突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

PR

プロフィール

ふろぷしーもぷしー

ふろぷしーもぷしー

カレンダー

サイド自由欄



little_heart.gif


thumbnailリュキア伝説

リュキア伝説・本館

☆完結しました☆



rykia_contents.gif




鬼の棲む街バナー.gif



little_heart.gif






thumbnailレグルス王

真魚子さまの絵



thumbnailトキ

エメラルドeyesさんのブログ
『ねこマンサイ』
で紹介していただいた、
ふろぷしーもぷしーの過去日記
『迷い犬を保護してしまいました』2008.6.19~10.7



thumbnail鮎屋トキ

『いっしょに歩こう!』
2008.12~2009.1


キーワードサーチ

▼キーワード検索

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07

お気に入りブログ

神の祝福 第1話 千菊丸2151さん

小説 「scene clipp… マトリックスAさん

パンの日々 nako7447さん
道楽オヤジのお気楽… 車屋のオッサンさん
ゆっくりね ラブドルフィンさん

コメント新着

風とケーナ @ ご完結おめでとうございます.:*・☆ ふろぷしーさま、こんばんは♪ この度は、…
ふろぷしーもぷしー @ 千菊丸さま☆゚・*:.。. いつもありがとうございます☆ わずか一、…
2011.01.11
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 闇の中、小さなランタンの灯りだけを頼りに、『開かずの扉』の、小さな鍵穴に鍵を差し込むのはなかなか骨が折れた。 苦労してやっと差し込むことができても、内側のどこかが錆びついてでもいるのか、何かにひっかかっている感じでなかなか回らない。

 レグルスの手もとを、後ろからじっと眺めていたアンタレスが言った。
 「ずいぶんてこずっているようだな。 妙だぞ。 扉に何か罠が仕掛けてあるのかもしれない」

 レグルスはむっとして言い返した。
 「うるさいな、静かにしててくれ。 王妃殿から直接渡された鍵に、罠なんか仕掛けてあるはずがないだろう。 開けにくいのは、鍵が小さくて手もとが暗いからだ」

 アンタレスが、妨害するようにレグルスの腕に手をかけた。
 「王妃殿だかなんだか知らないが、この迷宮の中で、鍵と名のつくもののほとんどは、その持ち主にも開けられないように、誰かが後から罠をしかけたフシがあるんだ。 その扉にもきっと何か罠が仕掛けてあるにちがいない。 この次俺が腕のいい鍵開け職人を連れて来てやるから、今日のところは大事をとってひとまず手を引け。 おまえには無理だ」

 ますます頭に血が上って、レグルスは、アンタレスの腕を振り払った。
 「私に指図をするな! 無理かどうか、やってみなければわからないじゃないか!」


 「やってみなくてもわかってる! おまえには無理だ。 迷宮内では俺の指示に従う約束だったぞ。 俺が、今日はもう切り上げて帰る、と言ってるんだ。 逆らうなよ!」
 「いい気になるんじゃない! 人を従わせるためにはそれなりの人望と礼儀と説得力が必要なんだ。 だれが、おまえのような小生意気な悪たれの命令に従うか!」

 組み付いてきたアンタレスを軽々と突きとばして、さらに追い討ちをかけようと足を踏み出したレグルスの前に、ベテルギウスがあわてて割り込んだ。
 「だめだ、レグルス。 逆らうな。 ここではすべてアンタレスの言うとおりに」

 悔しくてはらわたが煮えくりかえったが、上官であり兄とも慕うベテルギウスにそう言われては、これ以上我を張るわけにもいかない。
 しぶしぶ鍵をふところにしまいこんで、立ち上がったレグルスを一瞥して、アンタレスがさっさと通路を引き返し始めた。
 「その扉は、この次、アルクトゥールスに開けさせてやる。 今日はもう帰るぞ」

 ベテルギウスが、忠犬よろしくその後に従う。
 「アルクトゥールス、というのは、あなたのお知り合いの鍵屋殿ですか?」
 「アルクトゥールスはパピト族の盗賊だ。 とても器用で、たいていの鍵は針金一本であっというまに破ってしまう。 開かずの間の扉だけはとうとう破れなかったが、鍵があれば、扉に仕掛けられた罠も、あいつならすぐに見破って取り外せるだろう」

 パピト族の、盗賊?!

 こんな身のほど知らずのチビに鼻面引き回されたあげく、今度は卑しいパピト族の盗賊にまで、頭を下げて、この扉を開けてくださいなんて頼めというのか?!
 鍵は私が王妃殿からじきじきに預かって、ちゃんとここに持っているのに?!

 和やかに談笑しながら通路を引き返していくベテルギウスとアンタレスの後姿を睨みつけると、レグルスはくるりと身を翻し、開かずの扉の鍵穴に、紫水晶の鍵を差し込んだ。

 今度は一発で鍵が入った。
 天の配剤、もっけの幸い、と思った。

 かちり、とかすかな音がして、今度こそ、鍵が外れた確かな手ごたえがあった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011.01.11 20:34:34
コメント(4) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


レグルス様、どうかお気を付けて!!  
風とケーナ  さん
いよいよ『開かずの扉』が開こうとしているのですね!
中にどんな世界が待っているのか、
緊張と期待で胸がドキドキしています☆:゜*

でも…アンタレスが言うように、
妙な罠でもしかけていないか、とても心配です(≧人≦。)
レグルス様、どうかくれぐれもお気を付けて!!


それにしても、先日の、
王妃さまとアデュレリアちゃんの昇天場面、
あの時、あまりに込み上げてきて胸がいっぱいで、
言葉にすることができなかったのですが、
あれからずっとあの場面が脳裏から離れません。

幼い少女の姿となって手を取り合って光の世界に帰っていく、
あの二人の姿とさざめくような明るい笑い声――
時間が経つほどいっそう心に染みてきて……、
言葉に尽くせぬほど感動的な場面でした.:*・☆

(2011.01.11 21:30:38)

これから・・  
千菊丸2151  さん
レグリス様が開かずの扉が開き、その向こうにどんな世界が広がっているのか、気になりますね。
また罠が仕掛けられているんじゃないかなぁと・・特にホラー系が。
(2011.01.11 21:48:57)

ケーナさま、ありがとうございます☆.: *:・  
おお!
感激のコメントを
ありがとうございます!

>妙な罠でもしかけていないか、とても心配です(≧人≦。)

  レグルスへのお心遣い、ありがとうございます!
  がっ、
  もちろん罠は仕掛けてありますとも♪
  ひっひっひψ(`∀´)ψ←こりない人


>王妃さまとアデュレリアちゃんの昇天場面

  ありがとうございます!
  アデュレリアを鬼のごとく書いてしまったので、
  その罪滅ぼしのつもりで
  一生懸命書いた場面でした。
  鋭く繊細な感性をお持ちのケーナさんに、
  このような嬉しいお言葉をいただいて、
  アデュレリアにもやっと許してもらえそうな気がします。
  嬉しい!

(2011.01.11 23:22:37)

千菊丸さま、ありがとうございます☆.: *:・  
嬉しいコメント、ありがとうございます!
もちろん、罠は仕掛けちゃいましたよ~♪
ちっぽけな罠だけど、
まさに、これから、
物語の流れに大きな影響を及ぼしそうな罠です♪

いつも元気の出るコメントを、ありがとうございます☆

(2011.01.11 23:30:34)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: