な幼子になって昇天しましたね。
今回は涙が出そうになりました。 (2011.01.09 21:42:07)

千菊丸さま、いつもありがとうございます。  
アデュレリアと王妃、哀れな2人を
とことん見守ってくださいまして
本当にありがとうございました。
涙出そうなんて、
もう、感激です!!!

ほっと肩の荷を降ろした気分で、
また明日から、レグルスとアンタレスの
別の展開、がんばります。

感謝・・・!

(2011.01.09 22:37:24)

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